織斑一夏の恋物語   作:夜光華

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深夜になりましたが更新します。

ではどうぞ


第17話

5月。あれから数週間がたち、大分IS学園の雰囲気に慣れてきた。

 

今までは質問攻撃や視線地獄に心折れそうだったがそこをケアしてくれたのは俺の恋人達と布仏姉妹。

 

やっぱり右も左もわからない俺にとっては4人の存在は大きかった。

簪と本音はいつも気遣ってくれるし、刀奈さんは周りの視線から分散する意味で俺の隣を歩いてくれたり、生徒会入りでかなり楽になっている。

 

勉強の方では虚さんが中心になって教えてくれているので非常に助かっている。

おかげで授業に着いていけるレベルにまで上達した。

 

本当に良かったな……、もしもこの4人ではなくて幼なじみの箒や鈴が教えてくれると言って来たら…………。

 

やめよう………想像したら頭が痛くなってきた……。

ISの勉強と実技がはかどらないどころか更に迷走してしまう展開に発展してしまいそうだ。

 

箒は箒で擬音を中心に言いそうだし、鈴は何故か感覚とか言って訳がわからない……。

 

ダメだ……俺の幼なじみはまともじゃなかった……。

 

世の中こんな事ばかりじゃないはずなのにな………。

 

ちなみに箒はクラスの雑用から逃げ出した罰でクラス対抗戦までセシリアの代わりに雑務をやる事になった……千冬姉の監視付きで……。

 

鈴はクラス対抗戦近いのでなるべく相手の情報を知られてはならないのとクラスメイトのいざこざにならないよう接触は避けている。

ただ顔を合わせたら涙目で睨まれて逃げていった時は訳がわからなかった………。

俺が何をしたんだよ。

 

そして放課後、かすかに空が橙色に染まりはじめるのを眺めながら今日もまた特訓の為第三アリーナへ向かう。

 

メンツは俺、本音、セシリア。日に日にクラス対抗戦が近付いている事もあり、セシリアの表情は真剣そのものだ。

緊張しているのかもしれないがそこは本音に任せよう。俺は俺の出来る事をするだけだ。

 

「とりあえず近接に関してはある程度は出来るようになったな」

 

「ええ、中距離射撃型のわたくしには近よられては本来の実力は出せませんわ」

 

「最初は〜大変だったよね〜」

 

そう、本来セシリアの得意戦闘は中距離射撃なので近接されるとかなり弱体する。

一応近接武装は搭載されてはいるもののセシリアはあまり得意にしていなかった。

 

なので近接武装のみでの近接格闘訓練をしたのだが………セシリアが不慣れなのか開始数分で終わってしまうパターンが続いた。

もちろん得意不得意はあるがあまりにひどすぎた為、近接武装の使い方まで教える事になったのはご愛嬌という事で………。

 

後、本音がセシリアの武装についてのアドバイスをしてあげたらビットの稼働が滑らかになり、静止しない状態でも動かせるようになったのは大きい。

 

まあ、それでも簪の勝ちは揺らがないな……鈴はわからないけど……。

 

そう考えながら、俺は第三アリーナのAピットの中に入ると―。

 

「待ったわよ、一夏」

 

何故か鈴が俺達を出迎えた、腕組みをしてふふんと不敵な笑みを浮かべている。おかしいな予定は教えてないはずだけど……。ちらりと後ろを見るとセシリアと本音は鈴がいた事に驚いていた。

 

「鈴、どうやってここに入ってきたんだよ……」

 

「そうですわ、ここは関係者以外立ち入り禁止ですわよ」

 

「はんっ、あたしは関係者よ。一夏関係者。だから問題なしね」

 

と挑発的な笑いと共に、自信満々に言い切ってきたが……なんだそりゃ。

 

確かに関係者ではあるが今回は違うよな……。

 

「でね、一夏。あんたに言いたい事があるのよ」

 

「何だよ言いたい事って?」

 

俺は聞いてみると鈴はプルプルと震えだした、何だ?調子でも悪いのか?

