織斑一夏の恋物語   作:夜光華

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お待たせしました。2ヶ月ぶりの更新になります。

番外編その2です


第38話

「はあ………」

 

次の日になり、目を覚ました訳だが……。

 

「やっぱりいないか……」

 

周りを見渡すが二人の姿がいない……二人が居たような痕跡もない……元の世界に戻れてない展開に全く着いていけなかった……困ったなどうしよう……。

 

非常事態に悩むが解決策は全く見付からない上にこの事を千冬姉に話しても無理そうだしな………。

 

「とりあえず動くしかないか……」

 

俺は制服に着替えて部屋を出る事にした。途中簪に出会い朝食を一緒に食べる事となり、楽しい朝食時間を過ごした。

 

今日は休日。何しようかな?

 

――――――――――――

 

朝食を済ませた後、俺は生徒会室に向かっていた。目的は刀奈さんに会う為だ。

 

コンコン

 

「失礼します」

 

俺はドアをノックして生徒会室に入った。

 

「おはよう、一夏君」

 

「おはようございます一夏さん」

 

俺を出迎えてくれる虚さんと刀奈さん。

 

ここは変わらないな……、本来なら本音がいるはずだがいない……書類仕事はあんまり得意じゃないからな………。

そう考えながら刀奈さんを見てみる。

 

うん、特に変わってるところはないな。簪とは違い刀奈さんに違和感は感じなかった。

 

「どうしたの?私の顔をじろじろ見て、もしかしておねーさんに惚れちゃったかしら?」

 

そう言い茶目っ気たっぷりにからかってくる刀奈さん。その表情はとても可愛らしく感じる。

 

「そうですよ」

 

「えっ?」

 

「俺は楯無さんに惚れてます。そして今も貴女に夢中です」

 

俺は満面の笑みでそう答えた。だっている世界は変わっても二人の想いは変わらない。だから俺は素直に想いを言える。

 

「そ、そそそそう!う、嬉しいわ」

 

「あれ?」

 

俺は想いを素直に答えたはずなのに刀奈さんは顔を真っ赤にさせて視線を外した。大抵こう言うと喜んでたのにな………まさか、こういうのに耐性がないのか?

 

「お二方、書類仕事がありますのでこういうのは後にしてください」

 

「あっ、すみません」

 

もう少し口説こうかと思ったが虚さんに注意されてしまった。うーん、残念。とりあえず目の前の事を片付けますか。

 

俺は制服の袖を捲り、目の前の仕事の山に取り掛かった。

 

――――――――――――

 

「ふう……」

 

書類仕事を終わらせ、一息ついた。もう少し時間がかかるかと思ったが予想より早く終わった。時計を見るとまだお昼前だ。

 

「早く終わって良かったわ〜」

 

そう言いぐーっと背筋を伸ばす刀奈さん。スタイルがいいからいい画になるんだよな〜。

俺は頬杖をつきながら、刀奈さんに見惚れていると―。

 

「一夏君……」

 

「はい」

 

「あんまりこっちを見ないで……」

 

俺の視線に気付いたのか刀奈さんは恥ずかしそうにして縮こまる。

 

「好きな人を見ていたいのは当たり前じゃないですか、おかしいですか?」

 

「お、おかしくはないけど……何だか恥ずかしいわ……」

 

刀奈さんに言われて俺は見るのやめる。どうやらやり過ぎたみたいだ……あんまりしつこいと嫌われるのはイヤだし、かと言って見ないのはもったいないな………そうだ。

 

「楯無さん、午後は空いてますか?」

 

「えっ?ええ、今日は書類仕事を1日中やる予定だったけど、早く終わったから特に予定はないわね……」

 

良かった、予定はないみたいだ。内心ガッツポーズしながら本題を切り出す。

 

「それだったら一緒に出掛けません?いい天気ですし楽しいですよ」

 

「えっ?それって」

 

「はい、デートのお誘いです」

 

「ちょっとゴメンね、一夏君」

 

そう言い刀奈さんは俺に近付き、額に手を当てる。

 

「………熱はないみたいね」

 

「………俺は健康ですよ、楯無さん」

 

「ごめんね。急にデートなんて言うから、疑っちゃったわ……」

 

「そうですか……」

 

バツが悪そうにして謝る刀奈さんに俺は内心ショックを受けた。この世界の俺はどんな生活してるんだ?

