転生したら紅世の王   作:シニカケキャスター

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第22話 王手

 ティア、ノトブルガ、メルセデスの3人は、『輝爍の撒き手』レベッカ・リード、『儀装の駆り手』カムシン・ネブハーウ、『震威の結い手』ゾフィー・サバリッシュとともに香港空港に来ていた。

 

「負けちゃったなー。」

 

『生きてるだけマシじゃない?』

 

「そうだよ!メリーが死んだら悲しいよ!」

 

「まだまだいっしょにやりたいことがあるんだから!」

 

 女が3人集まれば姦しいとはよく言ったものだ。

 

「あらあら。」

 

『仲が良いですな、この3人は。』

 

『ふむ、良いことじゃ。』

 

『気落ちしているのよりは、はるかにマシだよ。』

 

 まったくもってその通りだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 シャナの作戦を聞いた3人は、空港のラウンジに集まっていた。

 

『やっぱり行くの?』

 

 メルセデス・クリストの契約者、“麗鱗の蛟”デイビーが問う。

 

「もちろん!」

 

「一発殴ってやらなきゃ気が済まないわ。」

 

「良い作戦だと思うし、参加しない道理はないよー。」

 

「フレイムヘイズの使命だのなんだのは私たちには関係ないし!」

 

「私はそもそもフレイムヘイズじゃないしね。」

 

 ノトブルガは契約した直後に復讐するべき相手を討滅した。メルセデスは教授によって契約させられた、所謂造られたフレイムヘイズなのだ。

 

「育ての親でも手加減しないから!」

 

「全部終わったら責任とってもらうんだから!」

 

『ふふふ、そうね。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「徒たちの楽園、『無何有鏡(ザナドゥ)』創造の儀式は日本…か。」

 

 やはり日本の御崎市で行う様だ。フレイムヘイズたちも焦ることだろう。実際日本の空港への攻撃が止まない状態だ。まったくもってナンセンスだ。まるでテロだ。そんなことをしたところで、徒の集結を止めることはできないというのに。

 

「はあ、面倒だ。」

 

 また三人娘と戦うことになるだろう。きっと対策を立ててくる。俺に似て狡猾になったもんだな。何をしてくるかはわからないが、こちらも策を立てておこう。どちらの策が上回るか、見ものだな。

 

「子どもの成長を喜ぶべきか、戦うことを嘆くべきか。」

 

 どちらがいいかなんてわかりゃしない。俺はその答えがわかるようなご立派な人間じゃない。俺の出せる答えはただ一つ。

 

「迎え撃つしかあるまいよ。」

 

 勧善懲悪という言葉があるが、俺は悪の類するのだろう。悪はいつだって倒される存在だ。

 

「倒されるのなら、それまで派手に暴れてやろうじゃないか!」

 

 どうせ死ぬならば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「シャナさん、ニューヨークは初めてなんですか?」

 

 『極光の射手』キアラ・トスカナが沈黙に耐えかね、話しかける。

 

「うん、アメリカには何度も来たけど。」

 

 シャナが神妙な面持ちで答える。二人の会話はこれで終わり、再び沈黙する。

 

「も〜、そんな顔しない!スマイルスマイル〜♪」

 

『そうよ!せっかくこんなにかわいいんだから笑顔の方がいいわよ!笑顔が一番!』

 

「むにゅうぅ…。」

 

 近付いてきた『水理の開き手』メルセデス・クリストとその契約者“麗鱗の蛟”デイビーが話しかけ、シャナの顔をその手でもてあそぶ。

 

「うふふふふ〜♪」

 

『うふふ、照れちゃっても〜!かわいいわね〜ほんと!』

 

「アイス買ってきたよーって何してるの?」

 

「シャナちゃんがひどい顔してたからさ〜。」

 

『そうなのよ、神妙な顔しちゃってさ。』

 

「だって…。」

 

「ほらシャナちゃん、アイスいっしょにたべよ?」

 

「うん!」

 

 やはり食べ物は偉大である。

 

「おいしい!」

 

 たかがアイス、されどアイス。甘いもの好きなシャナの顔に笑顔が戻った。

 

『アイスクリームひとつで可愛くなっちゃってさ。』

 

『天罰神じゃなくて天使の契約者みたいね。』

 

『ほんとそうね、やっぱり笑顔が一番よ!』

 

 キアラの契約者、“破暁の先駆”ウートレンニャヤと“夕暮の後塵”ヴェチェールニャヤの言葉に同意する。

 

「売店で買ってきた甲斐があったわ。」

 

「ほんとそうね。おいしいおいしい♪」

 

 シャナの笑顔はその場重いの雰囲気を変えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 おもしろそうだといってはみたが、俺としては『無何有鏡(ザナドゥ)』に興味が無い。もちろん、できたらできたで行くのだが、どうにも踏ん切りがつかないように感じる。いっそのこと三人娘に討滅されようかと思ったが、全力で戦う俺をあの3人が倒せるか怪しいところだ。そもそも俺はかなり強大な紅世の王だ。自在師殺しといえる自在法、『悪食』をはじめとして、索敵や撹乱に使える『帥蜂』や『帥鴉』、物理的な防御力と破壊力を持つ『長城』、さらに転移や幻術も使えるなど、割と隙がない。俺もビックリだよ。いつからこんなに強くなってたんだろう。おまけに往生際が悪いし、敵対したらかなり厄介だ。まあ厄介なだけで逃げようと思えば逃げられるし、“千変”シュドナイみたいに無双なんてできはしないが。

 

「こんなんで大丈夫なのか?」

 

 倒されはしないだろうが、勝てるかどうか怪しい戦に身を投じる羽目になるな…。

 

 

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