 

「あんたのせいで………あんたのせいで大変な目にあったのよ――――!!」

 

鈴はそう叫んだ来たが俺には心当たりがない。

 

「俺のせいって……いったい何があったんだよ?」

 

「あんたがあの事言うから、あたしは毎日恥かかされてるのよ!」

 

「あの事って?」

 

「中学の学園祭の時の話よ!おかげで色んな意味で人気者になったじゃないのよ!」

 

あ〜、あれね。何で怒る必要があるんだが……。

 

「良かったじゃないか、ボッチになるよりはましじゃないか」

 

「どこがよ!あたしのクラスじゃ、りんにゃんって呼ばれるのが当たり前になってるのよ!あげくには担任や副担任にまでりんにゃんって呼ばれる始末になったじゃない!」

 

「担任にまで覚えてもらって良かったじゃないか。なあ、りんにゃん」

 

「言うな――――!!」

 

俺がりんにゃんと呼ぶと両手を天井に上げて怒り叫ぶ鈴。

 

「まあ、少しは静かにしたらどうですのりんにゃんさん」

 

「そうだよ〜静かにしなよ〜りんにゃん〜」

 

「うがあぁぁぁ――!!」

 

セシリアと本音がりんにゃんと呼ぶと更に怒りのボルテージが上がった。

 

「ええ、ええ、静かにするわよ!しまくってやるわよ!!」

 

ガシガシと頭をかき、地団駄を踏みまくる鈴。

 

そこまで嫌なのかよ………似合ってたのにな……。

 

「とにかく、謝りなさいよ!」

 

「何でだよ。俺は鈴の交遊関係広がるようにしたのに心外だな」

 

「気遣いは嬉しいけどやり方が違う――――!!」

 

と怒り叫ぶ鈴でした。

やれやれ騒がしいな……まったく。

 

「いいわ。来週のクラス対抗戦、そこであんたを全力で叩きのめしてあげる」

 

「おい、鈴―」

 

「ぼこぼこにしてやるから!泣いて謝っても許さないからね!」

 

そう言い残して鈴は出ていった。

 

「クラス対抗戦に出るのはわたくしですのに……」

 

「どうやってぼこぼこにするのかな〜?」

 

「さあな……」

 

俺達は鈴の言葉に首をかしげるしかなかった………。

 

――――――――――――

 

試合当日、第二アリーナ第一試合。組み合わせはセシリアと簪。

 

アリーナは全席満員だ。まあ俺はと言うと刀奈さんと一緒にピットのモニターを見ている。近くには千冬姉や山田先生もいる。

ここは関係者以外立ち入り禁止の場所なので箒はいない、いたら面倒くさい事間違いなしだ。

 

「さあ、今日が簪ちゃんのデビュー戦ね」

 

「そうですね。簪はしっかりやってくれますよ」

 

「そうね。だからしっかりと記録しておかないといけないわね」

 

と何処から取り出したからわからないがビデオカメラを用意していた。

 

そんな事しなくてもちゃんと記録しているはずなんだけどな……。

 

「それはそれ、これはこれよ」

 

「あはは……」

 

そうでしたね。忘れていた訳ではないが俺と恋人同士になる前は簪の事を溺愛してたな……まあ、いわゆるシスコンだ。

 

今ではすっかりそういう事はなかったが抑えていたのが解放された感じだ。

 

嬉々として簪のデビュー戦を楽しみにしている刀奈さんとは対称的に俺の気持ちは複雑だ。

簪には負けて欲しくないがセシリアは一組の代表、一組は俺のいるクラスな訳で勝って欲しいんだけどな……クラス代表押し付けた訳だし………。

 

と考えながらこれから始まる試合に意識を傾けた。

 

――――――――――――

 

「いいの本音?こんなところにいて」

 

「大丈夫〜大丈夫〜私はかんちゃんのお着きのメイドさんだから〜問題なし」

 

第二アリーナの待機ピットにて、これから始まる第一試合の為に待機していた簪は本音がやって来た事に困惑していた。

 

本音は一組であり、対戦する相手は一組のクラス代表。本来なら居てはマズイはずなのだが本音の性格からしたら敵に塩を送るような事はしない。

 

「まあ、いいけど……」

 

「うんうん。ところでさ〜」

 

じろじろと簪を見詰めながらニヤニヤする本音。

 

「な、何?」

 

簪は本音の視線に恥ずかしさを感じつつ身構える。こういう時は大抵よくない事を言ってくる前兆だからだ。

 

「またおっぱい大きくなった?」

 

「ふえっ!?」

 

本音の言葉に簪は思わず赤面した。

それもそのはずISスーツを押し上げる大きな胸、その大きさは原作シャルロットを越えるDカップにまで成長していた。

 

「そっか〜そっか〜、うんそうか〜」

 

「な、何?」

 

