織斑一夏の恋物語   作:夜光華

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昨日の内に更新する予定でしたが寝落ちで今日になってしまいました。

ではどうぞ


第15話

「お前のせいだ――!!」

 

昼休み、開口一番箒が俺のところに素早くやって来て文句を言ってきた。

 

「何でだよ……全く訳がわからないよ……」

 

「まあ、自分の不注意で怒られた事を他人のせいにするのは恥ずかしくないのですか?」

 

「そうだよ〜しののん」

 

「くっ……」

 

箒は午前中だけで山田先生に五回も注意され、千冬姉から出席簿で何度か叩かれていた。

あまりにひどかった為、昼休み前の授業には再びゲンコツを落とされてタンコブが出来ていた。

 

何かあったかは聞かないが授業はちゃんと受けないとな。

 

「それじゃ本音、セシリア学食に行こうか」

 

「おっけー」

 

「はい」

 

俺と本音はセシリアのクラス対抗戦についての協力する為に昼休みである程度の作戦と対策を話し合う為である。

 

「ま、待て一夏!」

 

「?まだ何か用か篠ノ之さん?」

 

「何故私を誘ってくれないのだ!私とお前は幼なじみじゃなかったのか!?」

 

自分が誘ってくれなかったのか不満なのか箒は俺に問い詰めてきた。

 

「いや、別に篠ノ之さんとは一緒に食事を誘うほど親しくないし、今日はクラス対抗戦について話し合うから必要ないな」

 

「なっ!?私は必要ないのか?」

 

「ああ」

 

 

「ええ」

 

「そうだよ〜」

 

箒の質問に上から俺、セシリア、本音が返答した。

 

「くっ……、一夏の力になりたいのに私では力不足だと言うのか……」

 

「だから、俺じゃなくて試合に出るのはセシリアなんだぞメインとサブを間違えるなよ……」

 

箒の的外れな言葉にちょっと呆れてしまった。

 

「まあいいや、二人共行こうぜ。昼休みの時間がなくなるぞ」

 

とりあえず箒は気にせずに俺達は学食に向かって移動を始めた。

 

「なっ!?私も」

 

「どこへいく篠ノ之?」

 

俺達の後を追いかけようとしたが千冬姉に呼び止められた。

 

 

「ち、千冬さん!?」

 

「織斑先生だ。お前は今日の午前中の授業態度が悪すぎる。罰として今から雑用をやってもらう行くぞ」

 

そう言い千冬姉は箒の襟を掴み、ズルズルと引きずっていく。

 

「あぁ……一夏――!!」

 

後ろから俺を呼ぶ声がするが気にしないで学食に向かう事にした。

 

――――――――――――

 

「待ってたわよ、一夏!」

 

ドーン、と俺達の前に立ち塞がったのは鈴だった。

 

「まあ、とりあえずそこをどいてくれ。食券が出せないし、普通に通行の邪魔だぞ」

 

「う、うるさいわね。わかってるわよ」

 

ちなみにその手にはお盆を持っていて、ラーメンが鎮座している。

 

「のびるぞ」

 

「わ、わかってるわよ!大体、アンタを待ってたんでしょうが!何で早く来ないのよ!」

 

何で早く来ないといけないんだよ………。ああ、そうか!

 

「鈴、寂しかったんだな……気付いてやれなくてゴメンな……」

 

「な、何言ってるよ?」

 

「クラスで浮いちゃってボッチになったから俺を待ってたんじゃないのか?」

 

「んな訳あるか――――!!」

 

俺の言葉に反応し、鈴は心外と言わんばかりに叫んだ。

 

「えっ?違うのか?てっきりそうだと」

 

「違うわよ!大体何であたしがボッチにならなきゃいけないのよ!?」

 

「今朝みたいな格好付けを二組でも同じ事をやって高校デビュー失敗したと思ってた」

 

「そんな訳ないでしょ!あれは宣戦布告する為にやったのよ!いくら何でも自分のクラスにはしないわよ!!」

 

「それもそうか……」

 

とりあえず鈴は安心だな、うん。小学生の時みたいな事はないみたいだ。

 

