織斑一夏の恋物語   作:夜光華

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昨日に続いての投稿です。

どうぞ


第10話

「………どうしてお前がここにいる?」

 

迎えたクラス代表決定戦当日。

 

俺は刀奈さんと千冬姉と一緒にピットで専用機がまだ来ていなくて待っていたがある事が気になり千冬の一言から始まった。

 

「篠ノ之」

 

「わ、私ですか!?」

 

千冬姉に言われてショックを受けるがこの中では一番の部外者はお前だよ箒、俺はそう心の中で呟き顔には出さずにいた。

 

「そうだ。いくらアイツの妹だからと言って特別扱いはしない。さっさと観客席のあるアリーナに行け!」

 

「だ、だったらコイツはどうなのですか!?明らかに部外者ではないで…あぐっ!?」

 

ゴスン!

 

ピット内に鈍い音が響く。千冬姉が刀奈さんに指を指して抗議をしている箒の頭上に拳骨を落とした。

 

「上級生に向かってコイツ呼ばわりとは何だ?お前には年上を敬う気持ちはないのか?それに人を指差すな」

 

「す、すいません……」

 

頭を抑えながら謝る箒にちょっとだけ楽しくなった。いいぞもっとやれ。

 

「更識は私が織斑のコーチをするように頼んだのだ。だからここにいて当たり前だ」

 

「なっ!?私ではなくてですか!」

 

「何を言っている?お前には絶対に頼まん。何故だかわかるか?」

 

「い、いえ……」

 

「お前の教え方が下手だからだ!」

 

「な、何を…」

 

「お前の教え方は何だ?擬音だらけで全く理解できん。道場に通っていた時から感じていたぞ」

 

ありがとう千冬姉。俺が今まで言いたかったのを言ってくれて。ああ…、胸のつかえがとれていく。

 

「そ、そんな私は……」

 

「それにお前の事だ。ISの事などそっちのけで剣道の稽古しかやらないで当日を迎える事を想定していた。だからこの学園の生徒会長である更識に頼んだのだ」

 

「うっ……」

 

千冬姉の発言に箒は言葉に詰まる。予想通りかよ!?本当に一緒じゃなくて良かった―――!!

 

と俺は表情を崩さずに試合に集中しているふりをしている。

 

「そういう訳だ。篠ノ之、お前はさっさとアリーナに行け、でないと織斑が集中出来ないだろう」

 

そう言い千冬姉はしっしっと追い払うような手をして箒を退出させようとする。

 

「くっ……い、一夏。お前からも何か言ってくれ!」

 

千冬姉が完全に自分を部外者と認識して対応しているのがわかったのか俺に助けを求めてくる箒だが―。

 

「すまない篠ノ之さん。今は目の前の試合に集中したいんだ。お願いだから織斑先生の言う通りにして退出してくれ」

 

そう言い俺は箒を突き放した。実は内心ヒヤヒヤしながら言っている。

 

「くっ……もういい!」

 

俺の言葉にショックを受けたのかわからないが箒は涙目で睨み付けて、足早にアリーナを後にしていった。

 

「どうやら行ったみたいだな」

 

「ですね……」

 

箒が完全に居なくなったのを確認してから俺はゆっくりと息をはいた。

 

本当に箒がいると体が強ばって緊張してしまうから試合前に近くにはいてほしくはないからな。

 

「簪ちゃん出てきていいわよ」

 

「うん」

 

刀奈さんに促されて今まで隠れていた簪が出てきた。

 

ちなみに四組である簪はクラス代表だ。えっ?何でここにいるのか?って確かに別クラスだけど簪が

 

「わかってるよ。でも一夏の初陣だし、お姉ちゃんと一緒に一夏のそばで応援したい」

 

と嬉しい事を言ってくれたので思わず抱きしめた。

それを見ていた刀奈さんが焼きもちを妬いてしまったのでご機嫌とりで抱きしめた。

 

