「ちょ…ちょっと待ったー!!異議あーり!!!」
ナミが頷こうとした所突如ウソップがビシリと手を挙げ異議を申し立てた。
「む?小僧、決闘を受けるのではなかったのから」
ウソップの言葉に不満そうに言うダディだったが
「いや決闘は受けるって言ったけどよぉ、勝負が不公平すぎるぜ!!アンタの言う方法だとおれに勝ち目ねぇじゃねぇか!!」
その言葉に少し考える。
「むぅ…奴の息子なら射撃が得意だと思ったのだが…違うのか?」
全く考えてもいなかったとばかりに首を傾げるダディだったが
「確かにおれの親父もアリの眉間でも撃てると豪語するがアンタの言うやり方だと早撃ち勝負だろ!おれがそれで勝てるわけないだろ!!」
そのウソップの言葉にナミは成る程、とばかりに頷く。
会ったばかりのウソップならそのまま流されて早撃ち勝負をさせられていたかもしれない、そして相手がダディなら良くて逃走、悪くてそのまま撃ち殺されてたかもしれないと。
ちゃんと冷静になって周りを見れるようになったのは大きな進歩でこの点はベルメールさんに感謝しなければと思いながら下手に口出しはせずに見守っていれば
「そうか小僧、貴様は早撃ちは不得手となると…そうだな、小僧お前の得意な武器は何だ?」
とのダディの質問にウソップはがま口のショルダーバックからパチンコを取り出して見せれば
「へ?そんなもんでぱぱとやろうっての!?」
キャロルは信じられない物を見る目で驚いたように言うも
「ほう…では狙撃で勝負といこうか距離を延ばしていって先に外した方が負け…それでどうだ?」
と提案、それならば勝ちの目はあると考えたウソップは
「おう!それならいいぜ!」
と快く快諾するも
「だが忘れるなよ?外したらお前はおれの弟子になってもらうぞ、キャロルちゃんもお前を気に入ってるようだしな。あぁ、勿論海賊も辞めてもらうぞ?」
「ちょっとぱぱ!?わたしそんな事言ってないわよ!?」
とキャロルが騒ぐ中でダディは念を押すように言う。
「ちょっとウソップ!?海賊を辞めるなんて初耳よそんな話!相手は狙撃で名の知れた元海軍本部少佐…勝てると思ってるの!?」
とその条件は考慮してなかったのだろう、驚いたように言うナミに対して
「悪いなナミ、でもここは譲れねぇんだ。しかも相手があの"子連れのダディ"となりゃ尚更だ、おれを鍛えてくれたナミのかーちゃんにも申し訳がたたねぇってもんさ」
と何かを決意したように言うウソップに
「…勝てるの?」
と聞けば
「いつも通り…そう、いつも通りやれば済む話しだろ?さて、先ずは何から狙えばいい?」
そう言って愛用のパチンコを構えたのだった。
そしてウソップはパチンコで、ダディは拳銃を構え先ずは十メートル程から進めていき2人とも難なく目標に当ててその距離はどんどん延びていく。
「すげぇ…流石は子連れのダディ、百発百中じゃねぇか…」
「いや、相手の長鼻のあんちゃんも凄いぜ、あのダディに遜色無く当てに来てやがる…」
「まさか子連れのダディに匹敵する狙撃手がいるとは…」
固唾を飲む周囲のギャラリーを他所にウソップとダディは一切外す事なく狙撃を成功させその距離は既に100メートルを越え500メートルに迫っていた。
そしてまたウソップがパチンコで、ダディが拳銃で同じ目標を撃ち抜いた所で再びドロー
「ふむ、このままではラチが空かないな…どうだ小僧一気に距離を延ばすか?」
一息ついてそう提案するダディにウソップは
「なんだ、もう疲れたのか?まぁその提案には賛成だがな、このままじゃ日が暮れちまうからな」
そう賛成し何か丁度いいものは無いかと辺りをぐるりと見渡せば
「…そうだな、あの風見鶏でどうだ?」
と提案、王冠を被った鯨の風見鶏を見つつ
「…かなり遠いな1キロってとこか?」
とポケットから鉛玉を取り出しパチンコを構える。
風向き、目標の高さ、現在地などをゆっくり確認して息を深く吸い込み、そしてそのまま止める目標に狙いをつけギリギリと引き延ばした弦を離せば鉛玉が空を切り裂き…そして狙いは違わず風見鶏に着弾した。
「っし!さて次はあんたの番だぜ?」
止めていた息を大きく吐き出したウソップはダディにそう言えばダディも拳銃を目標に向けて構え…そして発砲。
しかし弾丸は僅かに目標からズレて空を切った。
「…流石にこの銃じゃこれが限界か」
残念そうに目標を見るダディの姿に周囲の野次馬はある者は目を細めて、ある者は双眼鏡でかなり遠くにある風見鶏を見るもそこにはダディが狙撃をあてた痕跡は無く
「嘘っ!?ぱぱが外したの!?」
「すげぇ!!あの長鼻の小僧ダディに勝っちまいやがった!!」
「やるじゃねぇかあんちゃん!!いいもん見させてもらったぜ!」
目を見開いて驚くキャロルを他所に観衆は勝負の結末を理解したのだろう、若き挑戦者を口々に褒める。
その様子にウソップも理解したのだろう、この勝負で銃使い最強と呼ばれるあのダディに勝ったのだと。
口々に先程の出来事を話しながら散っていく観衆にウソップは何とか勝つ事ができた…と安堵しつつ
「あんたと腕を競う事が出来て光栄だったぜダディ、…当然隠し球もあるんだろうがな」
そう言って右手を差し出すウソップに
「ふっ、別に隠し球と言うほどのものでも無いさ」
と同じく右手を差し出し2人は固く握手を交わしたのだった。
アニメ版では具体的な距離は出ていなかったので世界記録の半分程で設定しています。
拳銃で狙撃銃に匹敵する距離を撃ち抜くダディは化け物ですね、パチンコでそれに匹敵するウソップも化け物ですが。
原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います
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麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
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クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
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二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)