前回の後書きで次回の更新は1週間後だと思います。と書いたのに約2週間も掛かってしまいましたごめんなさい…
ラウラとママとのショッピングの日。
僕、音無彼方は絶賛迷子中だ。
そして目の前にはマグロに手と足が生えているキャラクターの絵がプリントされているTシャツを着ていて、歯に強制器具を付けた人がいる。
彼は僕を見ながらとても面白そうに話し続けていた。
「どうしたんだいキャナタ!?今日はお祭りだ!日本人はみんなお祭りが好きなんだろう!?さあ騒ごう!イモート!イモート!」
「あの…今日はフリーマケットで祭りじゃないと思います」
「ハッ!そんなの関係ないさ!自分が祭りだと思った時!それが祭りになるのさ!OK?」
「あの意味わかんないです。それとあんまり近づかないでください」
そう僕は今、ラウラやママと一緒にいるのではなくさっきからテンションがおかしいこの人と一緒にいる。
(ああ……どうしてこんなことになったんだろう?)
そう思いながら僕は迷子の原因になった事を思い出す―――
――――――――――――――
僕とママはラウラとの待ち合わせ場所のフリーマーケットの開催場所である公園の入口にいた。
人がいっぱい、僕1人で入ったらすぐに迷子になりそう。
そんな事を思っていると公園の反対側から僕を呼ぶ声が聞こえる。
「カナタ!」
僕を見つけたラウラは僕の名前を呼びながら真っ白なワンピースのスカートを揺らしてこっちに走ってくる。
こっち来ると同時にラウラを初めて見たママは少し興奮気味に挨拶をした。
「あなたがラウラちゃん!?私は彼方のお母さんのユウヒ・オトナシよ!」
「あ、はっはい!私の名前はラウラ・ボーデヴィッヒって言います。か、カナタとはいっつも遊んでいます!ゆ、ユウヒさん!」
そんなラウラの緊張している姿を見たママは優しい笑顔で答える。
「ふふ、そんなに固くならないで?彼方の友達ってことは私にとっても友達なの。だからそんなに緊張しないでラウラ?」
「はい!今日はよろしくお願いしますユウヒさん!」
ママの言葉にラウラはさっきまでの緊張が無くなったみたいで、笑顔で僕らを見る。
その後、ラウラと少し話した後3人で公園に入った。
公園は人でいっぱいでママは僕たちが迷わないように左右に僕とラウラの手を繋ぎながら歩いて行く。
フリーマーケット内では自分より少し大きいぐらいの男の子達がもうやらなくなったゲームを売っていたり、お客さんが店主に値切りの交渉をしていたりとっても楽しそうで、そんな中ラウラはフリーマーケット会場の少し外れた場所にある露天商が気になったみたいで。
そこにはポツンと1人でお兄さんがシルバーアクセサリーを売っていて、ラウラは何かに惹かれる様にママの手を離して1人で行っちゃって。
僕とママはラウラとはぐれないよう後に付いて行くとラウラの惹かれた物の正体が分かった。
ラウラの熱い視線の先にはリングボックスに入ったシンプルな白と黒の2色のペアリングがあって、そのリングボックスにはドイツ語で
「どうしたのかしら?お嬢さんこんな所で結婚指輪をお探し?もしかしてそこいるボクとのかしら?」
…何度も言うが店主のお兄さんである。
そんなお兄さん?の言葉を聞いてラウラは顔を真っ赤にして反対した。
(照れてるラウラも可愛い)
「違う!ただそこにある2つの指輪がとっても綺麗だから!」
「ふふ、照れちゃって可愛い。その指輪はペアリングよ、ワタシが
「え!お兄さんが作ったんですか!?とっても綺麗、お兄さん?リングボックスに文字が彫ってありますけど、どういう意味ですか?」
「それはね?光と影って彫ってあるの。光と影はお互いが必要、光が出来れば影も一緒に出来る。影が出来ればそこには光がある。だからね?このペアリングを身につけた2人がずっとお互いを必要で有り続ける様に願いながら掘ったのよ」
そう言ってお兄さんは作った指輪にまるで我が子を見るみたいに優しい目で見ながらリングボックスを優しくなでる。
その話を聞いてラウラは先程から輝かせていた顔を更に輝かせて。
「お兄さん!その指輪下さい!」
「120ユーロよ?」
「「え?」」
僕とラウラは2人で驚いて、ママは「そっかー」みたいな納得顔をしている。
ラウラは先程の輝かせていた顔を一変させてまるで泥沼に片足を突っ込んだ様な顔になって。
「…お…お兄さん、値引きしてもらえませんか?」
「うーん?そうねー、なら100ユーロね、でもこれ以下はだめ。材質はプラチナだしこれは私のお気に入りだもの」
じゃあなんで販売してるんだ?と思っているとラウラは自分の財布を一生懸命確認しているみたいで。
確認し終えたラウラは肩を落として涙目で僕を見つめて来る。
(ところで涙目のラウラを見てると何だか背中がゾクゾクする。なんでだろ?)
