彼「キャンディー?」
一「八つ橋!一回食べた事ある!」
弾「ん?カラ●ーチョ」
凰「え?チョコレートかな」
千「和菓子全般が好きだ」
完
此【ちなみに俺はせんべいです】
熱い。
蒸し変えるような熱さだ、まあこんな時期に密閉された倉庫にいるんだ蒸し暑いのは当たり前だ。
でも何だ?この匂い?
体中から臭う、ぬるっとした鉄臭い匂い。
ああ、邪魔くさい体にまとわりつくな。
あれ?一夏だ、一夏が縛られてる?
またハプニングに巻き込まれたの?しょうがないなー。
「――!――――!」
はは、口塞がれてるのになんか叫んでる、全然聞こえないや。
しょうがない、今ほどいてあげるから。
ん?体が重い、思うように動かせない、邪魔だな。
あれ?どうして僕、鉄パイプなんて握ってるんだろ?
「おい」
うるさいなー、誰?
「え?」
「お前一体なにもんだ?」
ISだ、それも日本の打鉄。
わー、凄いこんな近くで見たのなんて初めてだ。
でも邪魔だよ、僕は今一夏の所に行かなきゃなんだから。
「おい、聞いてんのか?たく、しょうがねえな」
そう言ってISから降りるお姉さん、ふんわりした髪のロングヘアーの人。
とっても綺麗な人。
でも邪魔だ、僕の肩を掴んできたから肩を揺らして振りほどく。
「あ?こいつ意識はあんのかよ?おい!」
いきなり蹴られた、痛い。
思うように体が上がらない。
ああ、邪魔だ。
「し――」
「あ?」
邪魔だ、体にまとわりつく匂いも思うように動けない体も。
それによく見たら大人が二人倒れてる、歩くのに邪魔だな、ただでさえ歩きにくいのに。
邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ邪魔だ。
それに何より。
「もしもーし!聞こえませんよー!オラ!もっと大き声で喋れよ!」
このお姉さんが一番邪魔だ。
この頭につんざく声よりも。
【彼方!おい!しっかりしろ!目を覚ませ!おい!】
「しねよ」
邪魔だ。
――――――――――――――
【おい!彼方!聞いてんのか?】
「へ?」
此方の声でボーッとしていた意識をしっかりさせる。
【たく、サッサと飲みもん買ってこうぜ。一夏待ちくたびれてるだろ?】
そう言う彼方の声でスタジアムにある購買で飲み物のメニュー表を見る。
オススメ欄にある子供が飲めそうなのはぶどうのフレッシュジュースとシュペッシィの二つだけど。
(どっちがいいか……よし!)
「あ、すいませーん!ぶどうのフレッシュジュース二つくださーい」
「あいよ!5ユーロになるね!ハイお待たせ!あんたドイツ語うまいね!ほら!シュネーバルも持って行きな!」
「わ!
「いい子だ!楽しんできな!」
そう言って僕に砂糖をまぶした真っ白いシュネーバルを紙袋に入れてくれたおばちゃんに代金を払って手を振りながら一夏のいる席まで駆け足で向かう。
ちなみに僕は今、モンドグロッソの会場にいる。
【ホント山田さんには助かったな】
(そうだねー)
モンドグロッソの招待券は確保するのはどんな人でも一枚が限度らしい。
それは初代モンドグロッソ優勝者、
僕らが中学二年生になったお祝いをしようとしていたちふ姉は僕と一夏どちらかにしか招待券を渡せない事を知って顔を真っ青にしながら悩んでいたのを覚えている。
そんな時ちふ姉と同じ日本代表候補の山田さん?にそれを相談したら山田さんの招待券を譲ってくれたらしい。
本当にありがたい、女神様のような人だ。
(山田さん!ありがとう!)
