【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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今回は原作7話の最初の方までです。
それではよろしくお願いします!


イチイバルの装者

「響……、どうして……?」

 

 信じられないという表情で響を見る未来。そりゃあびっくりするわよね。

 

「何やってるのよ、未来ならあたしが守れたのに――。まぁ、いつかこうなるだろうと思ってたけど……」

 

 響の隣に高速で移動したあたしはそう声をかけた。

 

「ああっ、フィリアちゃんも居たんだ……。ごめん……」

 

「あたしに謝る必要はないわ。彼女を取っ捕まえるわよ」

 

 響の謝罪を受け流して、あたしはネフィシュタンの少女を見据えた。

 

「ちっ、人形のやつも居やがったか。まぁいい。全員まとめてぶっ飛ばして――」

「とりあえず、ここを離れるから……、破っ――」

 

 ――掌底勁打(ショウテイケイダ)――

 

 あたしはネフィシュタンの少女の間合いに一瞬で詰め寄り、両手の掌底を腹に当てて、拳法の発剄の要領で内部まで浸透するエネルギーの波を当てる。

 

「なっ、バカなっ――」

 

 ネフィシュタンの少女は体をくの字に曲げて森の中に吹き飛んでいった。

 

「響、行くわよ。着いてきなさい」

 

「ひぇっ、フィリアちゃん。喋っているときに攻撃するなんて反則なんじゃ……」

 

「甘いわね。常在戦場……、戦場で油断する方が悪いのよ……」

 

 あたしはそう言って、森の中へ駆け出して行き、響はそれに続いた。

 

 

 

 あたしと響はネフィシュタンの少女が吹き飛ばされたであろう場所まで走った。

 あのくらいじゃ、ダメージはないでしょうね……。

 

「ねぇ、フィリアちゃん。お願いがあるんだけど……」

 

「何? 面倒なことは嫌よ」

 

「あの子と話し合いたい。同じ人間だから、きっとわかり合える」

 

 響はあの少女と話し合いたいとか言っている。

 

「はぁ? あなた、あの子が何やったか見てたわよね? 《ノイズ》を操って大惨事を起こしたのよ。それに翼も……」

 

「でも、あの人は《ノイズ》じゃない! 言葉は通じる、それなら心もきっと通じ合えるはず!」

 

 この子、バカだと思ってたけど大バカね……。

 だけど、あのときの彼女の顔――。《ノイズ》じゃない、か……。

 

「はぁ、あなたって実にバカよね……」

 

「ううっ……、フィリアちゃん、しみじみ言わないで……」

 

 響が落ち込んだような声を出した。

 

「でも、そういうバカは嫌いじゃないわ……。しばらく手を出さないでいてあげる。危なくなったら、手荒なことするわよ」

 

「ありがとう!」

 

 嬉しそうな声を響が出したところで怒り心頭のネフィシュタンの少女と相まみえる。

 

「ちっ、訳わかんねぇ技を使いやがって! いいぜ、二人まとめて相手にしてやらぁ!」

 

 戦闘態勢をとった彼女の前に響が立ちはだかる。

 

「あん!? なんだ、どんくせぇのが一匹でどうするつもりだ!? そっちの人形も見てねぇでかかってこいよ! 舐めてるのか!?」

 

 一人で立ち向かおうとする響を見て、少女はさらに苛立った態度になった。

 

「どんくさいなんて、名前じゃないっ!」

 

「なんだ?」

 

「私は立花響、15歳!  誕生日は9月13日で血液型はO型!  身長は、こないだの測定では157cm!  体重は――もう少し仲良くなったら教えてあげる! 趣味は人助けで好きなものは、ご飯&ご飯! あと、彼氏居ない歴は年齢と同じ!」

 

 響は急に自己紹介をする。体重をこの間あたしに唐突に告げたのって、仲良くなったって勝手にあなたが認定したからなの?

