ユーザーはオタク スキルを実行します   作:ウェーヴ・カン

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 今回はいつもにも増して(?)内容がペラペラです。ご了承下さい。
 今回、推敲の時間があまりとれませんでした。
(じゃあなんでこんなに更新遅いんだよって? 聞こえないなあ~)
 そういうワケで、文章的に「ん?」となるところが多少あるかもしれません…‥。
 本当にすみません……。

 では、楽しんでいってください。


第6話

「……ん。ふぁ~……もう朝か」

 こちらの世界での目覚めは二度目だ。朝と夜とで光の量の差が激しいのがやや難点ではあるが、倉斗が元居た世界とはほぼ変わりない環境だ。不幸中の幸い、というヤツだろう。

 手早く身支度を整え、倉斗は部屋を出る。

 トテトテと階段を降り、うろ覚えの地図を頼りに目的地へ向かう。

「あ、倉斗君。おはよ~」

「あ、おはようございます」

 ドアを開けた先で出迎えてくれたのは天賀谷だ。

 無事、食堂にたどり着くことができ、倉斗はホッと息を吐く。

 長テーブルが三つに、椅子が数個という殺風景な部屋。

居るのは天賀谷だけだ。他の者はまだ眠っているらしい。

倉斗は手近な椅子に座ると、既に配膳されていた朝食に手を付ける。

「いただきます」

倉斗が食べ始めると、天賀谷も対面するように座り、朝食を食べ始めた。

どうやら倉斗が来るのを待っていたらしい。

「何か話でもあるんですか?」

 倉斗が話しかけると、天賀谷も箸を止めてこちらを見つめ返してくる。

 見つめ返してきた目を見て、きれいな眼だな、と思う。それは物理的な美しさでなく、純愛や正義に溢れているような、そんな眼だった。

「えーっと……話っていうかちょっとした雑談をしたいって感じなんだけど……」

 返事を返され、はっと意識を戻した倉斗は聞き返す。

「雑談? どういう……」

「倉斗君は何も思わないのかなー、って。普通戸惑うじゃない、こういう状況」

 あー、と倉斗はまるで昔を懐かしむように昨日の記憶をたどる。

 

 

 

 殻井が去ってから数分後。再び轟音と共に彼は帰って来た。

 全身を真っ赤に染め、手足をだらんとさせた満身創痍の状態で。

「か、殻井⁉ すげえ怪我だ……天賀谷さん、救急車――――」

「いや……」

 重症の殻井を見て騒ぎ出す倉斗に、天賀谷が素早く言葉を挟む。

「今救急車を呼ぶわけにはいかないよ。他にも敵がいないとは限らない……」

「じゃあ、どうするんですか⁉ まさかこのまま置いていくって言うんじゃないですよね⁉」

 慌てふためく倉斗に天賀谷は、今度は安心させる様に優しく声を掛ける。

「大丈夫。仲間を見捨てるほど私たちの(リーダー)は鬼じゃない」

 そう言うと、天賀谷は煙草を一本取り出し火を点ける。そこから漂う煙は天高く舞い上がり、青い空に吸い込まれるように消えていく。

 それから数分後、人っ子一人感じさせなかった高速道路に一台の車がやって来、三人の前で停止する。

 新手の敵かと身構える倉斗だったが、天賀谷がそれを制する。

「今の私の煙幕で迎えに来てくれた仲間だから、大丈夫」

 その言葉に安心し、倉斗はふぅと警戒を緩める。

 しかし、車から降りて来たのは、目が痛くなるような蛍光ピンクのハーフパンツに、‟CRAYZY PERSONAL“と赤色で派手に書かれたTシャツを着た男だった……。

 

「………………」

 

 束の間の沈黙。

 そして次の瞬間、溜まりに溜まった疑問符が一気に爆発した。

 