 

目の前に最愛の人がいるのにデートに誘わないだなんて………って、違う世界だったな。

 

「それじゃ1時間後に駅前で、待ってますから」

 

「えっ?ちょ、ちょっと!?」

 

「絶対に来てくださいね!楽しみにしてますから!」

 

俺はそうまくし立て、生徒会室を後にした。まっ、30分もあれば準備出来るな。

 

「後は……」

 

俺は刀奈さんを喜ばせるべくデートプランを練り出した。時間もあるし、短くても充実したのを選ばないとな………。そう考えながら刀奈さんとのデートに心がウキウキとしていた。

 

ああ、楽しみだな!廊下を歩く足取りも軽く感じた。

 

 

 

「どどどど、どうしよう虚ちゃん!?」

 

「どうするも何もせっかく誘ってくれたのですから行って楽しんでくればいいじゃないですか………」

 

一夏が部屋から居なくなり動揺する楯無に虚は冷静にそう返した。

 

 

「そうなんだけど……」

 

「どうしました?何か不満があるんですか?」

 

「不満はないんだけど………何かおかしいのよね……」

 

「おかしいって、一夏さんは本気でお嬢様に惚れてるんじゃないのですか?」

 

「想いはわかるんだけど……今までの一夏君とは別人みたいで何か違和感を感じるのよね……」

 

「はあ……」

 

「とりあえずお誘いを受けた訳だし、私は行くわ」

 

「いってらっしゃいませ」

 

「いってきます」

 

楯無は席を立ち生徒会室を後にした。

 

――――――――――――

 

生徒会室から30分後、学園を出て駅前で刀奈さんが来るのを待っている。ちょっと強引なところはあったが来てくれると嬉しいが待ちぼうけはかなりショックだ。

 

まあ、まだ待ち合わせ時間にはまだまだ余裕があるな………。ちらりと携帯の時計を見てそう考えていると……。

 

「お待たせ〜」

 

パタパタと走りながら、俺のところにやって来た刀奈さん。

 

「そんなに待ってないですよ。来てくれて嬉しいです」

 

「せっかく誘ってくれたんだもん行かなきゃね」

 

そう言い笑顔ではしゃぐ刀奈さん。うん、私服姿もいいな。

 

「その服、似合ってますよ」

 

「ありがと。さっ、いきましょうか」

 

「そうですね。せっかくだから手を繋ぎませんか?」

 

「て、手を?」

 

「はい。ダメ……でしたか?」

 

「う、ううん。イヤじゃない……」

 

おっ、好感触だ。刀奈さんの返事に気を良くした俺はそっと手を繋いだ。

 

「あっ……」

 

「それじゃいきましょう」

 

「ええ……」

 

手を繋いだ途端、刀奈さんが急にしおらしくなったがここは俺がエスコートしないとな。

 

俺は刀奈さんの手から伝わるぬくもりを感じながらデートを開始した。

 

 

 

「…………」

 

一夏と楯無が手を繋ぎながら駅に入っていくところを1人の水色の髪の少女が見詰めていた。簪である。

 

(一夏とお姉ちゃん!?何で!?)

 

今日は休日であり、趣味のヒーロー物を物色するべく外出し駅前に着いた時に一夏を偶然発見し、せっかくだから一緒に行こうと誘うべく一夏の方に向かおうとしたが自身の姉である楯無が現れ、慌てて物陰に隠れて様子を伺うと会話して手を繋ぎながら駅内に入っていったのだった。

 

(どうして?わからない……)

 

昨日はあれだけ自分に好意を向けて来たのに今日は自分の姉に対して好意を向けている事に動揺を隠せなかった。

 

「確かめなきゃ!」

 

簪はそう決意し、一夏と楯無の尾行を開始したのだった。

 

――――――――――――

 

刀奈さんと一緒にデートを開始し、街内に繰り出す前に昼食を取る事にした。

 

「ねえ、一夏君……」

 

「どうしました?」

 

「せっかくのデートなのにここはないんじゃないの?」

 

若干不満気に言う刀奈さん。俺達が入ったのはファーストフード店である。

 

「そうですか?」

 

「そうよ、もう少しムードがあってもいいんじゃない?」

 

「そんな事はないですよ。学生デートならファーストフード店なんて当たり前ですよ」

 

「そ、そうかしら?」

 

俺の答えに少し首を傾げる刀奈さん。そういえば更識家のお嬢様だもんな………こういう所はあんまり行かないな。

 

「それにせっかくデートですから、少しでも長く楽しみたいんですよ。だから軽めの昼食にしたんです」

 

「そういう事ね。わかったわ」

 

「という訳で。はい、あーん」

 

「ええっ?」

 

ポテトを手に取り、刀奈さんの口元に移動してそう言ってみる。

 

「遠慮しなくていいですよ。はい、あーん」

 