 真面目な顔で何をするかと思えば……。

 

 

「何をトチ狂ってやがるんだ、お前……」

 

 まぁ、そう思われても仕方ないわね……。

 

 

「私たちは《ノイズ》と違って言葉が通じるんだからちゃんと話し合いたい!」

 

「何て悠長っ!  この期に及んでっ!」

 

 響の甘い主張はやはり切り捨てられるわよね……。

 

 ネフィシュタンの少女は次々とムチで響に連撃を加えようとする。

 

「信じられないわ……。あなた、どこまで……」

 

 響がスムーズに攻撃を避ける動きの良さに、私は驚いた。短期間で……、早すぎるっ……。

 

 戦いに覚悟を持って挑んでいる目をしてるわ……。

 

 

 

「話し合おうよ!  私たちは戦っちゃいけないんだ!」

 

「――ちっ!」

 

「だって、言葉が通じていれば人間は――」

 

 響はさらにあの少女に主張する。人間同士だから、戦っちゃいけないと……。

 本当に頑固な子ね……。でも、それが通じるかしら?

 

「うるさいっ! 分かり合えるものかよ人間が!  そんな風に出来ているものか! 気に入らねぇっ、気に入らねぇっ、気に入らねぇっ、気に入らねぇ……! わかっちゃいねぇことをペラペラと口にするお前がぁぁぁぁぁっ!」

 

 ネフィシュタンの少女は激高して響に対して感情をむき出しにした。

 

「お前を引きずってこいと言われたが、もうそんなことはどうでもいい。お前をこの手で叩き潰す。今度こそお前の全てを踏みにじってやるっ!」

 

 少女の殺気がさらに増幅したわね……。大技を使う気?

 

「私だってやられるわけには……」

 

「うぉぉぉっ! ぶっ飛べ!」

 

 ――NIRVANA GEDON――

 

 ムチの先端で巨大なエネルギーの球体が黒い電撃を包み込み、その球体を響に投げつける。

 

 

「くっ!」

 

 響はかろうじて両手でエネルギーの球体を受け止めた。やはりギアの出力がかなり高くなっているわね……。すでに翼に近い力を感じるわ……。

 

「持ってけ、ダブルだ!」

 

 しかし、ネフィシュタンの少女はもう一発、球体を響に投げつけてきた。

 

「響っ!」

 

 あたしは響を援護しようと近くまで駆け寄った。

 

「来ないで! 大丈夫!」

 

 響ははっきりと大丈夫だと言い放ち――爆発に見事に耐えきった……。

 

 間違いないわ。今の響なら、あの子にでも……。勝てる……。

 

「響、前にも話したでしょう? エネルギーを一点に集中よ。今のあなたなら、アームドギアはなくても、それだけで――」

 

「うん、アームドギア生成できなくても、このエネルギーをぶつけることが出来れば――」

 

 あたしのアドバイスで響は両手にエネルギーを一点集中させる。

 

「何を企んでるのかしらねぇが! させるかよぉぉぉっ!」

 

 しかし、そんな響にあの少女はムチを伸ばす。

 

「でぇぇいっ!」

 

「なんだとっ!?」

 

 響はムチを掴んで、それを引っ張る。

 あの、動き……、シンフォギアの力を制御出来るからこそね。

 

 

 

 

 そして、響はネフィシュタンの女目掛けて一直線に突き進む。あのスピード、あのパワー、アームドギアが無くても、あの子は――。

 

「最速で、最短で、まっすぐに、一直線に! 胸の響を! この想いを! 伝える為にぃぃぃぃぃ! はぁぁぁぁぁっ!」

 

 そして、彼女の強力な一撃はネフィシュタンの女を吹き飛ばし、彼女はブロック塀が抉られるほど強く体を打ちつけた。

 ネフィシュタンの鎧に亀裂が見えるわ……。あの子は完全聖遺物に絶唱も使わず、傷をつけたっていうの?

 

 あと、どうでもいいけど、響って話し合うって言ってたけど――殴っちゃったわね……。

 

 

 ネフィシュタンの鎧はすぐに再生を始めて、少女はむくりと立ち上がった。

 

「お前……、バカにしてるのか?  私を――雪音クリスを!」

 

 少女はやはりかなり怒りをためているようだ……。それにしても、《雪音クリス》? 前にそんな名前を聞いたことがあった気がするわ……。確か……。

 

 

「そっか。クリスちゃんって言うんだ。ねえ、クリスちゃん。こんな戦いもう止めようよ。《ノイズ》と違って、私たちは言葉を交わすことが出来る。 ちゃんと話をすればきっと分かり合えるはず……、だって私たち、同じ人間だよ!」

 

 響は殴り飛ばしたことを忘れたかのごとく、争いはやめようと言う。

 呆れたバカね。ホント、ある意味すごいけど……。

 

「お前くせーんだよ……、うそくせー! あおくせー!」

 

