【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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原作12話の最後までです。
いよいよ無印編もクライマックスです。
それではよろしくお願いします!


ファウストローブ

「はっ――司令、あたしは……」

 

「フィリアくん、目を覚まして良かった……」

 

 薄暗い部屋で弦十郎はあたしの無事を喜ぶ。

 

「フィリアさんは、核の状態から全身を再生したようで、エネルギーを失って動けなくなっていました。多少強引ですが、糖分の入った飲料を飲ませ続けて回復をはかっていたんです」

 

 緒川があたしが目を覚ます過程を説明した。まさか、核だけになっても再生するなんて……。

 

「――そっそんなことより、現状は? フィーネは?」

 

 あたしは弦十郎に現状の確認をした。

 

「――非常にまずい……。フィーネの目的は――」

 

 あたしは弦十郎から手短に自分が倒れてからのことを聞いて、響たちのもとに急いだ――。

 

 そんな、クリスが絶唱を――。

 

 

 フィーネの目的は月を破壊してバラルの呪詛という人類にかけられた呪いを解くことだったらしく、《カ・ディンギル》はそのための荷電粒子砲だったのだ。

 《カ・ディンギル》の砲撃を防ぐためにクリスは絶唱を使ったみたいだ。

 

 どうして、あの子がそんなっ――。

 

 そして、響もまた、怒りによって融合したガングニールの欠片が暴走してしまってるらしい。

 このままだと、人としての機能が損なわれる危険な状態みたい……。

 

 フィーネ……、あなたを私は許さないっ!

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「もうよせ、立花! これ以上は聖遺物との融合を促進させるばかりだ!」

 

「がぁぁぁぁぁっ!」

 

 いつかのよりも更に全身が真っ黒に染まった響が翼を襲う。

 

「コード、マナバースト……」

 

 ――氷狼ノ一閃――

 

 あたしは響の動きを止めるために彼女を凍らせる。

 

「――フィリアっ」

 

「ガラクタっ、何故? お前は私がっ――」

 

 あたしは翼の隣でフィーネに向かってミラージュクイーンを構えた。

 

「翼、遅れてごめんなさい。もっと、早ければ……、いえ、とりあえず、あれを破壊しましょう……」

 

「うむ、しかし、立花は……」

 

 翼は氷漬けになった響を心配する。

 

「安心して……、一時的に凍らせただけよ……。あのまま暴走しっぱなしで放置するより安全なはず……。さぁ、あの抉らせたオバサンやっつけて、あの趣味の悪いデザインのゴミを処分しましょ」

 

「ふっ、創造主たる私にまた刃を向けるか! お前が一番気に食わない! 今度こそ二度と再生できぬようにしてくれるっ!」

 

 フィーネがあたしに向かってムチを高速で伸ばしてきた。

 

「コード、ファウストローブ……」

 

 あたしが合言葉を唱えた瞬間、手元にあったミラージュクイーンが弾け飛び、全身が銀色の光に覆われる。

 そして、あたしの身体は鏡で出来たような鎧を纏ったのだ……。まるで、シンフォギアのように……。

 

 ――雷獣ノ咆哮(ライジュウノホウコウ)――

 

 あたしは手をかざしてフィーネのムチめがけて錬成した巨大な雷撃を繰り出した。

 

 フィーネのムチは跳ね返されて、雷撃の余波が彼女の体をぐらつかせる。

 

「なっ――知らんぞっ!? そんなものっ……。お前に与えた粗悪な聖遺物の欠片ごときがそんな出力……」

 

「あたしだって知らないわよ。馬鹿の考えることなんか……」

 

 そう言いながら、あたしも驚いていた。

 支配出来る《マナ》の量と範囲が格段に上がっている――。

 ミラージュクイーンを武器として使うことは出来ないが、それを補って余りあるほどの火力だった。

 

「フィリア、それは……」

 

「ファウストローブって言うみたい……。翼とこれでお揃いになれたわね。あたしたちが最後の砦よ」

 

「そうだな。今日まで共に鍛錬を積んだのは、この日のためかもしれない。フィリアと私なら――」

 

 銀色と青色の鎧がフィーネの前に立ちはだかる。

 

「ふっ……、はーはっはっはっ」

 