 個人の趣味をとやかく言うつもりはないが、倉斗視点で見ると……

「いやいやいやいや!! 明らかに変質者でしょ! 絶対敵だよ!! 天賀谷さん、早く逃げないと――――」

 あまりの変質ぶりに叫んだ倉斗以上に、男の方が慌てる。

「待って待って待って! 変質者でも敵でもないから!! ちゃんと助けに来ただけだよ!! 天賀谷クンからも言ってやってくれ!」

「そうだよ、倉斗君。確かにこの人は絶望的にファッションセンスがないし、通りかかった小学生を見てハァハァ言ってるヒトだけど、一応うちの(リーダー)だから」

「フォローになってないケド、天賀谷クン⁉ ……ていうか今さらっと僕の性癖、バカにしたでしょ⁉ 全世界の共通性癖のヒト達に謝って!」

「敵には変態しかいないんですか⁉」

「だから、前提が違ぁぁぁぁぁぁぁああああああう!!」

 

 そんなこんなで二十分後。

 ようやく誤解が解け、倉斗達は車に乗り込み高速道路を脱出したのであった。

 

 

 

 そしてその車が向かった先が今倉斗の居るこの場所、『灰醍寮』である。

 到着して直ぐに殻井は別室へ運び込まれ、倉斗は夜遅いのもあってとりあえず話は明日、ということになり、一晩を過ごしたのだった。

 思えば必死で気づかなかったが、倉斗がこちらの世界に来て体験したことと言えば……

「急に別世界に来て、刺客に殺されそうになって、どこの馬の骨とも知らないヒトにホイホイついて来て……あれ? 俺ってもしかして何気にヤバいことばっかしてる……?」

 それを聞き、天賀谷はフーッと息を漏らす。

「やっと気づいた? そんなことになってるのに何も思わないの?」

「んー。まぁ俺がこっちに来たのは運命っぽいしですし? こっちの世界に関しては知識ゼロの赤ん坊状態ですから。何か教えてくれるんなら、たとえもし敵だとしても天賀谷さん達についてった方が良いと思いますね」

「……前向きだね、倉斗君は」

 天賀谷は少し悲しそうに目を細め、遠くを眺めるように目線を動かす。

「私が倉斗君と同じ立場なら、きっとそういう風に思えない。決断がつかなくて、今でも病院のベッドの上で蹲っているんだと思う。決定する力……決断力って言うのかな。それを持っている人は……。ううん、違うね。きっと誰もが持ってるものなんだけど、人によって弱い強いがあるんだろうね。それが強い人は強い人生を、後悔のない日々を送れるんだろうな……」

「……天賀谷、……さん?」

 目の奥にあった明るい何かが消え、急に寂し気な様子になった天賀谷に倉斗はそっと声をかける。

「あ、ううん。大丈夫だよ、何でもない。話したかったのはそれだけ。じゃ、ゆっくりご飯食べてね」

「え……? あ、はい」

 我に返ったようになった天賀谷は早口でまくしたてると、さっさと食べかけの膳を持って食堂を出て行ってしまった。

 その目には先ほどまでの寂しいような、どこか後ろめたいようなモノはなく、既にいつもの明るい雰囲気に変わっていた。

 誰もいなくなった食堂。

 天賀谷の明るい声が耳に残っているはずなのに、どこか寂しい感情だけがその場に残っている気がした。

 

 

 二時間後。

 部屋でごろごろしていた倉斗は昨日の変態男に呼び出された。

「……何の用ですか」

「やだな~」

 机と椅子だけを置いた小さな部屋で、変態男が椅子にふんぞり返って手をひらひらとさせる。

「まだ警戒しているのかい? もう信用してくれてもいいと思うんだけどなあ~」

「……その口調が気に入らないんですよ。人をナメてる感がありますね」

「ふむ……そうかい……。まあ、善処はしよう」

 軽口を交わし合ったところで、変態男の雰囲気がさっと変わる。

「さて……本題に入ろうか、倉斗君」

 そう言うと、彼は机の引き出しから一つのファイルを取りだす。

「まずはこれを見てくれ……」

 ファイルを受け取り、倉斗は中にはさまれている資料の数々に目を通す。

(!! ……全部、日本語⁉ いや、そもそもこの世界で会話は今まで全部日本語だった……。必死で気づかなかったが、この世界は俺が元居た世界と同じ歴史を辿っているのか……? これも後で聞かなくちゃな……)

