僕たちは三題噺の中で生きている   作:しぃ君

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二十七噺「面倒事と出会いは繋がっている」

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「『面倒事』、『繋ぐ』、『色』」

 

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 旅行二日目。

 男子組のバカ一名が日焼けにより海に行けなくなったことから、辺りの観光にシフトした六人。

 ……保護者二人は旅館でゆっくり過ごすとのこと。

 

 

 海に来た人用に、お土産屋さんが建ち並んでいる。

 どれもこれも、似たようなのばかりだか……ある一店舗だけ不思議な雰囲気を放っている。

 骨董品店にも似た品格のある店構えに対し、働いているのは彼らとそう変わらない歳の少女だ。

 

 

 その店専用のエプロンを着ているが、どこかオロオロしている。

 …孫に店番を少しだけ頼んだ、そう言った所だろうか。

 だか、当のお孫さんはお客さんが来ても口をモゴモゴするだけで、上手く喋れていない。

 

 

 明らかに面倒事の気配がする。

 風輝がやめておけ、と目線で話しかけてくるが──噺は無視してその店、『土産屋千羽(せんば)』に足を運んだ。

 そして、オロオロしている少女に声を掛けた。

 

 

「悪いんだけど、ここら辺で珍しい物を売ってるお土産屋って知ってるかな?」

 

 

 商売をやっている者に対し、無礼どころか侮辱ものの発言だが少女はオロオロしながらも答えた。

 声は小さくて聞き取りやすいものでもなかったが、一応は答えられた。

 

 

「あ、あのぉ、お客さんのご希望に合うかは分かりませんが、ここが一番珍しい物を売っているお土産屋だと自負しています。」

 

「へぇ〜。店内、見させてもらっていいかな?」

 

「ど、どうぞ。お気の済むままに。」

 

 

 丁寧な口調とカクカクとした動き、一見ミスマッチに見えるが何故かその少女には合っていた。

 店内は店構えと同じく、品格や気品ある雰囲気があり目に止まる品も多い。

 高いように見えても、お土産屋なので子供のお小遣いでも買えるものがチラホラある。

 

 

 店内をある程度物色したあと、先程の少女に話しかけた。

 

 

「そう言えば、店長さんって今居るのかな?」

 

「……信じられないかもしれませんが、私が店長です。」

 

 

 彼の頭に大量の疑問符が浮かぶ。

 ……可笑しい、可笑し過ぎる。

 少女の外見から推測するに年齢は良い所で十五から十六歳。

 落ち着きのある紺鼠色の髪は、肩ほどで収まり若干ウェーブが掛かっている。

 涅色の瞳は、泳ぎがちだがしっかりと人を見据えている。

 

 

 恐らく、問題なのは体格だ。

 殆ど淑や誠袈たちと変わらない。

 少し悪く言ってしまうと幼女体型なのだ。

 

 

「一応これでも二十歳…です。」

 

「…さっきまでの発言、取り消しって出来ますかね?」

 

「き、気にしないで下さい。…年下に見られるのは、慣れてますから。」

 

 

 なんとも気不味い空気が流れる中、その空気をぶち壊したのは……敬だった。

 真剣な顔で、こう言ったのだ。

 

 

「めちゃくちゃタイプです!付き合って下さい!」

 

 

 予想打にしない不意打ちに、彼女は顔を真っ赤にしてしまった。

 噺も、こいつは何を言っているんだ、と言う顔をしている。

 明に至っては、はぁ〜とため息をついていた。

 

 

(えっ?軽井坂さん、敬って旅行中のこれはデフォルトなの?!)

 

「お兄、店長さん困ってるでしょ?」

 

「あっ!すいません。まずは自己紹介からですよね。軽井坂敬十四歳!○○中学で三年生やってます!」

 

「ぇ、えぇと、店多(てんだ)長華(ちょうか)です。この店の店長をやっています。…さっきも言いましたが、二十歳です。」

 

 

 先程までのは気不味い空気は壊されたが、何故かお見合いのような空気に変わってしまった。

 しかも、長華も満更でもなさそうな顔をしている。

 

 

「…店多さん、ちょっと考え直した方がいいですよ?」

 

「お、お恥ずかしながら、この体型だったので異性との交友に疎くて。男の人から異性として見てもらえたこともないので…少し舞い上がってしまって。」

 

「お友達からでも充分なんで!連絡先教えて下さい!」

 

「…私なんかで良かったら。」

 

 

 その場に居る全員が思った。

 オロオロしている長華を助ける為に訪れたつもりが、何故か彼女と敬が縁を繋ぐ瞬間を見ている。

 

 

『あれ、何しにきたんだっけ?』

 

 

 当初の目的を忘れて欲望に忠実に動く敬と、初めてが異性として見られたことで舞い上がり連絡先を教える長華。

 色々と落ち着いてから、話を聞いた。

 

 

「実は、元々ここは祖父の店だったんです。最近までは祖父が切り盛りしていたんですが、腰をやってしまって。私が継ぐ予定だったので、それを前倒ししているんです。…それなりに商業について勉強はしたんですが、如何せんまだまだ勉強不足なところが多くて……。」

 

「店の売り上げがあまり良くないと……。」

 

「はい。珍しい物が多いので、コアなお客さんは地方から来てくれる方も居るのですが…。私自身あまりコミュニケーション術がないので上手くできなくて。」

 

 

 助けてあげたいが…自分たちでは力になるのは難しい。

 しかし、一筋縄で諦めるほど彼は落ちぶれてはいない。

 朗らかな笑顔で、何か出来ることはないか聞いた。

 

 

「で、でしたら!このお店の商品を買ってSNSに上げてもらっても良いでしょうか?広めることが出来れば、お客さんも来ますし。お客さんが増えれば必然的にコミュニケーションも増える。一石二鳥とは言えませんが…。」

 

「それくらいでしたら、手伝いますよ。…良いよね?」

 

「青い鳥で良いでしょうか?…私はやっていませんが。」

 

「俺と風輝と噺はやってる。…明にはやらせてないな。」

 

「私も一応やってはいますが、フォロワーさんはあんまり……。」

 

 

 淑が申し訳なさそうに答える中、敬がカッカッカッと笑いながら言った。

 まるで自分のことを自慢するかのように。

 

 

「大丈夫、噺のフォロワーは万超えてるから。」

 

『えっ??』

 

 

 その言葉を聞いて、噺はなんとも居た堪れない表情をしていた。

 何でも、助けた人が彼の青い鳥のアカウントを知り、偶にお礼のDMを送っているとか。

 …しようがない、何せ彼は本名でやっているのだから。

 元々、情報収集の為に始めたのだが、フォロワーが増え過ぎた所為で辞めるに辞められなくなってしまったのだ。

 

 

「ほ、本当にありがとうございます!!」

 

「いえいえ、人助けが趣味みたいなものですから。」

 

 

 他人の色が付いた事情に手を出す彼ではないので、お土産屋を買ったら敬を置いて店を出た。

 

 

 五人の中の二人は、敬と長華が結ばれる瞬間を羨ましそうに見ていたのは、当たり前の話である。

 

 

 

 

 




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