起きたらゴリラ顔だった   作:mi-ta

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ゆっくりしていってね!

さて、次話は350話記念という事で"もしもシリーズ"だが何にするかなー


砂賊の娘砂の姫

 

「さてバルバロッサ船長?このお話受けてくれないかしら?」

 

「断る、王族の命令だか何だか知らねぇがおれ達砂賊は何かに縛られるつもりはねぇ」

 

「対価はきちんと払うわ、噂は色々と聞いてるわ、水も食糧にも困っているのでしょ?」

 

「…痛い所を、だがおれの船には王族を嫌う奴もいる。

 

おれは国王陛下を信じてるがそうじゃない奴もいる、この国に雨が降らなくなって三年、枯れるオアシスや砂に呑まれた町は数知れねぇ、ここエルマルにユバ、メリアスやスイレンなんかもそうだ。

 

だからこそ救ってくれなかった王族を恨む者はいる、反乱軍に加わった奴もいるさ、なぜ助けてくれなかったのか、何故きてくれなかったのだとな…今までコブラ王が善政を敷いていただけにな。

 

…そいつらを説得できたのなら考えてやる、まずはそれからだ」

 

かつてサンドラ河から敷設された運河の恩恵により豊かな緑を誇り"緑の町"と呼ばれていたエルマル。

 

今は運河は破壊され、砂に呑まれた廃墟となった村でビビは巨漢の男と向かい合っていた。

 

ビビ一行はナノハナをゴーイング・メリー号に乗って出航するとそのまま沿岸部を回りサンドラ河を遡りここエルマルに錨を下ろした。

 

その後ビビの指示でアゴトギが郊外に出かけて行くと巨漢の男を引き連れて戻り、そしてビビはレインベースまでの足を確保せんと話し合いを行なっていたのだ。

 

巨漢の男…バルバル団団長は砂賊の頭である。

 

元々は砂ゾリと呼ばれる乗り物で盗賊行為を行う小規模な盗賊だったがバルバロッサが他にいくつもあった似たような組織を時には話し合い、時には拳で語り合いそう言った勢力をどんどん吸収して出来上がったのがサンディ島最大の砂賊、"砂の波濤を超える者達"の異名を誇るのが"バルバル団"だ。

 

彼らは砂の流れと風を操り、まるで海を征くかのように砂漠を航海する。

 

そして彼らの乗る船は大型の帆船と同様でありそれ故にビビは前々からこのバルバル団には目をつけていたのだった、砂漠の船での航行…今でこそ砂と風の両方を読み操る者は少数だが、これが体系化できれば交通も輸送も格段に利便性を増す事だろう、今回それを思い出した為にこうやってレインベースまでの交通手段として利用させてもらおうと考えたのだ。

 

何しろ砂漠を歩いて渡るという事はそれすなわちとてつもない苦難の道だからだ。

 

ビビも自分一人なら余裕綽綽で越えただろうが、アゴトギ含むその部下達はこの国生まれ故に砂漠に慣れているとしても協力者である麦わらの一味達は誰も砂漠は未経験、下手に砂漠を共に横断すれば一味がバラバラに逸れかねないと危惧して今回の話し合いとなったわけである。

 

「…いいでしょう、その王族に不満を持っている人達を集めてもらえないかしら?」

 

「ふん、せいぜいそのお手並みを見せてもらおうか、一時間後くらいにまた来る」

 

そしてきっかり一時間ほど後にバルバロッサと共に現れたのは10人ほどの集団だった。

 

それと共にビビに回転しながら飛んでくる複数の刃のついたナイフ。

 

半歩ずれる事で避けると

 

「…随分なご挨拶ね?」

 

とナイフの飛んできた方向に向かって言う。

 

ナイフを投げたと思しきは先頭に立つ女性、鋭い目つきで砂賊の証として黒の艶やかな髪に日傘の簪を指した彼女はビビの足元に刺さったナイフを引き抜き腰に納めると口火を切った。

 

「わたしはメリアルの出だけど…随分と昔に見たツラだね」

 

「メリアルメリアル…あぁ、思い出したわ。

 

父と一緒にこの国を巡った時だったかしら?砂ゾリの一大生産地であるメリアルで貴方わたしに花飾りをくれなかったかしら?」

 

「へぇ、覚えてたんだ…でもそれなのに来てくれなかったのね?」

 

「砂に呑まれた時の事?まぁきっとあの優しいお父様の事だから"何かあったらすぐ駆けつける"くらいの事は言ったのでしょうね?」

 

「わかってるなら…わかってるなら何故あの時来なかった!!わたしは待った!雨が降らなくなった時も!砂嵐の時も、泉が枯れた時も!町のみんなが徐々に減り出しても!そしてわたし以外誰も居なくなっても!!

 

ずっと!ずっと!!わたしは待ってたんだぞ!!どうして…どうしてあの時来てくれなかったんだ!!」

 

慟哭するような深い悲しみを湛えたかのような黒髪の女性のその言葉に傍に立っていた男が

 

「ラサ…大丈夫か?」

 

と、心配そうに聞くものの

 

「付き合わせちまって悪いねザバ」

 

と落ち着いたのか静かに返すラサ、それを見ながらビビは少し考えると

 

「…そうね、言い訳にしかならないと思うけどあの時は枯れていたのがメリアスのオアシスだけじゃなくあちこちで同じような事が起こっていてね」

 

「っ!言い訳じゃない!!何が"すぐ駆けつける"だ!!信じて待っていたのに、そんなのただの嘘吐きじゃないか!!」

 

またもや激昂するラサにビビは言葉選びを間違えたか…と考えつつ

 

「わたしにそれを言われてもねぇ…約束したのはお父様よ?」

 

「アンタは何も出来なかったの!?アンタだってこの国の姫なんでしょ!アンタが来てくれるだけでも村は救われてたかも知れないじゃない!!」

 

「…たかが小娘に随分と過大な評価じゃないかしら?こんな貧乏王国のそれも小娘にそんな権力があるとでも?一人で勝手にほいほいとメリアルなんて遠方に出かけられるとでも」

 

「っ!言いたい事はそれだけか!!」

 

それと共に先程投げたナイフを再び引き抜こうとしたラサに

 

「お、おい!それは不味いだろ!」

 

ザバは慌ててその腕を掴んで止めてそれをビビはまるで

 

"どう料理してやろう"とでも言うかのような目で交渉の術を考えていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




というわけでアニメオリジナルで出てきたバルバル団です。

砂を渡る船ってモンハンのジエンモーランを思い出しますね、砂漠イコール砂の海はディアブロスやガレオスが実演してくれてますしね。

移動手段には持ってこいという事で今回の出番と相成りました

原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います

  • 麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
  • クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
  • 二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)

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