【完結】Adieu au Héroes   作:たあたん

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#27 マッスルカーニバル 2/3

 

 当然ながら一度きりにならなかった武突参古武術のレッスン。

 狐に化かされたような気分でその稽古を終えた炎司に、ひと月足らずで師範代に上り詰めた男が声をかけてきた。

 

「轟さんッ、少々お時間よろしいでしょうか!?」

「……なんでしょう?」

「奇遇ではありますがこうして相弟子の関係になったのです、お近づきの印にお茶でもご一緒できればと思いまして!」

 

 炎司は取り繕う余裕もなく苦虫を噛みつぶしたような表情を浮かべた。殺すと息巻いているものの警察に複雑な心情を抱く勝己に、はじめから彼らに好意的なお茶子−−心身ともまだ未熟な少年少女たちと異なり、炎司のもつ印象はよくも悪くも変わらない。警察は、目的の邪魔になる敵でしかない。

 そんな連中と慣れあうなどありえないのだ。であれば当然すげなく拒否しようとした炎司だったが、いや待てと思い直した。天哉は自分より長くこの道場に通っている。彼から話を引き出せば、このおかしな状況についての手がかりが得られるかもしれないと考えた。

 

「……わかりました。こちらも訊きたいことがありますので」

 

 そのように了承を告げると、天哉は飼い主と向き合った大型犬のように喜色満面の表情を浮かべた。

 

 

 *

 

 

 

「うむ、お茶といえばやはりこちらですね!」

「………」

 

 天哉行きつけの店に"案内"された炎司は、実に複雑そうな表情を浮かべていた。店員ふたりが、少し遠巻きになって彼らを観察している。

 

(……どう考えても、ウチの店なんだが)

 

 この男の行きつけというのがどんなものか、正直なところ興味はあった。……まあ実際、ジュレには最低でも週一回は来店している。

 

「それでエン……と、轟さん、」

「……ここには我々しかいません。好きにお呼びください」

「!、ありがとうございますっ。ああそうだ、あなたも我々より遥か年長者なのですから、敬語でなくとも結構です!」

「しかし、今の私は喫茶店の雇われ店長ですので」

「それでもやはり、あなたは私にとって尊敬に足るヒーローですから。それに、このようなことを言うと訝しまれるかもしれませんが……どうにも違和感がありまして……」

「………」

 

 それは正直なところ、炎司も感じていたことだった。親子ほど歳が離れているから、と言ってしまえば説明はつくが、感情面においてはそうではない。そもそも彼らと敵対することじたいに、拭えぬ奇妙な感覚があるのだ。それは言葉では表せぬものだった。

 結局炎司は、彼の言葉に従うことにした。

 

「では……そうさせてもらおう」

「はいっ、よろしくお願いいたします!」なぜか一礼しつつ、「それで、僕に訊きたいことというのは?」

「……ああ。きみはいつから、あの道場に?」

「三週間ほど前です!帰宅途中、師範にいい身体をしていると褒めていただきまして、気づけばそのまま道場に」

 

 後ろで勝己がうげ、とえづいたような声を発するが、ふたりがそれを見ることはない。

 それにしても、である。

 

「三週間……。そんな短期間で師範代になれるのか?」

「僕は呑み込みが早いと、師範に認めていただきました!」

(……少しはおかしいと感じてくれ、警察官だろう)

 

 この青年、正義感の強さは折り紙つきだが、警察官−−あるいはヒーローにしても−−としては些か素直すぎやしないだろうか。

 

「鍛錬は日々欠かさず行ってきたつもりですが、決まったルーティーンをこなすだけだとどうしても身体のほうが飽いてしまうようでして……。やはり新しいことに挑戦するのは良いですね!」

「……そうだな」

 

 そこは心から同感なので、炎司は小さく頷いた。この性格、人間として美徳には違いない。もしも彼がプロヒーローとしてデビューし、そのとき自分もプロヒーローであったなら、彼のことはよき後輩として好ましく思えていただろう。いかにその"もしも"を夢想したところで、現実の関係は何も変わりはしないが。

