IS ~彼岸花の思い鈴蘭の如く~   作:まうす〜

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いやはや、前回の投稿からもう1ヶ月過ぎちゃいましたね(;´д`)

今回から小学校編になります。
そしてついにあの鈍感男が登場!




小学校編
1話【なんでだっけ?】


 僕たち家族3人が日本で住むようになってから、かれこれ2ヶ月が経ちもう5月になった。

 やっと日本に慣れてきた僕は家の庭で母さんの実家から届いた彼岸花の球根を植えている。

 どんな風に咲くのか母さんは教えてくれなかったけど絶対綺麗だからと、僕に世話を任された。

 ぜんぶの球根を土に植え水をあげていると隣の家から慌ただしい足音と一緒にいつも聞く元気な声が聞こえてくる。

 

「おい彼方!何してんだ?遊ぼうぜ!」

「一夏!」

 

 そう言って隣の家に住んでいる日本に来て最初に出来た友達、織斑一夏が笑って走ってきた。

 そうして一夏が来た方からもう1人、一夏に顔がソックリでとっても美人な人がやって来ていつもみたいに一夏の頭にゲンコツを食らわせる。

 

「イッテー!千冬姉何すんだよ?」

「全くお前という奴は。一夏?毎回言っているが、まず最初に会ったら言うことがあるだろ?」

 

 そう言ってさっき一夏にゲンコツを食らわせてもう一度と右拳を握り締め一夏を睨みつける一夏のお姉さん、織斑千冬さんが機嫌の悪そうな顔をしている。

 

「ひ!わ、分かったよ!おはよう彼方!」

「お、おはよう一夏」

 

 千冬さんの握り拳を見た一夏は慌てて僕に挨拶をしてくる。

 その姿に満足したようで千冬さんは僕の方を見ながら笑顔で挨拶をしてくれた。

 

「おはよう彼方。すまんな、一夏がどうしても会いたいと言うものでな」

「いえ、そんな大丈夫ですよ千冬さん」

「む」

 

 そんな僕の言葉に千冬さんは僕の顔に息がかかるぐらいまで近づいて。

 僕の顔を両手で抑えながら。

 

「彼方?何度も言っているだろう?そんなに固くなるな、私のことは何時もみたいに呼んでくれ」

「わ、分かりました。いや、分かったよちふ姉」

 

 今見せてくれるちふ姉の笑顔、最初に会った時とは大違いだ。

 ちふ姉と初めてあった日、一夏と一緒に初めて帰った日に一夏のお姉さんの千冬さん、ちふ姉に出会ったんだ、まあ最初に会った時はまるで日本の刀みたいで何でも切っちゃいそうなイメージで最初は怖かったんだけど……

 うん、まあ色々あって今ではこんな感じだ。

 まあこの話は置いておいて……

 

「ちょ!?やめてよ!ちふ姉!」

 

 僕の言葉に満足したちふ姉は乱暴に僕の頭を撫で回す。

 流石に恥ずかしいから一夏に助けてと目で何とか伝えようとするも、一夏は羨ましそうに僕とちふ姉の事を見つめてい。

(このシスコンめ!キモイ!)

 そうしてると今度は先程の一夏以上に慌ただしい足音が聞こえる。

 その足音の正体がなんとなく分かった僕達3人は顔を見合わせて少し疲れた様な顔をして一斉に足音の方に顔を向けた。

 別に嫌いじゃないけど、ただ今からやって来るあの天災が……

 

「かーくん!ちーちゃん!いっくん!おっはよー!」

「「げ」」

 

 そこには童話に出てくる不思議の国のアリスのような衣装とメカメカしいウサミミの付いたカチューシャを付けた、まあちょっと独特なファッションセンスの持ち主が走って来た。

 それを僕と一夏は引きつった笑顔でむかえる。

 ちふ姉も声には出さなかったけど少し顔を歪めていた。

 

「あれあれあれー?3人ともテンション低いなー。みんな大好き束ちゃんだよー!ガンガンいこうぜ!」

 

