IS ~彼岸花の思い鈴蘭の如く~   作:まうす〜

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《注意!》
今回の話は番外編になりますのでこのお話から読むことをあまり推奨はしません。

以上


番外1話《とある部隊のお仕事》

《作戦内容》

日本に輸入船にて不法入国しようとする者の調査、目的の確認。全て済み次第対象を無力化されたし。

その際に前日渡したプロトモデルを使用し実戦データの収集の実行。

起動キーは前日の通りに。

《注意》

輸送船内にて複数のISコアの反応を確認。

ISとの戦闘も考慮した作戦を。

先日渡したプロトモデルの最大稼働時間は5分ほど、注意して使用をお願いする。

 

以上

 

――――――――――――――

 

 

「全く、社長も人使いが荒い」

 

 深夜、潮の香りが漂う海岸に隣接するコンテナターミナル、月が雲で隠れ暗闇に包まれている中ターミナル内は照明灯の明かりで照らされている。

 ターミナル内、一際多く積み重なったコンテナタワーの上では複数の人影が周りには見えないようにして立っていた。

 服装は全員黒の戦闘服、分かるものが見ればSWATなどの特殊部隊が着るミリタリーアーマーを身に付ける3人の影。

 

「マアマア隊長サン。あの人ノ人使いノ荒さ加減にはもう馴れたデショ?」

 

 そう言って先程から腕時計型のデバイスを弄ってため息をつく隊長と呼ばれた人物に日本語が少しおかしいスキンヘッドの北欧系の顔立ちの男が双眼鏡を覗きながらなだめる。

 

「もう。潮で髪が傷んじゃいそう!早く終わらましょ!そうだ、隊長~これ終わったら〜、ギュ〜って抱いてくださいよ~」

 

 そう言いながら自身の短髪を撫でる金髪の女性、幼さを残す瞳に相反して妖艶(ようえん)に微笑む口、それを(いろど)る様な口元のホクロと服の上からでも分かるプロモーションが彼女を引き立てる。

 そんな彼女の言葉に先程から隊長と言われた人物は。

 

「はいはい了解ですよーっと。返信完了っと。プロト3私語は慎め、さあもう少しで作戦開始だプロト2現在の状況報告を頼む」

 

 そう言った瞬間、プロト2と呼ばれたスキンヘッドの男とプロト3と呼ばれた金髪の女性は顔を引き締め雰囲気を一変させる。

 

「了解でス。今現在事前ノ情報にあっタ輸送船を確認。次々とコンテナを下ろしていマス、そこで作業を行っている銃火器ヲ携帯したクルー18人程確認しましタ。全員サプレッサーを付けていまス。更には」

「その先は私が。更に2人のIS用ウェアを着た女性を視認、ISの種類は展開しなければ確認できませんが恐らく第二世代だと思われます。兵装も恐らく今回の件を大きく露見するのを恐れている事から消音(しょうおん)装置付きの銃火器、もしくは近接武器がメインかと」

「オッケーオッケー。じゃあ今現在確認されてるのは18人の銃火器を武装したクルーと2人のISパイロットだな。ほんじゃまあ、〇一三〇(マルヒトサンマル)に作戦を開始する。プロト2は引き続き高所からの偵察と目標の動きを随時報告などの後方支援。作戦終了次第合流地点に。位置が特定された場合、現地点を放棄し合流地点に。プロト3は僕と一緒に行動を、船に近づき次第船内に潜入、入国者の目的を調査。分かり次第プロト2と同じく合流地点に。僕、プロト1は実戦データの収集と陽動担当する……プロト4は?」

「アー、隊長。プロト4は車に乗せたままですネ。彼女は今回の保険デスシ」

「ああ、そういやそうだった。たく、僕らの部隊唯一のISが爆撃型とかマジで開発部の奴ら何考えてるんだか。僕らが(おおやけ)に出れないことぐらい知ってるはずなんだけどね?」

「隊長~。あの人たちはそんな事考えてないと思いますよ?ただ作りたい物を作る〜。それがあの人たちの行動理念ですし」

「ああ、糞。時間だ、じゃあそれ以外はいつも通りで作戦開始ー」

「了解デス」

「了解~」

 