「えっ、ええ……」

 

俺の言葉に促されて、口を開けてポテトを食べた。

 

「どうですか?」

 

「お、美味しいわ……」

 

「それは良かった。それじゃ、はい、あーん」

 

「まだやるの!?」

 

「勿論。楯無さんとの恋人気分を味わいたいからです」

 

「うぅっ………」

 

俺の恋人発言に顔を真っ赤にさせる刀奈さん。こういうのは慣れてないみたいだな。

 

「ほらほら、早く食べてください。まだまだありますからね」

 

「も、もう許して〜」

 

俺の言葉に恥ずかしさからなのか更に顔を真っ赤にさせた刀奈さんはそう懇願してきたが滅多に見れない表情なので、もう少し堪能しよう。

 

俺の中でいたずらっ子みたいな気分になりつつ刀奈さんに食べさせあいを楽しんだ。

 

――――――――――――

 

昼食を済ませて、俺達はショッピングに繰り出した。刀奈さんに似合いそうな服を選んだり、刀奈さんも俺に似合いそうな服を選んで貰ったりとお互いにコーディネートしてあげたりしたり、それからゲーセンに行きぬいぐるみを取ったり、ゲームなどをして遊んだりした。途中で刀奈さんに似合いそうなペンダントを見付けて、いない内に素早く買った。もちろん簪の分も忘れない。

 

「ふう………」

 

夕方に差し掛かり、俺と刀奈さんはある場所に向かっている。

 

ある場所とは俺が見付けた取って置きの場所だ。それに………。

 

(後をつけられてるな……簪か………)

 

途中から視線を感じてこっそりとISを展開させてみると簪が俺達の尾行をしているのだ。

 

そんな事しなくてもいいのにと内心そう思うがもしかしたら俺達に気を使ったのかもしれないな………。

 

チラリと隣の刀奈さんを見ると簪の視線に気付いていないのか俺の手を繋いだまま大人しく一緒に歩いている。

 

まあ、四六時中“楯無”でいるのは大変だからな、この時ばかりはその重荷を外して“刀奈”に戻ってもらいたい。

 

まあ、更識家に居候させてもらってなかったらこんな気持ちにはならなかっただろうな。先代から“楯無”についての話を聞いてからより一層大事にしようと思う気持ちが固くなる。

 

そうしている内に目的の場所に着いた。

 

「さっ、着きましたよ」

 

「ここって………」

 

俺が連れて来たのは街を見渡せる展望台絶景スポットなのだ。

 

「わぁ……」

 

刀奈さんは夕日に照らされた街を見渡して感嘆な声をあげた。

 

良かった、喜んでいるみたいだ。俺は刀奈さんの表情からそう察した。

 

無邪気な所も魅力的なんだよな〜と微笑み刀奈さんの顔を眺めていると―。

 

「どうしたの一夏君?私の方を見て何かあるの?」

 

視線に気付いた刀奈さんが俺の顔を覗き込むようにして聞いてきた。

 

「楯無さんの横顔が綺麗なので見惚れてました」

 

「そう……」

 

俺がそう答えると刀奈さんの雰囲気が急に変わった。あれ?何かマズイ事言ったかな?

 

「ねえ……」

 

「はい」

 

「貴方は……誰?」

 

「えっ?」

 

刀奈さんはそう問いかけると同時にランスを俺に突き付けてきた。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!?急にどうしたんですか!?」

 

突然の事に戸惑いながら何とか目の前のランスを解除してもらうべく話を聞き出す。

 

「今日、貴方とのデートは楽しかったわ………でもね、一夏君にしては出来すぎよ」

 

「はい?」

 

「今までの一夏君じゃ、こんな女心のわかる、気のきいた事をする人じゃないわ。違和感がありすぎて逆に気持ち悪いくらいよ!」

 

ガーン!?

 

刀奈さんの言葉に内心ショックを受けた。何やってんだよこの世界の俺は!?あまりに酷すぎじゃないかと怒りを覚えた。

 

「昨日は簪ちゃんを口説いて接近して、今日は私に接近して取り入ろうとして何が目的なの?誰の命令なの?」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!俺は―」

 

「御託はいいわ、正直に答えなさい!でないと容赦しないわ!」

 

そう言い、殺気をビシビシとぶつけてくる刀奈さんに俺は冷や汗が流れた。

マズイ!?更識家当主“楯無”になって完全に警戒されてる!

