ペース的には目標としていた週一本を更新できているのではないかな、と思います。
みほの部屋に何かと理由をつけてエリカは訪れるようになった。
それは、次期隊長として隊長の心構えを知りたいだとか、貴女の食生活が心配だからご飯を作りに来ただけとか、そういう理由だ。
勿論、ただ来るだけではなく、時折ではあるが泊まりに来ることもある。
今日は、いわばその泊まりに来た日だった。
勿論、まほとの紳士協定ならぬ淑女協定によりお互いの日程が被る事は無い。
みほの部屋に泊まれることを内心喜んでいたエリカは、そこで違和感を感じ取った。
(何かしら、こののどに刺さった魚の骨みたいな違和感・・・・・・)
エリカがみほの部屋に入った時感じたのは、猛烈な違和感であった。
否、違和感ならばみほに会った時からすでに感じていた。
何となく、だが「みほから何かが漂っている」のである。
漂っていると言っても、何が、と言い現わすことが出来ない。
そのもどかしさを飲み下して、エリカは無理やり笑顔を作った。
「来れて嬉しいわ、みほ」
「ふふっ、随分素直になっちゃったね、エリカさん」
「あら、素直な私は嫌い?」
「いじわるな言い方・・・・・・そういう事を言うエリカさんは嫌いです」
みほがエリカの無理やりな笑顔に気が付くこともなく、彼女達はいつも通りのやり取りを交わす。
その言葉のやり取りからも、エリカは何かを感じ取っていた。
(何、この違和感・・・・・・)
みほと話しているというのに、彼女が何か別人のような気がして、エリカは心底気味が悪くなった。
(いえ、落ち着きなさい、私。 戦車道の試合と同じ、落ち着いて違和感を探すのよ)
次期隊長として培ってきた観察眼と頭脳を総動員して、みほから感じる違和感の正体を探ろうとした。
そして、その違和感は思っていた以上に早くに見つけることが出来た。
みほの言葉と表情が合っていない。
エリカは違和感の正体にようやく気が付いた。
みほは感情が案外顔に出やすい。
戦車道をしているとき以外は、子供っぽく表情が変わる。
だが、エリカと話しているとき、その表情の移り変わりが無かったのである。
更に、みほから漂う気配の違和感も突き止めることが出来た。
みほから漂う気配は「喜」一色だったからだ。
「ねえ、みほ」
「ん、なあにエリカさん」
「貴女、何かいいことでもあったの?」
「なんでそう思うの?」
「なんでって・・・・・・」
エリカはみほの予想外の切り替えしに、詰まった。
(やっぱりおかしいわ)
みほは、こういう時には自分から「いい事」を教えてくれるのだ。
それは、ボコの事であり、日常の些細な事であり、あんこうチームのチームメイトとの日常の事である。
だが、みほの返しはそれともまた異なった。
どことなく冷たいような、そんな返しをもらってしまったエリカは、ますます疑念が深まってゆくのを感じた。
(何かあるとしたら・・・・・・あの人しかいないわよね)
「ねえ、みほ?」
「なに、エリカさん」
「私は貴女の彼女・・・・・・そういう認識でいいのよね?」
「え、うん」
「正直に答えてほしいの・・・・・・まほさんと、何かあった?」
「ッ!?」
ビクリ、と全身を震わせたみほ。
その視線が一瞬だが、エリカの背後にあった写真立てに注がれたのに気が付かない彼女ではない。
エリカの中の疑念が確信へと変わった瞬間であった。
「話して、みほ」
エリカの口から放たれる声は、硬い。
「え、エリカさん・・・・・・?」
「隊長とやったこと全部、私に話して聞かせて、みほ」
「なんで・・・・・・きゃっ!」
みほを正面から抱き寄せ、抱きしめる形になるエリカ。
だが、みほにはエリカの柔らかさやシトラス系の爽やかな髪の匂いを堪能することはできなかった。
むしろ、逃げられないように拘束されたようだと、みほはそう考えてしまった。
現に、エリカがいつもみほを抱きしめる時よりも、ずっと抱きしめる力は強い。
「くっ、苦しいよ、エリカさん・・・・・・?」
「ねえ、お願い・・・・・・隊長と、ううん、まほさんと何があったのか私に聞かせて」
みほを抱きしめ、肩口に顔をうずめている為、エリカがどんな顔をしているか彼女には解らない。
だが、この拘束から逃れるためには全てを打ち明けなければならないだろう。
みほは意を決して口を開いた。
――――――――――――
「ふぅん、そんな事があったの」
「う、うん」
みほとしては、障りの部分だけ話して終わりにしたかったのだが、エリカがそれを絶対に許さなかった。
そのおかげで、みほは情事の事も含めて全てを話さなくてはならなくなり、エリカはそれを正面から聞くことになった。
みほはまほとの情事を話している最中に、少しずつ艶やかになっていったようにエリカは思った。
