起きたらゴリラ顔だった   作:mi-ta

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いざ脱出、今回は後半の視点が丸ごと別の人間です


復讐誓い ドンクリークさん

とりあえず海軍側から見た現状の説明や今この国を取り囲む国の状況、国民を避難させるための準備などいろいろと話して聞かせ何とかトラファルガー夫妻の説得に成功した。

 

しかしいざ脱出するにも病人への対応や準備にも時間がかかる為半日ほど時間が欲しいとの事だったので話し合いはここまでとし準備の為にドクトル含め医療班数名を同行させ俺は一旦王宮に向かう。

 

「どうだ、何か進展はあったか?」

 

王宮の捜索に当たってた人員を捕まえ進捗を確認すれば

 

「はっ、とても重要な物が見つかりました、こちらを確認してください」

 

そういって渡されたのは何枚かの書類、ぺらりぺらりと読み進めていけば

 

「…王国地層の調査報告書か」

 

しかもきちんと当時の王族と世界政府の署名が入っているものだ。

 

「これって上に提出した方がいいんでしょうか?」

 

「…いや、俺が預かっておく、というかなんでこんな重要書類を置きっぱなしにしていってんだあの王サマは」

 

しかし読みすすめればきちんと珀鉛の特性や毒性などについてもしっかり書かれており、やはり危険性を政府も王族も知っていながら国の産業として推進していたことがわかる。

 

「とりあえず王宮の捜索は殆ど完了しましたので捜索班は馬車の準備に合流します、やはり避難民は多そうですか?」

 

「あぁ、まず子供たちは優先せねばならんだろう。

 

それから医者や病院関係者、それでも余裕がありそうであれば希望者を乗せよう。

 

どの道全員連れての脱出は不可能だ、ある程度は自力で何とかしてもらうしかないだろう…」

 

とは言え自力で何とかするのは不可能に近いだろうが…すまんな。

 

「馬車の金品はどうされますか?かなりの量がありますが…」

 

「ある程度纏めておいてくれ、バラ撒きに使うぞ」

 

「了解しました、こちらは準備ができ次第馬車を率いて街へ向かいます」

 

「よし、ではこちらは頼んだぞ、こちらクリーク、ジョナサン大佐応答してくれ」

 

『こちらジョナサン、どうかされたかクリーク少将?』

 

「どこか国がなく医療設備が整ってる島がないかピックアップしてくれ」

 

『避難民の移送ですな、確かに国があればよい顔をしないどころか排除しに来る可能性もあるでしょうからなぁ…

 

わっかりました、早急に調べます、候補としては国がなくそれなりに大きな海軍支部がある島ですな』

 

「頼んだぞジョナサン大佐、場所によってはかなり時間がかかるかもしれんが落ち着いて治療できる場所がなければ話にならんからな。」

 

そして王宮でどんどんとやる事を片付けていき最終的に数十台の馬車が苦しむ国民を乗せるべくクリークと共に街へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

「少年!君も早く馬車に乗りなさい!!」

 

シスターや学友たちが次々に馬車に乗り込んでいくのを見ていると海軍のコートの下に鈍色の胴鎧を装着した大男が話しかけてきた。

 

「あ、海兵さん!!妹が死にそうなんだ!それにまだ父様と母様もまだ来てねぇから行けねぇよ!!」

 

「大丈夫だ、妹さんも親御さんも俺達がちゃんと連れ出してやるから君は友達と一緒に行きなさい」

 

「でも…」

 

逡巡していると

 

「ロー君!急いで!!馬車をもう出すそうよ!」

 

「行こうぜロー!」

 

「そうだよ!ラミちゃんだって海兵さんが連れ出してくれるわよ!!」

 

とシスターや学友が口々に言う。

 

「ほら、シスターや友達もそう言ってることだから行きなさい」

 

そう言って大柄な海兵は俺の背を押したので

 

「わかりました…ラミを…妹と父様母様をよろしくお願いします!!」

 

と、大柄な海兵にお礼を言って馬車に向かう。

 

「子供達はこれで全部?他にはいない?…海兵さん、馬車を出してください!!」

 

シスターが御者をしてる海兵にそう声をかけると馬車がゆっくり動き出し目に映った病院が遠ざかっていく、この国で生まれて過ごしてきた色々な思い出が頭に浮かんでは消えてゆき涙が出てきた。

 

しかしやはりラミを残してきてよかったのだろうか、一緒にいてやった方が良かったのではなかろうか、そう考えるとやはり不安になって来る。

 

「シスター!みんな!!ごめん、おれやっぱラミが心配だから戻るよ!!」

 

みんなにそう声をかけて馬車から飛び降りる、体を地面に強くぶつけたがこれくらいラミの痛みに比べるとどうって事ない。

 

「ロー君!!戻って!危ないわよ!!」

 

そう声をあげながら遠ざかる馬車に心の中で謝りながらもと来た道を走る、馬車が走り出して時間が経ってしまっているが頑張って走れば戻れる筈だ、そうして元の場所に戻ってきたときにあたりは日も落ち暗くなっていたが目に入ったのは

 

"周囲を煌々と照らし炎を上げてゴウゴウと燃える病院だった"

 

なんで?どうして?そんな言葉が頭に浮かび

 

「ラミ!!父様!!母様ぁ!!!」

 

そして海兵の言葉が頭に浮かぶ

 

『大丈夫だ、妹さんも親御さんも俺達がちゃんと連れ出してやるから君は友達と一緒に行きなさい』

 

そうか…最初からおれ達を助けるつもりなんて無かったんだ、王様が逃げたってみんな言ってたんだから海軍はそれだけしか助ける気なかったんだ!!

 

「くっそぉ…かいぐぅぅぅぅぅん!!!!!」

 

今頃馬車で先に行ったみんなも道中で見た防護服を着たやつに殺されたに違いない!あいつら銃も持ってたし撃ち殺された人も見かけた!!見てろ海軍、おれは生き延びてやるみんなのかたきをとってやる!!全部ぶっ壊してやる!!!!

 

脳裏に浮かんだのは悪人面をした海兵の大男、きっとあいつが首謀者だ。

 

湧き上がる怒りを押し殺して俺は何とかこの場所から逃げるべく踵を返した。

 

 

 

 




なんとクリークの計画は感染者皆殺しだった!?な、なんて酷い事をー!(棒)




知らない方へ

現在クリークのもとについているリュードー大佐

ワンピース劇場版‘ストロングワールド‘連動特別篇のテレビアニメ‘金獅子の野望‘に出てくる海軍コートと海軍帽を纏った少女、ヨーコの父親。

カンソーン島、リトルイーストブルーに唯一駐留していた海兵で劇中では過去に海賊に殺されており故人となっている。

原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います

  • 麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
  • クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
  • 二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)

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