「50ユーロしか無い…」
そんな涙目で僕を見つめないで?僕は5ユーロしかないから…
そんな僕たちの様子を見ていたママは僕たちに向かって救いの言葉を掛けてきた。
「しょうがないわね。彼方?あなた5ユーロはあったわよね?それ出しちゃいなさい。残りはママが出しておいてあげるから」
「そんな!悪いですユウヒさん!」
「いいのよラウラちゃん。これぐらい思い出に残る物なら。忘れないでしょ?」
そう言いながらママは笑顔でラウラにウインクをする。
その言葉を聞いたラウラ驚いた顔をした後に少し悲しそうな顔をしながらママに向かってお辞儀をした。
「ありがとうございます!」
「良いのよ。
「―!はい!」
ラウラは万遍の笑みを浮かべながらママに抱きつく。
その様子を見ていた僕とお兄さんは微笑む。
その後、ラウラは僕とママが半分出してくれたからと白と黒の内の白の指輪を僕にくれた。
でもまあ大人用の指輪だからね、ガバガバで僕たちの指にははまらなかった。
(もう10年ぐらいすればはめられるかな?)
そんな僕たちを見ていたお兄さんは、タダで今の僕たちでも身につけられるようにシルバーのネックレスチェーンを2つと、この後まだ時間がある様なら4時間程で指輪の内側に僕たちのイニシャルを彫ってあげるって言ってくれた。
だから僕たちはそれまで昼ご飯でも食べながら時間を潰そうって事になって。
(そうここまでは良かった、3人で屋台のホットドッグを食べて、お腹が膨れたからもう少し見て回ろうってなった所で、まあ僕のせいなんだけどね?人混みの中、ママの手を離してしちゃったんだ。まあ人混みに流されながら公園のベンチまで流されて。そしてなにを思ったのかそのベンチに疲れて座っていたお兄さんに心配で声を掛けちゃったんだ)
「お兄さん?大丈夫ですか?」
そう言いながら僕はお兄さんの顔を覗き込む。
「はあ…はあ…―んん!?君はもしかして日本人かい!?」
「ひぃ」
そう言ってお兄さんは先程の疲れなんてなんのそのと、興奮気味で僕の両肩をがっちり押さえながら見つめてくる。
「君は日本人だね!?やあ!僕の名前はイモータル・ウォルソン!気軽にウォルソンと呼んでくれ!君の名前は?」
「え?えっと、カナタ・オトナシです」
「えぇ?キャナタ・オトシマエ?」
「違います!か・な・た・お・と・な・し」
「ハハ!OK、OK!ところでキャナタは1人で来たのかい?」
(違うし…)
「…もう良い。ううん、ママと友達の3人で来たんだ、でも迷子になったの。ウォルソンさんは?」
「僕かい?僕は1人さ!妹がどうも来ているらしいから会いたかったんだけど人が多くてね。休憩の真最中だよ!」
そう言いながらウォルソンさんはガッツポーズをしながら僕に笑顔でウインクをして来た。
(なんだかさっきのママのウインクとダブって気持ち悪いな)
「そう言えばキャナタ?日本人はお祭り好きだって言うけど君は騒がないのかい?」
「え?えと、僕3歳からこっちに居るから日本のこと良く分からないんだ」
「そうなのかい?そいつは残念だ、残念すぎる!良いかい?日本はね素晴らしい国なんだよ?」
両腕を空に突き上げながらウォルソンさんは周りの目など気にせずに僕に力説をしてくる。
周りの目が痛い。
「良いかいキャナタ?日本は安全で!最先端で!萌えだ!」
「も、萌え?」
「そう!萌えだ!日本には色んな萌えが満ちている!」
「あの?萌えって?」
「聞きたいかい!?聞きたいよね!僕の萌えは妹さ!」
「いや、あの?その前に萌えってなんですか?」
