起きたらゴリラ顔だった   作:mi-ta

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黒ひげは何でドラム襲ったんでしょうねー?具体的な被害がわからなかったのでこちらで勝手に決めてますのでご注意をばー


雪閉ざされし国

 

「昔はね…ちゃんといたんだよ…」

 

ドルトンのそのポツリとした言葉に

 

「え?」

 

と返すビビ。

 

「医者さ、訳あって全員居なくなってしまったんだ。

 

…十年以上前になるかな?ある一人の医者見習いが医療大国と名高かったこの島にやって来た。

 

"彼女"は貪欲に学び次々と知識を吸収、それに引っ張られるようにこの国の医者達も外様に負けてられないとどんどん成長していった…それが良くなかったのだろう」

 

「医療技術の発展は良い事じゃないの?何が良くなかったのかしら?」

 

と、何が問題なのか分からずに首を傾げるビビ。

 

「…数年前に先代の後を継いで国王に就任した男、ワポルと言う男なんだが」

 

「ん?ワポル?」

 

「思い出した!!何処かで見た顔だと思ったのよ、あのバケツ顎!!」

 

ドルトンの言葉に、襲撃を受けた時にいた海賊の姿を思い出し思わず叫ぶ二人に

 

「君達!ワポルを知っているのか!?」

 

とドルトンは驚いたような聞けば

 

「あぁ、知ってるも何も俺たちの船を襲って来やがった海賊だ。まー、おれが追っ払ってやったがな」

 

「えぇ、間違い無いわ。昔、父に連れて行かれた用事で彼と会ったわ…あの時は面子もあったから水に流してあげたけど…」

 

「でもよおっさん、そのワポルってのはアンタの話が確かなら王様なんだろ?なんで王様が海賊やってるんだ?」

 

その時の事を軽く話し、新たに出る疑問を聞けば

 

「まだ生きていたか…先ずはそこからだな。この国は数ヶ月前に一度滅びかけた…いや滅びたと言ってもいいのかもしれんな。この島にあった国はかつての名をドラム王国、そして王の名をワポルと言う」

 

「国が!?」

 

ドルトンの言葉にウソップはあんまり聞きたくなかったと思い

 

「…それでわたし達にもあんな過敏に」

 

ビビは合点がいったように頷く。

 

「あぁ、その通りだ。未だに皆海賊という言葉にはね…たった五人の海賊団だった。

 

船長は黒ひげと名乗っており圧倒的な力で街や村を滅ぼしたのさ。この島の南側なんか酷いもんさ、生きてる人間なぞ誰もいない…」

 

「たった五人の海賊が…?本当ならこんなところにいていい実力じゃないわ!」

 

「黒ひげ…なんかヤバそうだな…」

 

「だが、この国にとってはそれで良かったという者もいる…犠牲者には申し訳ないとは思うが」

 

「なっ!?国が潰れていい訳ないじゃない!!」

 

「そうだ!そんなバカな話があるか!!」

 

流石にドルトンの話は飛躍し過ぎだと考えたのだろう。確かに一般的な感性ならそう思うだろうが事情は大きく違うらしい。

 

「…先程の話に戻るがワポルが国王に就任して最初に行った事は何だと思う?」

 

「そうね…セオリー通り行くのだったら王位継承にあたっての一年間の減税や恩赦といったとこかしら?まぁダメな王であれば増税という所かしら?」

 

「おいビビ、なんで王様が就任してそうそう増税なんかするんだよ?」

 

「世の中にはそういう人間もいるって事よ。で、どうなのドルトンさん」

 

「…ワポルが最初に出した命令は"医者の追放"、国に多く存在する医者たちを全て国外追放処分としたのさ!」

 

ドルトンのその言葉に

 

「なっ!?」

 

「はぁっ!?」

 

二人は絶句する。それだけ思いもよらない事だったからだ。

 

「数年前の話さ、奴は優れた二十人の医者を招聘し城に招いた…それにより国民は医者にかかりたければ奴に平伏すしか無い!!

 

…このドラムは今でも医療大国の名で知られている。だが誰が思う?本当に優れているのはワポルの元にいた20人のみ。これではまるで国中の病人を人質に取った犯罪ではないか!!」

 

ギリっ…と歯を噛みしめ怒気のせいか一回り身体が大きくなったように見える姿に

 

「ドルトンさん…」

 

とビビが心配そうに声をかければ

 

「済まない…つい怒りが…」

 

と先程までの怒気を霧散させるドルトン。

 

「おいビビ、今おれの目にはおっさんに角が生えたように見えたんだが気のせいか?」

 

「気のせいなんじゃないの?でもそのワポルがどうして海賊に?」

 

「海賊がこの国に来たといっただろう?」

 

「…敵わなかったのか…それで海に追い出されたって事だろ?おっさん」

 

まぁ確かに国一つ滅ぼすような化け物には一国の軍隊と言え敵わないよなぁ、とうんうんと頷くウソップに

 

「…待ってウソップさん、医者の追放なんて馬鹿げたマネをする人間が災害クラスの化け物と戦うかしら…ねぇドルトンさん、ひょっとしてワポルは逃げたの?」

 

ビビはそれまでの話から察したのだろう、ドルトンにそう聞けば

 

「…奴等は事もあろうに海賊の強さを知った途端、あっさりと国を捨て"誰よりも早く"逃げ出したのだ!!

 

あれには国中の誰もが失望した!窮地ならば王として責任を果たす物だと誰もが思ったさ!!あれが!あれが一国の王か…」

 

「っ…それでも王か!!民あってこその王よ!王が民より先に逃げ出すですって!?あのバケツ顎巫山戯てるんじゃないの!?」

 

ドルトンの答えにいつもの大人しさはどこに行ったのか、怒髪天を衝きそうな勢いで怒鳴るビビの剣幕に

 

「お、おいビビ…」

 

ウソップがちょっとひきつつ、そう声をかければ

 

「…ごめんなさいウソップさん、つい熱くなっちゃったわ。

 

まぁ王なんて大半がそんなものよね。どうせ医者の追放以外にも色々と馬鹿な真似をしたんじゃないの?そして逃げ出した王様は優雅に海賊ごっこでバカンス…ここに帰る為に海を彷徨ってるって事ね」

 

先程の事が嘘かのように冷静に戻るビビ。

 

「あぁ、その通りだろう…だが兎に角ワポルの悪政はもう終わったのだ。

 

この島は残った国民達のものだ、生き残った町村の復興も進んでいるし…今は団結して新しい国を作ろうとしている。

 

…だから今我々が最も恐れている事はワポルの帰還…"王政の復古"だ、人々が不安な今それだけは避けねばならない。

 

…この島に新しく平和な国を築く為にも…!!」

 

とドルトンは強い眼差しでそう言うのだった。

 

そしてウソップは決してビビを怒らせないようにしようと固く誓うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





王女の二面性(ぼそ

原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います

  • 麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
  • クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
  • 二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)

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