 

「?、どうかなさいましたか?」

 

 考え込んでいるのを不審がってか、天哉が訊いてくる。当然、「なんでもない」と応じつつ。

 その後は天哉の兄−−元ターボヒーロー・インゲニウム−−が息災にしているかなど、他愛ない会話をしばし続け−−以前の浮気疑惑を掘り返されるなど痛いこともあったが−−、三十分ほどが経過した頃。

 

「申し訳ありませんが、僕はこの辺りで。遅番で出勤予定ですので」

「そうか、ご苦労。い……」

「?」

 

 炎司は思わず言葉に詰まった。−−天哉のことをどう呼ぶか、そういえば考えていなかったのだ。くん付けで呼ぶのは慣れていないし、今さらさん付けも気持ちが悪い。かといって呼び捨てにするのも−−

 

(……何をどうでもいいことで悩んでいるんだ、俺は)

 

 ヒーロー・エンデヴァーならこんなこと、いちいち気にもとめなかっただろうに。

 

「あの……エンデヴァー?」

 

 二度目ということもあり、天哉は明らかに怪訝そうな表情を浮かべている。

 

「……いや、大したことではないんだが」

「なんでしょう?なんでも遠慮なくおっしゃってください!」

「………」

 

「……俺はきみを、なんと呼べばいい?」

「は?」

「!」

 

 これには傍らで話を聞いていた少年たちも反応した。ぷっと堪えたような笑い声が背後から響くが、炎司は耐えた。

 案の定というべきか、天哉は困惑している。

 

「なんと、とは?お好きに呼んでいただいて構いませんが……」

「それはそうなんだが……」

 

「センパイ、じゃね〜の。炎司サン?」

「!?」

 

 悪戯っぽい声で言い放ったのは言うまでもあるまい、爆豪勝己だった。

 

「だって、その人のほうが先に入門したんだろ?」

「あ〜、そんなら確かにセンパイやね!」お茶子も同調する。

 

 それを聞いて、どういうわけか天哉もその気になったようだった。ぱあっと表情を輝かせている。

 

「先輩、ですか……。実は僕、そのように呼ばれた経験に乏しくてですね……」

 

 学生時代、この生真面目な性格ゆえ敬遠されてか下級生との交流がほとんどなかった天哉である。その上下関係のテンプレートがごとき呼称にあこがれる気持ちは、間違いなくあった。

 

「……まあ、きみが希望するなら呼んでやってもいいが」

「!、ありがとうございます、エンデヴァー!!」

 

 「ふたりもありがとう!」と、天哉は少年らにまで謝意を述べている。お茶子はともかく、勝己などは表情からして明らかにおちょくっているというのに。そういうストレス発散法を選ぶあたり実に性格が悪いのである、この小僧は。

 

(先輩、か)

 

 むろん学生時代、若手時代などそう呼びうる相手はいた。しかし多くは敬称で呼ぶかヒーロー相手ならヒーローネームで呼べばいい話で、自分もそのような呼称を使ったことはない。壮年に至って初めて他人、しかも親子ほど歳の離れた若者を成り行きとはいえそのように呼ぶことになるとは、なんとも奇妙な、こそばゆい気持ちになるのだった。

 

 

 *

 

 

 

 その後の飯田天哉は、今までの微妙な距離感が嘘のようにエンデヴァー、エンデヴァー(人前では轟さん)と懐いてきた。やれ長いヒーロー生活におけるエピソードを教えてほしいだとか、子息ほどの少年らと一緒に働くうえで苦労はないかとか、それこそ好物はあるのか、とか。顔を合わせるたびにそんな取るに足らないことを訊いてきては、それに基づいた話題で会話を引っ張ろうとするのだ。

 当初こそ何か意図があるのか、もしかしたらまた快盗と疑われているのではないかと警戒していた炎司だったが、彼が良くも悪くも腹芸の苦手な青年であることは先刻承知済みだった。

