僕たちは三題噺の中で生きている   作:しぃ君

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十四噺「男の娘な生徒会長」

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「『春夏秋冬』、『記憶』、『爪先』」

 

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 春夏秋冬、それは春・夏・秋・冬の総称、つまり一年間のことを指す。

 四季と言った方が分かりやすい方が居るかもしれない。

 六月なので季節的には夏に属しているため気温が高く、今日も蒸し蒸ししている。

 そんな中、噺と淑は何故か生徒会室に居た。

 

 

 そして、何故か書類仕事を手伝わされている。

 だが、二人は特に文句などを言う素振りはなく、至って真面目に仕事に取り組んでいる。

 真面目に仕事に取り組む二人を見ながら、生徒会室の一番大きい机の椅子に座り仕事をしているのは、生徒会長である学斗(がくと)風輝(ふうき)

 

 

 腰辺りまで伸ばした金髪にも見えるクリーム色の髪に、透き通るような碧色の瞳。

 キリッとした目と尖った唇で雰囲気が若干刺々しく感じるが、至ってそんなことはない。

 風輝自身は気さくな性格で、よく噺に面倒事を持ってくる。

 噺の数少ない友人であり……男の娘だ。

 

 

 もう一度言おう……男の娘だ。

 声もあまり低くなく、女子制服を着ているため初見で男子だと分かる人間そうそういない。

 ……因みに、噺は初見で風輝が男子だと看破したことで仲良くなったとか。

 

 

「風輝、書類はこれで最後?」

 

「すまないがまだだ。悪いな、手伝ってもらちゃって。他の生徒会メンバーは肉体労働に行っててな、本当に助かったよ。清水さんもありがとう。」

 

「いえ、浅井くんから目を離すのが怖かったので構いません。」

 

「ほほう…。出来てるのか?」

 

「出来てないよ。」

 

 

 淡々と返す噺に、風輝はつまらなそうに舌打ちをして書類に向かい直す。

 時間がゆっくりではあるが過ぎていく。

 下校時刻がギリギリに迫ってきた所で、ようやく書類仕事は幕を閉じた。

 

 

「疲れた〜。球技代会なんてやんなくてもいいだろ。オレはやりたくない。」

 

「君の場合は運営に回るのが面倒臭いだけだろう?」

 

「そうではあるんだがな……。さて、外の連中の手伝いに行きますか。……もう少しだけ手伝ってくれたりするか?」

 

「良いよ。僕は肉体労働苦手だけど。」

 

「私もお役に立てるかは分かりませんが、お手伝いさせていただきます。」

 

 

 風輝は二人の優しさに涙しそうになるがグッと堪えて、着替えを始めた。

 ……二人の目の前で。

 

 

「ちょ、学斗さん!?浅井くんが居るからダメですよ!」

 

「へっ?いや、清水さんが居る方がオレ的にはダメなんだけど。」

 

「えっ?」

 

「あ〜。風輝、君が男子だって清水さんに伝えるの忘れてた。……と言うか、流石にその格好じゃ分かんないでしょ。」

 

「しゃあねぇだろ。母さんが新しい制服買ってくれねぇんだから。」

 

 

 淑は目を白黒させながら二人の会話を聞いている。

 脳の処理が少し追いついていないのだろう。

 数十秒ほど経つと、少しづつ脳の処理や理解が追いついてきた。

 しかし、彼女から見たらどう見ても同性としか思えない。

 髪のツヤも良いし、しっかり手入れしているのか触り心地が良さそうだ。

 

 

「ほ、本当に浅井くんと同じで男の子なんですか?」

 

「一応ね。う〜ん、こんなに間違えられるんだったら髪切ったほうがいいかな……?」

 

「別に、君の自由だよ。……まぁ、僕の記憶の中ではそれで固定されるけどね。」

 

「はぁ!?」

 

 

 噺と風輝の言い合いを見ていても、あまり納得は出来ない。

 だが、彼女は二人が自分に嘘をついているとも思えないので取り敢えず信じることにした。

 

 ──────────

 

 言い合いの後、淑は二人について行きながら体育倉庫に来た。

 生徒会メンバーは疲れている者が多かったようで、風輝が先に上がらせた。

 

 

(やっぱり、浅井くんと友達になっている人って優しい人ばかり。……類は友を呼ぶってこう言う事なのかな?)

 

 

 考え事をしながらでも手は動かす。

 少し高い棚にある道具を取ろうと爪先立ちになって手を伸ばすが、如何せん届かない。

 彼女の身長は145cm程であり、近くに風輝も居たが身長はあまり変わらないため頼めない。

 どうしようと悩んでいた時、横に噺がひょっこりと現れる。

 

 

「これ取ればいいのかな?」

 

「は、はい。すいません。私も学斗さんもあまり身長が高くないので。」

 

「しょうがないんじゃない?女の子なんだからそんなもんだよ。僕だって大きいわけじゃないけどね。それ言ったら、敬の方が僕より15cmくらい高いよ?」

 

 

 朗らかに笑いながら、淑が取りたかったものをしっかりと取ってくれる。

 こう言う優しい所に、少しづつ惹かれている自分が居ることに何処と無く気付いていた。

 

 

(…私なんかに想われても、迷惑……だよね。)

 

 

 そっと想いを胸にしまい、作業を進めた。

 淑は誠袈とは違う方法で、違う道筋で自分の想いを自覚した。

 アプローチをグイグイしてくる誠袈と控えめなアプローチ?を見せる淑。

 噺の心がどちらに揺れ動くのか?

 

 

 それが分かるのはまだ先のお話。

 




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