 そう言って隊長とプロト3は足元に置いてあった専用デバイスを搭載した黒いフルフェイスタイプのヘルメットを被り1人を残して飛び降りる。

 ビルで言うと8階位の高さのコンテナタワー、普通の人間では運が良くても悪くても死んでしまう高さ、そんな高さから飛び降りたのだ。

 

緩衝(かんしょう)装置を作動。マップを表示、データリンク。プロト2、センサーソナー撃て』

 

 飛び降りた2人は無事にほぼ無音(・・)で着地、辺りに蚊の羽音の様な音を一瞬響かせるが気づく人は誰もいない。

 2人のヘルメット内の視界、右端にターミナル内の地図が表示され自身と仲間の現在地が表示される。

 

『了解』

 

 2人のヘルメットに搭載されたインカムから隊長の言葉にプロト2は脇に置いてあったクロスボウに矢尻がT字になっているカーボンの矢を装填、射出、対象の輸送船から下ろされたコンテナに張り付く。

 その瞬間、人では認識できない程の音波が発生。

 それによって先程表示した地図内にコンテナ以外の動く人間程の大きさのモノが動く赤い斑点で表示された。

 

『よし。人数はさっきと変わらず、プロト3付いて来い。効果は30秒だけだ』

『了解~』

 

 そう言って2人は走り出す。

 地図で表示される動く赤い斑点を避けながら走る。

 そうして瞬く間に輸送船の船首(せんしゅ)にたどり着く。

 

『隊長、センサーソナー切れまス』

『分かった。じゃあ頼むぞ』

『ラジャー』

 

 そう言ってプロト3は腰のホルスターからハンドガンを取り出しそれを舳先(へきさ)に向けトリガーを引いて発砲、テープを巻き戻すような音を僅かに出しながら先のとんがったワイヤーを射出する。

 ワイヤー先端が舳先に刺さり刺さった先から返しが展開、ワイヤーを軽く引きしっかり引っかかっている事を確認するともう一度トリガーを引く、その瞬間刺さった部分に引っ張られる様にしてプロト3を船上に連れて行った。

 

『プロト3潜入成功。状況を開始します』

『了解。マップの表示を解除、プロト1これより――』

 

 そう言って隊長と呼ばれた男は先程からはめていた黒いグローブを更にキツくはめ直し。

 

『陽動を開始する』

 

――――――――――――――

 

 謎の3人組+αの作戦が始まってから約10分、舞台であるコンテナターミナル内は混乱に包まれていた。

 今、輸送船からここに来た不法入国者側にしてみれば恐怖でしかない状況なのだ。

 先程まで後ろを付いて歩いていた仲間が1人1人音も無く消えていく、聞こえるのは無線から一瞬だけ聞こえる仲間たちの苦しむ声や苦痛を感じさせる弱々しい叫び声。

 それが周りを恐怖で支配し判断能力を低下させ次第に彼らを駆り立てられる。

 そうして至る所で気の抜けた炭酸飲料のキャップを開けるような音、サプレッサーを装着した銃器の発砲音を響かせそれが連鎖するように他の仲間も発砲しだす。

 そうしてその音を刈り取る様に次々と発砲音が消え、置き土産のようにして音の発信源だった者の叫び声が響き渡り、彼らの無線機から聞こえる声から2桁いた仲間はもう5、6人程になっていた。

 

「はぁはぁ、どこだ?どこにいる?」

 

 ここにも恐怖に支配されかけている1人の兵士だった者がいる。

 ここに来るまでは意気揚々としていた者だ。

 ここに来るまで仲間たちと談笑していた者だ。

 明確な作戦は告げられずただ輸送船を守る極秘任務だと言われただ職務をまっとうする兵士だ。

 だが彼にここに来るまでにあった自信や気迫は無く握られた自動小銃の銃身は産まれたての子鹿のように震えている。

 無理はない、先程から仲の良かった仲間の苦しむ声やうめき声が聞こえては消え、聞こえては消えの繰り返し、もう無線を壊してしまおうと思う自分がいる。

 だがそれを何とか踏ん張りながら仲間の仇を探す。

 もしかしたら俺の目の前にあるコンテナの上にいるかもしれない、もしかしたらそのコンテナの後ろにいるかもしれない、もしかしたら俺の後ろに?それならすぐ後ろを向いて銃口を向けなきゃいけない、敵は何人だ?俺達は何と戦っている?