「おい彼方!遅かったな!」
「ごめんごめん!はい、ジュースとお菓子、」
「サンキュ!これなに?」
「ん?シュネーバル」
「いや、シュネーバルってなに?」
「まあ良いから食べなさい」
「ふむぐ!?ん?んむんむ…美味い」
「ああそうなんだ、じゃあ僕も食べよ」
「おい!?」
まそうこうしながら一夏と笑っていた、その時までは。
でもそのちょっと後、一夏がトイレに行くって言うから一緒に行くことにした。
「じゃあ僕外で待ってるよ?」
「おう」
そうして待ちながらバックに入れたリングボックスを取り出す。
Licht&Schattenって掘られているリングボックス。
昔、僕がまだこっちにいた時ラウラと買った指輪、日本に行く時ロビーさんに渡されたラウラの分、黒い指輪も入っている。
今まではあの時のことを思い出して悲しくなるからずっと机の奥にしまっていた大切な思い出。
でもドイツに行ってもしかしたらラウラに会えるかもしれない。
ロビーさんが言っていたまた会えるって言葉を信じて持って来た大切な、大事な宝物。
それをいじりながら一夏が出てくるのを待っていると通路の向こうから一人、一際目立つ女性が歩いてきた。
服装はドイツの軍服、頭には軍帽をかぶり左眼に眼帯をした美人さんだ。
「ええ、分かっています。今回の大会の警護はお任せを。はい、はい。了解しました後で伝えておきます」
電話をしながら歩いてくる彼女と少し目が合い会釈する。
それに気づいてニコッと笑顔で返してきた。
【すんげー美人さん】
「お待たせ!どうした?」
「うんん、じゃあ行こっかもうちょっとで始まるよ」
「おう!」
少し熱くなった顔を気にしながら席に戻ろうとした瞬間、僕は後ろからなにか注射のようなものを首に押し付けられて意識を失った――
――――――――――――――
「ん?」
『どうした』
「いえ、何でも。では警備の方に戻ります」
『了解した、今回そちらに君たちの所に“出来損ない”を置いておく。好きに使うがいいさ』
「彼女ですか……了解しました。では失礼します」
『ああ、くれぐれも彼女を壊さないように。君たちよりも国税が多く使われている、“出来損ない”でもな』
「……了解しました、失礼します」
そう言って私は電話を切る。
ああ憂鬱、宿所に帰りたい、帰って――
「漫画読みたい……」
――――――――――――――
頭がグラグラする体が縛られて上手く動けない、目も縛られてる。
でもなにか、誰かの話し声が聞こえる、ドイツ語でなにか言っている。
「マジで楽な仕事だったな!こんなガキ一人さらうだけであんな大金が手に入るなんてよ!」
「無駄口を叩くな、仕事はまだ終わってないんだぞ。それにお前、もう一人さらってきたこの小僧は一体なんだ?」
頭を棒のような何かで押されるような感触。
少し痛い。
「あ?ああ、そのガキは目標のガキの近くにずっといたからよ。持って来た」
「おいおい?持ってきたってこの小僧はどうするんだ?計画にはないぞ?」
「おいおい!馬鹿言うなよ!モンドグロッソに来てるようなガキだ!きっと良いトコの坊ちゃんだぜ!もしあっちが断ったらこっちでコイツもらって親から身代金でももらおうぜ!」
「たく、お前は。変にセコイと言うか何と言うか……ん?小僧起きてないか?」
「あ?しょうがねえなぁ、もう一回打っとくか」
その声の直後、また首に注射のような感触の物を押し付けられて意識を失った――
――――――――――――――
【起きろ!おい!彼方!】
此方の声が聞こえる、縛られていた目はいつの間にかほどかれていた。
(此方、これって)
【ああ、糞!
「おい!ほどけよ!クソ!」
「おい!ジッとしてろ暴れんなよクソガキ!」
聞き慣れた大声にその方を向くと一夏が僕と同じように縛られて大声で叫んでいる。
それに作業服を着た鼻にピアスした人と、同じ服を着た髪が胸元にまである髪を後ろに束ねた男の二人が暴れる一夏をおさえていた。
「たく、おい。コイツの口も塞いどけ」
「ああ、オラ!糞ガキ暴れんな!」
「―!――!」
「チッ!だからウルセーんだよ!」
口を縛られても暴れるのをやめない一夏にいらだちを覚えて鼻ピアスが腕を振り上げようとする。
「やめろ」
そう言ってもう一人の相棒らしき男が制止する。
「クソ!」
「しょうがないだろ、雇い主の契約は絶対だ。覚えてるか?」
「分かってる!ああクソ!」
近くにあったドラム缶を蹴り上げ激昂する鼻ピアス。
(でもどうして?僕らを誘拐したって良いことなんて)
【嫌、あるぞ。俺らはともかく一夏は、な】
(一夏?)