「とりあえず席に座ろぜ、それからでもいいだろ?」

 

「わかったわよ」

 

ちょうど俺達の注文した料理が出来たので空いてる席に座る事にした。

 

「それにしても久しぶりだな。ちょうど一年ぶりになるのかな?元気にしてたか?」

 

「げ、元気にしてたわよ。アンタこそ、たまには怪我病気しなさいよ」

 

「どういう希望だよ、そりゃ……」

 

鈴の言葉の返しに思わず苦笑いを浮かべた。相変わらずだな〜、久しぶりって感じがしないのはいい感じだな。

 

「いっちーそろそろ教えて〜」

 

「そうですわ。私達を疎かされては困ります」

 

おお、いかんいかん。思わず盛り上がってしまったな。

よく見ると周りも興味津々とばかりに聞き耳をたてていた。

 

「ああ、こいつ凰鈴音で小学生四年生の時に転校してきてからの幼なじみになるんだ」

 

「そうでしたか、箒さんとは違った幼なじみですわね……」

 

「箒?誰よそれ?」

 

「篠ノ之箒だよ。ほらお前が入れ替わりに転校していったって話したろ」

 

「ああ、なるほどね……」

 

「でこっちが布仏本音でクラスメイトだ」

 

「よろしく〜」

 

「でこっちがセシリア・オルコットイギリス代表候補生で一組のクラス代表だ」

 

「よろしくお願いいたします凰鈴音さん。クラス対抗戦ではいい試合にいたしましょう」

 

「そ、でも戦ったらあたしが勝つよ。悪いけど強いもん」

 

正々堂々とした態度で握手を求めるセシリアに対してふふんといった調子で握手を返す鈴。

 

相変わらずだな、こいつ。妙に確信じみてるし、しかも嫌みではない言い方をする。

 

まあ、鈴の実力はわからないが代表候補生になるだけあってそれなりだろうな。

 

「一夏」

 

「ん?なんだ」

 

「あ、あのさぁ。ISの操縦、見てもあげてもいいけど?」

 

顔は俺から逸らして、視線だけをこっちに向けてきた。しかも歯切れが悪い言い方だった。

 

「気持ちはありがたいけど間に合ってるよ」

 

「な、何でよ!?」

 

断られると思っていなかったのかテーブルを叩き立ち上がる。

 

「千冬姉からISについて教えてくれる人を紹介してくれてその人からコーチしてくれてるから問題ないぞ」

 

「ち、千冬さんから……」

 

千冬姉の名前が出た途端に鈴は勢いをなくし椅子に座った。

なぜか鈴は千冬姉に弱い……。理由はよくわからないが恐怖の対象として認識しているみたいだ。

 

「クラス対抗戦が近いだろ。お互いに手のうちを知ったら面白くないだろ?」

 

「まあ、そうだけどさ……仕方ないか……」

 

どうやらあきらめてくれたようだ。

 

俺としては簪と刀奈さんという最高のコーチ兼恋人がいる訳だから間に幼なじみの鈴が入ってこられても正直困るだけだしな………。

 

ああ、そういえば。

 

「親父さん元気にしてるか?まあ、あの人こそ病気と無縁だよな」

 

「あ……。うん、元気だと――思う」

 

ん?親父さんの事について聞いたら表情が曇ったな……何かあったのかな?

 

「そ、それよりさ、今日の放課後って時間ある?あるよね。久しぶりだし、どこか行こうよ。ほら、駅前のファミレスとかさ」

 

「あー、あそこ去年潰れたぞ」

 

「そ、そう……なんだ。じゃ、じゃあさ、学食でもいいから、積もる話もあるでしょ?」

 

積もる話ね………まるで家族の事について聞いて欲しくない感じだな……とりあえず鈴から話してくれるのを待つか……。

 

「積もる話で思い出したんだけど弾や数馬に連絡したのか?」

 

「ううん、まだよ。っていうか急に何よ」

 

「鈴が帰って来たって知ればアイツラ喜ぶだろうしさ楽しくつるんでいた頃を思い出すよ」

 

「あ―、そうね」

 

