起きたらゴリラ顔だった   作:mi-ta

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アニメ版のゾロとたしぎはゾロはたしぎにその見た目から同情され、たしぎはたしぎで真面目さを発揮しており中々に楽しい掛け合いでした


海賊狩と女剣士

「はい!ではこれどうぞ!!」

 

海軍基地に連れてこられたゾロは恐々としていると目の前の女剣士から手渡されたのはモップと水の入ったバケツ。

 

「おい、何だこれ」

 

思わず口をひくつかせつつ聞き返せば

 

「いえ、丁度掃除のおじさんが辞めてしまったんですよ、ですので貴方はまずそこからやってもらおうかと。

 

安心して下さい海軍で働けばもうお金に困る事もありません、美味しいものを食べて、暖かい布団で寝て…そんな生活が出来るんですよ!」

 

と熱弁を奮う女剣士にゾロは辟易しつつも

 

「はっ!誰が海軍なんかで…」

 

と渡されたバケツとモップを突っ返した。

 

それを見たたしぎは

 

「逃げるんですか!」

 

「なっ!」

 

と一言、当然ゾロもそれには反論しようとするも

 

「人の親切を馬鹿にするんですね!貴方の場合お金が無いことよりも心の貧しさが問題なのでは!?」

 

との言葉に深く溜息をつく。

 

「あのなぁ…」

 

「"少尉"殿!調練のお時間です!!」

 

「じゃ、頑張ってくださいね?」

 

そしてゾロが説明しようとしたところで海兵の声、どうやら目の前の女剣士を呼びに来たようだ。

 

「少尉?…薄々思ってたがやっぱ海兵か…」

 

最後に一声だけエールを寄越し去っていくその背中をゾロはモップとバケツを持ったまま見送るのだった。

 

暫くすればそこにはぶつくさ文句を言いつつもモップがけをするゾロの姿。

 

「ったく…何でおれがこんな…くっそ、ラチがあかねぇ!!」

 

おもむろに手に持っていた一本を口に咥えて両手にモップを持つと猛然と通路を走り

 

「うおぉぉぉぉおっ!!てりゃあぁぁぁぁあっ!!」

 

と素早い手捌きで往復し瞬く間に廊下のモップがけを終わらせてしまう。

 

「ふぅっ、やっぱブラシも三本だな…ん?ありゃさっきの女か…」

 

一息つきふと窓の外を見ると先程の女剣士が複数の海兵と木刀で打ち合っている姿。

 

そういや調練の時間だと言っていたなと思いつつも見ていれば次々と相手の海兵を打ち伏せていく姿に

 

「…周りの海兵もやり手だがあの女も強いな」

 

剣を振るうその姿にかつて誓いをたてた幼馴染をゾロが幻視していると

 

「貴様!ここで何をしている!!」

 

「何処からこの海軍基地に潜入した!不審者め!!」

 

と二人の海兵が現れた。

 

「げっ…あれだ。新しい掃除夫だ、気にすんな」

 

と事実を言うも

 

「掃除夫が刀をぶら下げているわけないだろう!抜剣!!」

 

「貴様を拘束する!抜剣!!」

 

聞く耳持たぬとばかりに二人は抜刀、ゾロも仕方ない、とばかりにモップを振るうも二人の海兵はその一撃を防ぎつつ逆に斬り返してきた。

 

「ちっ!ただの海兵じゃねぇのかよ!!」

 

「我らは"海軍剣客隊"!!舐めてると痛い目を見るぞ!!」

 

「どうした!腰の物は抜かんのか!!」

 

数合を交わしつつ

 

「くそっ、すまんが暫く寝てろ!!」

 

それと共に二人の斬撃を受け流して両のモップでそれぞれの首筋に一撃づつ、そのいきなり早くなった刀捌き…いや、モップ捌きに二人は対応出来ずに意識を落とされたのだった。

 

「早いとこズラからねぇと…」

 