「それで、お姉ちゃん、ううん、まほと私は結ばれたの・・・・・・かな、えへへ」
「・・・・・・ああ、そう」
話せば話すほどに上機嫌になってゆくみほと、聞けば聞くほどに不機嫌になってゆくエリカ。
ここに不運な第三者が居れば、両者の対比は部屋の温度にまで影響を与えている様に見えてしまうだろう程、両者の感情は異なっていた。
みほの喜色満面の笑みに対して、エリカは顔を下げている。
エリカの纏う雰囲気が、剣呑なものに変わっていることに、みほは気が付かない。
「あ、そうだ・・・・・・まほから貰った珈琲があったんだ、ちょっと淹れてくるね」
みほがそう言って立ち上がり後ろを向いたその時。
「待ちなさい、みほ」
「ふぇっ!?」
エリカは、みほを後ろから抱きしめた。
後ろからみほを抱きしめたエリカは、そのままみほの部屋着に手を這わせる。
「んっ、エリカ、さん・・・・・・あっ、何を、ンッ」
「黙りなさい」
部屋着の上からみほの胸をわしづかみにすると、そのまま揉みしだき始める。
その唇は、みほの細い首筋に落とされており、点々と赤い跡がついた。
「あっ、ああ、んぅっ」
「聞かせなさいよ、貴女の喘ぎ声」
胸だけ責められ続け、みほの口から甘い嬌声が漏れ始める。
それを何とか押しとどめようというのか、みほは右手の親指を噛みしめた。
だが、そんな事をエリカが許すはずも無く、右手はやんわりと、だが力強くみほの口から引き抜かれた。
「あっ、あんっ、まっ、まって、エリカさ、これやめ、うぅっ」
「・・・・・・」
エリカは何も答えない。
ただひたすらに、みほの胸を攻め続け、首筋に赤い印を堕とし続けるだけであった。
「こっちを見なさい、みほ」
「はっ、はぃぃ」
ふらふらになったみほに、エリカの言葉に逆らうという選択肢はなく、エリカの言う通りに彼女の正面に向き直る。
そして、みほは見た。
エリカの顔が嫉妬に歪んでいるのを、そして、その瞳の中に嫉妬以外の感情が多分に含まれているのも。
「んむっ」
「ふぅっ!?」
何も言わず、みほの唇を奪うエリカ。
舌で唇を撫ぜ、歯と歯茎にも舌を這わせ、ディープキスをしようとしている。
そんな時、みほの視界にまほと一緒に取った記念写真が目に入った。
せめてまほと一緒に撮った写真を倒そうというのだろう、必死にみほは写真立てに手を伸ばす。
それが面白くなくて、悔しくて、エリカはより強くみほの体を抱きしめ、犯すようなディープキスをした。
「んんっ」
「んぷっ!?」
くちゅ、くちゃ、と唾液と舌が絡まる音が響き渡る。
みほが伸ばした手が、徐々に力を失ってゆく。
手を伸ばすことが出来なくなった時、エリカはみほにディープキスをすることを止めた。
ぐったりとしているみほに対して、エリカは告げる。
「みほ、服を脱ぎなさい」
「えっ・・・・・・な、なん」
「なんで、とは言わせないわ」
みほは見た、エリカの瞳に炎のように燃える嫉妬と情欲の感情を見てしまった。
こうなったエリカは、もう止まる事は無い。
震える手つきで、みほは部屋着に手をかけた。
「濡れてくれているのね・・・・・・それともこういう風にされるのも好きなのかしら?」
「ち、ちがうもん!」
「ま、そこについては、貴女の体に直接聞かせてもらうわ・・・・・・覚悟なさい、今日一日貴女を休ませてなんかあげないわ」
「ひっ!?」
ベッドの上に組み敷かれ、ディープキスの余韻で抵抗できないみほを、エリカはなぶってゆく。
それが、まほに対する嫉妬からくるものだと、エリカは解っていても止めることが出来なかった。
そしてみほも、彼女の行為がまほへの嫉妬からくるものだと解ってしまった。
故に、みほは彼女の行為を止めることが出来なかった。
「ねえ、みほっ」
「は、はっ、はえっ?」
「まほさんと私、どっちがいい?」
「えぁ・・・・・・」
「ふふっ、そう、そうなのね・・・・・・そうやって貴女ははぐらかすのね」
「ひあぁぁぁっ!?」
みほはエリカの手により嬌声を上げ続け、そして、果て続けた。
エリカは彼女の宣言した通り、みほを一度も休ませる事は無く。
みほはただ、エリカの行為によって達し続けるしかなかった。
「ひゅぅ、ひゅぅ、エリカしゃん、ひゅぅ、もう、ゆるひて・・・・・・」
「あら、まだ話す余裕があったのね」
「ひぃん!?」
「貴女の心も、体も、私のものにしたい・・・・・・隊長、いえまほさんにも譲るつもりは全くないの」
達し続け、そしてついには意識を手放したみほ。
そんな彼女の髪を優しく撫でながら、エリカはその心情を吐露する。
「負けませんよ、まほさん・・・・・・貴女には絶対に」
エリカのその目には、決意の光が宿っていた。
この話もあと一話で終わりとなります。
もうしばらく、お付き合いしてくださいませ。