「キャナタ!妹は良いものさ!お兄ちゃんとか、兄さんとか言われたら。僕は…僕は!…―どうしたんだいキャナタ!?今日はお祭りだ!日本人は皆お祭りが好きなんだろう!?さあ騒ごう!イモート!イモート!」
そうこれが僕とイモータル・ウォルソンとの出会いだった。
ハイテンションにウンザリした僕はウォルソンさんの膝に蹴りを当てる。
「アウチ!ヘイヘイヘイ、キャナタどうしたんだい?僕はただ萌えについて語っているだけだよ?」
「いや、もうその話は良いです。あの、僕もう行きますね?ママも友達も探していると思うので」
「そうかい?そいつは残念だね。だったらもう5分程待ってみる事をオススメするよ!」
「え?それってどういう事ですか?」
「ハハ!じゅあねキャナタ!バイバーイ!」
僕の質問を無視してウォルソンさんは人混みの中に走って消えてしまった。
その後、僕はウォルソンさんに言われた通りそこに5分程待ってみるとそこにママとラウラがやって来た。
2人は軽く息切れをして。
その時、涙目で僕の手を握ってくれたラウラがとっても可愛かった。
僕は2人にはぐれた事を謝ってショッピングの続きを始める。
ウォルソンさんに出会った事は夢だったみたいに。
――――――――――――――
それから僕たちは店主のお兄さんとの約束の時間になって露店が在った場所に行きペアリングを貰った、2つのリングの後ろにラウラと僕の名前の彼方のイニシャルがR&Kと掘られていて。
それと一緒にお兄さんからネックレスチェーンを2つ貰って僕とラウラは早速リングにチェーンを通して首にかける。
そうして2人でその姿を見合って笑いながらお兄さんに礼を言ってその場を後にして。
その後もう時間だからってラウラと別れてママと一緒に家に帰った。
でもその時に見せたラウラの寂しそうな顔が少し気になって。
そんな事を気にしながら僕とママは無事に家に着いて夕御飯を食べて、パパとお風呂に入りながら今日のことを話してベットに横になる。
明日、またラウラと楽しく遊べるようにそんな当たり前の事を考えながら。
――――――――――――――
「やあ、彼に会ったよ。とても性格の良さそうな少年だね、どうやら記憶は持ち越していない様だ。彼は一体どんな願いでここに来たんだろうね?……ああもう1年だ、もう1年でアレが発表される、でも大丈夫だろ?君の方でももう準備は出来ている。僕はもう少しここで彼女をいい方向に進ませてからそっちに合流するよ。じゃあね、バイバーイ」
薄暗い部屋に居る男は自分と携帯を閉じると疲れた様に両肩を落としながら溜息をする。
「ハァー、本当にやる事が一杯だねこりゃ。でも後1年、後1年だけは何とかここに居ないと。アウチ!ナンテコッタ!ピッツアが冷めちゃってるよ!これレンジで温めると不味くなるんだよなー」
食べかけのピザをゴミ箱に押し入れ、独り言を呟いているとドアの方からノックの音が聞こえてくる。
「ハイハーイ!もしかしてラウラかい!?お帰り!待ってたよ?―…え?」
「パシュ」
そんな気の抜ける音と共に腹部に衝撃が走り意識が遠のいて行く。
(ああ…ファック。もう少しだったんだけど…な…ラ…ラウラ、ごめ…―)
次第に腹部からの痛みが増してくる中イモータル・ウォルソンは完全に気を失った。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
幼稚園編は次回で最後になります。
ちなみに1ユーロは2014年の日本円で大体140円です。
(。≖ω≖)ノシ
ラウラのイニシャル間違えてた(/ω\*)