時間は信号弾が打ちあがる少し前に遡る。
ロシナンテことコラソンは一人でバレルズのアジトを襲撃し首尾よく悪魔の実を手に入れたところまでは良かった。が、その途中で敵に発見され銃撃を残念ながら受けてしまっておりローにオペオペの実を食べさせた後に倒れこんでしまったのだ。
そして自分は動かないから、とローに海兵にこれを渡してくれと小さな鍵付きの筒である情報文書を託ししっかりとコラソンを恩人として認め彼に感謝しているローはコラソンから託された情報文書を手にひた走る。
周囲を探すも残念ながら一人でいる海兵はおらず仕方がないので四人程の近くにいた海兵に声をかければ海兵達はきちんとローを落ち着かせてその身を心配しつつ情報文書を預かった。
そして泣きながら恩人を助けてくれと、おれの為に撃たれたんだと懇願するローにまかせろ、と海兵達は快く了承し何故か頬にタコさんウィンナーをつけた男がローを背負いローを含んだ五人はコラソンの元へ
そこから先はめぐるましく状況が変わった。
「っ…!?ヴェルゴ!」
「な!コラソン!?どうしてお前がここに!!って今声を…?」
仮初とは言え知ってる顔に遭遇してしまったコラソンは不意に喋れないと言う事にして仲間の前では発していなかった声を出してしまう。
「ヴェルゴ少尉、知り合いか?」
そんな同僚の声に先程ローから預かった情報文書の入った筒を壊し中身を改めるヴェルゴ
「ヴェルゴ少尉!それクリーク少将に先に提出しないと!俺達が見るようなものじゃないっすよ!」
そう言って止めようとした同僚を武装色により硬化した脚で蹴り飛ばし
「そうか…理解したよロシナンテ…とりあえずまずはうるさい口を封じておくか…」
突如起こった仲間の凶行に残ったカモメの水兵団の二人は直ぐ様対応して動く
「少年!危ないから隠れていなさい!!」
一人は銃を構えてヴェルゴを牽制しつつ蹴り飛ばされた仲間の方へ向かい
「ヴェルゴ少尉!どういうつもりだ!仲間への攻撃と我々には閲覧権限の無い機密封書の開封及び閲覧!いずれも口頭注意どころか下手したら軍法会議ものだぞ!」
もう一人はカモメの水兵団に支給されている折り畳みロッドを腰から引き抜き片手に持ってヴェルゴに対峙する。
無言で仕掛けてくるヴェルゴの拳撃を捌きつつ時折ロッドによる刺突を入れるものの相手が悪かった。
いくら実戦経験豊富なカモメの水兵団に在籍してるとは言え相手は海軍に入って一年足らずで覇気を身につけ全身硬化まで行うようになった天才、攻撃は鉄塊にて問題なく受ける事が出来たものの端的に言って火力が足りず相手の防御が突破出来ず攻めあぐねていた。
そしてそんな折銃を構えて牽制していた男が蹴り飛ばされた仲間の元へ、素早く容体を確認し命に別状は無いと分かるとぐったりとした男の腰から単発装填の中折れ式の短銃と信号弾を取り出し素早く装填、空に打ち上げた。
ヒュルルルという音と共に空に上がる煙を見て苛立たしげに顔を顰めたヴェルゴはより一層攻撃の苛烈さを増しとうとうロッドを叩き折り鉄塊を崩してヴェルゴは対峙していた海兵を地に沈めた。
そしてその脚でコラソンの容態を確認していた信号弾を撃った海兵を背後から急襲、慌てて対応するも自らが得意とする長銃はコラソンの容態確認にあたって横に置いていた為数合やり合ったところで先の海兵と同じく地に沈んだ。
そしてヴェルゴはコラソンを詰問し蹴り飛ばし苛立たしげに攻撃を加えていき、先の海兵が言っていたように隠れていたが恩人が攻撃されるのを見ていられなくなり止めようとしたローさえも地面に叩きつける。
そんな時だった。
「…ヴェルゴ少尉、これは一体何事だ?」
灰色の動きやすそうな上下に腰には一対のトンファー、赤い海軍マークが入ったコートを羽織ったまだ年若い少年がヴェルゴの前に現れた。
ギンの質問に対し沈黙で返すヴェルゴ、しかし武装色で硬化した両腕で構えをとった事でその返答は察する事ができた。
