どうしてもMOBとの戦闘よりも人間同士の感情と読みを重点におきたいのでこのような事になっております・・・。
今後は攻略にも参加していきますのでその伏線ということでご勘弁いただければ・・・。と思っています。
2023年10月2日ついに39層を突破した、攻略は血盟騎士団の元で順調に進み、ヒースクリフの一枚岩にて最小の犠牲者にて突き進んだ。
古参の聖竜連合はそれをよしとしない一部の過激派が犯罪とも取れる行動にひやりとする場面があるが大きな被害はなかった、アインクラッド開放軍(リュート曰く、トンガリ頭関西隊)は25層以降大きな攻略行動はなく息を潜めているように思える。だがケイタの報告によるとボリュームゾーンからの横暴ともいえる搾取を始めており、その莫大な資源はどのギルドよりも大きな物となっていた。
月夜の黒猫団はリュートの参入により大きく転換していった、フレアとソニアは最前線にてボス攻略に参加し知名度を上げてくれている。時には息子のシプトと行動してくれているので血盟騎士団との交流もまずまず成功しており、私が参加しなくても最前線の情報は明るくなってきていた。下層ではケイタとサーシャと共に軍の行動を監視しており、軍の行動が読めてきつつある・・・。
四桁に及ぶ彼らは吸収と合併により指揮系統は混乱を極め、とうとう自己崩壊に陥ってきていた。その混沌の中で古参の攻略組であったキバオウが担ぎ上げられ、破滅の局地へと向かいつつある。この対処も早急に行わなければこの先の攻略に影響を及ぼす可能性を示唆している。
中層ゾーンではレジェンドブレイブスが破竹の勢いで巻き返している、リュートの槍を作りなおしてからも一ヶ月は依頼はなくて日々悶々としていたそうだ。度々訪れたリュートは攻略の過程で人気になりそうなクエストを提示して依頼になる前に攻略するように示唆し、時が熟するまで己の向上を努めるように諌めていた。その後ぽつぽつと気まぐれなプレイヤーの依頼から口コミは広がり、多忙な生活が始まりだした。
ネズハは他のメンバーがクエストによる副産物を集めて鍛冶屋として再生している、彼の熱心な対応と姿勢によりファンとなるプレイヤーが徐々につきつつある。
オルランドは主に護衛と助っ人役に徹しており、数々のクエストで得た情報にて中層ゾーンのプレイヤーを安全に導き要望のアイテムを手に入れられるようにフォローをしている。
クフーリンは戦闘のできる情報屋として活動、各ギルドの欲しい戦力の斡旋も行っている。前線と中層ゾーンの架け橋になってきつつある。
ギルガメシュは商人を行っていた、単なる商人ではない。連絡を受けたらどんな場所にでも赴き、希望のアイテムを持って参上する配達のできる商人に変化していた。
エンキドゥは当初の通り、依頼の物を手に入れている調達屋として名を馳せていた、時には他のメンバーと同行し、フォローをしあっている。
彼らのレジェンドブレイブスと月夜の黒猫団は共に共闘体制をとっており、実に多様な攻略のできるギルド連合として知名度を上げていく・・・。
クフーリン君の戦力斡旋のお陰で月夜の黒猫団には欲しい人材が3人も増えていた。一人は管理と経理を担当するタイチさん、彼は現実では司法書士という肩書きをもっており、戦力には全くならないがギルドの維持と他のギルドとの交渉ごとには非常に発言力をもっていた。
そして情報を咀嚼し効率化を計る能力に長けたエバンスさん、彼の取捨選択は非常に効率がよくて私の判断も覆せるくらいの説得力があった。ギルド内では攻略推進担当の任務についている。
そして資金の確保を行う営業のムトーさん、彼はレジェンドブレイブスを積極的に売り込み活躍の場を広げていく。時にはフレアやソニアという美人所までも営業手段に利用しギルドの資金を確実に得ているのであった。フレアとソニアは剣術指南という名目で他のギルドに出稽古を行っているようだが、大多数は”目の保養”となっているのは言うまでもないだう・・・。
私事リュートももちろん活躍している、こんな素晴らしい人材にリーダーが負けてはいけない。現在は”パルティエ”にてオーナーシェフを務め、5人の弟子を持つ三つ星の店として輝かしい功績を得た!!来年までには四つ星を目指すため、日々努力をしている・・・。
