おれは一体今まで何を見て、何をされているのだ?
そもそもシャボンディ諸島で捕まりかけた時何故億越えの賞金首がおれを助けたのだ?
結局冒険を終え帰還する時水に濡れても構わないお土産を選んでいたら捕まってしまったがな。
おれは運悪く落札され奴隷になってしまった。
落札した奴は5歳の女の子を連れて家族でオークションに来た天竜人の一家だった。
どうやらおれ以外にも子供用にとあまり見かけないミンク族の女の子を落札していたらしいが、本人は友達のつもりで頼んでたみたいだ。
おれの様な魚人以外の人間も奴隷として連れられていたな。
レッドラインをゴンドラとか言う物で登り何度も扉を超え奴等の家に着いたが、移動中に人間が人間やおれ達魚人に乗っている胸糞悪りぃ光景を見た時は異常だと思っていた、思っていたかった。
初めは人間が人間を買い飼うなんて馬鹿げた事を何故此奴らはやるのか不思議でもあり不気味で理解し難かったが、奴等を見ている内に今となっては唯のサンドバッグとしてしか見てないと言える。
おれは落札した人間に酷い仕打ちを沢山受けて来た。
殴る蹴るは当たり前、時には鞭で打たれ、銃で撃たれ、刀で切られ、大量の海王類が住む巨大な水槽に入れられ、挙句には乗り物として扱われた。
これらの仕打ちよりもかなり酷い、丈夫だからとエラに空気やそれなりに希少と聞くヘリウムガス等を吹き込まれるなどの仕打ちもあったな、あれは死ぬかと思ったぜ。
徹底的に人として、人間としての威厳が奪われ、崩れ落とされる行為の数々をあいつらは平然とやっていった。
何度でも逃げようと思ったが、首輪は鍵で外す以外は爆発する、取ろうとして爆発した人間を何度も見てそれが脳裏を駆け巡り何度も思い留まった。
そんな光景を見て何処どなく面倒臭そうだが楽しげに嘲笑う人間も見た。
此奴らは何故同じ同士であるはずの人間が死んでも笑えるんだ?
いや、こんな馬鹿共と同一視される人間の尊厳を奪いかねないな。
創造主の末裔だからと持ち上げる世界政府が此奴らを付け上がらせるのか、それとも逆から入って今になったのか、こればかりは考えども答えは出ないな、北の海の言葉を借りるとするならば「卵が先か鶏が先か」だな。
だがどうしても同一視してしまう、乙姫さんはわかっているのか?
頭では理解しても感情は受け付けられねぇ、この感覚を。
狂気に満ち溢れた初めての世界だと思った、だがたった5歳のシリカという女の子はおれを純粋な、魚人島の子供達の様な興味がある様な目をおれに向けて色々聞いてきてる。
名前を聞かれ、種族を聞かれ、どんな人か聞かれ、海にはどんな世界が広がってるか聞かれ、どんな冒険があったのか質問攻めにあった。
おれは地上において見た目や種族で差別をしない人間を初めて見て感じた、それにこんなに人間の狂気と闇で満ち溢れてる場所で己の芯を強く持ち狂気にも闇にも染まらぬ彼女を見て触れ合って一筋の希望を今は確かに感じている!
彼女ならこれからも今のまま綺麗な心を保っているだろう、何も確証なんてものは無いが確信している、この子なら魚人島の皆を地上で安全に暮らさせると。
それにいつも、毎日の様に酷い怪我を負わせられるおれや他の珍しい種族の人の怪我も治すように医者に言ってくれる。
そういやあの子の奴隷として買われたウリエルと言う子には、おれに刻まれた忌々しい天竜人のマークが刻まれてるのを見ないし、首輪も手錠も付けていない、いつでも逃げ出せる筈だか、いつもシリカと共に笑い楽しみ遊んで勉強も頑張ってとても生き生きしている様子は、余りにもこの狂気の世界では浮いて見えてしまう。
そんな奇怪な毎日を過ごして5ヶ月ほど経ったある日、なんとシリカが廊下に落ちてたと言いおれの首輪と手錠の鍵を拾いおれに渡して来たのだ、何が目の前で起きてるのかわからなかった、何故おれに渡すのか、おれに渡してあの馬鹿親に怒られないのか。
いつの間にかそんな事を考えてしまう、自分の事よりもシリカが、一筋の光掻き消されてしまわないか、と言う不安の方が大きくなっていた。
不安になったが折角の好意で得た脱出のチャンスを逃す程諦めてないし馬鹿でもない。
それにシリカが大きく成長した未来、あの悪魔の実の能力を使い運を振り撒きながら世界中を飛び回る黄金の象徴になるかも知れない、ほぼ確信に近い予想を魚人島に伝える必要があるからな。
もしかするとシャーリーが予言しているかもしれないから帰ったら寄らないとな。
さて、後は時期を見ながらじっくりと念密に計画し此処マリージョアから脱出しないと、魚人島で皆んな帰りを待っているだろうから、この冒険家フィッシャー・タイガーの持って帰る地上の物と冒険話のお土産を。
脱出した後はレッドラインを登り他の奴隷となってしまった人達を纏めて脱出させてやるか、それならいっその事大暴れしよう、兎に角何事も脱出しないと始まらねぇ。
タイガーさんの性格から考えそうな事を考えるのって割と大変だった。
原作の発言数が、何てのは言い訳だな、私の読み取りや読み込みが甘いだけだ。
前回の文字数にちょっと毛が生えた位しか文字数は増えなかったである、出せそうなネタは他の話で細かくやってたりしてたからこうなったんだな。