「動ける者は怪我したものを守りつつ下がれ、ここはおれが受け持つ」
そう言って腰のトンファーを取り出しヴェルゴを見直して見据えれば瞬間ギンの姿は掻き消え、そして金属同士の衝突音が辺りには鳴り響いた。
トンファーの刺突を武装硬化した腕で交差して受け止めるヴェルゴに対し、受け止められたと見るやギンはすぐ様逆の手に携えたトンファーをヴェルゴの首元に伸ばす。
その刺突に対し僅かに首を後ろに下げその攻撃を避けようとするヴェルゴであったがカチリという音がトンファーから響き飛び出すのは鋭く尖った針、意表を突かれた為か僅かに動きが止まるヴェルゴであったが仕込み針はヴェルゴが纏った武装色の覇気を貫く事が出来なかった為所詮その程度と言わんばかりにヴェルゴは右手でギンを下から殴りあげた。
ギンは咄嗟に体の前でトンファーを交差させるもまだ成長途上の体は大きく吹き飛ばされそれに対してヴェルゴは言い放つ
「ふっ、例えおれと同じ少尉だろうがたかだか十代なかば、恨むならその若さで出世させたクリークを恨め!!」
「おれを…おれを取り立ててくれたボスを舐めるなよ?」
ギンはそう言ってトンファーを振れば飛び出すのは分銅つきの鎖、グルグルとヴェルゴの振り上げた腕に絡まるとギンとの間にピンと鎖が張られその反動でギンの身体はヴェルゴの元へその勢いを利用してそのままヴェルゴの首をしかと殴りつける。
武装硬化してるとは言えあまりの衝撃にタタラを踏むヴェルゴ
「ぐっ、やってくれるなぁっ!!」
「目上の者にはさん付けしろと自分で言ってなかったか?ヴェルゴ少尉」
そのままギンは懐から筒のような物を取り出し筒から飛び出した紐を引いて空中に放り投げればその筒は灰色の煙を引いて空中へと躍り上がった。
目的は明白、相手は武装色の覇気を纏っており現在の力では倒し切る事は難しいと判断したギンはすぐ様クリークの言葉通りに行動、応援を呼んだのだ。
そしてクリークの副官であるギン少尉が信号弾を打ち上げればやってくる人間が誰かは明白。
そしてそれを察したヴェルゴは顔を歪ませるも流石に今からやって来るであろう人物は相手にしてられない、と選択した手は逃走。
ここで戦闘を行うよりも己のボスであるドフラミンゴに連絡をとりコラソンの真実を伝える事を優先した為だ。
そして逃走したヴェルゴをギンが追う事も無い、必要が無い深追いは禁物というのを教えられたのもあるが何より負傷者がいる為その手当てをせねばならないからだ。
そうして負傷者に向き直れば
「すいませんギン少尉、油断しました…」
「仕方ない事だ、まさか奴が裏切るとは…おい、黒いコートの男は?」
負傷者と思しき黒いコートの男が倒れていた所には血溜まりが残るのみ
「…少年もいなくなってますね」
同じく怪我をしていた少年も姿を消している。
しかし何故ここに少年が、しかもあの白斑はファウス島で接してきた珀鉛病の患者と同じ症状…?
疑問に思いつつも怪我をした部隊の仲間に応急処置を施しつつ報告の為ギンはクリークの到着を待つのであった。
がっつり戦わせようと思ったがヴェルゴの逃走により軽い手合わせで終了
原作突入後の描写について、現在原作が始まった事により麦わら一味の描写が多くなっていますがそれについてのアンケートを行います
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麦わらメイン(原作のに近く変化がわかる)
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クリークメイン(傍観者、クリーク主人公)
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二つの視点(麦わら視点とクリーク視点)