頑張って更新していくつもりなので、温かい目で見守って頂ければ幸いです。
私は工作艦の明石
別に艦載機が運用出来る空母では無いし、巨大な主砲を搭載してる戦艦でも無い
かと言って、魚雷発射管を装備してるかと言われると、それも違う
だけど、私しか持ってない武器がある
それは艤装を見てもらえば分かるが、修理用のジブクレーンに応急修理用にいくつかの機材を搭載してる
工作艦とは何か?
損傷した艦娘の艤装を、わざわざ船渠(ドック)に入れなくても、ある程度なら現地で修理が出来る、凄い艦種の事だ
私は自分にびったりの工作艦になれて良かったと思ってるし、この艦種に誇りを持っている
だけど、前線に居るって事は必ずしも朗報が入って来る訳では無い
勿論悲しい事は起きるし、それに自分が関わった事だと尚更だ
だけど、私がやる事は変わらない
損傷した艦娘の為に応急修理をして、また前線に送り出す事だ
ここはラバウル基地、まぁ基地ってのは名前だけで一応、基地航空隊の為の格納庫や滑走路は整備されてるし、基地の建物はあるものの、船渠(ドック)や工廠に関してはほとんど機能していない
理由としては資材が無いからだ
資材を輸送してくれば早い話なのだが、基地の近海は敵の潜水艦に支配されている為、鈍足の輸送船だとたどり着く前に沈められてしまうのだ
これまでも幾度となく輸送船団を手配したが、たどり着く事が出来たのはごく僅かだった
ならば高速の輸送艦ならばどうか?
勿論、試したらしいが状況が変わってない以上、結果は一緒だったのだろう
船渠(ドック)が機能しないと、損傷した艦娘の艤装を修理する事が出来ない
疲労や艦娘本人の傷は自然治癒や治療薬に任せれば良いのだが、艤装はそういう訳にはいかない
深海棲艦との戦いの最前線だから、艤装が修理出来ないのは死活問題だ
そこで、上層部が考えたのは工作艦である私を派遣して、とりあえず輸送路が安定するまで船渠(ドック)の代わりを務めてもらう事だったらしい
正直言って、その場しのぎだ
いくら工作艦とは言えど、船渠(ドック)みたいに修理するのは不可能だ
それに、工作艦が出来るのは応急修理であって、根本的に修理する訳では無い
勿論多少は変わるだろうが、やはりその場しのぎでしか無い
…というのを三週間ほど前に横須賀鎮守府で聞かされて、私は護衛に数人の駆逐艦娘を連れてラバウル基地に向かう事になった
そして、つい五日前に到着したのだが、環境は最悪だし何より修理待ちの艤装が多過ぎる
どれだけ優秀な機材を積んでいても、それを使える艦娘は私一人しかいない
だからどうしても時間が掛かるのだ
するとラバウル基地の司令官は、私が護衛に連れて来た駆逐艦娘を戦線に投入してしまった
どうやら艤装の損傷が軽微の艦娘が少なくなった為らしい
だが結果は案の定、私の仕事を増やす事になっただけだった
「あーもう!なんで艤装を雑に扱うのよ!」
私は機能していない船渠(ドック)で一人寂しく嘆いていた
艤装を雑に扱う艦娘も艦娘だが、私を雑に扱うここの司令官はもっと酷い
「もっと人手があれば楽なんだけどなぁ…」
実際、護衛に連れて来た駆逐艦娘達は護衛以外にも、私の修理の補佐を務めるように通達されてたようだが、今のところ仕事を増やす事しかしていない
ジブクレーンで吊り上げた艤装を弄るし、工具をいろんなところに乱雑に置いて行く
「あなただけね。まともに手伝ってくれるのは」
「良いんですよ。しれぇがかまってくれないので、お手伝いしかする事が無いですから」
そう言いながら手伝いでもなんでも無い折り紙を折ってるのは、陽炎型駆逐艦の雪風だ
彼女は幸運艦と言われていて、数多の作戦に駆り出されたがほぼ無傷で帰って来たという
それも、逃げ回っていた訳では無く、しっかりと敵艦隊と交戦してくるので、やはり幸運としか思えない
この前もここの司令官が戦線に雪風を投入したが、全くの無傷で帰って来たらしい
それに比べて、私はとんだ不幸ね…
もしかして雪風に運を吸われてるのかな?
時々そんな事を考えてしまう
比較的損傷が軽微な艤装は、軍需部装備保管庫に置かれる事になっている
そして、ここラバウル基地の船渠(ドック)と工廠はスペース上の関係で一つの建物にまとめられている
だからスペースは狭いわ、手伝ってくれる人は居ないわで大変なの…
第一、資材足りないし
こんな中でどうやって艤装修理しろって言うのよ…
まだ来てから一週間も経ってないが、早くも心が折れそうだ
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