 そんな事を考えるうち、大声で叫び弾丸を辺りに撒き散らしたい気持ちを何とか抑えて彼は辺りをくまなく探す。

 

「はぁはぁ、はぁはぁはぁはぁ……」

 

 先程まで聞こえた無数の発砲音は消えコンテナを運ぶ作業音すら聞こえなくなり入港した時同様、波の音だけが辺りを支配していた。

 そんな中、その静寂をかき消すように1つの音が響く。

 

「だ、誰だ?」

 

 それは何かがコンテナを叩いたような音、その音の発信源に彼は視界を集中させる。

 音がしたのは3段程積み重なっているコンテナタワーの3段目のコンテナ、故に彼は気づけなかった。

 自身の視界の外、極限状況の中今まさに自分の目の前、足元にいる真っ黒な影を。

 彼は気付けなかった、その音は影がわざと出した音であることと、その音の正体が一瞬で目の前に文字通り弾き飛んで来た影の音だと言うことにも。

 

「は?」

 

 最後に彼が見たもの真っ黒い影から伸びる大きな黒い(かま)にも見えた脚だった。

 

――――――――――――――

 

 

 作戦開始から15分後。

 

『隊長、対象のISがコンテナかラ出撃しようとしているのヲ確認しまシタ。狙撃しますカ?』

『待て、頼まれていた実戦データを収集する、プロト3状況を報告しろ』

『隊長~、船内の無力化完了。多分対象の目的が書かれたと思われるデータを発見~。今持って行きます』

『了解した、プロト3はそのまま合流地点に迎え。プロト2はそのまま待機、僕のバックアップを頼む』

『『了解』』

『さーてと」

 

 そう言いながら隊長と呼ばれる男は先程までかぶっていたヘルメットを脱ぎ捨てる。

 

「ハロー、言葉通じますか?まあ通じても会話してくれないのは分かってますけどね?一応お聞きしますがあなた方の目的を教えてください。そしてさっさとあなた方の母国に帰って頂きたいんですが……どうでしょう?」

 

 そう言いながら前方を見る、そこには2機の黒く塗装されたIS、第二世代機打鉄が搭乗者を乗せ空に(ただず)んでいる。

 両機ともにカラシニコフ(AK-47)にも似た自動小銃、IS基準で自動小銃ではあるが装甲車や戦車を1 マガジンで破壊する程の威力を有している、それは人間であれば弾丸1発で体は簡単に弾け飛ぶ威力の銃器を両手に2丁、両機合わせて4丁装備し銃口の先にはプロト2が言っていた通りサプレッサーを装着して構える。

 そうして18人の武装した兵士をたった1人で無力化した男に油断している。

 当たり前だ、ISは世界最強の兵器だと認識しているから。

 何の装備も持たないただの男が勝てる訳が無いと。

 

『隊長、あのISハ2週間前、日本ガ中国に輸送した際に行方不明になっていたISデス。つまリ』

「つまりこいつらのISコアを奪った所で問題にはならないと?」

『その通リ』

「了解した」

 

 そう言いおもむろに腰に付けていたポーチの中から銀色の懐中時計の様な物を取り出す。

 

「シミュレーションでしか使った事はないけど、まあ大丈夫かな?じゃあすいませんが」

 

 そう言って隊長と呼ばれた黒髪の男は肉食動物の様に目を尖らせ。

 

「勝たせて頂きます。■■■■■」

 

 その言葉を発した瞬間、男が握り締めていた懐中時計の様な物が(あわ)く銀色に光りだす。

 その瞬間2人のIS乗りは発砲、男を含む足元のコンクリや周りのコンテナごと穿(うがち)尽くした、と思った。

 だが男は無傷でそこに先程と変わらず立っていた、外れた訳ではない何故なら彼の足元のコンクリは砕け散っているのだから。

 