 

参ったな……せっかく、楽しい時間過ごすはずなのに警戒されては面白くない。

 

「はあ……」

 

刀奈さんに気付かれないようにため息をはいた。愛する人に敵意をぶつけられるのはつらいし、悲しくなるな………。

 

「わかりました。話しますから武器を解除してください」

 

「そう……」

 

俺の言葉をきいて刀奈さんは武装を解除してくれたが、ただ警戒はしたままなのか表情は変わらない。

 

「話す前に……簪、いるんだろ?出てこいよ」

 

「えっ?」

 

俺は隠れて様子を伺っているであろう簪を呼び出す。

 

「……」

 

俺の呼び出しに応じて簪は物陰から現れてゆっくりとこちらに向かってきた。

 

「簪ちゃん!どうしてここに!?」

 

「ごめんなさい。一夏とお姉ちゃんが一緒になって歩いているのを見付けて後を着けてきたの……」

 

「そ、そう……」

 

「途中から簪が尾行している事には俺は気付いてましたよ」

 

「えっ?そうなの?」

 

「気付いてなかったんだね………お姉ちゃん……」

 

「………はい」

 

簪の言葉に肩を落として返事をする刀奈さん。どうやら気付く事が出来なくて、ショックだったみたいだ。

 

「とりあえずベンチがあるからそこに座りませんか?」

 

俺はそう言い近くのベンチに座る。

 

「さあ、二人も座ってください」

 

俺は簪と刀奈さんに対して座るように促す。―がしかし、すぐには座る訳にはいかないのか警戒している。

 

「何もしませんよ。罠なんてありませんし、なんならこれを預かってください」

 

俺は白式を外して、刀奈さんに投げて渡した。

 

「……わかったわ。座って聞きましょう」

 

「いいの?お姉ちゃん……」

 

「多分大丈夫よ。あの一夏君は私達に対して敵意はないみたいだし……信じましょう」

 

「………わかった」

 

簪は一瞬不安な表情を見せたが刀奈さんの説得に納得し、二人はベンチに移動し俺の両隣に座った。

 

「それで貴方は何者かしら?まずはそこからね」

 

「何者って言われても……俺は織斑一夏ですよ」

 

「でも、お姉ちゃんが言ったようにいつもの一夏じゃない、違和感があるのはなんで?」

 

「うーん……話すと長くなりますが構いませんか?」

 

「ええ」

 

「うん」

 

二人が頷いたのを確認した俺はゆっくりと話し始めた。

 

「二人は平行世界とかパラレルワールドとか聞いた事ありますか?」

 

「あるけど……それが何?」

 

「俺はこの世界の“織斑一夏”ではありません」

 

「「ええっ!?」」

 

俺の言葉を聞いて驚きの声をあげる簪と刀奈さん。

 

「えっ?えっ?どういう事?」

 

「あー、体はこのままですが中身は別世界から来た感じですね」

 

「にわかに信じられないわね……」

 

「俺も最初は信じられない事に驚いたのですが現実を突き付けられて理解した感じです」

 

俺はそう話すが二人は混乱したままである。

 

「だって、朝を目を覚ましたら簪と刀奈さんがいないからビックリしましたよ」

 

「「?………どういう事?」」

 

「いつも二人とは一緒に寝ているからです」

 

「「ええ―――っ!!?」」

 

俺の言葉を聞いて更に驚き声をあげる簪と刀奈さん。

 

「い、一緒にってまさか……」

 

「はい、俺は簪と刀奈さん……あー、楯無さんか……お二人と恋人同士です」

 

「「はいぃぃっ!?」」

 

俺の言葉を聞いて驚きながら顔を紅くして声をあげる簪と刀奈さん。

 

「その様子じゃ、この世界の俺と簪と楯無さんの関係は恋人じゃない訳だ………」

 

ようやく理解したな……この世界の俺は簪と刀奈さんとの関係は深くないんだな………はあ。

 

「そ、その……私とお姉ちゃんを恋人にしたなれ初めとかを聞いてもいい?」

 

「構わないぞ、まずは―」

 

俺は簪に聞かれ話出した。二人との出会いから恋人として付き合いながら今までの事を話した。

 

「そ、そうなんだ……」

 

「まさか、簪ちゃんに一目惚れした一夏君の初恋がきっかけなのね……」

 

二人はしみじみとしながらも感想を述べた。

 

「あ〜、一応聞きますがこの世界の俺はどんな感じなんですか?」

 

「私達はそんなに一夏君との交流は少ないから深くはないわよ?それでいいなら話すけど……」

 

「構いません。お願いします」

 

「うん、わかった。それじゃ―」

 

俺の了解をえると簪から話出した。

 

 

 

「マジかよ………」

 

