「…何か船足が遅いわね、風のせいかしら」
疲れか、何かの病気かは不明だがリトルガーデンを離れた後で一味の航海士であるナミは高熱を出しながらも進路を指示していた。
そこにルフィがやはり心配なのか片手をナミの額に当てると
「あっちぃ!?あっちいぞお前、やっぱ船止めて医者んトコ行こうぜ?」
その言葉と共に慌てて手を離す。
「余計な事しないで!これがあたしの平熱よ、バカやってないでさっさとロープを引きなさい!」
「ナミさん、ビビちゃんの為だってのぁわかるけどよ、あんまり無理したら元も子も…」
「平気だって言ってるでしょ!!」
自身の不調を押し除けてそう言うナミであったがやはり無理がたたったのかクラリとして倒れそうになる所を
「ナミさん、わたしの事を…アラバスタの事を心配してくれるのはありがたいわ…け・れ・ど!!だからってナミさんが苦しんでどうするの!
元々国王軍60万と反乱軍40万だった所を40万が寝返った?それでも!そんな事でわたしの国は倒れはしないわ!!
だから貴女がやるべき事は病を押し除けてでも一刻も早くアラバスタに到着することじゃあないわ!一刻も早く医者にかかって万全の状態でアラバスタを目指す事よ!違う?」
いつもと裏腹に怒涛の勢いで言うビビにナミはたじたじとなりつつも
「でも20万対80万よ!?どうするのよ!それを何とかする為にアラバスタに向かわなければいけないんじゃないの!?」
「…ナミさん、わたしだって最初から血の一滴も流れないだなんて思ってないわ、そして何より…わたしの国民を舐めないで、この程度でクロコダイルにしてやられるのならアラバスタなんかとっくに亡国になってたでしょうね」
「…本当に問題無いのね?」
「言ったでしょ?みんな!直ぐに医者のいる島を探すわよ!ナミさんの病気を治して一刻も早くアラバスタへ!!勿論文句は無いわよね?」
そのビビの言葉にルフィはにっと笑うと
「おぉ!それがこの船の最大船速だからな!」
と答えたのだった。
そして一方、リトルガーデンから少し離れた海域に一艘の船が停泊していた。
黄金の吠える熊を船首にグランドラインの入り口辺りでは珍しい外輪を持つ蒸気船…言わずと知れたクリークの搭乗する偽装戦艦"ベアトリーチェ号"である。
そしてその甲板に据え付けられた巨大な椅子に、いかつい顔の電伝虫とそれに繋がれた白いむすっとした顔の電伝虫を横にクリークは腰掛け通話を行なっていた。
「ふむ、航海士が倒れたか…原因は?」
『あぁ、聞き取れた内容によればかなりの高熱みたいで…ひょっとしたらこの海に入ったのは初めてだろうし、そっち関係かもしれないっすね。
兎に角その治療の為にアラバスタの前に寄り道という事で今は南に向かってるっす』
「了解した、南…となると…方向的にドラムにぶち当たるかもしれんな…」
『あれ?ボスは確かドラムに向かってたんじゃ…?』
「あぁ古い馴染みを迎えにな、しかしドラムか丁度いいし一旦そっちで合流するか、今後の予定についても話したいしな」
『了解したっす、兎に角おれ等はそのままくっついてそちらに向かいますので』
「バレてはないか?」
『えぇ、航海士のお嬢ちゃんが少し違和感を覚えたみたいですが気のせいだと判断したみたいっすね、まぁこの船自体かなりの軽量化施してますしそうそう気付かれるようなヘマはしませんよ』
「ならば良いが…最初からエターナルポースを渡しておけば良かったな」
『今更言ってもしょうがないっすよ、…本当だったら彼等に拾ってもらう為に隠れ家に残しといたのに最初の奇襲で壊れちゃいましたからね…』
「まぁその辺も後で合流時に聞かせてもらうさ、では切るぞ?心配無いとは思うが海軍に気取られても敵わんからな」
了解しましたっす、との返事と共に電伝虫を切るとクリークは
「なるほど、今の所大筋は変わらずか…とは言え変えようが無いだろうけどな。
しかし40万が反乱軍に寝返っただと?どうなってやがる…何かイレギュラーか?」
ニュース・クーから買った新聞を手に首を捻るクリーク、原作でそんなに差があったっけ?と考えるも既に記憶は遥か遠く、覚えているのは王国軍と反乱軍で数が逆転したという所だけである。
考え込むも答えは出ず、そうこうしていると
「旦那ぁ、前方の島から船が来てるぜ!海賊船だ!」
マストに登って見張りをしていたジョークからの報せ、とりあえず考えを中断して海賊船?リトルガーデンから?と思いつつも
「旗印はなんだ!」
「翼を持った髑髏に交差するレイピア!縞模様の帆に小型の帆船です!」
ジョークの言葉に少し考えてん?翼とレイピアの髑髏?とハッと思い出して慌てて過去に書いた手帳をパラパラとめくっていけば
「…バロックワークスか、パールは麦わら一味について行ってるし…Mr.3か?麦わら一味に捕らえられたとパールは言ってたが、置いていったのか?」
クリークが答えに至ると同時に風を切る音と共に飛んでくる白い砲丸、難なく受け止めるも続け様に聞こえてきたのは
「そこの船!!大人しくそのまま止まるガネ!船を沈められたくなければ全員両手を上げて大人しくしていることだ!沈められてもいいなら話は別だガネ?」
と大声で叫ぶ特徴的な髪型をした男の声だった。
原作では30万が裏切ったのに対して今作では40万が裏切り80万対20万に…一体何があったのだろうか。
そしてMr.3の運命や如何に!?
原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います
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麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
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クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
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二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)