副業はそんな所で本職ではフレアとソニアと共に攻略に参加し、知名度を上げつつ他のギルドとの連携を取り、中層ゾーンから進出するプレイヤーを援護する立場を維持していた。
月夜の黒猫団のギルドホームである11層タフトでシプトの訪問を待っていた、相談したい事があるといわれたので本日は休暇をもらっていた・・・。私もそろそろ休暇をとりたいと思っていた所である、シプトの提案はその機会にもいい所であった。日本の体質ではトップこそ休暇を取らずに日々勤しむべきであると言われる、それは間違っていないかもしれないが私は愚問と思っている。トップが休まないと部下は休みにくい、我侭と思われていてもここは休暇を宣言して彼らに義務感をなくす事に努めている・・・。ここは社会ではないゲームなんだ。ゲームだからこそ楽しまなければならないと思っている。
「こんにちは・・・。」シプトが扉を開いて伺いの挨拶を述べる、シプトも血盟騎士団にて休暇の申請をしていると聞いていたが普段どおりにユニフォームを身に纏っていた、そしてその向こうにはシプトをここまで協力していたアスナさんが佇んでいた。
「シプトにアスナさんそろって休暇をとってここに来てくれたのかい?ようこそ月夜の黒猫団へ。」私はまさかの来訪者に少し怪訝になるが二人の来訪に歓迎の意を示した、が二人はなにか別の事に囚われているのか反応はあまり無かった。
特に後ろにいるアスナさんの様子が一番おかしい・・・、確かに最近のアスナさんは精彩を欠いているとフレアから聞いていた。レベリングを怠っているわけでもなくトッププレイヤーとして邁進している、しかしながらボス攻略において決定的な一撃をいれずにいているようだ。顔色も優れている状態ではなく、スランプ状態にあると分析していた。
「父さん、お願いがあるんだ・・・。」
「ん、なんだい?シプトとはデュエルしたくないなあ・・・。」
「アスナねえとデュエルして欲しいんだ。」・・・な、なんだって!!あの最強ギルドの血盟騎士団副団長とですか・・・、父さんの情けない姿をみてほくそ笑むなんてなんて根性の悪い子なんだ・・・。そ、それともスランプ気味のアスナさんに自身を取り戻させようとしているのか?思案している私にシプトは頭を下げて続ける。
「多分、父さんとデュエルをすればアスナねえに答えを説明できると思うんだ。だがらお願いします!」シプトは普段からフィーリングで生きている節がある、その感覚はとても優れているように思っているのでアスナの不調の原因を何か感じ取っているのだろう・・・。父としてはそれに協力してあげる必要を感じ取った。
「事情はよくわからないけどいいよ、外庭でやろうか」すぐさまいつもの攻略時の装備を身に纏って外に出た。やはりアスナさんは攻略組のトッププレイヤー、スランプを感じさせない闘志が沸いていた。
デュエル申請を行い、互いの間にカウントダウンが表示される、私はアレフォーマを携え両手でしっかりと中段に構える。アスナさんも同様に中段に構える。開始のブザーが鳴るが双方動かない、私は後の先と取るタイプだからいつもの手順だがアスナさんがやはりおかしい。彼女は”閃光”と言われるプレイヤー、先手を取るのがセオリーなのに全く動かない・・・。それならば、と決した私は構えを解いて前進を始めた。一気に懐まで詰まられる彼女の俊敏を殺す為、自分の間合いまで自然体を装うように歩いて見せた。
その行動に動揺した彼女は一気に突進系のソードスキルを立ち上げようとした、そこで私は突進系単発突撃である”チャージ”を使用して一気に攻勢に転じた。アスナさんは即時キャンセル、体を捻ってチャージを回避に成功した。私はチャージをキャンセルせず彼女との距離をとる。
その距離を一気に侵食したアスナさんは閃光の名の通り凄まじい剣閃が私を襲ってくる、通常攻撃の突きがここまで早いのは反則に近い。一気に5連撃を食らい、その衝撃がプレートごしに伝わる。
