原作の死柄木たちのような存在とは根本的に異なる絶対悪なんですが、その忠臣ぶりは美しいものでした
「うおおおおおおお──ッ!!」
雄叫びをあげ、標的に殴りかかるパトレン1号。彼は自身の個性を発動させることで要の矛となり、また盾であろうとしていた。
「ヌゥン!」
「ッ!」
しかし、標的──デストラ・マッジョは巌のごとく硬化した彼の拳にびくともせず、すかさず反撃を仕掛けてくる。その一撃の重さは、限界クラスの硬化をもってしても内臓にまで響くもので。
「……ッ、」
「──切島くん下がれッ!」
呻く1号を下がらせ、すかさずデストラに飛びかかる2号と3号。頑健な肉体をもつ前者が目の前に立ちふさがってデストラの意識を引きつけ、その隙に後者がスライディングで足下に飛び込み至近距離から銃撃を仕掛ける。これは一応効果を発揮して、デストラのボディーに直撃をとることに成功した。
「小癪な真似を……!」
尤もデストラにとってその程度、豆鉄砲ほどのものにすぎないのだったが。
明らかな力の差を埋める術もなく、それでも必死に喰らいつくパトレンジャー。──その姿を、ルパンレンジャーの面々は密かに見守っていた。"そのとき"が来る瞬間を、ひたすらに待って。
そして、
「ヌゥアァァッ!!」
「がぁ──ッ!!?」
1号──鋭児郎の硬化を打ち破るべく、デストラがハンマーの大振りな一撃を放つ。果たしてその意図は成就し、相手は搾り出すような呻き声とともに吹き飛ばされる。
「──今だ……!」
そして、快盗たちは一斉に飛び出した。相手が黄金金庫の持ち主であるゆえに、両手をダイヤルファイターに捧げて。
(絶ッ対、獲る──!)
しかし、
「フン!」
左の金庫が鈍く光り……デストラの巨体を、重力のドームが覆い尽くす。
「──ッ!?」
その顛末として、快盗も警察も指一本たりとも触れることができず吹っ飛ばされた。そのまま地面に叩きつけられる。その中心に、デストラは王者のごとく立っていた。
「警察を囮にするとは考えたものだが……気配の消し方が甘かったな、快盗」
「……ッ、」
気づかれていたのか、自分たちの存在に。──いずれにせよ、作戦失敗だ。同じ手はもう、使えない。
「貴様らはもはや、此処で死ぬだけだ……!」
「ッ、ざけんじゃねえ……!」立ち上がる1号。「こんなとこで、倒れて堪るかぁッ!!」
そして、レッドも。
「決めてンだよ……!死んでも、願いはかなえる!」
言うが早いか、快盗たちは手持ちのダイヤルファイターを武器として顕現させた。レッドがシザー&ブレードで接近戦を挑み、ブルーとイエローがそれぞれマジックアローとサイクロンで銃撃を仕掛ける。当然、パトレンジャーも彼らに追随した。六人がかり、死に物狂いの猛攻。
しかしそれらは、街を壊滅させたデストラのハンマーブレイクによって文字通り打ち破られた。
「がは……ッ!」
無数の火柱によって吹き飛ばされ、青年たちの変身は解除された。転がるダイヤルファイター。それらまでもが、デストラの手中に収められてしまう。
「くくくく……ッ、フハハハハ……!」
「……ッ、」
傷つき倒れながら──それでも戦士たちの瞳は、絶望に染まってはいなかった。とりわけ、ふたりの赤き戦士たちは。
(
(
(考えろ、あいつならどうする……!?)
(あいつならどう動く……!?)