 フィーネは突然笑いだした。そして、体の傷がみるみる再生していった。

 

「フィリアのように再生だと……?」

 

「私と1つになったネフィシュタンの再生能力だ。面白かろう。そろそろ、茶番も飽きてきた……」

 

 フィーネの体の再生が終わった瞬間、彼女の後方の《カ・ディンギル》が発光してエネルギーが収束される――。

 

 

「そう驚くな。カ・ディンギルがいかに最強最大の兵器だとしても、ただの一撃で終わってしまうのであれば兵器としては欠陥品。必要あるかぎり何発でも撃ち放てる」

 

 予想通り、あんな大掛かりな仕掛けが一発なわけがなかった。用心深いこの人が不測の事態を想定しないはずがない。

 

「その為にエネルギー炉心には不滅の刃デュランダルを取り付けてある。それは尽きることのない無限の心臓なのだ」

 

 フィーネは上機嫌そうに丁寧な解説をした。

 

「ねっ、言ったでしょ。早くあのオバサン倒さないと」

「ああ、あの女を倒せばカ・ディンギルを動かす者は居なくなるという道理か。我らにかかれば――」

 

「「造作のないことっ!」」

 

あたしと翼はフィーネに向かって走り出した。

 

「痴れ言を抜かすなっー!」

 

 フィーネは何重ものムチを一斉にこちらに放ってきた。

 

「大技であれを止めるわ! 翼はそのスキに――」

「心得たっ――」

 

 あたしは天に手をかざした――。

 

 ありったけをくれてやるわ……。

 

 ――不死鳥ノ皇帝(カイザーフェニックス)――

 

 最大出力のエネルギーで炎を錬成して決して消えることのない火の鳥を作り出す。

 これが、今のあたしの最大の技よ――。

 

 繰り出された火の鳥は完全聖遺物のネフィシュタンの鎧から繰り出されるムチをも跳ね返し、燃やし尽くす。

 

「なっ、再生が追いつかないっ――」

 

 たまらず、回避行動をとるフィーネの上空に飛び上がった翼が現れる。

 

 ――天ノ逆鱗――

 

 巨大化するアームドギアがフィーネを襲う。

 

 彼女はとっさに三重層から成るバリアのようなものを展開して翼の攻撃を防ぐ――。

 

「翼っ」

「わかってるっ――」

 

 しかし、あたしたちの目的はあの趣味の悪い建造物――《カ・ディンギル》だ。

 

 翼はアームドギアを足場にして飛び上がる。

 

 

 ――炎鳥極翔斬――

 

 炎を噴出して、舞い上がる翼――。これで決めるわよっ――。

 

「始めから狙いは《カ・ディンギル》か!」

 

 しかし、フィーネも黙ってそれを許さない。無事だったムチを素早く翼の方に伸ばす。

 

「くっ、やはり……、私では――」

 

「なに弱気なこと言ってんのよ……」

 

 ――水鏡ノ盾――

 

 あたしは空中に猛スピードで舞い上がり、翼を襲うムチを水の壁を出現させて弾いた。

 

「か、奏? いや、フィリアか……」

 

「翼、あなたの心にはもう一つ翼があるはずよ。あなたと奏、両翼揃ったツヴァイウイングなら――」

 

「どこまでも、飛んでいけるっ――」

 

 翼は炎を纏い、《カ・ディンギル》に特攻する。

 

「あたしは、今度こそ約束を守るっ――」

 

 あたしは残り少ないエネルギーを振り絞って翼の後を追った。

 

 

 《カ・ディンギル》は大爆発を起こして崩れ去った。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「バカなの? まさか突っ込んで行くとは思わなかったわよ。とっさに水のバリアーを張らなかったら今ごろ……」

 

「すまない……、確実に破壊せねばならないと思ったからな……」

 

 あたしは翼を抱えて空中に舞い上がって、響の近くに着陸した。

 

「――あれっ、翼さん、フィリアちゃん、なんでそんなにボロボロに?」

 

 凍らせて、刺激を出来るだけ与えないようにしたのが良かったらしく、響は暴走から立ち直ったようだ。

 

 

「えぇぇいっ! どこまでも忌々しい! 月の破壊はバラルの呪詛を解くと同時に重力崩壊を引き起こす。 惑星規模の天変地異に人類は恐怖し、そして聖遺物の力を振るう私の元に帰順するはずであった!」