そして最後の一撃には単発突き攻撃の”リニアー”に入っていた。やばいこれを食らえば初撃決着モードなのでここで敗北が確定する、私は迎撃するべくカウンターの姿勢に入った。単発横薙ぎスキル”バスター”を選択。アスナさんのすばやいリニアーが発動する、胸元に正確に突き出される一撃は私のバスターによって軌道を変えられ、右腕にかする程度ですんだ。お互いにソードスキルの硬直時間は最短なものを選んでいたので再び次の攻撃を選択するが体勢は私の必殺の間合いになっている。”スイングアッシュ”を立ち上げてその重攻撃を見舞った、アスナさんはそれを充分に対処。受け流して距離を取った。
やはりスランプ中でも彼女は強かった、あの意志の強さには驚愕する普段の彼女なら私をとっくに葬り去っているだろう・・・。それでも私はあきらめる事なくお父さんの偉大さを誇示する為に彼女に追いすがった、お得意の乱打戦に持ち込んで焦りを誘う作戦にでる。アレフォーマを横一文字に持ち替えて斧部と石突きの波状攻撃、威力は落ちるがこれを対処しきるプレイヤーは少ない。アスナさんもさすがの手数の多さに積極的な攻撃はなくなっていた。
波状攻撃の後にバックステップに切り替えて槍の間合いに切り替えての突きを繰り出した、彼女もバックステップで距離を取り回避する。お互いにHPは半減手前まできていた、序盤はアスナさんの閃光の名にふさわしい攻撃で私を圧倒したが後半は私の反撃でなんとか取り戻してきている。
私と距離を取る事はアスナさんを不利にしている、にも関わらず彼女は笑みと浮かべ勝利宣言をしている。私に勝てる要因をみつけたのだろうか、私にはそこまで戦闘に関しての先見の眼があるわけではない。舌打ちをしてしまい、迎撃にはいる。
お互い出方を確認しあう、次の一撃が勝利の明暗を分けることは明白だった。時間が遅く感じる、一陣の風が辺りの木の葉を舞い上げサカササとこすれあう音が響く・・・。
先に動いたのはアスナさんだった、彼女の最速突進からの通常技の突き。あまりの速さだったあっという間に間合いを侵食した彼女の細剣は私の心臓を狙っている、私も体を捻りその神速ともいえる突きに抗った・・・。が彼女はその通常技の軌道を瞬時に変えて私の胸元を抉った、アスナは勝利を確信したがウィナー表示は私をしめしていた。
私の間合いにはアスナさんよりレンジが長い、カウンターである槍の一撃は交わされたが斧の一撃は彼女の左腰に突きよりも早くヒットさせていたのだった。クリティカルヒットとは遠く及ばないがその小さな一撃が彼女HPを半減させ、イエローに至らしめた。互いに大きな息を吐いて落ち着かせる、様々な感情を内に秘めてはいるが呼吸の乱れを落ち着かせる事に専念した。
「アスナねえ・・・。」シプトはアスナさんの前に立っていた、シプトはおそらくだがこのデュエルの結果を判っていたように思える。なぜ私とアスナさんにデュエルをけしかけたのかはなんとなくわかっているが意図が見えてこなかった、シプトの意見を聞くために私は様子を伺う・・・。
「アスナねえは強い、おそらく全プレイヤーの中で一番攻略に貢献できる人物なんだ・・・。だけどそれはゲームの攻略においては最強でも、プレイヤーの中では決して最強じゃないんだよ。」
「!」アスナはシプトを憎むかのような顔で睨み付けた、彼女もまだまだ発展途上で若い部分が顕著に残っている所謂負けず嫌いだ・・・。シプトはおませな年頃に差し掛かったのか、まるでアスナの上司にでもなったかのような口調に驚いていた。
「ミズに圧倒的にやられたのは気に病むことはないよ、僕達は攻略で貢献すればいいんだよ。僕の父さんやミズはこのゲームでは無用な力なんだから。」
「おい!シプト、そりゃあいいすぎではないかい・・・。」さすがの私もそこはちゃちゃを入れたい、だがシプトは真剣にアスナさんを攻略に向けたいのだろう。彼の真剣な言葉がアスナさんに襲い掛かる。
「本当だよ、父さんとミズの戦い方は対プレイヤーでのみ力を発揮するタイプ。攻略においては僕やアスナねえの方が上なんだ!だから気にせず進んでいこうよ、ここで立ち止まったらそれこそ思う壺だよ・・・。だからアスナねえ!僕と一緒に頑張ってよ、またあの世界に帰ろうよ!!」