 某ドラゴンなクエストの作戦を言いながら彼女、『天才』篠ノ之束さんは僕らの元にやって来る。

 

「束、ならお前はめいれいさせろ」

「もうつれないなー、あれれ?箒ちゃんは?おーい箒ちゃーん?」

 

 束さんは慌ただしく辺りを見渡すと、束さんが来た方から竹刀袋を肩に背負って剣道用の稽古着を着込んだ僕と同い年の女の子が少し息を荒らげてやって来る。

 

「ハア、ハア。ね、姉さんもう少しゆ、ゆっくり……」

 

 少し目尻に涙を浮かべて息を荒らげる僕と一夏と同い年の女の子、篠ノ之箒は僕達の元にやって来た。

 そして箒は一夏がいるのが分かると顔を真っ赤にして慌て出す。

 

「い!一夏!いたのか!い、いるならいると言え!この馬鹿者め!」

「んな無茶なこと言うなよ!」

 

 その言葉を皮切りに一夏と箒はいつもの口喧嘩が始まる。

 ちなみに、束さんと箒は家が神社兼剣道の道場でちふ姉と一夏がそこの道場に入門していて、僕は運動が得意じゃないから見学させてもらってるんだ。

 まあ箒と出会った時は色々と大変で一応、3人とも同じクラスなんだけど箒と、一夏は何て言うんだっけ?

 犬猿の仲って言うのかな?そんな感じで最初は良くなかったんだけど箒が男子にいじめられてたのを僕と一夏でやめさせてそれから3人共仲良くなったって感じかな?

 まあその時、箒は一夏に一目惚れしちゃったんだけどね……

 でも箒は不器用だから中々、一夏に告白できないみたいでいっつも本当の気持ちが言えなくて口喧嘩になるんだけど……

 それにその後も男子が箒をいじめて来るもんだから、流石に父さんや母さん、ちふ姉に迷惑をかける訳にもいかなくて一夏と二人で秘密に……ね?

 そんな事を思い出してしみじみしてると、一夏と箒の口喧嘩はエスカレートしていたみたいで。

 

「何だそのだらしない体は!たるんでいるぞ!もっと生活を改めんか!」

「うっせ!お前は俺の嫁かよ!」

「な!よ、嫁と!――った、確かに一夏とはいつかいっ一緒になりたいとは思ってはいるが、そっそんないきなり過ぎる。夫婦とはもっと手順を踏んでからだな、そのなんだ…―早すぎる!」

「うお!いきなり大声になるなよ!てか何を言ってるのかさっぱり聞こえなかったぞ?」

「――!う、うるさいうるさい!忘れろ!忘れろー!」

 

(もう、箒は本当に不器用と言うかなんと言うか……もっと素直になればいいのに)

 一夏には聞こえてなかったぽいけど僕やちふ姉、束さんにはバッチリ聞こえてる。

 と言うか一夏、嫁って……お母さんでも良かったんじゃないの?

 

「お前らは少し落ち着けっ!」

「「痛!!」」

 

 まあそんなこんなで流石に千冬さんが2人に定番のゲンコツ食らわせる。

(2人して頭を抱えてしゃがみこんじゃったけど大丈夫かな?さっきの一夏のゲンコツより凄い音がしたけど?)

 

「お前らいい加減にしろ。ここが彼方の家なのを忘れたのか」

「「ごめんなさい」」

「それと箒、挨拶ぐらいしろ。あの束ですらしたぞ」

「ちょっとー、ちーちゃんそれってどういう事かなー?」

「そのままの意味だ馬鹿者」

「ぶー、ちーちゃんの意地悪ー。あっそうだ!かーくん〜挨拶のお返事は〜?」

「へ?むぐ!?」

 

 そう言いながら束さんは僕に覆いかぶさる様にして抱きついてきて。

(てか!む!胸が束さんの胸が僕の顔に!……や、やわらかー。て!違う、違う!これじゃ喋れないし。な、何か苦しくなってきた)

 そんなちょっと幸せで苦しい時間を過ごしていると、そこに青筋を立てたちふ姉が束さんに多分全力で頭にアイアンクローを喰らわせる。

 

「ちょ!ちょっと!ギブ!ギブ!ちーちゃん割れちゃう!割れちゃうから!僕の頭が!」

「なら大人しくするか?」

「うん!するする!するからー!」

「ふん」

 

 そう言いながらちふ姉は投げ捨てるようにして束さんを投げ捨てた。

(いっつも思うけどなんで束さんはあれを喰らって平気なんだ?)

