転生したら紅世の王   作:シニカケキャスター

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第23話 新世界へ

 ここ御崎市にて、楽園『無何有鏡』の創造が行われる。それに合わせて無数の徒が各地より集まってきた。

 

「すごい光景だな。」

 

 その光景は圧巻の一言。だがそんな思いもすぐに打ち破られた。『大地の四神』の襲来である。と、いうことは…。

 

「はァァッ!」

 

 青い立方体に捕まってしまった。

 

「それー!」

 

「でやァァァ!」

 

 水の槍と薄紅色の炎弾が襲いかかった。

 

「全く、痛いじゃないか。」

 

 もっとも、これで死ぬほどヤワじゃない。五体満足で爆煙から姿をあらわす。

 

「そのくらいわかってるわよ!」

 

「一体何年一緒にいたと思ってるんですか!?」

 

 300年以上だな。ノトブルガに関しては600年ぐらいか。

 

「せやッ!」

 

 ノトブルガが鉤爪で引き裂きにかかる。だがこのくらい予想済みだ。

 

「ゆけ、蜂よ。」

 

 『帥蜂』を使い、軌道をそらして回避する。

 

「そりゃー!!」

 

 メルセデスが水の巨大な槍を音すら置き去りにするほどの速さで放つ。

 

「グゥッ!?」

 

 とっさに『長城』を展開するも、威力を殺しきれずに左半身を抉られてしまった。あの大きさをあの速さで作り上げるとは恐れ入ったよ。もっともこの程度の損害じゃ、戦闘不能にはならないが。

 

「お返しだ!」

 

 『長城』で八つの塔を作り出し、放つ。ちゃんと爆発するようにしている。

 

「だあああああ!!」

 

 メルセデスが巨大な水の玉を作り出し、俺ごと塔を捕らえる。ほんとどうなってるんだろうね、君。

 

「「どりゃぁぁぁぁ!!」」

 

 ノトブルガとティアが巨大な…否、特大の炎弾を放つ。水に捕らわれた俺は、それを甘んじて受けることになった。

 

「うおおおおおお!?」

 

 ははは、痛いじゃないか。おかげさまで全身ボロボロだよ。こんなにたくましくなっちゃって、お父さん嬉しいよ。

 

「いい一撃だったが、俺を討滅するには至らない!」

 

 即座に身体を修復する。これで無傷だ。

 

「あれだけ食らってもまだ…!」

 

「メリー!」

 

「了解よー!」

 

『いっそ清々しいまでにね!』

 

 メルセデスが巨大な水の玉を複数作り出す。やっぱり速い。『長城』で防御しようが結局捕まる。

 

「うん?」

 

 俺を捕らえた水の中に、三人娘が突入する。さては水の抵抗を軽減する自在法を開発したな。水中でうまく動けない俺を高い機動性で叩くつもりだろう。早急に対応できる自在式を作らねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「グハッ!」

 

 『真宰社』に叩きつけられてしまった。ああ、背中が痛い。とか言いつつ全然痛くないから動ける。なんなんだろうね。

 

「まだ、動けるの…!?」

 

「そういうそっちは息が上がってるみたいだが?」

 

 無尽蔵にある存在の力のせいだな、これは。ほんとどんだけ持ってるんだよ、俺。

 

「それにしても、俺の『悪食』を封じる自在法を作るとはな。」

 

 ビックリしたよ。数百年かけて作り出したはずなのに。

 

「まあ、ずっと使い続けてたからなあ…。」

 

 破られても仕方ないか…。リャナンシーあたりが一枚噛んでるのかもしれないが。

 

「だがその程度では、俺を討滅できんぞ。」

 

 『帥蜂』を使い無数の蜂を差し向け、『長城』で城壁を築き防御を固める。

 

「こっちだって、まだまだいくよ!」

 

 それでこそ俺が育てた子だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『求めよ、新たな有り様を。』

 

 『両界の嗣子』の存在を告げる神託が下り、『無何有鏡(ザナドゥ)』の創造が始まる。

 

「それでいい、か…。」

 

 しかし、『無何有鏡(ザナドゥ)』を創造する際にフレイムヘイズが改変した式がそのままになった。

 

「よかったな。お前たちの足掻きも無駄ではなかったようだ。」

 

 三人娘からの返答はなく、代わりに徒たちの歓声が聞こえる。

 