「「あいつなら──!」」
そのとき──デストラの持つダイヤルファイターが、ふたりの目に入った。
「──おい、一つ目野郎……!」
そして勝己は、立ち上がる。効き目のない光弾をそうとわかっていながら撃ち込み、彼の注目を一身に受けて。
「まだ、終わってねえぞ……!」
鼻を鳴らすデストラ。──再びの変身を遂げた勝己は、ルパンマグナムを手に駆け出した。その弾丸をデストラ相手に叩き込む、と見せかけ。
「おらァッ!!」
「!?」
身を翻して背を向ける。と同時にルパンマグナムの引き金を引き、その勢いで後方に大きく吹っ飛ばされた。
背を向けた状態で迫るレッドは想定外のものだった。やむなくデストラはビクトリーストライカーの力を使い、レッドの進路を予知──さらにその接触を防ぐべく、重力のバリアを眼前に張った。
「ぐううううう……!!」
「……ッ、」
重力にその身を締め上げられるレッド。苦痛に呻きながら、彼は前方……つまりデストラとは反対方向に銃撃を続ける。弾丸はあらぬ方向へ飛んでいく。しかしその反動は、ルパンレッドの体重を一時的なりとも重力に打ち勝たせる。──バリアに、亀裂が走っていく。
そして、
「がァああああああッ!!!」
獣じみた雄叫びとともに、バリアが砕け散る。自由の身になったレッドはその解放感に浸ることもなく身を翻す。身体を捻りながら、VSチェンジャーとルパンマグナムを合体させる器用さを見せつけつつ。
『ルパンフィーバー!!』
必殺の銃撃。しかしそれも、デストラの予知の範疇にあった。
「貴様の狙いが金庫でないことはわかっている!」
一度破られた──だからどうしたとばかりに、デストラが再びバリアを創り出す。重力波の面前で、膨大なエネルギーがマグナムに装填されていく。
「よせレッドっ、そのエネルギーを弾かれたら……!」
当然、自身もただでは済まない。それがわからないレッドではないだろうに、彼は今にも最後のトリガーを引こうとしている。
「ウオオオオオオ──ッ!!」
「だめぇえええええっ!!」
レッドの雄叫びとイエローの悲鳴じみた声が重なる──刹那、
「──デストラぁあああッ!!」
走り出したのは鋭児郎……否、いつの間にか警察チェンジを遂げていたパトレン1号だった。バリアは一方向にしか張れない。ゆえにがら空きになったデストラの右手に、弾丸を撃ち込む。
「ッ!?」
予想だにしない攻撃に、デストラはたまらずダイヤルファイターを取り落とした。地面を転がるようにして素早くそれらを回収し、
──背後から回り込み、サイクロンとマジック、ふたつのダイヤルファイターを左の金庫に押しつける。
『3・2・1・2・2──2!』
「!?」
解錠──そして、回収。すかさずデストラから離れたパトレン1号の手には、サイレンストライカーがあった。重力のバリアが、消え失せる。
同時に、
『イタダキ、ド・ド・ド──ストライク!!』
いよいよ、必殺の弾丸が放たれた。
「グアァ──ッ!?」
遂に自らが吹っ飛ばされる番となった。そのまま地面を転がったデストラ。一方で、金庫に接続されたままだった両ダイヤルファイターは宙に投げ出されて。
それを掴みとったのは、黄金の影だった。
「──死柄木くん!?」
天哉の言葉通り──それはパトレンエックス、死柄木弔だった。彼は仰向けに倒れたデストラの傍らに着地すると、そのまま右肩の金庫にダイヤルファイターを押しつける。
『7・1・2・6・1──5!』
「俺も……俺の信念を貫くッ!!」
黄金の金庫を開き、手を突っ込む。すかさずデストラが抵抗の拳を打ち込んでくるが、エックスは受け身をとって後方へ飛び退いた。
「返して、もらったぜ……」
その手には間違いなく、ビクトリーストライカーが握られていて。
「……遅くなって悪いね、ご両人」
「チッ……どうせ出てきて良いとこ掻っ攫ってくと思っとったわ、クソが」
罵詈雑言はもう、爆豪勝己という少年の口癖でしかなかった。その声色が心なしか弾むのを弔も、隣に立つ鋭児郎も感じる。
その鋭児郎が、ふらつく彼を咄嗟に支えた。
「ッ、」
「おめェ……無茶しやがって!俺が突っ込まなきゃ、今頃……」
最悪の想像が脳裏をよぎる。それがもはや過去の可能性でしかないとわかっていても、鋭児郎は身震いがする思いだった。
「は……そんときゃそんときだわ」鼻を鳴らしつつ、「でも、あんたなら意地でも金庫を開けると思った。──だろ?」
「……ずりィな、おめェ。なのに漢らしいって、ワケわかんねえ」
「知るかよ。俺ぁ俺の信じたようにやるだけだわ」
そういうところが漢らしいと、鋭児郎は思うのだ。快盗という誰にも誇れない存在に身を窶しておきながら、自分自身を卑下しながら……それでも彼は誇りを忘れずにいる。――ジュレの少年と、そういうところが重なるのだ。
と、鋭児郎の傍に快盗が、勝己の側に警察の面々が歩み寄ってくる。
「快盗が囮になって、警察が奪る……か」
「まさか、役割が逆転するとはね」
それで成功を為したのだ。──永遠に交わらない、相容れない部分がある。しかし同時に、重なりあうものだってあるのだ。
いつしかのそんな天哉の言葉が、改めて思い起こされる。
「──貴様らぁ……よくも!」
「!」
憤然と立ち上がるデストラ。彼はその勢いのままに、人間たちめがけてありったけのミサイルを発射した。その姿が爆炎に呑み込まれ、一片たりとも目に入らなくなる。
ばらばらに砕け散った……否、
燃ゆる炎のむこうに、三つの人影が立っていた。──三つ?
