【完結】Adieu au Héroes   作:たあたん

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キラメイレッドから溢れる折寺デクみ
デクとかっちゃんを同じ戦隊に放り込んでみたいところであります
名乗りポーズをデクと一緒に決めるかっちゃん、必殺バズーカを一緒に撃つかっちゃん、ロボを一緒に操縦するかっちゃん……3話くらいで憤死しそう


リュウソウ×十傑で普通に仲良し幼なじみとして描くのもいいかもしれませんね、トワとバンバポジションで。「まったく素直じゃないんだから、かっちゃんは」とか勝手知ったる風に言うデク、夢が広がりんぐ~(死語)


#16 血風 2/3

 

 やむをえず前線基地に戻った鋭児郎たちは、事の経緯を塚内管理官に報告した。

 

「ふむ……確かにルパンコレクションのようだな。早速、フランス本部に送るよう手配しておこう」

「よろしくお願いします。それと、地鳴りの件なんですが……」

 

 八神山──おそらくはギャングラーの占拠している廃寺の地下に何か、巨大なオブジェクトが埋まっている。それが具体的にどんなものかまではわからないが、少なくとも自然発生したものでない可能性が濃厚であると響香は告げた。

 

「……なるほど」

「──管理官、そうなると作戦の修正が必要なのではないでしょうか?奴らのトラップという可能性も十分に考えられます。もしもそうであるならば……同行するヒーローの皆さん方を、危険に晒すことにもなりかねないかと」

 

 天哉の述べた懸念は、パトレンジャー全員の総意でもあった。塚内もまた、彼らの意を汲んで首肯する。

 

「ああ。それがなんなのか掴まない限りは、いかに大人数でも……いや大人数だからこそ、迂闊には攻め込めない」

「でも、このままってワケにもいかないっスもんね……」

 

 どうしたものかと悩む警察戦隊の面々。その様子を傍で見守っていた三奈が、ぽつりとつぶやいた。

 

「直接見に行ければ早いのにねー」

「まあ、そりゃあ……」

 

 それが出来るならそうしている──鋭児郎がそう思ったのもつかの間、入手したVSビークルが目に入った。

 それで、思いついた……思いついてしまったのだ。

 

「そうか……それだ!」

「え?」

「どうしたんだ、切島くん?」

 

「これを使えば、地中に潜れるんじゃねえか!?」

「!」

 

 皆がはっとする。このVSビークル、他のトリガーマシンより小型だがドリルを装備している。これで地中を掘り進めば、埋もれている"何か"を確認することも容易いことではないか。

 確かに手っ取り早い方法だが、それはあらゆる懸念を考慮しない場合の話だ。当然、そのまま呑むわけにはいかない。

 

「それを使うのは調べてからにするべきだ。地中では、万一何かあっても救援に行けない。管理官として、きみたちの誰かにそんなリスキーな真似はさせられないよ」

「でも、詳しい調査は本部じゃないとできないんスよね?」

「……ああ」

 

 これから手続きをして、はるばる空路で本部へ送って、調査をして──戻ってくるまでに、果たして何日、何週間がかかるのか。その間、巣食うギャングラーも野放しのままで。

 

「この町の人たちは、もう何日もギャングラーに怯えて生活してます。一刻も早く奴らを排除して、皆さんが安心して暮らせる日常を取り戻さなきゃならないと思うんです」

 

 そのためなら、多少のリスクは覚悟しなければならないのではないか──ヒーローの血を感じさせる言葉だった。

 ただ、根幹をなす思想は同じであれ、警察官は巨大組織の一員だ。ヒーローのやり方をそっくりそのまま受容するわけにはいかないときもある。鋭児郎も、その点については理解している。

 

 ただ、それでも──

 

「お願いします管理官、俺に……俺にやらせてください!」

 

 深々と頭を下げる鋭児郎は既に走り出していて、もはや誰にも止めることはできなかった。

 

 

 *

 

 

 

 トゲーノ・エイブスは、拠点としている廃寺の堂内にて真白い毛むくじゃらの怪人と落ち合っていた。

 

「よォ、どうだい首尾は?」

「問題ない、おまえの指示通りだ」

 

「モフフフッ」と特徴的な含み笑いをこぼすその怪人こそ、ギャングラーに名の知られたクラッシュ・ブラザーズが片割れ、オドード・マキシモフだった。

 

「いよいよか……。いよいよ仇が討てるぜ!」

 

 仇──彼の脳裏に、数ヶ月前の惨事がよぎる。

 

 

 その日、彼と彼の兄であるアニダラ・マキシモフは、ある"お宝"を手に入れてこの八神山中に人知れず侵入していたのだ。

 

「モホホホッ!コイツらがありゃあ、これまで以上になんでも壊せるぜぇ!!」

「モフフフッ!後継者はオレたちクラッシュ・ブラザーズに決まりだなァ!!」

 

 確信を共有し、笑いあう兄弟ギャングラー。しかし彼らの夢はあまりに儚く脆いものだった。

 