と言う訳で、簪と刀奈さんが俺の為に一緒に居てくれる事になった。

 

千冬姉にはちゃんと許可をとっているから箒みたいに追い払うなんて事はしない。

 

まだかな〜専用機は?そろそろ来てほしいなと思っていると。

 

「お、織斑くん織斑くん織斑くんっ!」

 

第三アリーナ・ピットに駆け足で呼びながら副担任の山田先生だ。

 

本気で転びそうで、見ているこっちがハラハラしそうだが、そのさいに山田先生の大きな胸が揺れるので思わず見いってしまった。

 

まるでポヨンポヨンかたゆんたゆんと言う音が聞こえそうだ。

 

おお、スゲエ……改めてみるとデカイな山田先生………。

 

ギュウゥゥッ!

 

「いでででで!?」

 

突然、痛みがやって来たので見ると俺の恋人達がISスーツを着ていたのでむき出しの脇腹をつねられていた。

 

「……一夏」

 

「……一夏君」

 

「は、はい」

 

「今どこを見ていたの?」

 

「今どこを見ていたのかしら?」

 

「ごめんなさい。俺が悪かったです」

 

頬を膨らませた簪と黒い笑みを浮かべていた刀奈さんを見た俺は直ぐ様謝った。

 

いかんいかん、二人がいるのに思わず見てしまったな。

 

「二人共そうむくれるな」

 

俺達の様子を見かねた千冬姉が二人をなだめにかかった。

 

「でも…」

 

「ですが……」

 

「まあ、仕方ない事だ。山田先生のはムダにデカイからな。織斑も見てしまうし誰しも注目するな」

 

「む、ムダにデカイってひどくないですか!?」

 

千冬姉の言葉に思わずショックを受ける山田先生。

 

「そうだろう?でなければあんなにドジはしないはずだがな」

 

「ど、ドジは胸のせいじゃないですよ!!」

 

心外と言わんばかりに千冬姉に抗議する山田先生。

 

「それで何か用があったのだろ?何だ?」

 

「そんな事は後でもいいですから言い訳させてくださ―――い!!」

 

話を反らされてしまい反論出来ずに涙目になる山田先生でした。

 

完全に千冬姉に振り回されているな………山田先生、ご苦労様です。今度差し入れしますね。

 

「ううっ……、それでですね!来ました織斑くんの専用IS」

 

「やっとか……織斑時間がない。装着する準備をしてくれ」

 

「わかりました」

 

千冬姉に促されてピット搬入口に向かう。

 

―そこに『白』がいた。

 

真っ白な装甲を解放して俺を待っているかのような感じがした。

 

「それじゃ、装着しましょう簪ちゃんも手伝ってね」

 

「うん」

 

簪と刀奈さんに言われて白のISを身に纏う。

 

まるで空気が抜けたような感じだが俺としては一体感が出来たような気がする。

 

刀奈さんが周りを確認して、簪がカタカタとパソコンを入力しながら俺の動きについていけるように書き換えてくれる。

 

「時間がないからこれくらいしか出来ないけど全く反応が追い付かないなんて事はないようにしたよ」

 

「後は試合の中で第一次移行[ファースト・シフト]をするしかないから何とか時間を稼いでね」

 

「はい」

 

二人のアドバイスとサポートを受けてピット・ゲートに足を進める。

 

「一夏、無理はするなよ。無事に終わらせてこい」

 

「ありがとう千冬姉」

 

背後から千冬姉の激励が届いたの感謝の返事を返しつつ。ゆっくり目を閉じて集中する。

 

大丈夫。今までの事を思い出せば絶対に負けない。

 

「簪、刀奈さん」

 

「「何?」」

 

「頑張って来ます」

 

「「いってらっしゃい」」

 

俺はみんなに見送られながらセシリアの待つ場所に向かう。

 

さあ、勝負だ




結構短めになりましたが次回セシリア戦をお楽しみに
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