「──パトレン、U号!!」
「……ルパン、トリコロール!」
赤、緑、桃。
赤、青、黄。
その身を三色に彩られた戦士たちが、並び立つ。──VSチェンジャーに装填されたグッドストライカー、ジャックポットストライカーにより、警察と快盗とがそれぞれひとつとなった姿。
そして弔は──ルパンエックスとなり、その身に黄金の鎧を纏っていた。その名も、
「スーパー、ルパンエックス!」
サイレンストライカーの、もうひとつの力。
「ヌゥ……!?」
文字通り揃い踏みした必殺形態に、ついにたじろぐデストラ。──そう、既に趨勢は決している。
「終わりだ……!」
「──デストラぁ!!」
「「イチゲキ、ストライクっ!!」」
「スーパースペリオル──ストライクっ!!」
黄金の必殺砲を中心に、二丁のVSチェンジャーから放たれた弾丸が螺旋を描くようにして突き進む。自らの堅牢な肉体そのものを盾に防ぎきろうとするデストラだったが、
「グッ……オオオオオ──ッ!!」
初めて、彼の執念を砲の威力が上回った。ひときわ大きな爆発が起き、デストラの巨体を完全に呑み込んでしまう。
やったか!──誰もがそう思った。しかし、
「まだ……だァ!!」
「な……!?」
それでもなお、デストラは立っていた。以前とは違う明らかな満身創痍の状態であっても、自ら死を抑え込んでいるかのように。
「私は……ッ、ドグラニオ様を絶望させるわけにはいかんのだァ!!──ゴーシュ!!」
召喚された不仲の同僚は、間髪入れずに姿を現した。
「私の可愛いお宝さん、──デストラを元気にしてあげて」
これまでの、死したギャングラーたちと同じように。ルパンコレクションのエネルギーを注ぎ込まれ、デストラはビルを突き抜けるほどにまで巨大化していく。
「私がどうなろうともッ、貴様らだけは潰す!」
「ッ、」
ここまで追い詰めたのだ、潰されて堪るものか。幸い、こちらにはグッドストライカーとジャックポットストライカーがある。
「一緒に行こうぜ、快盗!」
「……足引っ張んなよ!」
『ジャックとコンビなんてチョ〜久しぶりぃ!』
『………』
──そして、
「「「完成、パトカイザー!」」」
「「「──ルパンレックス!」」」
「エックスエンペラースラッシュ!」
並び立つ、三体の巨人。これまでには決してありえなかった、勇者たちの勢揃いだ。
「小癪な……!」
その勇姿に怯むことなく、デストラはハンマーを振りかざして向かってくる。こちらも、小手先の攻撃などは通用しない。全力で迎え撃った。
「エックスエンペラー……スラッシュストライクっ!!」
まずはエックスエンペラーの刃が一閃。
「グオッ!?」
呻き声とともに足を止めるデストラ。その隙を逃さず、
「「「パトカイザー、弾丸ストライクっ!!」」」
トリガーキャノンが必殺の弾丸を放ち、デストラの体皮を灼いていく。苦痛のいろが色濃さを増す。
「──今だ!」
そして、ルパンレックスが翔ぶ。翼を広げて雲を突き抜け、太陽の光に照らされて急降下──
「「「──レックス、インパクト!!」」」
黄金の剣が一閃──同時に激しい爆発が、辺り一面を覆い尽くした。
「っし……!」
「やったぁ!」
隙のない連携プレーが、デストラに反撃すらも許さなかった。勝利を確信した少年たち──ほんの一瞬だが、張り詰めていた気がフッと抜けてしまったのは確かだった。
「──ヌゥオォォォォッ!!」
それも、デストラが爆炎から飛び出してくるまでのことだったが。
「!?」
咄嗟に受け身の姿勢をとるルパンレックス。しかしダメージは免れない──!