「かんちゃんの〜お胸は〜いっちーの愛で育ってるんだね〜」

 

「本音!変な事言わないで!!」

 

本音の言葉に赤面して言い返すが簪の胸が急成長したのは一夏と恋人同士になってからだ。

 

元々簪はスタイルは悪くないが周りの人の胸のサイズは大きめだけに慎ましやかが目立ってしまう。

 

しかし今ではそんな事は感じさせなかった。簪自身急成長ぶりに困惑し、母親から一夏君のおかげかしらね〜とからかわれて顔を紅くした事は覚えている。

 

恋をすると綺麗になるとは言われるが簪はその言葉に当てはまる事が出来たから今があるのだ。

 

おかげで姉しか出来なかった一夏へのご奉仕が自分も出来るようになった事がうれ……ゲフンゲフン。

 

その後、簪は本音からからわれながらも試合への緊張感がほぐれたが恥ずかしさが残った。

 

――――――――――――

 

『それでは両者、規定の位置まで移動してください』

 

アナウンスに促されてセシリアと簪は空中で向き合う。

 

「あなたが更識さんですか」

 

「簪でいい。名字だとお姉ちゃんも入っちゃうから」

 

「では、簪さんいい試合をいたしましょう」

 

「うん。その前に聞きたい事があるの、入学時に日本の事をバカにしたって本当?』

 

最後の質問の方はプライベートチャンネルに切り替えてセシリアに話しかける。

 

『な、何故それを!?』

 

『私、日本の代表候補生なの生まれ故郷だし、気になっちゃって。それでどうなの?』

 

『そうでしたか……すいませんでした。あの時は代表候補生としてのひどい振る舞いをしてしまいましたわ』

 

『うん。それを聞いて安心した。別に動揺させて勝とうだなんて考えてないから気にしないで』

 

『そうでしたか』

 

簪の言葉を聞いてホッとするセシリア。さすがに国際問題に発展すれば簡単に候補生の座を剥奪されてしまう恐れがあるだけに安堵する。

 

(でも、一夏の事をバカにした事は許さない!)

 

 

簪は日本の事に関してはある程度の寛大な心は持っているが一夏の事になると別だ。

いくら一夏が許しても簪自身の気持ちに納得しておらず自ずと薙刀の持つ手に力が入る。

 

『それでは両者、試合を開始してください』

 

アナウンスと同時に鳴り響くブザーで試合は開始された。

 

「はああっ!」

 

先に仕掛けたの簪、急接近して薙刀を振るう。

 

「くっ…」

 

一方のセシリアはライフルを射とうとしたがそれよりも速い接近に後退せざるをえない。

 

「逃がさない」

 

簪は後退するセシリアから距離を離すまいと更に近より薙刀での突きを放つ。

 

「速いっ!?ですが」

 

セシリアは簪の速い接近に驚きライフルを盾に防ぐのはマズイと判断してし、ライフルを収納し、ショートソードを展開し防いだ。

 

「近接が弱いはずなんだけど」

 

「確かにブルー・ティアーズは中距離射撃型ですが弱点をそのままにしておくほど愚かではありませんわ」

 

自身の攻撃を防いだ事に感心する簪にセシリアはこう返した。

 

「でも……これは防ぐ事は出来ない」

 

そう言い簪は薙刀での連続突きを開始する。

 

「くっ……は、速い!?」

 

セシリアは簪の連続突きをショートソードで弾いていくが突きの速さに翻弄され捌ききれなくなりシールドエネルギーを削っていく。

 

(こ、このままではブルー・ティアーズが展開出来ませんわ)

 

セシリアは徐々に焦り始めていた。簪の連続突きの対応に追われて自分の戦いが出来ずただエネルギーが減っていくのみだ。

それに相手の連続突きでの疲労を待ってたら負ける事は確実であり後退しようにも出来ずにじり貧になりだした。

 

「ならばこれで!」

 

セシリアは一か八かの賭けでミサイル型のビットを展開し発射する。

 

「あまい」

 

簪はそれを予想していたのか荷電粒子砲を展開発射して迎え射つ。

 

「なっ!?そんな……」

 

「残念だったね。これで私の勝ち」

 

ミサイルを撃退され動揺するセシリアの隙を着き簪は一気に接近し残りのエネルギーを無くしていく。

 

『試合終了。勝者更識簪』

 

アナウンスとブザーで簪の勝利が決まった。




戦闘描写は難しいですね…
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