【ああ、アイツは自覚が無いかもしれねえがモンドグロッソの最優勝候補、現ブリュンヒルデ織斑千冬の実弟、利用価値はかなりだ。まあ俺らも価値が無いといえば嘘にはなるが……】
(……逃げないと)
【変なことを考えてんじゃねえぞ。今まで喧嘩してきた奴らと一緒にすんな、口ぶりから結構場数を踏んでんのは分かってんだ。絶対変なことすんなよ……】
(う、うん)
そうは言うけど今の状況はかなりヤバイ、場所はどこかの倉庫?ぽいけど。
一か八かやってみる?此方はよせって言ってるけど……
今のままだと一夏も僕も無事かどうかなんて分からないんだから。
「え?あ、あれ?ここどこ?」
「ん?ああ目が覚めたのか」
「ひ!あ、あのここはどこですか?」
「ああ、ドイツ語喋れるのか。君には悪いがさらわせてもらったよ。悪いね?」
そう言って少しバツの悪そうな顔をする落ち着いた男の人。
あの気が荒れてる人が引っかからなくて良かった、何をされるか分かったもんじゃない。
少し深呼吸してまさに今、目が覚めた被害者の男の子を演じて。
【彼方!お前聞いてなかったのかよ!?ああ!糞が!どうなっても知らねえぞ!】
(でも何もしなかったら助かる見込みなんて無いんだ!ならこの状況は自分で何とかしなきゃ!)
【――!ああもう!この分からず屋!】
「え?あ、あのちょっとトイレに……」
「あー。ここでさせる訳にはいかないし、約束の時間までもうちょっとだけどなー。分かった、おい!この子外まで連れて行け」
「あ?俺が?たく、しょうがねえなあ」
ため息をつきながら鼻ピアスが近づいてくる。
手には包丁ぐらいの大きさのナイフを持って。
「動くんじゃねえぞ」
「おい!先に目隠し!」
「えー?別にいいだろ抵抗されたって大丈夫、大丈夫」
そう言ってその手に持ったナイフで足を縛っていた縄を切ろうとする。
【最後の忠告だ、馬鹿な真似はよせ。下手したら死ぬぞ!】
(……)
「ん!固!おい!今度は手錠にしね?これやりづらい」
「あ?ああ、まあ報酬もらったらな」
その言葉にうなずいて、鼻ピアスは足の縄をナイフで乱暴に引きちぎる。
「おし!おら、動くんじゃねえぞ?」
そう言ってポケットから多分目隠し用の布を取り出そうとする。
それも油断して。
(ごめん此方)
「は?」
「ん?おい?」
僕はすぐに立ち上がって屈んでいた鼻ピアスのナイフを握った手を思いっきり踏みつける。
手の骨が折れろと思いながら力強く。
「――!がぁああ!」
何かが折れるような音が鳴った倉庫に鼻ピアスの悲痛な叫び声が響く。
さっきまで握っていたナイフを僕の足元に落として。
「マルク!小僧!」
そう言って拳銃を取り出そうとするさっきまで落ち着いていた雰囲気を一変させる男に振り下ろすようにしてナイフを投げつける。
ナイフは両手がしばられ投げ方が悪かったのか回転しながら飛んでいく。
それに合わせて僕も男の方に走る。
【彼方?】
「ぁが!?」
回転したナイフは運良く男の右肩に突き刺さる、拳銃を持っていない手を。
そうして銃を打つのをやめ銃を持った左手で右肩を押さえるような動きをする。
(どうしたの?)
「は!」
その左手ごと両手で殴りつける、右肩に刺さったナイフの握り目掛けて。
まるで釘を打ち付けるように。
「――!あ!つぅぁあ!」
更に深く突き刺さるナイフの衝撃で仰向けになる男、そこに馬乗りになる。
そうして右肩に刺さったナイフを引っこ抜く。
まっすぐ直線に抜くんじゃなくて切っ先の方向に。
【通り魔の時から思ってたんだ、お前いつからこんな事が出来るようになった?】
ちょっと筋みたいのが引っかかって抜きにくかったけどなんとかナイフを引き抜いて。
そのナイフをまっすぐ、押し付けるようにして男の首に深く刺してすぐにナイフを抜く。
「か!?はふょ!?あ?ごは!?」
口と喉、
倉庫の中は蒸し変えるような血の匂いが広がっているのなんてお構いなしに。
【どうしてお前はこんな状況でそんな冷静でいられんだよ!?】
「このクソガキがぁああああああああ!」
瞬間、背中の首筋に鈍い衝撃を受けて血だまりの中に倒れた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回、次々回で一応は中学校編は終了になる予定です。
本編開始までもう少し、お待ち頂けると幸いです。
ちなみに作中に出てきたシュネーバルはドイツのお菓子で
ちなみにネットで探せば日本で買えるものや作り方が簡単に探せますので気になった方はどうぞ。
それとシュペッシィはコーラとオレンジジュースを混ぜたものになっています。
それとR-18ですが小説をオリジナルで投稿させていただきましたので興味がありましたらご覧下さい。
では皆々様
待てしかして希望せよ