『喜べフレイムヘイズ!』

 

 “祭礼の蛇”が告げる。

 

「喜べって…。」

 

「これ結果オーライなんだけどね。」

 

「素直に喜べよ、結果オーライとはいえ使命は果たされたんだから。」

 

 真面目な奴らだよ、まったく。

 

「さてと、お前たちはこれからどうするんだ?新世界に渡るのか?」

 

「そんなの決まってる!」

 

「もちろんいきますよ!」

 

「あっちの世界にも興味あるしね〜。」

 

「そうかい。」

 

 じゃあ俺も行こうかな。

 

「でもまだやるべきことが残ってる。」

 

「やるべきこと?」

 

 一体なんのことだろう。

 

「お父さんと決着をつけるわ!」

 

「うやむやで終わらせたりしません!」

 

「逃げちゃダメだよ〜?」

 

 まじかよ、おい。

 

「わかったよ!」

 

 致し方ない、全力でいこうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「このあたりでいいか。」

 

 俺たちは真南川まで移動してきた。ここなら俺が巨体を晒しても、問題はないだろう。

 

「さあ、決着をつけようか!」

 

 久々に人化を解く。一体何千年振りになるのだろうか。

 

『グオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

 俺は八つの首を持ち、黒紅色の濃霧に包まれた、全長200メートルほどの大蛇となる。

 

「なんて大きさ…!」

 

『これはちょっとまずいんじゃない!?』

 

 大いに驚いてくれたようだ。出し惜しめば、死だ。

 

『グオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

 八つの首から黒紅色の光線を放つ。川が裂け、底が露わになる。

 

「この!」

 

 その威力に戦慄したノトブルガが炎弾を放つも今の俺に効果はない。『仮装舞踏会(バル・マスケ)』所属の紅世の王、“淼渺吏”デカラビア独自の自在法『プロビデンス』を再現し、全身の鱗を転移の自在法の触媒として機能させているのだ。まあそうは言っても十分ほどしか使えない劣化物だが。

 

「こっちの攻撃は効かないし、あっちの攻撃は食らったら終わり。こんなのどうやって勝つのよ!?」

 

 勝ち方自体は結構有るんだけどね。

 

『ガアアアアアアアアア!!』

 

 だがまあ、負けてやるつもりなどさらさらない。全て吹き飛ばしてくれようぞ。大口を開け、そんな風に咆える。

 

「やあああああ!!」

 

 大きく開かれた俺の口にメルセデスが水を注ぎ込む。

 

『ゴボボォォ!?』

 

 視界がクラクラする。何を飲ませた?酒か?そうだったらまさしくヤマタノオロチ退治だな。俺は退治される側、三人娘が退治する側。なんともまあ。

 

「どう?この水。酩酊状態にする自在法を組み込んだのよ〜。」

 

 ガチのヤマタノオロチ退治じゃないか!クソが!生贄すらいないだろうが!なんだってんだよ!

 

「それにもう一つ仕掛けてるのよ〜?」

 

『グオオ!?』

 

 痛みが俺の体を貫く。中から。さては体内に入った水で攻撃したな?体の中から攻撃されたらたまらない。内部まで鱗がないため転移出来ずダメージが入る。

 

『グオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

 だがこの程度では倒れない。この巨体は飾りではないのだ。お返しとばかりに大量に黒紅色の炎を吐く。

 

「くっ!」

 

 ティアが『清なる棺』を展開するも、防御しきれず左足を負傷する。

 

「そりゃあああああ!!」

 

 ノトブルガが俺の目を狙って炎弾を放つが、これくらいのことは予想済みだ。ほかの首で目を庇い、受け止めた。メルセデスはまたしても大きく開かれた俺の口に水を注ごうとする。だが俺には同じ手は二度も通じない。そのまま黒紅色の炎で押し返した。

 

「さすがに強いわね…。」

 

 ティアに冷や汗が伝う。そりゃそうだろうよ、お前を産んだの実質この俺だし。簡単に父親が負けてたまるかというものだ。

 

『ガアアアアアアアアア!』

 

 俺はまたしても炎を吐く。もう少しこう言った系統の攻撃を練習しておくべきだったか。まあ攻撃範囲が広いから、結構当たるんだけどね。それに一応牽制にもなるし。

 