そう思って数枚の紙幣と書き置きを意識を失った海兵の横に残してゾロは海軍支部から逃げ出したのだった。

 

「何事ですか!!」

 

「何者かにやられたようです、犯人の姿は影も形も…」

 

一方女剣士…本部少尉のたしぎは騒ぎを聞きつけ現場に、残された手紙に気づき

 

「…眼鏡代?…襲われそうになって逃げ出したのかしら?」

 

と首を捻っていた。

 

一方その頃、犯人であるゾロは当初の目的を果たすべく武器屋へと向かっていた。

 

「びびった…ありゃ似すぎだぜ、くいなに…しかもよりによって刀使いの剣士…」

 

そんなゾロが思い出すのは故郷で亡くした幼馴染みとそっくりの女剣士。

 

「いるもんだな世の中には…でももう会う事もねぇだろ…」

 

世の中には三人のそっくりさんがいるという噂話を思い出しつつもゾロは所詮海賊と海兵、会う事はないだろうと颯爽と武器屋の暖簾を潜る。

 

それがフラグだったのか創業200年の老舗である武器屋の店主、一本松がゾロの腰の物を名刀と看破し何とか騙して買い叩くべく交渉をしていると

 

「こんにちは!磨きに出してた時雨、出来てます?」

 

「げっ!!」

 

そにその件の女剣士が現れたのだった。目敏くゾロを見つけると

 

「良かった!無事だったんですね、さっき海軍支部で何者かが暴れていったんです。

 

貴方まで居なくなったから心配してました。でも無事ここにいるという事は…貴方、やっぱり人の親切を嘲笑って逃げ出したんですね?」

 

「あ、あれは…だな…」

 

「やっぱりこのお金返します。薄情者からお金なんて受け取れません!!」

 

と固まるゾロの手に眼鏡代として置いてあった紙幣を握らせる。

 

口元がひきつりつつもどうやらこの店に自分の刀を磨きに出しており、それを受け取りに来たのだと推察。二度と会う事も無いだろうと思っていただけに渋面を作る。

 

「ほら、眼鏡も新しく買い直しましたし、ほら!」

 

そう言って赤い縁の眼鏡をかける女剣士…たしぎはその視界に映る一本の刀に気付く。

 

店主の一本松が持ったその刀を見て

 

「わぁっ!!この刀もしかして"和道一文字"!?和道一文字じゃないですか!!」

 

そう言って店主の手から刀を奪い取る。

 

「和道…?」

 

刀の名前なんて知らなかったのだろう、そう呟くゾロを他所にたしぎは刀を引き抜くとマジマジと見る。

 

「綺麗な直刃…確か大業物21工が一振り!ほらこれを見て下さい、確か1000万ベリー以上はする代物ですよ!!」

 

普段から持ち歩いているのかポケットから小さな手帳を取り出しパラパラとめくる。そこには鞘や拵、鍔や刃紋など多くの刀の情報が図解つきで描かれていた。

 

「このぉっ!全部喋っちまいやがって!!営業妨害で訴えるぞ!!」

 

「えっ!営業妨害!?わたし何かやっちゃいましたか!?」

 

「お前はこの時雨を取りに来たんだろうが!!磨き終わってるよ!サッサと持ってけ!!」

 

店主の一本松はみすぼらしい格好で、しかも10万ベリーで刀が二本が鈍でもいい、間に合わせでいいから欲しいというゾロを金なしの素人だと考え、そして腰の和道一文字に気づき上手いことだまくらかして手に入れようとしていたのだった。

 

最もそれはたしぎが全部喋ったので未遂に終わった上に、ゾロは何があろうとも刀を手放す気は無かったので店主の無駄骨であったが。

 




というわけで明日は作者がローグタウンで一番好きな場面ですが…いつまでもだらだらとしてるわけには行きませんしサクッと終わらせて他のメンバーのあれこれも描き終えたいところ…

原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います

  • 麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
  • クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
  • 二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)

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