猫でいる生活   作:syumasyuma

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ここから時間がどんどん飛んで行きます。


おばあさんに会いに行きました

林の中で蠢く影に狙いを定め・・・素早く近寄り一撃を加える。

黒くて平べったくテカテカした虫を退治した俺はその場を後にすると、

最近知り合った友人たちの下へ戻る。

 

 

友人たちは色とりどりの毛皮をくねらせて、俺を迎えてくれる。

三毛やキジトラ、茶トラ、サバトラ、黒猫、白猫と様々な見た目の猫たちがいる。

 

彼らは何処かの家の猫だったり、野良でも地域猫として左舷にある町に住み着いている猫たちだ。

俺の住む冷泉家も左舷にあるため、家から出るとばったり良く逢うやつらで、

最初は警戒されていたが、人間たちに餌付けされているせいか、

闘争心が少なく、多少トラブルはあったものの友好的な関係を気づいている。

 

 

「「「にゃーんにゃーにゃ」」」

「「「にゃんにゃにゃんにゃ」」」

 

『そう褒めるな褒めるな』

 

この学園艦にはいたるところに小さな広場があり、

子供や猫たちの想いの場となっている。

 

猫になってから分かったのだが、猫たちは好奇心旺盛でゴシップが好きなおばちゃんのような

性格をした個体が多く、人間たちを良く見ている。

 

どんな人間がどこでどのように暮らしているのか、

人間同士の関係や騒ぎなど、かなり情報をもっている。

 

俺が冷泉家に住み着いたことも直ぐに知れ渡っており、

また人間と話していることも聞かれていた。

 

広場毎に集まってくる猫は大体決まっているが、

複数の広場を渡り歩く猫が多くて、大体2~4箇所を順繰りと回って暇を潰しているようだ。

 

そうするとその地域毎にネットワークの輪が出来、その輪は徐々に広がりを見せ、

最終的には学園艦全体に猫のネットワークというものが構築されていることが分かった。

 

俺の情報も2週間ぐらいで艦内に知れ渡っており、

行く先々で声を掛けられ本当に人間の言葉が分かるのかとよく聞かれたものだ。

 

 

猫は人間の言葉の内、簡単な単語くらいは理解している。

それは自分の名前や、餌のこと、猫用品のことだ。

 

しかし大部分の言葉を理解していない。

 

そこで人間の言葉が分かる俺は重宝されることになり、

人間との友好関係の維持や、トラブルなどを相談されることがある。

 

どうやったら餌が貰えるのかや、家猫になるにはどうすればいいのか、

魚が食べたいなど様々だ。

 

とりあえず今は猫の印象向上のため、

害虫やネズミの退治に力を入れるように猫たちに伝え、

害虫駆除のやり方を実践して教えて回っている。

 

 

『そろそろ俺は戻るぞ』

 

「「「「「にゃいにゃーい」」」」」

 

日が傾き始め、そろそろ麻子が帰ってくる頃だと思った俺は、

猫たちに別れを告げて家に向かった。

 

 

《・・・レー大会の優勝者は五十鈴華さんでした。おめでとうございます。次は寄港地についてのニュースです。》

《学園艦はこのまま北上し、洋上施設にて補給を行った後、2週間後に大洗に付く予定となっております。》

《また乗降時間は午前5時から午後7時となっております。次は戦車道のニュースです。》

 

いつものように麻子を出迎え、カリカリと魚をほうばっている俺はラジオから流れるニュースを、

聞きながらハバネロカレーを間食した女性に慄いていると麻子が立ち上がった。

 

「大洗に寄港したらおばあに会いに行くぞ」

 

『おばあ?麻子の祖母か?』

 

「そう」

 

俺にそう告げると麻子は風呂場に向かっていった。

麻子のおばあさんか・・・やはりもの静かで和やかな人なんだろうな。

 

そう勝手に思っていた。

 

 

2週間後、ケージに詰め込まれて大洗に到着すると、

麻子は一直線に祖母の下へ向かった。

 

麻子が古びた一軒家の引き戸を開く。

 

