起きたらゴリラ顔だった   作:mi-ta

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ジョナサンの異名についてはカミソリジョナサンかナバロンのカマキリか最後まで迷ってました。


潜入!ナバロン要塞大食堂!

PM 23:00

 

中央エリア大食堂、その厨房にて大勢が忙しく働いている中

 

「なぁなぁ、なんか侵入者いるらしいぜ?」

 

「げ、おれ達どうなるんだよ」

 

まだ若い二人の料理人が野菜の下拵えをしながら話しており、それを耳にしたスープの前でアクをとっていた一人の女性が無言で掬っていたアクを喋っていた二人に飛ばす。

 

「あつっ!?」

 

「げっ!ジェシカさん…」

 

「グダグダ話してないで手を動かしな!!」

 

「いやでもジェシカ料理長、このナバロンに侵入者ですよ?」

 

「例え侵入者があろうと襲撃者があろうと!アタシ達の仕事は飯を作る事だよ!そこんとこしっかり考えな!!」

 

女性は話をしていた二人の元にカツカツと近づくとそう言ってのけ二人はコクコクと頷くのみ。

 

「おぅ若いのここには強い海兵さん達がゴマンといるんだ、心配しなくてもそのうち賊も捕まるだろうさ」

 

と思えば今度は恰幅のいい男が焼き場から顔を出してそう言うがジェシカの手に持ったスプーンが振り上げられかけたので慌てて自分の作業に戻る。

 

「さぁ!もうすぐ夜番の子達がお腹を空かせてやってくるよ!!アタシらの作る飯はナバロン要塞2000人の腹を満たさなきゃなんないんだ、ボヤボヤしてる暇は無いよ!!」

 

と大食堂厨房で全体に聞こえるような声で言うジェシカ、金の髪はコック帽の中に纏められ、コックスーツの首元には赤いスカーフ、切れ長の目を持つ冷徹そうな美人…彼女こそがこの厨房の総責任者にして優秀な料理人、そして要塞司令ジョナサンの妻である。

 

「ほー、ここの料理長は随分と美人だな…是非ともお近づきになりてぇもんだ」

 

「お?おめぇジェシカさんを知らないのか?」

 

「いやぁ、ここに行って手伝ってこいって言われただけだから何も知らねぇんだよ」

 

「ふーむ、まぁ外部艦隊の人間ならそんなもんか…ジェシカさんは美人だが料理には手を抜かねぇ、美味い料理をしっかり作ってればそのうち気に入られるかもな、メーカーズ副料理長…あの焼き場にいる恰幅のいい奴な、あの人もその腕を買われて副料理長になったんだよ。

 

ま、ジェシカさんには旦那がいるから甘い話を考えてるんなら諦めとけ」

 

「くぅー、あの美人を嫁にしてるなんて…そんなに幸福なのは何処のどいつだ?この要塞にいるのか?」

 

「何処のどいつって…そりゃこのナバロン要塞の司令官、ジョナサン中将だよ」

 

傍で共に作業していた男の言葉にコックスーツに身を包んだサンジは

 

「…へぇ、ここの司令か」

 

と、魚を捌く手は止めないままに少し思案するのだった。

 

時は少し戻る。

 

メリー号から脱出、闇夜に紛れて外周島の内部に潜入したサンジは想定以上の広さに途方に暮れつつも上手く隠れながら進んでいた所で備品室だろうか、コックスーツ一式があるのを見つけてから幸いと着替えると何食わぬ顔で堂々と歩く。

 

そして道中で色々な話を聞きつつこのナバロン要塞の中央にある大食堂の話を耳にして"恐らく飯時には人が多く集まるだろうから情報も集まるかもしれない"と考えそちらに向かう。

 

あまりの広さに迷子になりかけながらも上陸した外周島のイーストエリアからそのまま上に進み外周島と中央島を結ぶ連絡通路を渡ればそこはナバロン大食堂、ナバロン要塞2000人の食事を支える最前線でありサンジは中をそっと覗き、想像通り大勢の人間が働いている事を確認して何食わぬ顔で厨房に入り込むと一人で魚を捌いていた男に声をかけた。

 

「なぁ、こっち手伝えって言われたんだが何すりゃいい?」

 

「おぉ、こいらの頭落としてワタ抜きと骨剥ぎを頼む…って見ねぇ顔だな?」

 

「あぁ、船の厨房を任せられてたんだが手空きだし要塞の方の厨房でも手伝おうかってな」

 

「成る程外部艦隊のコックという事か、いやわけぇのに勉強熱心なこった…初心者って事はねぇだろうな?」

 

「へっ馬鹿言え…一流コックの包丁捌きを見せてやるよ」

 

そう言って懐から包丁巻きを取り出すと一本の包丁を取り出しサッと水で濡らすと一匹の魚を掴み取る。

 

瞬く間に、しかも丁寧に次々と卸されていく魚を見て男は

 

「へぇ…言うだけの事はあるじゃねぇか、こりゃおれもこのナバロンの料理人として負けちゃぁいられねぇな!」

 

自分も包丁を握り直し魚を捌き始めたのだった。

 

そういう経緯がありサンジはこの場におり今のところ疑われる気配は全く無く、しかも雑談がてらに入ってくる情報でこの施設の大まかな概要は掴む事が出来ていた。

 

まず今自分がいるのが中央島と呼ばれる島でありその周りをグルリともう一つ島が覆って上から見ると囲い丸の形で、外周島は大まかに東西南北のエリアに分けられ徒歩で外周島から中央島に来るには東と西の連絡通路しか手段は無く、更にこの島から出るには南北どちらかの水門から出る以外の方法は無いそうだ。

 

「全く侵入者だか何だか知らねぇがこのナバロンから逃げ出せると思ってんのかねぇ?」

 

「そんなにヤベェのかここ?」

 

「おん?あったり前だろ、まぁ要塞が堅牢ってのもあるが…要塞司令のジョナサン中将は頭が切れるからな…知ってっか?"カミソリジョナサン"ってよ」

 

「鋭いって事か?」

 

「ちげぇ、切れすぎるからこんなとこに引っ込んでるって噂だぜ?」

 

脇で魚を捌いていた男のその言葉にサンジは得も知れぬ悪寒を感じるとブルリと身を震わせ

 

「ナミさん、ロビンちゃん…相手は切れ者らしいけど大丈夫かな?」

 

「おい、手が止まってんぞ?」

 

「っと、悪い悪い」

 

そう言って再び魚を捌き始めたのだった。

 

 

 

 

 

 




サンジは無事に厨房に潜入した模様、外部の艦隊の厨房士と勘違いされています。

原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います

  • 麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
  • クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
  • 二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)

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