「モフッ?」

 

 にわかに、頭上に差した影。それがなんなのか確認するより早く、目の前にいたアニダラが巨大な足によってぐしゃりと踏み潰された。

 

「あ……ああ……」

 

「兄貴ィイイイイイ~っ!!」

 

 その絶叫に応える者は、誰もいなかった。

 

 

──あとで調べてわかったことだが、兄を踏み潰したのはルパンレンジャーの操る巨大ロボット・ルパンカイザーだった。ギタール・クロウズとの戦闘の最中に起こった出来事だが、当然快盗たちにギタールとは別のギャングラーを殺害してしまったという意識はない。いわば偶発的な事故だ。

 

 しかし、オドードは憎悪を募らせた。復讐に燃えた。そして実行の機会を窺っていたところに、トゲーノが接触してきたのである。

 

「そろそろ連中も攻め込んでくる頃合いだ。さあて、どれだけ首を獲れるかな……」

「モフッ、オレは快盗どもをブッ殺せりゃあそれでいいけどな!」

 

 そうして、人間社会に巨大な爪痕を残す──それもまた、彼らの目的のひとつだった。

 

 

 *

 

 

 

 そして、迎えた決戦の朝。

 まだ山中が朝霧に覆われている中で、パトレン1号に変身した切島鋭児郎は宵より深い暗闇に覆われた地中へと独り突入を敢行しようとしていた。

 

「……っし」

 

 入手したVSビークル──トリガーマシンドリルを握る手に、力を込める。

 鋭児郎の熱意に圧され、塚内はドリルの使用を了承した。無論、万が一異変の兆候がみられたら即座に引き返すとの条件付きでだが。

 鋭児郎としては、これだけはどうしても譲れないことだったのだ。共闘してくれるヒーロ──―三奈たちに、ギャングラーとの対決以上のリスクをひとかけらでも背負わせるわけにはいかない。代わりに自身がリスクを背負うのは、パトレンジャーの一員だから。

 

──本当は、そのようなまっすぐな理由ではない。他人に恃んで安穏としている切島鋭児郎の存在を、認めたくないだけだ。それは仲間たちも与り知らぬ、鋭児郎の秘めたる思いだった。

 

「いくぜ鋭児郎……おめェは"漢"だ!」

 

『ドリル!位置について、用意──』ドリルをVSチェンジャーに装填し、『出、動ーン!』

 

『一・点・突・破!』──発射された車体が、他のVSビークルと同様に人を収容可能なサイズにまで巨大化する。同時に開くコックピット。パトレン1号の真紅の勇姿が、その内部に滑り込んだ。

 ドリルの先端が地面に突き刺さり、高速回転しながら地中へと掘り進んでいく。廃寺方面へ角度を調節しながら、彼は上司のもとへ通信を入れた。

 

『──管理官、地中に入りました!これから寺の地下に向かいますッ!』

「了解した。くれぐれも、約束は守れよ」

『わーってますって!』

 

 いつも通り威勢のいい応答だが、どうにも燻る不安を解消できない塚内だった。この町に来てからというもの、鋭児郎はどこか逸っているような印象を受ける。その原因を突き止めることができない以上、ただの所感でしかないのだが。

 

 そして、鋭児郎の心情を推し量ってばかりもいられなかった。今回は常の少数精鋭とは異なる、大勢に対する指揮命令をこなさなければならない。そちらに注力しなければ。

 

「よし……ではこれより、作戦を開始する。皆、よろしく頼む!」

 

 了解、と引き締まった声が返ってきて、部下ふたりを筆頭に皆が順々に出動していく。

 その中には当然、芦戸三奈の姿もあった。──鋭児郎が逸っていることには彼女も気づいていたし、もっと言えばその理由にも心当たりがあった。彼女は唯一、鋭児郎のヒーローになる以前を知る人間なのだから。

 

 

 *

 

 

 

 廃寺の境内には既に百体近いポーダマンがひしめきあっていた。トゲーノとオドードが協力してかき集めた現有の最大戦力。彼らは本気でパトレンジャー、そしてこの町の英雄たちを殲滅するつもりでいた。

 

「モフ~……モフゥ……モフフフ……兄貴、もうたべられないモフ……」

 

──その割に、涎を垂らしながら爆睡しているオドード・マキシモフであったが。

 

「モフゥ……モッフッフ……モフッ!?」

 

 彼は強制的に覚醒を促された。斥候を任せていたポーダマンによって。

 

「なんじゃコラぁ……あっ、」

 

 いかんいかんと自分を戒めたオドードは、起こしてきたポーダマンに対して紳士顔で「どうしたのかね?」と訊いた。

 

「モフモフ……モフッ、そうかそうか!来たかぁ!」

 

 待ち詫びたこのとき。オドードは嬉々として外に出た。既に陣形を整えている軍勢に対し、「お前らぁ!」と声をかける。

 

「人間どもがいよいよ攻めてくる、返り討ちにしてやるぞ~!モッフッフー!」

 