「おばあ帰ったぞー・・・くたばったか・・・」

 

「なんだい!このクソガキが!まだ死にゃしないよ!」

 

「おー・・・まだ二三日は大丈夫そうだ」

 

「はんっ!今にも死にそうな声でなーにっ言ってんだい!」

 

 

目の前で繰り広げられた毒舌の応酬に呆気に取られてしまった。

麻子は靴を脱ぎながら小さくただいまというと、ずかずかと居間に入っていく。

 

おばあさんも小さくおかえりというと、台所に向かっていく。

戻ってきたおばあさんの手にはよく冷えた麦茶の入ったピッチャーとグラスが二つ。

 

卓袱台にそれらを置くとおばあさんはグラスにお茶を注いで、

一つを麻子の近くに置き、もう一つを勢い良くあおり飲み干した。

 

俺はケージの中で事態の推移を見守っている。

 

「通信簿だしな」

 

「・・・」

 

おばあさんの要求に応え、嫌そうに通信簿を渡す麻子。

 

おばあさんは通信簿をしっかりと嘗め回すように眺める。

途中で視線が止まると、麻子のほうをじっと見つめる。

 

「まあこれくらいはやって貰わないとね」

 

「ほっ」

 

「でもね。ここの通信欄に書いてある遅刻欠席が多いってのはなんだい?」

 

おばあさんの目が釣りあがっていくのが分かる。

麻子の眉はどんどん下がっていくもの分かる。

 

「えーっと」

 

「昔っから!アンタは!遅刻ばっかりして!直ぐに治さないと碌な大人になれないよ!」

 

そこから小一時間ほどおばあさんの説教が始まり、

麻子もちょくちょく口答えしていたが直ぐに言い負かされ沈黙した。

 

説教が終わる頃には麻子がぐったりとしており、

卓袱台に突っ伏してしまった。

 

「ところでその鞄はなんだい?」

 

「んー・・・おー忘れてた。モコー出てこーい」

 

麻子は今頃思い出したのか、俺の入っていたケージのロックを外した。

 

おずおずとケージから出ると件のおばあさんと目が合った。

 

「その猫どうしたんだい」

 

「こいつは私の飼い猫のモコ、学園艦で一緒に暮らしてる」

 

「アンタに生き物が飼えるのかい?」

 

おばあさんの懐疑的な視線に胸を張る麻子。

張っても出っ張らないのが悲しいな。

 

「モコは賢いから平気、モコお手」

 

『お、おう』

 

「ねっ猫又かい?」

 

言われるがままにお手をすると、おばあさんは目を丸くして驚いた。

・・・妖怪呼ばわりされてしまったな。

 

その後は麻子とおばあさんが学園艦や俺のことを話題にしながらも

時折口喧嘩していたがこれが彼女らの日常なのだろう。

 

つもる話は尚も続き、午後五時を知らせるチャイムがなるまで話は途切れなかった。

 

「おばあ・・・死んだら電話しろよ」

 

「死んだら電話できないだろ!ったく口の減らないクソガキだよ・・・」

 

「じゃあ行ってきます」

 

「ちゃんと勉強すんだよ・・・突っ立ってないでさっさ行きな」

 

 

最後の最後まで口喧嘩を止めない二人に辟易する。

 

やりとりに満足したのか、麻子は何時になく機嫌良さげに学園艦に向かうバスに乗り込んだ。

ケージから覗くと麻子が笑っているのが分かった。

 

『麻子のおばあさんは元気だな』

 

「うん元気」

 

そう答えた麻子は窓辺に頬杖を着くと寝入ってしまう。

 

既に日が傾き、学園艦が夕日に染まっている。

俺たちの乗るバスは学園艦に吸い込まれていった。




今更ですが今日最終章2話見てきました
爆音上映っていいものですね
内容的にはコアラの言ってること分かる人間がいて驚きました
なんか麻子以外にも猫の言葉が分かる奴がいてもいい気がしてきました
あと押田と安藤の嫌味合戦もいい感じでした
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