【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課 作:ルピーの指輪
自己紹介みたいなものです。
次回から本編を開始しますのでご了承ください。
これは
それではよろしくお願いします。
プロローグ
真っ白い肌に関節に継ぎ目のある疲れない体……。
睡眠という習慣を失ったあたしは夜が明けるのを感じて朝の仕事に取りかかる。
コーヒーを淹れて、朝食を作る。今日はベーコンエッグが良いかしら?
「おはよう、司令。相変わらず時間通りに起きるのね」
「おはよう。おおっ、今日は洋食か。フィリアくんが家に来てから朝から食卓が華やかだ」
赤髪で筋肉質の養父、風鳴弦十郎は朝から暑苦しい笑顔で食卓につく。
「別に、普通よこれくらい。司令の普段の食事が簡素すぎなのよ」
「むっ、そうか。しかし、誰かに作ってもらう飯はいいものだ」
美味しそうに朝食を食べる彼を尻目にあたしはいつも通りのセリフを返す。彼は彼なりにそれを流す。
「じゃ、あたしは先に行くから」
「ああ、気をつけて行くんだぞ」
子供がおつかいに行く前みたいな言葉を背中に受けて、あたしは外出の準備に取りかかる。
人形の見た目を隠すための特殊な塗料を念入りに塗り込み、仮初めの人間の姿にカモフラージュする。
そして、あたしは私立リディアン音楽院の制服に着替えて通学を開始する。
まったく、小学生くらいの大きさになったせいで、高校では常に年下扱いをされるのはストレスだわ。2年生になった今でも、同級生や先輩はもちろん、後輩にまで子供扱いされるんだから。
特に遠慮がないのが……。
「フィリアちゃーん、おっはよー」
「おはようございます。フィリア先輩」
黄色い髪の元気な子、立花響と黒髪の大人しそうな子、小日向未来が挨拶をする。
この響は何度、あたしが先輩だと注意しても改めないので諦めている。
本当に距離感の詰め方が急で遠慮がない子。誰とでも手を繋げるって本気で信じてる呆れるほどお人好しな子なの。
趣味を大真面目な顔して「人助け」って言ってのけたときは、あ然としちゃったわ。
「あら、珍しいのね。あなたが遅刻しないなんて」
「ふぇあっ、そりゃーないよー、フィリアちゃん。まるで私が遅刻しない日のほうが少ないみたいじゃん」
「大体、半分ぐらいだもんね。響の遅刻」
オーバーなリアクションをとる響と微笑みながら皮肉を言う未来。
この二人はびっくりするほど仲が良い。
「フィリアちゃーん、実は課題を今度手伝って欲しいんだけど……」
響は申し訳なさそうな顔をして、私にお願いのポーズをとる。
「はぁ、いくらあたしが眠らないからって、暇じゃないのよ。でも、しょうがないわね。未来がこのままだと、睡眠時間削られちゃうんでしょ、付き合ってあげるわよ」
「さっすがフィリアちゃん。大好き!」
「はいはい、調子がいい子ね」
響が遠慮なく抱きついたとき、ただならぬ視線を未来から感じたけど無視をする。
「響がいつもすみません」
「そう思うのなら、せめてもう少し宿題をさせるように急かしなさい。お好み焼きを食べる時間を削ればもうちょっと何とかなるでしょ。何だかんだ、響に甘いのよ、あなたは」
「善処しますね」
「そりゃないよー。未来ぅ」
こんなやり取りをしながら、1年生の二人と登校して、そしてあたしは自分のクラスに到着した。
コミュニケーション下手なあたしだけど、それ以上に一匹狼を気取ってる子がこのクラスにはいる。
妙にこの子とはウマが合うのよね。
「おはよう、クリス。相変わらず、早いのね。余程、学校が居心地がいいのかしら?」
「なっ、お前まであのバカみたいなこと言ってんじゃねーよ」
顔を真っ赤にして否定する彼女をからかうのはあたしの最近の日課になっている。
白髪の言葉遣いが悪い彼女は雪音クリス。あたしのクラスメイトだ。
「あら、響と同類とは心外ね。あたしはそんなお人好しじゃないわ」
「けっ、あたしからすりゃ、一緒だよ。ガキみてぇななりの癖に年上ぶりやがって」
そう言ってそっぽをむくクリス。あたし以上に素直になれない意地っ張り。
「あなたのそういうところを見てると、ほっとけないのよね。出来の悪い妹を見てるみたいで」
「いっ妹だぁ? どっちかと言うとフィリアの方が妹だろ? どう見たって小学生じゃねーか」
あたしの妹発言が余程気に入らなかったのか、クリスはあたしの肩を掴んでグラグラ揺らしてきた。
「そういう可愛らしいところが、妹っぽいのよ。すぐに感情的になるところも」
「うっうるさいな。もう知らねー、どっかいけよ」
拗ねるクリスとしばらく雑談をして、あたしは授業の準備をした。
授業が終わり放課後、今日は二課へ顔を出す日だ。
セキュリティ厳重な扉の前にたどり着いたとき、後ろから声をかけられた。
「フィリア、このあと鍛錬に付き合ってほしいのだが……」
青髪の凛々しい顔立ちの子の名前は風鳴翼。
あたしの義理の従姉妹になる子だ。
「別に構わないわよ」
この子もあたしも武器が剣ということで、よく一緒に鍛錬を積んでる。
まぁ、人形のあたしは鍛えたところで身体能力は上がらないんだけど……。
「いつもありがとう。あなたが居たから、私は強くなることに前向きになれた」
翼は改まってそんなことを言う。
「バカね。あたしだって、あなたが居たから戦えてるのよ。早くいくわよ」
「そうね……、でもお礼を言いたかった」
翼は少しだけ微笑んで、歩きだした。
こうしてあたしは今日も特異災害対策機動部二課に足を踏み入れる。
人形になったあの日、あたしは人であることを諦めた。
だけど、変わり者のお人好しはあたしを人間として、仲間として扱ってくれる。
そう、全てはあの日から始まったのだ――。
次回から物語が開始します。