「じゃあこれはどう!?」

 

 『清なる棺』が俺の頭の一つを捕らえ、押し潰した。えげつないな、おい。劣化『プロビデンス』でも受け流せなかった。これはまずいぞ、俺。

 

「もう一度!」

 

 さすがにもう一度は嫌だ。妨害するため、残った7つの首全てから炎弾を放つ。

 

「やらせない!」

 

 ノトブルガが巨大な炎弾を放ち、打ち消し、メルセデスが水を盾にして炎弾を受け止めた。そして俺の首がまた一つ潰されてしまった。

 

『グオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

 そろそろ劣化『プロビデンス』の効果も消える。一気に片をつけなければならない。最初の一撃に匹敵する光線を放つため、大口を開ける。

 

「ここだ!」

 

 なんとノトブルガが口の中に入ってきた。その直後に首が薄紅色の爆発を起こし、吹き飛んだ。爆炎の中からところどころ焦げたノトブルガが出てきた。なるほど、これが狙いか。まずいな。

 

「あと五つ!」

 

 ティアが『清なる棺』でまたしても首を潰した。そしてちょうど今劣化『プロビデンス』の効果がきれた。

 

「せいや!」

 

 メルセデスの水の刃が俺の首を斬り落とし、残る首は一つとなってしまった。だがただで倒れるつもりはない。

 

『グオオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

 俺は全身全霊の炎弾をティアに向けて放つ。

 

「やああああああああああ!!!」

 

 一方のティアも全力で炎弾を放つ。

 

 青色の光と黒紅色の光が鬩ぎ合う。だがその拮抗も長くは続かなかった。黒紅色は、青色の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あれ、生きてる?」

 

 てっきりあの一撃で討滅されたと思ったよ。てゆーかなんで人化した状態になってるの?まあ人化してないと『因果の殄滅』の効果がないんだけどさ。

 

「おはよう、お父さん。」

 

 俺の目に映ったのはティアだ、なぜここにいる?

 

「なんでって、みんなお父さんが起きるまで待ってたんだよ?」

 

「みんなって、ノトブルガとメルセデスもか?」

 

「そうだよ!」

 

 おう、なんでこんなことに…。

 

「ほらローさん、立ってくださいよ。私にお姫様抱っこされたいんですか?」

 

「魅力的な提案だな。だが断る!」

 

 嫌だね、絶対。俺の尊厳がズタズタになっちゃう。

 

「あ、忘れてた!」

 

「何を忘れたんだ?」

 

「お父さん、殴られて!」

 

「ええ!?」

 

「せいっ!」

 

「ぐえっ!!」

 

 みぞおちに!?潰れたヒキガエルみたいな声が出たよ!

 

「はい、これでいい!お父さんがやったこと全部これでチャラ!許すよ!」

 

「ええ?」

 

 超展開についていけないです!なにコレェ!

 

「許されちゃうの、俺?」

 

「まあほかのフレイムヘイズが許さないかもしれないけど、それでも私は許すから。」

 

「いやいや、俺ある意味全ての元凶だよ?そんな極悪人許しちゃうのか?」

 

「だから許すっていってるでしょ?」

 

 なんていい子なんでしょう。ノトブルガの教育がしっかりしてたからかな?それともアシズの優しさを受け継いだからなのか?何方にしても俺みたいなのを許すなんて心が広いどころじゃない。

 

「だからほら、一緒に行こ?」

 

 ティアに手を引かれる。

 

「はいはい、わかったよ。拒否権ないみたいだし。」

 

「はい、は一回!それにみたいじゃなくてほんとにないから。」

 

「ははは…。」

 

 笑うしかないね。

 

「いざ、新世界へ!」

 

 こんな締まらない旅立ちが、かつてあっただろうか、いやない。

 

「レッツゴー!」

 

「いくぞー!」

 

「ほんと緊張感ないな、お前ら。」

 

「じゃあ先に行って、はい!」

 

 三人娘に突き飛ばされた。

 

「うおわ、覚えてろよおおおおお!?」

 

 俺たちは斯くして、新世界『無何有鏡(ザナドゥ)』へと旅立った。

 

 

 

 

 

 




一応本編完結!締まらない!
番外編や続編は気が向いたら投稿しようと思います。
読んでいただきありがとうございした!そしてこれからもよろしくおねがいします!
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