 

 ではいったい、何が狙いなのか。もしそれを"狙い"と表現するなら、ただ単純に親睦を深めたいということか。彼の同僚である切島鋭児郎が、爆豪勝己に対してするのと同じように。

 そんなこと、未だかつてなかった。そもそもが個人的に親しい人間など存在しなかったのだ。ヒーローとしての在り方を信頼することと、人間性を好ましく思うことはイコールでない。そもそも家族にさえ忌み嫌われるような男に、どうして赤の他人と深い交わりがもてるのか。

 

 その点飯田天哉は、やや物の見方が硬直的なところはあるが、それは正義感に裏打ちされたものであり、その本質は優しく純情な好青年だ。

 彼はきっと、誰からも愛される素晴らしいヒーローになっていただろう。自分と違って。

 

 そういう人間に懐かれるというのは不愉快ではなかったが、ただ拭えぬ罪悪感のようなものを炎司に味わわせた。長期入院中の妻や行方不明の末子に炎司がどんな仕打ちをしてきたか、彼は何も知らないのだ。

 

−−馬鹿な男だ、何も知らないで。

 

 嘲笑めいた心中の果て、気づけば炎司は小紫庄右衛門と向き合っていた。

 

「申し訳ないが、きょう限りで道場をやめさせてもらう」

「これはまた突然じゃのう……何があった?」

 

 炎司にしてみればまったく突然ではないのだが、まあ相談もなく退会届を突きつけたのだ。何も語らないのは非礼にあたると考え、炎司は口を開いた。

 

「……今までの人生を鑑みれば、彼のような青年と親交を結ぶ資格が俺にあるとは思えない」

「彼?」

「飯田天哉だ。あの男がいる限り、俺はここにいるわけにはいかない」

 

 ふぅむ、と庄右衛門は腕組みをした。悩ましげな表情を浮かべているが、彼の内心は炎司の葛藤など微塵の興味もなくて。

 

「ならば言おう、炎司よ。−−どんな理由があろうと、この道場をやめることまかりならん!」

「!」

 

 庄右衛門が卓台を叩きながら言い放った途端、炎司は一瞬、くらりと目眩がするような錯覚を覚えた。

 そして、

 

「……はい、わかりました」

 

 気づけば、そう応えてしまっていた。

 

 

 *

 

 

 

「中年の様子がおかしい?」

 

 単身ジュレを訪れていた死柄木弔は、少年たちより告げられた言葉を復唱していた。

 

「……いい加減中年はやめてやれや」

「うわぉ、きみがそれ言うのかよ爆豪くん」

「なんか刺さんだよ、それ」

「めっちゃわかる」お茶子も同調する。

 

 呼称の是非は置いておいて、今は炎司の異変についての話である。

 

「で、心当たりは?」

「チッ……例の古武術道場に通い出したくらいか」

「そういえば、飯田さんも同じ道場でしょ?そっちはどうなん?」

「あー、どうかなぁ」

 

 気のない返事をしつつ、弔は最近の天哉の様子を思い返した。書類の書き方を鋭児郎に指南したりパトロールに出かけたり、それでもやることがないと仲間を射撃や武道−−武突参流ではなく−−の訓練に誘うなど精力的に活動している。はっきり言おう、今までと何も変わらない。

 

「あ……でも、中年の話をよくするようになったかな。それくらい」

「クソオヤジの?」

「まあそれは、同じ道場通っとるんやし……あるんちゃう?」

「かもね」

 

 天哉のほうは変わりないというか、むしろ生き生き生活しているようだ。とすれば、炎司は?最近の彼の異変というのは、すなわち元気がないように見えるということだった。

 

「ははっ。優しいなァ、きみらは」

「!」

 

 快盗たちはもう慣れてしまったが、相変わらず人を喰ったような物言いだった。

 