そう思った矢先、彼らを押しのけるようにしてパトカイザーが割り込んできた。
「ぐぁ──ッ!?」
「な……警察!?」
ハンマーの直撃は、パトカイザーの急所を突いていた。そのまま吹き飛ばされ、地に伏せる鋼の皇帝。
『おい!大丈夫か、パトレンジャー!?』
「ッ、俺らは……」
「だけど、グッドストライカーが……!」
グッドストライカーは完全に目を回してしまっていた。これではパトカイザーはもう、動けない。
「次は貴様らの番だ……!」
「チッ……!」
堪らず舌打ちするレッド。──元はといえば、自分たちの油断が原因だ。パトレンジャーを責めることはできない。
『まだ手はある』
「!」
そう声をあげると同時に、エックスは機体をガンナーに"
『超越エックスガッタイム、だ』
「!、でもグッディが……──あっ、そっか!」
グッドストライカーにできて──ジャックポットストライカーにできないことはない。逆もまた然り、であるが。
「……このまま長引けばジリ貧、やるしかないか」
「チッ……!おい警察、聞いてたな!?」
『お……おうよ!』
今度こそデストラに引導を渡す、そのために。
──超越、エックスガッタイム!
七人の声が重なり、ジャックポットストライカーを中心に計11機のVSビークルが五体を構成していく。それらはデストラをも超える弩級のボディとなり、摩天楼のごとく街の中心に聳え立つ──
名付けて──"グットクルレックスV・S・X"。
「ヌゥ……!コレクションの塊なぞ!」
たじろぎつつも、再び攻勢をかけるデストラ。"コレクションの塊"──言い得て妙だが、単に固まっただけではない。すべてのビークルが互いに干渉しあい、さらに巨大なエネルギーを発出している。
それを証明するかのように、グットクルレックスは敵のハンマーをあっさりと受け止めてみせた。
「何……!?」
「ンなモン──」
「──効かねえっての!」
ハンマーを振り払い、態勢を崩した相手を上半身のビークルすべてでがっちりと抱え込むレックス。そのまま翼を広げ、重力をものともせず上昇を開始する。
「おのれッ、放せ!放せと言っている!」
全力でもがき、レックスのボディーに拳を叩き込むデストラ。しかしそんなもの、コックピットに振動を与える程度の効果しかもたらさない。そして頭脳である七人はもう、この先の最終決着しか見据えてはいなかった。
やがて雲を突き抜けた瞬間、ルパンレッドがニヤリと笑った。
「仰せのまま、にっ!」
果たしてグットクルレックスはデストラから手を放した。しかしそれは空中で一回転、その勢いのままにさらに上空へ投げ飛ばすという形で、である。
「グオオオオオオッ!!?」
並外れた馬力により、デストラはどこまでも飛んでいく。やがてその身は大気圏、成層圏をも突き抜け、完全なる無重力のもとに至ってようやく静止した。
「お、おのれ……!」
もがくデストラだが、無重力下ではその豪腕をもってしてもどうにもならない。
その間に、大気圏内のグットクルレックスは自らの前面にルパンマグナムを召喚していた。
「これが最後だ……一つ目野郎!!」
複数のコックピット内──七人全員が立ち上がり、チェンジャーを構える。彼らの意志が、想いが、輝くエネルギーとなってルパンマグナムに注ぎ込まれていく。
そして、
──グットクルレックス・ビークルバーストマグナム!!