 鬨の声をあげつつ、ちらりと背後を見遣るオドード。鬱蒼とした森の中に一瞬光ったものの正体を、この男は知っていた。何日も待ち続けていた邀撃戦、策は練ってあるに決まっている。

 彼らにだって、そんなことはわかっている。それでも彼らは、危険を承知で戦地へ赴くのだ。

 

「──うおおおおおッ、我が物顔でここにいられるのも今日が最後だギャングラァァァァ!!!」

「ちょっ……もう少し落ち着けって飯田!」

 

 先陣を切ったのはやはりパトレンジャーのふたりだった。VSチェンジャーを手に銃撃を繰り返しながら敵中へ飛び込んでいく。その点ではいつもと変わらぬ流れだが、ふたりで相手をするにはポーダマンの数が尋常でない。

 だから、彼女たちに協力を依頼しているのだ。

 

「あたしたちも行くよ~ッ!!」

 

 少しラグがあってから、プロヒーローの面々も突撃する。空から、あるいは遠距離から攻撃を仕掛ける者もいる。

 芦戸三奈──否、pinkyもまた、勇敢に戦う者のひとりだ。

 

「アシッド、ショット!!」

 

 パトレンジャーとは異なり、自らの個性でつくり出した弾丸を掌から放つ。無論それは一般的な鉛弾でも、VSチェンジャーのような光弾でもない。──酸だ。

 彼女の個性はそのまま、"酸"。身体中からあらゆる濃度の溶解液を放つことができる。それはギャングラー相手にも十分な武器となった。

 

「おふたりさん、雑魚戦闘員はあたしたちに任せて~!!」

 

 ポーダマンを卒倒させつつ、叫ぶ三奈。ヒーローたちが戦闘員を抑えている間に、パトレンジャーが大将のギャングラーを討つ──そういう手筈だ。鋭児郎が不在という誤算はあるが、それでも彼らなら大丈夫と三奈は信じていた。鋭児郎が信頼している彼らなら。

 

 

「うわっ……なんか凄いことになっとる」

 

 麗日お茶子は思わずそうこぼしていた。双眼鏡のスコープの向こう、これまでに見たことのないような激しい戦模様を目の当たりにしての感想である。一方、彼女のお仲間の爆豪勝己はというと、

 

「けっ、関ヶ原ごっこかよ」

 

 こんな調子である。

 

「えー、関ヶ原とは限らないんちゃう?色々あるじゃん、桶狭間とか~本能寺の変とか!」

「本能寺は全然違げーだろ」

「だってホラ、お寺じゃん!」

「……歴史談義は帰ってからにしろ」

 

 ぴしゃりとふたりを黙らせると、炎司は自らも双眼鏡を覗き込んだ。ギャングラーの姿を捜し出すも、目当ての姿は発見できない。──そう、目当ての姿は。

 

「別のギャングラーがいる。レッド、イエロー、トゲーノは見つかりそうか?」

「……いねェな」

「えー……黒霧さんの情報が間違ってたってこと?」

 

 あるいは、トゲーノ・エイブスの性格を考えれば。

 そして数秒後にはもう、三人の快盗の姿はその場から消えていた。彼らの向かう先は──

 

 

 戦場に姿を見せていなかったトゲーノ・エイブスは、この闘争を仕組んだ者として計画を次なる段階へと進めようとしていた。そう、いかに大軍勢が自軍を圧倒していようともなんの問題もない。うってつけの獲物が増えたというだけだ。

 

「しっかり縛りつけておけよオドード。そいつら始末したら、おまえの手伝いもしてやるからよ……」

「──やはりそういうことか」

「!?」

 

 いきなり背後から声が響いて、トゲーノは慌てて振り返った。しかしそこには誰もいない。

 

「どこ見てやがる、シーチキン野郎」

 

 嘲うような声がもう一度響いて、ようやく出処がわかった。"彼ら"は、木の上に立っていたのだ。

 

「てめェら、快盗……!」

「どうも~」

「よォ、シーチキン野郎」

「……あれはどちらかというとシーアーチン……ウニだろうがな」

 

 彼らの会話などトゲーノの耳には入っていなかった。まさか快盗がこのタイミングで、自分の目の前に現れるとは。早くも計画が狂ってしまった。

 快盗たちにとっては無論、トゲーノの計画など知ったことではない。

 

「いくぜ……快盗チェンジ!!」

『レッド!0・1・0──マスカレイズ!』

 

『──快盗チェンジ!』

 

 銃口から光弾が放たれ、快盗たちを包み込んでいく。そして、

 

「ルパンレッドォ!!」

「ルパンブルー……!」

「ルパンイエロー!」

 

「「「快盗戦隊──ルパンレンジャー!」」」

 

「予告する……!てめェのお宝、いただき殺ォすッ!!」

 

 ギャングラーが何を企んでいようが関係ない。彼らルパンレンジャーにとって、これはいつも通りの聖戦にすぎなかった。

 

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