 クリスは怒りの形相で響に襲いかかる。

 

 彼女の怒涛の攻撃が響に炸裂する。殴り、ガードをこじ開け、蹴りつける。

 ここに来て、パワーが上がっている。響、そろそろタイムリミットよ……。

 

 あたしはクリスの拘束へ動き出した。

 

 

 

「くっ……、クリスちゃん……」

「響、時間切れよ。ここからはあたしが……」

 

 響の隣に駆けつけて、あたしはひと声かける。

 

「けっ、人形が今さら来たところで……、ぶっ飛べよっ! アーマーパージだっ!」

 

 クリスはなぜか自らのネフィシュタンの鎧を破裂させて破片を飛ばす……。何をするつもりなの?

 

「Killter ichiival tron……」

 

 まさか……、これは……聖詠……? そうだ、雪音クリスは2年前に行方不明になったという装者候補の名前だった……。まさか、こんな形で出会うなんて……。

 あの子は弦十郎がやり残したという仕事の……。

 

「見せてやる、イチイバルの力だ!」

 

 イチイバルのシンフォギアを纏ったクリスがこちらに戦闘態勢を取った。

 

 

「クリスちゃん……、私たちと同じ?」

「驚いたわ。まさか、イチイバルのシンフォギアをこんな形で拝むなんてね……。コード、ミラージュクイーン」

 

 呆けた顔の響を後ろに下げて、あたしはミラージュクイーンを構えて、クリスと対峙する。

 

 

「歌わせたな……あたしに歌を歌わせたな! 教えてやる……、あたしは歌が大っ嫌いだ!」

 

「歌が嫌い?」

 

 歌が嫌いというクリスのセリフに後ろで反応する響。さぁ、どんな攻撃を見せてくれるのかしら。

 

 

 クリスはボウガンを手に光の矢をドンドン放ってきた。

 ちっ、飛び道具……、手数が多いタイプか……。あたしの苦手なタイプね……。

 

 心の中で舌打ちをして、ミラージュクイーンですべての矢を叩き落とす。

 

「テメーに用事はねぇっ!」

 

 しかし、矢に気を取られたあたしは、クリスに蹴り飛ばされてしまう。

 

「フィリアちゃん!」

 

 あたしの方に響が駆け寄る。バカっ、あたしは大丈夫だから目の前の敵に集中しなさい!

 

「仲良く……、くたばれっ!」

 

 ――BILLION MAIDEN――

 

 ボウガンがガトリング砲に変形して、両手から弾丸が放たれる。

 

 ――MEGA DETH PARTY――

 

 そして、さらに腰部からミサイルを連射してきた――。

 

「響、下がりなさい。あたしなら多少のダメージなら再生できる」

「嫌だっ! フィリアちゃんを盾になんてするもんか!」

 

 はぁ……、困った子ね……。マナブースト……。

 

 

「はっ、ざまぁみろっ! 吹き飛ばしてやっ……、なっ!?」

 

 

 ――水鏡ノ盾(ミカガミノタテ)――

 

 剣を下段から振り上げて、錬金術によって生成した水の壁でクリスのミサイルを防ぐ。

 しかし、大量の水を錬成するのでエネルギーの消費が他の技よりも激しい。正直言って、欠陥技……。

 

 

「あれ? フィリアちゃんが盾を……」

 

 

「けっ、そんな貧弱な盾なんて吹き飛ばしてやらぁっ!」

 

 ――MEGA DETH PARTY――

 

 クリスは再びミサイルをこちらに向かって放ってきた。しかもさっきよりも多いわ……。

 

 本当に面倒なタイプ。やりにくいわ。だけど……。

 

 

「どうしたっ! 棒立ちで!? もうあの盾は出せないのかっ!? ――なっ、今度は別の盾か!?」

 

「剣だっ!」

 

 目の前に巨大な翼のアームドギアが降ってきて、あたしたちをミサイルから守ってくれた。

 

 まったく、まだ全快してないのに無理しちゃって……。

 でも、助かったわ……、翼……。




最速で、最短で、まっすぐに……、のところはアニメだと歌っているので、多分口に出して言ってないのですが、カッコいいのでセリフにしました。
錬金術を使えばクリスの技にも対抗できるのですが、燃費の関係でやっぱりクリスはフィリアにとって相性が悪い相手です。
しかし、3対1だとクリスが可哀想になってしまいますね。





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