一瞬、レックスの周囲にすべてのVSビークルが顕現し、ルパンマグナムに吸い込まれる。それを契機に──虹色の光線が、遥か上空めがけて放たれた。
「……!」
迫りくるそれを視認したデストラはボディを展開し、内蔵されたすべての火器を放った。それは彼の意地、せめてもの抵抗。グットクルレックスの放つ至高の一撃を前にしては、彼といえどもあまりに無力で。
反攻を一瞬で打ち消した光線が目前に迫ったとき──デストラの脳裏に浮かんだのは、敬愛する主の顔だった。
(ドグラニオ……様)
──宇宙に、紅蓮の華が散った。
「やった……!」
「デストラを、倒した……!」
一瞬、実感が湧かなかった。しかし言語として明瞭化すればそれは、歓喜へと変わる。
やがて、鬨の声に満ちるレックスの体内。その中にあって……ルパンレッドとパトレン1号は、静かに視線をかわしあうのであった。
*
信頼する右腕が、世を去った。
ドグラニオ・ヤーブンは感情を露にすることなく、その事実を受け入れていた。
「ボス……」
歩み寄ろうとするもうひとりの側近に対し、彼は「下がれ」とひと言。マッドサイエンティストの彼女もこのときばかりは主の心中を慮り、何も言わずに退出した。
独りになった部屋で、ドグラニオは静かにワインを注ぐ。自分のグラス……そして、誰も手をつけることのなくなった、もうひとつのグラスに。
「……デストラ、おまえは良い右腕だったよ」
グラス同士の合わさる音が、撥のように鳴り響いた。
*
"彼ら"が勢揃いでジュレを訪れたのは、本来の閉店時間を過ぎた夜更けのことだった。
「あ、いらっしゃいませ!」
「──申し訳ない、遅くなって。ほんとうに大丈夫だったか?」
「問題ない。きょうは大晦日の特別営業、だからな」
店長である轟炎司の言葉に、塚内直正が「ありがとう」と帽子をとって一礼する。彼に続いて、部下たちも続々入店してくる──なんとジム・カーターの姿も同行している──。
「よっす、バクゴー!今年も一年間、お疲れさん!」
「……おー。あんたら、きょうはご活躍だったんだろ」
「うむ!」
「ま、仕事しただけだよ。骨は折れたけどね」
「──確かに、快盗の手ぇ借りなきゃならないくらいだったもんなァ」
「!」
思いもよらない声に驚く鋭児郎たち。と、ちょうど死角になっていた店員たちの背後──カウンター席から、もう何日も素顔を見ていなかった同僚が顔を覗かせた。
「死柄木……!」
「あんたも来てたんだ……」
「というかきみ、それは一般市民の前で話していいことでは──」
「この人らには今さらだろ、はははっ」
確かに、それはそうだが。
「……ちょうど良かった。死柄木捜査官、きみもこちらで一緒に食べないか?」
「!、いや、俺は……」
遠慮しようとする弔だったが、すかさず鋭児郎がその手を引っ張った。腕力の差は歴然で、弔は半ば無理矢理パーティーテーブルに引き立てられる。"もう一方の仲間たち"に救いを求める視線を送るも、それは黙殺されてしまった。
「ほら、座れって!」
「……ったく、ほんと強引な生き物だよなァ。きみらヒーローは」
「生き物は余計!……あのさ、死柄木」
「そろそろ……戻ってこいよ。俺たちこれからも、おめェと一緒に戦いたいよ」
「!、切島くん……」
鋭児郎だけではない。天哉も響香も、塚内管理官もジム・カーターだって、弔に親愛の目を向けている。そこに嘘などあろうはずがないのは、日本に帰ってきてからの数ヶ月が物語っていることだった。
そんな姿を横目で見つつ、勝己がぽつり。
「……ゆく年くる年までは、もたねェな」
「爆豪くん、なんか言った?」
「別に。おら、ドリンク運べ」
「は〜い!」と元気に声をあげ、お茶子は人数分のドリンクを乗せたトレイを運んでいく。それを見送りつつ、
「サービスか、あれは?」
「まァな。きょうくらい、良いだろ」
「………」
炎司は何も言わなかった。──この一年はずっと、快盗として過ごしたもの。彼らの存在はその四分の三を占めている。最初は敵だった……いや、今でも敵だ。事実は永遠に変わらない。
それでも──人の心は、絶えず遷ろっていく。
「……来年こそは、取り戻さなければな」
「あ?たりめーだわ、連中もいつかブッ殺す」
「そうだな」
無邪気にはしゃぐパトレンジャーを見つめながらつぶやく勝己。その口許が柔らかく歪むのに気づかないふりをして、炎司は頷いたのだった。
à suivre……
「弟が、帰ってこないの」
「力になるぜ、ダチだもんな!」
次回「還らぬ真実」
「てめェらだけは、絶対許さねえ……!!」