起きたらゴリラ顔だった   作:mi-ta

352 / 524
というわけでその頃バロックワークスの皆さんは?


砂漠鈍熊 ドンクリークさん

 

日が傾いて暑さが和らいだ頃ユバの町長、トトは日課である砂堀を行っていた。

 

この国に雨が降らなくなってはや三年、日照りが続き砂が完全に乾燥しきっている為か頻繁な砂嵐がこの町を襲うようになり、交通の要所として栄えたこのユバも少しずつ少しづつ砂に蝕まれ他の町、エルマルやメリアスのようにすっかり砂に呑み込まれてしまったのだ。

 

だがトトは諦めなかった、ここは自分が国王から預かった大切な土地…ユバ・オアシスは決して砂なんかに負けやしない、その一心の元でふくよかだった体が痩せこけ顔に深いシワが刻まれても決して休む事なく何度も地面を掘り返していた。

 

そしてザクザクと地面を掘り返す音を聞くだけだったトトの耳に何か重いものを引きずるかのような別の音、トトが手を止めてそちらを見るとマントに深いフードを被った人間の姿、そして後ろには巨大な覆いが被さった荷物が見て取れた。

 

「やぁ旅の人かね…砂漠の旅は疲れただろう、すまんがこの町は今少し枯れていてね…歓待はできないがゆっくりしていくといい。

 

なぁに宿ならいくらでもある、それがこの町の自慢でね」

 

久しぶりの客人に弱ってる姿を悟らせない為に明るく言えば

 

「では幾日か宿を借りたい、支払いは金でいいが…水や食料の方がいいか?見た所満足に食事ができているとは思えねぇが…」

 

マントにフードの人間…体格や声からして男だろうがその申し出にトトは

 

「ありがたい、金があっても食料や水を手に入れる術が無くてねぇ…今はまだ残された食料があるがそれもいつまで持つか…」

 

と素直に感謝する、水も食料もまだ残りはあるし、消費するのは自分一人だが先の事も考え切り詰めていたのでこの申し出はありがたかった。

 

「…しかし酷えもんだなこの町は、とても元がオアシスだったとは思えないぞ?」

 

男はそう言いながら砂に呑まれている建物や枯れかけているヤシなど周囲を見渡せば

 

「砂嵐のせいでね…砂で地層が上がり徐々に泉が砂に呑まれてね…完全に呑み込まれた後は直ぐだったよ。

 

水と言う生命線を亡くしたオアシスはただ砂漠に呑み込まれるのを待つばかり、住民達も立ち行かなくなったこの町を諦めて一人、また一人と他の場所に移っていったよ…」

 

トトはそう思うのも無理は無い、と事情を説明する。

 

「…アンタはこんなとこに一人で何を?」

 

「…ユバ・オアシスはまだ生きている、ユバは砂になんか負けやしない、ここに残っているのは息を吹き返す為の手伝いをしているんだよ」

 

そう言ってトトはスコップを片手に再び砂を掘り返す作業に戻り、その姿を大男…クリークはしばらくじっと見つめて手近な建物へと移動したのであった。

 

そして一方レインベースからユバに向けて砂煙を上げて急行する一団があった。

 

「全く!少しゆっくり出来るかと思えばユバに向かえって…人使いが荒いんだよウチのボスは!"人荒"だよ!"ひあ"だよ!」

 

「まぁまぁミス・メリークリスマス?きっとボスにも何か考えがあるんじゃないかしら?」

 

「そんくらいわかってるよミス・マザーズデー!Mr.4!さっさとしないかい!!アンタがノロマだからこんなに遅いんだよ!この"バッ"!!」

 

「ご〜〜〜め〜〜〜ん〜〜〜ね〜〜〜」

 

「そのトロい喋り方も何とかならないのかい!!全く時は有限、人生万事最短最速!アンタのトロさは腰に来るよ!」

 

「本当対称的なコンビだねMr.4にミス・メリークリスマス」

 

「ふん!Mr.6あんたMr.5に上がるって噂なんだし、繰り上がったらウチのノロマと交代しないかい?」

 

「ちょっとぉ、うちの相方取られても困るのだけどぉ?」

 

騒がしく先頭を歩く四人…横にも広いのんびりとした巨漢の男と強い癖毛にサングラスをかけた女性、そして諸肌の筋骨隆々とした男に毛皮のコートを羽織った金髪の美女。

 

バロックワークスオフィサーエージェントのMr.4、ミス・メリークリスマス。

 

そしてフロンティア・エージェントであるが内々でオフィサー・エージェントへの昇格が確定しているMr.6とミス・マザーズデー。

 

そしてその後ろにフロンティア・エージェント候補であるビリオンズと呼ばれるバロックワークス幹部候補達が50名程付き従い一同はレインベースから真っ直ぐに南下しかつてアラバスタ西の流通のハブとなっていたユバに向かっていた。

 

確かこの長い異常気候のせいで枯れたと聞いていたがそんなとこにわざわざ行ってこいという指令には文句の一つも出そうだったが幹部が2ペアにビリオンズ50名という戦力に誰しもただ事では無いのだろうと察していた。

 

彼らが受けた命令は一つ

 

"ユバにて数日間潜伏、アラバスタ王女にしてバロックワークスの裏切り者"ミス・ウェンズデー"こと"ネフェルタリ・ビビ"とその協力者と思われる人間を確殺せよ"

 

である、そんな指令を受けたビリオンズの男は足は動かしつつ頭の中で考える。

 

場所が遠いとは言えこちらは幹部が四人にバロックワークスの中でも精鋭であるビリオンズが50人、情報では4、5人で多くても10人以下の集団だし負ける道理が無いと考えていた。

 

心配なのは裏切り者のミス・ウェンズデーはフロンティアエージェントだったという事で自分達ビリオンズより少し強いかもしれないが、こちらは幹部が四人と心強い味方がいるのだからこの指令は楽勝だなと考えながら先頭を走る四人の後に続くのだった。

 

 




引きずるようなおっきい荷物…ナンダロウナー

原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います

  • 麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
  • クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
  • 二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。