「中二の学園祭が一番良かったよな〜。確か“りんにゃん”でステージイベントをやってたな」

 

「にゃあああっ!?」

 

俺の話に反応して鈴は思わず顔を真っ赤にさせて叫んだ。

 

「りんにゃん?」

 

「何ですのそれ?」

 

「ああ、学園祭の出し物での舞台イベントでな鈴が猫耳アイドル衣装で歌ってたんだ」

 

「やめて―――!あたしの黒歴史―――!!」

 

俺の説明に嫌々と首を振る鈴だが構わずに続ける。

 

「鈴の容姿が猫っぽいのと歌とダンスが上手かったからそれを組み合わせてやってみたら大ウケしたんだよ」

 

「あ――!あ――!!聞こえない聞こえない何も聞こえない!!」

 

耳をふさいで聞こえないふりをする鈴。そこまでいやなのか?結構似合ってたのにな。

 

「ねえねえ、その時の写真とかある?」

 

「あるぞ、数馬が編集したやつが携帯に」

 

俺はポケットから携帯を取り出して操作し、動画を再生させる。

 

「ほら、これだ」

 

猫耳、肉球、尻尾を着けた鈴がフリフリの衣装で曲に合わせて踊り、歌う映像を流れた。

 

「おお〜。スゴいね〜」

 

「本格的ですわ」

 

「だろ、弾が提案して数馬がプロデュースして俺が撮影したんだよ。良い思い出だよな〜」

 

「あううぅ………」

 

恥ずかしいのか頭から湯気を出してテーブルに突っ伏す鈴。

 

「おかげで学校内で大人気になったけど中国に帰ってがっかりしたよな〜せっかくテレビの取材とか来たのに」

 

「何であたしあんな事したのかしらね………」

 

恥ずかしさを通り越してどこか遠い目をしだした。

 

「人気者だったのに何でそこまで嫌がるんだよ」

 

「当たり前よ!ただてさえりんにゃんって呼ばれるのが恥ずかしかったのに中国に帰ってからもりんにゃんりんにゃんって呼ばれてたのよ!嫌になるに決まってるじゃない」

 

「ああ、そういえば。数馬が学園祭のやつを編集してネットにアップしたんだっけな、それを中国の人達が観たんだな」

 

「はあ?ってか何やってんのよ――――!?」

 

「あれ?知らなかったのか?りんにゃんを世界中に知らしめる為に数馬がネットにアップしたって言ってたからてっきり鈴がアップするのをOKしたのかと思ったぞ」

 

「してないわよ!ってかアイツが原因か―――――!!」

 

おおっ!怒りのあまりトレードマークのツインテールが逆立ちになった。

 

「ふ、ふふ、ふふふ……今度の休みの時にアイツシメる……」

 

怖っ!数馬逃げて――!!鈴がマジ切れしてるぞ。

 

「とりあえず放課後空けといてね。じゃあね一夏!」

 

そう言い鈴はラーメンのスープを飲み干して片付けに行ってしまいそのまま学食を出ていってしまった。

 

「嵐のような方でしたわね」

 

「うん。スゴかったね〜」

 

鈴がいなくなった後、それぞれ言う二人。

 

「ねえねえいっちー、そのネットにアップしたやつまだあるの?」

 

「あー、たぶんまだあるとは思うが一応数馬に確認してみるか」

 

俺は数馬に連絡して学園祭の時のやつはまだ残っているか?と聞いたらまだ残しているらしい。

 

数馬いわくその学園祭の動画は何万回も再生してる為に消すことはないそうだ。

 

その後、学園祭での動画のアドレスを本音に教えたのをきっかけに皆が観るようになりりんにゃんは密かなブームとなった。

 

ちなみにこの事を聞いていた二組のクラスメイト達は猫耳片手に鈴に突撃したらしく結果はわからないが鈴のあだ名はりんにゃんと呼ばれるようになったそうだ。

 

そのせいかわからないが怒り心頭の鈴に追いかけ回された。

 

ちなみに数馬は突然悪寒に襲われたらしい。

 




どうでしたか?

鈴のオリジナル過去を作ってみました
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