 そんなことを考えながら資料を読む。

 どうやら中身は人物のデータをいくつか纏めたものらしい。

 その人物達の出身地を見、彼の顔に動揺が走る。

「出身……異世界⁉ これって……!」

「……そうだ」

 男が頷く。

「これは君と同じ、異世界から来た人々のデータをまとめたものだ。つまり、君が来る前にも異世界人は来ている」

「俺が来る前にも……」

「しかしその能力は未だ謎、知られていない。なぜなら……」

「その前に死んだから……ってことですか」

「ま、そゆこと」

 倉斗が残りを引き継いで言うと、男は肩を軽く上下させる。

 どうやら、殻井の言っていた侵入者の排除は本当に行われていたらしい。

「でも、今回は違う。君を守り切ることが出来たからね。本当に、ウチの構成員達はよくやってくれたよ」

「その目的は……異世界者の能力の研究……?」

「頭がキレるね。その通りだよ」

「でも俺、能力なんてモノは……」

 実際、倉斗は元の世界ではただの一般的な高校生。毎日学校で授業を受け、友達とバカやって、部活に熱中するという、ごく普通の学生だ。特別な、不思議な能力などまるで持っていない。

 しかし、男はチッチッと指を横に振る。

「いいや、それは違う。いつかどこかのお偉いさんがこんなことを言った。人というのは、環境の変化によって真価を発揮することがある、とね。つまり君に備わっている機能が、こちらの世界ではものすごい価値のあるものかもしれないって事さ」

「ふーん。そんなことないと思いますけどね」

「ま、発現しなかったらそれはそれでいいデータになるさ。とりあえず君はしばらく僕らの組織――ステイル――の監視下に置かせてもらう。なに、不自由はさせないさ。君は何か変化があったら報告してくれればいい。それじゃ、たっぷりと異世界生活を楽しんでくれ」

 そう言うと男は携帯を一台倉斗に渡し、部屋を出るよう指示する。

(まあ不自由がないんだったら別にいいかな。何より異世界ってだけでワクワクするしな)

 対応に納得し、言われた通り部屋を出ようとすると男に呼び止められる。

「ああ、それともう一つ」

「?」

「変態男、じゃないよ。僕にだって名前はある。三三一(ふたみつはじめ)。ハジメと呼んでくれればいい」

 そういうと、ハジメは何故だか不敵に笑った。

 

 

 

 

 

 こうして、倉斗の異様な新生活が始まった。

 通常ならば環境に精神が追い付かないところだが、倉斗にはそれがなかった。

(別世界での生活? 超楽しそうじゃん!)

 命を狙われていると知りながらも、何とも呑気な主人公なのであった。

 




 お久しぶりです、ウェーヴ・カンです。
 更新遅すぎる! 見事にフラグ回収です。
 やったぁ! (良くない)

 6話です。
 ここにきて、急に内容がスッカスカに薄くなりました。
 作者の脳処理と想像力(イマジネーション)が足りていないせいです。
 面目ない……。
 
 こんな作者でもよければ、皆さまこれからもお付き合いよろしくお願いします。
 こんな駄作を書いていても、意地というものは持ち合わせております。
 どれだけUAが少なくても、一人でも読む人がいる限り自分は書くのをやめないッ!!
 (フッ……。決まったな。ドヤ)
 
 今後ともよろしくお願いします。
 今回は短いですがこの辺りで。
 また次回、お会いしましょう。

 さようなら!
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