シプトは涙交じりに吼えた。10歳、いやSAOで11歳を迎えた彼はこの殺伐とした世界に適応させ覚悟が人間性を強固にしているようだった。小さな体に攻略組としても使命を背負い、アスナさんのくすぶりを払拭させる為に私をあてがって諭そうとしていたのだ。
アスナさんはまだ動揺をしている、だが瞳には以前のような力強さが垣間見える・・・。年下にここまで発破をかけられてしまったのだ、ここで弱音を吐くわけには行かないのだろう、彼女は立ち上がり久方ぶりの笑顔を向けるのだった。
シプト強くなっている、父としてこの成長をみれたのは喜ばしかった。彼は小さいがもう自分でこれからも決断していくだろう、私の親としての感情はここまででいいのかもしれい・・・。これからは一人の男として助言する事を決めた、少しの寂しさと共に決断するのであった。
「ねえ、シプト・・・。さっき言ってたけど、あなたの父は凄い人なの?それとも大した事ないの?」まだ月夜の黒猫団の中庭で休憩をとっていた。飲み物を飲み、アスナさんが気分が落ち着いた所で彼女は質問をしていた。
シプトの能力は攻撃力でも敏捷性でもなく”見切り”の達人である。MOBの初見の攻撃でも彼はその感性で察知し、対処の為の動作をパーティに伝達する事がよくあり。実際その通りに行えば回避できていた。血盟騎士団の中で”閃光のアスナ”と共に”封殺のシプト”といわれている。その彼の眼に移る私の能力をアスナは聞いてみたくなったのだろう。
「ん~?なんといったらいいんだろう、ミズと父さんは同じタイプなんだ。すごい、音痴な人なんだ・・・。」
「はっ・・・。」私もリュートもぽかんとした、まるで比喩がわからない・・・。私もアスナさんも口がひし形になるあの女性アニメのたまねぎキャラクターのようになっているのであろう、まさに呆然である。シプトは手で頭をかきながら表現がわからずに答え続ける・・・。
「え・・・っと、父さんは天然だけどミズは確信的にやっているんだろうね。予備動作がないっていうか、タイミングが取れないって言う感じ。」
「それって”無拍子”ってことかな。」私はそういった。一定のリズムではなく心理的にも肉体的にも相手の予想するタイミングをかいくぐり意表なタイミングで持って攻防を行う、一種の奥義の一つである・・・。ミズはともかく私はそんな事をしているわけではないしそんな学習をした覚えはない、もしそうならシプトの言うとおり天然で出来ているだけだろう・・・。アスナさんもそろって口にした。
「確かに、リュートさんやミズと闘っていると普段通りに闘えない違和感を感じたけど・・・。そんな感じなのかな?」
「多分、ゲームのモンスターにはアルゴリズムで行動パターンが決まっているから通用しないけど対プレイヤーにおいては脅威だと思う。」シプトは私をみてそういうのだった。
確かに私はMOBよりも感情などの読みが通用するプレイヤーの方が戦いやすい、MOBとの戦いではうっかりをしちゃいがちでよくフレアから怒られてしまう。ソロの時も充分に気をつけていたがそのうっかりで何度死に掛けたことか・・・しかし、プレイヤーとのデュエルにおいてそのうっかりはない。くやしいが彼の言う事は的を射ているのである。しかしフレアやミズのようにもっと次元の違う連中の前では私は問題外なんだろうが・・・。
「そうだよね、私達は私達で出来る攻略をしましょう!リュートにはレッドギルドの制圧に勤しんでもらいましょう!」アスナさんは手をポンと叩き、まるで当然のような住み分けを提言していた・・・。冗談じゃない!現実で死をむかえるのに平気にHPを全損させるいっちゃった連中なんて私も怖い・・・。冷たい汗が流れ落ちる・・・。
「な・・・なぬ!」
「以前私にそういったじゃないの今回のデュエルでよくわかったわ、攻略に参加しろとは言わないからそっちの件はお願いします。」と言い立ち上がる。
半分本気だが、以前私の伝えたかった事は理解してくれたようだ・・・。私の攻略組とは意味合いが違う攻略は加速していくのだった。
この時期の本編は凄まじい勢いで攻略している段階なので攻略を入れるのに躊躇しております。このような形で申し訳ありませんが、ゆったりと見ていてください・・・・。