数日かけてシャボンディの無法地帯における大掃除を終えて、ロビン、兵達と共にコーティング作業を終えた軍艦にて魚人島へ。
船に施されたこの"コーティング"と呼ばれる作業は色々な圧力を減圧する力を持っており、船底の空気を船の中に空気を注入、浮き袋を外す事により船は浮力を失い徐々に海に潜り始める。
「よぉし!帆を開け!出航だ!!」
帆を開くように指示し船員を激励し船は海流を受けつつ深海へ。
「これがコーティング船…見事なものねぇ…」
徐々に遠ざかる明るい海面を見ながらロビンは呟く。
「あぁ、シャボンディ諸島のヤルキマンマングローブもそうだが魚達の群れも凄いな…」
シャボンで覆われた甲板にてクリーク、ロビンを含めた船員達が初めて見る幻想的な絶景に圧倒されていると
「前方に大型海獣!!」
見張りの悲鳴のような声が響きその声を聞くや直ぐさま月歩にて海中に突っ込み
「(大拳砲っ!!)」
右の拳を振るい殴り飛ばす。ふぅ、危なかった…ちょっと景色に見惚れすぎたな。
「このシャボンはデリケートだ!船の損壊、一度に多数の穴などでアウトだぞ!…因みに魚人島へ行く船の七割は到着前に沈没というデータがあるからな!全員気合い入れて作業にあたれ!!」
景色に見惚れていた自分も人の事を言えないが全員にしっかり伝えておく。
"はっ!!"一矢乱れぬ遊撃隊の精鋭達の返事に満足しつつ船は"受光層"、"白明層"を抜けそろそろ深海1000mを越えた頃にロビンがブルリと身を震わせたので
「全員コートをそろそろ羽織っとけ!こっからかなり冷え込む筈だ!!」
そう言いながらも全く寒さを感じないので手に持っていたコートをロビンに被せておく。
そして目に映るのは巨大な海中の滝。
「あれが下降流…」
ぶかぶかの黒いコートから顔を覗かせたロビンは目に映った滝を見て呟く。
下は真っ暗で何も見えないがこの時の為に態々船に搭載させたサーチライトを点灯、船はゆっくりと下に降りていきそろそろ7000mを超えた辺りだろうと推察。
後3000mほどか、まぁ目的地の魚人島は海底1万mだからな。
サーチライトで照らしていなければ辺りは真っ暗だったろう、無理言って搭載しておいて良かった…
「少将!!サーチライトのバッテリーが僅かです!充電お願いします!!」
…無理言って搭載したので電力問題があるがな!
その言葉を受けグォングォンと音を鳴らすサーチライトの後ろに回れば大型の機械にコードで繋がれた大型の自転車…らしき物。
おもむろにそのらしき物に跨って
「おっらあぁぁぁぁぁあ!!」
全力でペダルをこぐ、何を隠そうというか隠さなくてもわかるが発電機である。ハイパワーであるがとてつもなくペダルが重いのが欠点であり倉庫で埃を被ってたらしい、そんなに重いか?
数分も発電機を回せば充電はいっぱいになり船は更に下降、そうして暗い穴の底を潜っていけば急に視界が明るくなり
「あれが魚人島…」
深海10000m地点"海淵(かいえん)"
目に写るのは眩い光に照らされた、とても巨大なシャボンに包まれた海の中に浮かぶ島、目的地の魚人島へようやく到着である。
無事に魚人島に到着、入国審査を終え先ずはここの国王に挨拶くらいはしておいた方がいいだろうとその旨を兵士に伝えると兵士は何処かと連絡をとり
「申し訳ありませんが今はちょっと手が離せないらしくて…挨拶だけでしたらこの電伝虫を使ってください、国王様に繋がってますので!」
と電伝虫の受話器を渡される。
確かここの国王は結構まともだったよな?末っ子のしらうお姫(しらほし)は今の時期はもう生まれてるんだったかな、王妃の暗殺事件は確かまだ先だった筈…
等々魚人島の王族に関する事柄を道中で思い出しつつ受話器を受け取り
「海軍本部少将のクリークであります、ネプチューン陛下で宜しいですか?」
『わしがこの国の王、ネプチューンじゃもん!!今少し手が離せないもんで電話で失礼するんじゃもん!』
「いえいえ、急に来たのは此方ですのでお気になさらず、今回は我々の頼みを聞いていただきおりがとうございます」
『海賊の取り締まりであれば大歓迎なんじゃもん!
元々ここは海賊の往来が激しくわしの友人"白ひげ"の名前に守られてるとは言えまだ人魚を誘拐しようとする者らはおる、地上では若い人魚の娘は高く取引されてると聞いたんじゃもん!』
「こちらも調べ物のついでですのでお気になさらず。とりあえずこちらにいる間海賊達の取り締まりについては我々にお任せ下さい」
『うむ!頼むぞ、クリーク殿!オトヒメもよろしくと言っていたんじゃもん!』
「オトヒメ…?」
『わしの妻じゃもん!挨拶しようとしたんじゃがオトヒメは体が弱いのでな!今日は体調が悪いから大人しくしてもらってるんじゃもん!』
「あー…お大事にとお伝え下さい。
そう言えばネプチューン王、輝くチョウチンを持つとてつもなく巨大なチョウチンアンコウについて何か知りませんか?具体的には島を食える程の大きさの…」
とりあえず来た目的であるぼんぼり様の情報をダメ元で聞いてみれば
『超巨大なアンコウ…あやつかのう?
ふむ、多分お主が言っておるのと同じじゃと思うが数年に一度とてつもなく巨大なチョウチンアンコウがこの辺りを泳いで行ったり来たりしておるんじゃもん、前に通ったのは…うむ!後で兵に調べさせておくんじゃもん!!』
思わずロビンと顔を見合わせる、あまり期待してなかったが最初で情報を拾えたのは大きい。
取り敢えず続報を大人しく待つとして街の非合法な海賊共を掃除するかな
そしてネプチューン国王へ挨拶を終え兵士を一人付けられた、案内役との事で
『何処か行きたいとこがあれば彼に言うんじゃもん!
それから今は手が離せないが明日の夜には時間があるからお主らの為に晩餐会を開くんじゃもん!』
との言葉であった。
案内役というか見張りって線もあるかもしれんが好意としてとっておこう、晩餐会か楽しみだな。
そういや魚人島と言えば…
「そうだ、我々はここには初めて来たもので詳しく無いのだがなんでも海の中に森があると言う噂を聞いたんだが…」
因みに自転車型発電機、ワンピースアニメ版オリジナルの"虹の霧"編にて出てきてるのでそういうのもあるんだな、と登場させました。
そして地味に口調が難しいネプチューン王
原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います
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麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
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クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
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二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)