 

「ふー、痛かったー。で、かーくんお返事〜」

「あ、うん。束さ――んむ!」

 

 僕が挨拶を返そうとすると束さんは僕の唇に人差し指を押し当ててきた。

 

「かーくん〜?前に言ったよね?僕の事もちーちゃんとみたいに呼んでって」

「う、うん分かった。た、たば姉で良い?」

「うん!オッケーだよ!」

 

 あれ?

(なんでたば姉とこんなに仲が良いんだっけ?それは、それは……?なんでだっけ?あれ?確か、たば姉に初めて会ったのが箒達の家で、そこにはたば姉の部屋もあって、僕はトイレに行こうとしてでも間違ってたば姉の部屋に入って……それで、どうしたんだっけ?思い出せない。そうだ、いつの間にか箒の家の居間で寝ててそこにたば姉がニコニコしながら僕に膝枕してくれてたんだ。でもなんでだろう?たば姉の部屋でなにがあったのかさっぱり思い出せない……でもあの時、僕はI――)

 

「かーくん。かーくんは僕の発明品を見てたじゃないか」

「え?」

 

 たば姉はいつの間にか、顔を僕の耳に息がかかるぐらいまで近づけていて。

 

「かーくんが僕の発明品に興味を持って、それで僕たちは友達になったんだよ?そんな事も忘れちゃったのー?僕は悲しいなー」

 

(そうだよ、たば姉は天才で何でも作れて、僕はたば姉の発明品を見てそれで仲良くなったんだ。何でこんな事、思い出せなかったんだろ?……年かな?)

 

「うん、そうだね。ごめんたば姉、忘れちゃってて」

「本当だよー、かーくん?僕たちの出会いは奇跡なんだよ?それを忘れちゃうなんてプンプンだよー?」

「はは、奇跡って大げさだよ」

「うんん、大袈裟なんかじゃないよーだって――痛!痛い!痛いよ!ちーちゃん指が!指が僕のこめかみに食い込む!何かやな音が鳴ってるから!」

 

 いつの間にかちふ姉はたば姉にまたアイアンクローを喰らわせていた、それはさっきよりも力が入ってるみたいで。

 

「何時までそうしているつもりだ、いい加減にしろ」

「あれー?もしかしてちーちゃん嫉妬ですかー?僕とかーくんがイチャイチャしてたから嫉妬しちゃったのかなー?」

「ふん!!」

 

メキョ

 

「あべし!」

「「「あ」」」

 

 とっても嫌な音と一緒にたば姉は地面に前のめりに倒れ伏した。

 それを無視しながらちふ姉は微笑みながら僕たちに顔を向ける。

 

「よしお前ら今日は何をして遊ぶ?」

「「「千冬さんがしたいのでどうぞ!」」」

 

 先程の光景を目の当たりにした僕たち3人は恐怖で軽く足がすくんでしまった。

(いやだってなんか、たば姉の頭の形オカシイしピクピクしてるし。てか、一夏ですらちふ姉のこと千冬さんって呼んでるよ……)

 まあそれから僕たちは近くの公園で鬼ごっこに缶蹴り、ちふ姉といつの間にか復活していたたば姉も一緒に夕方までずっとして、疲れてベンチで休憩していた箒が寝ちゃったもんだから今日はおしまいになって、その日は家に帰った。

 そうしてその日の夜、不安だらけだった日本の暮らしに安心しながら目をつぶる。

 

【お休み、彼方】

 

(うん、おやすみ此方(こなた)

 頭に響くこの声に返事をして。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

小学校編は3話程で終わる予定です。

それと何時になるか分かりませんが、番外編を幾つか投稿する予定です。

では皆々様

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