「中年は中年っつーくらい良い大人なんだからさァ、きみらが気にかけなくても自分でなんとかするだろ?」

「……気にかけとるとは言ってねえ。足手まといになられちゃ困るっつーだけだ」

 

 いちおう、理屈は通っている。ただこれは爆豪勝己お決まりの台詞であることを、弔は既に知っていた。

 

「まあいいや。−−で、本題だけど」

 

 弔の言葉に、なんともいえないような表情を浮かべていたふたりは揃って居住まいを正した。

 

「きみらが交戦したっていうギャングラー、そいつが使用した可能性のあるルパンコレクションがわかったよ」

「!」

 

 黒霧のように写実絵付きの図鑑など持っているわけもないのだろう、弔は自作の画用紙を出してきた。

 

「……何これ、包丁?」

「ダガーじゃねえの」

「リコーダーだよ」

「ウソつけや」

 

 上手くはないが下手と言い切るにも迷う微妙な絵。それはともかく、

 

「名付けて"Le contrôle(操作する)"!……ま、早い話がターゲットの行動を操れるってシロモノ」

「……あっそ」

 

 薄々予想はついていた。やはりあのピョードルと名乗るギャングラー、ルパンコレクションの能力を使っていたのだ。

 

「ま、きみらの依頼についてはそんなとこ。−−で、いいの?」

「何が」

「中年だよ。気になるんだろ、様子見に行ってくれば?」

 

 弔の言葉に、勝己は苦虫を何匹も噛みつぶしたような表情を浮かべる。この少年、心配されることを何より嫌うが、同時に他人を心配していると気取られることも嫌がる傾向にあると弔は思う。

 ゆえに彼だけではまとまる話もまとまらなくなりかねないのだが、そういうときに潤滑油になる少女がいるわけで。

 

「うん、行く行く!爆豪くんも付き合って!」

「ア゛ァ!?」

「ええやん、シゴトなきゃどうせヒマなんだからっ」

 

 基本的に立場は勝己のほうが上なのだろうが、いざというときの強引さで仲間を引っ張っていく胆力が彼女にはある。いろいろと危うい快盗戦隊だが、その奇跡的なバランスでよく保っているのかもしれない。そこに俺が必要かどうかは検討の余地があるけど、と弔は自嘲した。

 

 

 *

 

 

 

「ハイ、マッスル!マッスル!マッスルカーニバル!ハイ!ハイ!マッスルカーニバルっ!!」

「………」

 

 エアロビクスのパチモンがごとき古武術?の稽古が、こんにちも続けられている。

 気がすすまないながらもやむにやまれず励んでいた炎司だったが、胸中は疑念に満たされていた。どうして意志とは裏腹に、庄右衛門に従ってしまうのか−−

 

 そのことについて、天哉は特に疑念をもっていないようだった。彼はそもそも好んでこの道場に通っていて、"意に反する"行動をとらされてはいない……というのもあるかもしれないが。

 

「さあ轟さん、稽古を続けましょう!そしてマッスルを進化させようではありませんか!」

「……ああ、せ、先輩」

 

 何を言っているんだこの男は、と思いつつ。半ばあきらめ混じりに稽古を再開する炎司。

 しかしそんな彼の姿は、彼を気遣って−−三名中二名は否定するだろうが−−様子を見に来た仲間たちにばっちり目撃されてしまった。

 

「うわー、斬新な古武術」

「……矛盾しとるわ」

「ってかあれ、完全にエアロビクスちゃう?」

 

 一体何をやっているのか。そもそもあの筋骨隆々としたボディーにレオタードは目に毒だと、勝己は半ば本気でえづくようなそぶりを見せた。

 

 

 *

 

 

 

 その頃、稽古を天哉に丸投げして奥にいた庄右衛門は、何者かと通話していた。

 

「ほう、そうか天哉がの〜。あいわかった」

 

 ニヤリと悪辣な笑みを浮かべる庄右衛門。程なく彼は、天哉を自室にまで召喚した。

 