簪と刀奈さんの話を聞いて額に手を当てて落ち込んだ。

 

「簪に一目惚れする前の俺じゃないか………」

 

そう、この世界の俺は鈍感一直線に進んでいた事にショックを受けた………。

 

まあ、簪と刀奈さんの出会いがなければこうなっていた訳で………マジでヘコむ………。

 

「そこまでヒドイとは思わなかったな……」

 

「まあ、確かに昨日今日の一夏君と比べれば確かに違うわね」

 

「うん、こんなに違うとは思わなかった」

 

「そう言われると違和感あるって言われても仕方ないか………」

 

改めて、この世界は俺のいた世界とは違うと認識させられた。

 

「ねえ、一夏君」

 

「なんですか?」

 

「もしも、もしもよ。元の世界に帰る事が出来なかったらどうするの?」

 

「そうですね……」

 

 

刀奈さんの質問に少し考えたが答えは決まっている。

 

「勿論、二人を俺の彼女にしますよ。迷う必要ないです」

 

「で、でも向こうの私達とは違う部分や好みもあるんだよ?それでもいいの?」

 

「それは好きになって貰えるように努力したり、受け入れる覚悟は出来てますよ」

 

「全くブレないのね……」

 

「そうですよ……だって」

 

俺は少しの間を取り、ベンチから立ち上がり、クルリと二人の方を向き。

 

「俺が愛しているのは更識簪と更識刀奈の二人だけです。他の誰も好きになりませんよ」

 

俺は微笑みながらそう言った。

 

「「………」」

 

「あれ?」

 

二人が呆けてしまい俺は戸惑うが―。

 

ボン!!

 

二人の頭から湯気が上がると当時に顔が真っ赤になった。

 

「あうあうあう……」

 

「………ど、どうしょう……本気になっていいのかしら………」

 

と二人はブツブツと呟きだした。大丈夫かな?

 

「そろそろ帰りません?時間も迫ってますし、遅くなりますよ」

 

「そ、そうね。そうしましょう」

 

「う、うん。早く帰らないとね」

 

ベンチから素早く立ち上がり頷く簪と刀奈さん。

 

「じゃ、帰りましょう」

 

「ええ」

 

「うん」

 

俺達は学園に帰るべく歩き出した。途中で二人と手を繋いでいたが簪が急に俺の腕を組んで来た事に驚いたが刀奈さんもつられて腕を組んでくれたのは良かったかな。

 

学園の校門前に着いた時に箒達の襲撃を受けたが簪と刀奈さんを安全な場所に避難させて撃退し、事なきを得た。

 

――――――――――――

 

「あら、お帰りなさい一夏さん、簪さん、会長さん」

 

俺達が学園内に帰ると俺達に気付いたセシリアが笑顔で出迎えてくれた。

 

「ああ、ただいま」

 

「一夏さんは簪さん達と一緒にデートしてたんですの?」

 

「ああ」

 

「そうよ、楽しかったわ」

 

「ほとんどお姉ちゃんがメインだったけどね……」

 

「まあ……それは良かったですわね」

 

「「あれ?」」

 

「どうかしたんですの?」

 

「いつもならここで不機嫌になるのに落ち着いてる……」

 

「そうね。今までセシリアちゃんなら何かしらのリアクションを取りそうなのに……」

 

セシリアの態度に首を傾げる簪と刀奈さん。セシリアって普段そんなだっけ?

 

「ふふっ、以前のわたくしでしたらその様な幼稚な行動をとってたかもしれませんが今は違います。そんな事しても嫌われるだけだと気付いたからです」

 

「そ、そうなんだ……」

 

「ですので、これからは淑女として振る舞っていますわ」

 

そう言いセシリアはスカートの端両手で掴み少しあげてペコリと頭を下げた。

 

「セシリアちゃんは変わったわね……」

 

「皆さん夕食まだでしょうか?」

 

「いや、まだだ」

 

「でしたら、わたくしもご一緒しても構いませんか?」

 

「俺は構わないぜ、簪と楯無さんは?」

 

「いいわよ」

 

「私もいいよ」

 

「だそうだ」

 

「ありがとうございます。早速いきましょう」

 

セシリアのかけ声で俺達は食堂に行き四人で夕食を楽しんだ。

 

昨日のデザート食べさせ合い聞いていた刀奈さんに言われて三人に食べさせ合いをしたのは余談だ。

 

 

ちなみに気絶した箒達は千冬姉が連行されて行ったので問題ないだろう。

 

そろそろ元の世界に帰れないかな……そんな思いを抱き眠りについた。




次話で番外編はラストです
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