「デッドリーファング」

 

 だがそう思ったものつかの間、2機のISは一瞬でシールドエネルギーを0にする程の強い衝撃を感じながら絶対防御を発動し救命領域対応で昏睡(こんすい)状態に(おちい)る。

 そんな信じがたい光景を目の前にISに搭乗していた内の1人は男がいつの間にか腕を覆うほどの手甲を装備していたのを確認して意識をなくした。

 

――――――――――――――

 

 

 作戦開始から25分後。

 僅かに黒煙漂わせるコンテナターミナルのすぐ近くの空き地、そこに1台の黒塗りの大型トラックがコンテナを後ろに載せ停まっている。

 

「はー、疲れた。たく、プロト4は寝てるし……はぁー」

 

 そう言って先程まで最強と言われたISと1対2で戦っていた男がため息をつきながら歩いてきた。

 

「隊長~!おっ疲れ様です~!うりうり~隊長を癒します~!」

 

 はち切れんばかりの胸を隊長に押し付けプロト3と呼ばれた金髪の女性は猫なで声で迎え入れる。

 いつの間にか彼女の格好は胸元を大きく開けたシャツとホットパンツ、男性を刺激する過激な服装に着替えていた。

 

「隊長サン羨ましいネ。さっきプロト3が持って来たUSB解析してもらいマシタ。どうぞ」

「ん、サンキュー。なになに?マザーコア、オリジナルコア?何これ?」

「ヘイヘイヘイ!そこからは先はトップシークレットって奴さ隊長!」

「ああ、ロビー(・ ・ ・)。だったら見せなくても良かったんじゃないかい?」

「それは社長のお達しだよ!何も教えないでおくのも可哀想だからってね!つまり!彼ら密入国者の目的はそのマザーコア、オリジナルコアなる物を探すためだったんだよ!」

「「「ナ、ナンダッテー!!」」」

「成程ね、それじゃあ作戦はこれにて終了!そろそろ消防や警察来るからさっさと撤収するぞー」

 

 そうして謎の部隊はコンテナに次々と乗り込みトラックは動き出す。

 月は雲で隠れ真っ暗な道路をガタンガタンと音を立てながら彼らは姿を消した。

 次の日、テレビや新聞では《コンテナターミナルで爆発事故!?誰かのイタズラ?それともテロ!?》と取り上げられるだけだった。

 

――――――――――――――

 

 

「社長、持って来たよ」

「ありがとう。やっぱりだった(・ ・ ・)様だね」

「ああ、曖昧(あいまい)な情報だったとしても、もしそれが存在するなら見逃さない手はないからね」

「ああ、もしそんな物が存在するなら世界が変わる。相手方の目的は予想通り、まあ今回は貴重なISとの実戦データーに戦利品も手に入った、結果オーライさ。後はこれを量産出来ればなんだけどなー」

「ハッハー!まあ遠分は無理だけど間に合うんじゃないかな?それじゃ、僕は帰るよ。マイハニーが待ってるのでネ!」

「ああ、ロビーさんお疲れ様。後で皆さんにもお礼を言っておかないと」

「はは、社長は相変わらずお優しいことで。じゃあ僕は行くよ!バイバーイ!」

「ええ、お気をつけて……あれまで後、1年。それまでに何とか1つは作んないとなー、全くこの世界は飽きないよ今度は俺が挑戦者、か。本当にありがとう天使さん?」

 

――――――――――――――

 

 

「ああ、どういてしまして」

「先輩?どうしたんですか?」

「いいや何でも!さ!仕事をしようか!」




最後まで読んでいただきありがとうございました。

今回、やっとしっかりとした戦闘シーンを入れることができました。
自分、これが初めてだったのでしっかり書くことができたか不安ですが楽しで読んで貰えれば幸いです。

次回の投稿は少し先になると思いますのでご了承ください。

それとR-18ですが小説をオリジナルで投稿させていただきましたので興味がありましたらご覧下さい。

では皆々様

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