「何か御用でしょうか、師匠!」

「うむ、うむ。実はおぬしにおつかいを頼みたくての。この爆……オッホン!おはぎの入った重箱を、国際警察に届けてほしいのじゃが」

「国際警察へ、ですか?僕の職場でもありますので、それはいっこうに構いませんが……」

「おおなんと!天哉は国際警察にお務めであったか!」大袈裟に驚き、「いやなに、常日頃世界の平和を守ってくださっている皆さんにこの爆……、爆発的に甘いおはぎでも食べてもらおうと思ってな!」

「おお、なるほど!それはありがたい、皆喜ぶと思います。……ん?」

 

 純真に謝意を表した天哉だったが、そこでうっすらと違和感を覚えた。重箱はまるで金属の塊を内包しているかのようにずっしりと重く、しかも中からはピ、ピとタイマーのような音がする。

 

「やけに重いですね。それに、何か音もしますが……」

「!、そ、それはのう……おはぎが発酵している音じゃ」

「おはぎが発酵?」

 

 口に出すのは憚られるが、それはつまり腐っているということではないだろうか。心配になった天哉が箱に手を伸ばそうとした瞬間、

 

「いかんぞ天哉!」

「!」

 

 庄右衛門の制止に、天哉の身体がぴくりと硬直する。

 

「国際警察に着くまで、絶対に!……重箱を開けてはならんぞ。わかったな?」

「……わかりました。誓って重箱は開けません」

 

 「行ってまいります」−−やおら立ち上がった天哉は、重箱を抱えて独り去っていく。遠ざかる逞しい背中を、庄右衛門は嘲笑をこめて見送った。

 

「ピョピョピョピョ、これでワシこそが後継者じゃ」

 

 その姿が一瞬ヒヨコに似た怪物に変わり……すぐもとに戻った。

 

 

 一方で、その一部始終を目撃した者が存在した。−−もうひとりの弟子である。

 

「……やはりそういうことか」

 

 師匠こそ、あのピョードルとかいうギャングラーだった。ならば意志に関係なく従わされてしまうのも説明がつく。炎司が忌々しげに強面を顰めていると、背後から突然声がかかった。

 

「で、どーすんだよ」

「!?」

 

 慌てて振り返れば、そこには仲間たちの姿。揃ってにやにやと笑っている。

 

「き、貴様ら……!違うんだ、これは!」

「違うって何が?どう見てもレオタードじゃん、それ」

 

 容赦ない弔。さらに、

 

「道場に通い出してから、様子がおかしいと思ってたけど……ぷふっ」

「何もかもおかしいわ、ぶふぅっ!」

 

 笑いを堪えきれない少年たち。心配して来てくれたのだろうが、そのぶん筋骨隆々のオヤジのレオタード姿は破壊的だったということなのだろう。怒るに怒れず、炎司はその場に崩れ落ちた。

 

「……殺せ……、俺を殺してくれ……!」

「うわぁ……」引きつつ、「それよりさァ、彼、放っとかれると困るんだけど」

 

 国際警察はいちおう弔の職場だ。快盗としては目障りなことこのうえない連中だが、ギャングラーの情報を得るために有用な面もある。木っ端微塵に吹っ飛ばれては困る、と弔。

 

「……わかっている。俺もこのままでは寝覚めが悪い」

 

 その言葉は何気ないものだったが、勝己だけは違和感に気づいた。炎司は最も冷徹な目で彼らパトレンジャーを見ていたはずなので、実利を鑑みて弔の依頼を承るのはわかる。しかし"寝覚めが悪い"というのは、彼も少なからず感情面で連中に引きずられているということではないか。

 むろん他人のことは言えないと、表面上はともかく内心では勝己もわかっている。弔が言ったように、炎司は実父より年長の大人だ。自分で折り合いをつけるだろう。

 

 ゆえに何も言葉にはせず、勝己は彼に快盗の衣裳を差し出すのだった。

 

 

 

 

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