 

 フィーネは歯ぎしりしながら怒りを顕にした。

 

「痛みだけが人の心を繋ぐ絆! たった一つの真実なのに! それを……、 お前らはっ! この失敗作のガラクタ風情がっ! 私の計画をっ!」

 

 フィーネはあたしにムチを伸ばす。

 

 あたしは錬金術でそれを防ごうとするが――。

 

「くっ、ファウストローブがっ」

 

 バリンっと音がしたと思うとファウストローブが砕けて消えてしまった。

 まさか、エネルギー不足で錬金術を使おうとすると維持できなくなるの? 面倒な仕様ね……。

 

 そして、フィーネのムチによって身体中が穴だらけになってしまう。

 

「フィリアっ」

「フィリアちゃん……」

 

 

「まったく、最後まで親の足を引っ張りおって、そこに生体と聖遺物の融合症例がたまたま出てきたから良かったものの、そもそもお前が生まれてすぐに、キチンと聖遺物と融合を成せば計画実行ももっと早かったのだ。お前はことごとく私を苛つかせる」

 

 フィーネは憎々しげにあたしを見下ろす……。

 再生にエネルギーが更に持ってかれる……。意識はかろうじて残るけど、動くのは無理ね……。お菓子もさっきの爆発で全部なくなったし……。

 

「消えてなくなれっ」

 

 フィーネはあたしにエネルギーの塊のようなものを飛ばしてきた。

 

「フィリアーっ」

 

 しかし、翼があたしの前に立ちふさがり吹き飛ばされてしまう。

 バカ、何をしてるの……?

 

「こんなガラクタを庇うとは、バカな奴だ」

 

「翼さんっ! そんな……」

 

 遥か彼方に飛ばされてしまった翼を見て響は愕然とする。

 

 

「翼さんも、クリスちゃんもフィリアちゃんも酷い目にあって……、学校も壊れて、皆居なくなって……、私……、私は何のために?  何のために戦ったの? みんな……」

 

「お前の意味など、私の実験材料以外にないわっ!」

 

「ぐっ」

 

 フィーネは響を蹴飛ばして頭を踏み潰す。

 

 

「もうずっと遠い昔、あの御方に仕える巫女であった私は――。いつしかあの御方を……、創造主を愛するようになっていた。だが、この胸の内を告げることは出来なかった。その前に、私から、人類から言葉が奪われた。バラルの呪詛によって唯一創造主と語り合える言語が奪われたのだ。私は数千年に渡りたった一人、バラルの呪詛を解き放つため抗ってきた。いつの日か胸の内の想いを届けるために……」

 

 フィーネは創造主とやらに想いとやらを伝えるために月を壊そうとしたらしい。

 

「胸の想い――?  だからって……」

 

「是非を問うだと? 恋心も知らぬお前が!?」

 

 響の言葉に激高したフィーネは彼女の髪を掴んで地面に投げつけた。

 

 

 

 

 

「あなたは休んでなさい。響……」

「えっ、フィリアちゃん……。大丈夫なの?」

 

 あたしは投げつけられた響を抱き止めた。

 

「なっ、お前っ! 動けたのかっ!?」

 

「ええっ、この食い意地の張った子のおかげでね……」

 

 あたしは響のブレザーの裏ポケットを弄って、チョコレートを取り出した。

 

「この子が持ち歩いていたお菓子があたしの側に転がってきたのよ。あむっ」

 

「フィリアちゃん、それ私のおやつ……」

 

 響が蹴飛ばされた瞬間にポケットから菓子が落ちたのは僥倖だった。

 

 

「さぁ、回復したわ。あなたがあたしの母親なら、子のあたしが責任を取ってあげる。抉らせた、バカなオバサンに巻き込まれた人類が可哀想だもん」

 

「どこまでも忌々しいやつっ!」

 

 フィーネは手をかざして、エネルギーの塊を再び飛ばしてきた。

 

「コード、ファウストローブ……」

 

 あたしはファウストローブを身に纏って、響を庇うように手を広げて受け止める。

 余波までは防げなかったので、響は飛ばされて倒れてしまったが、傷はなかった。

 

「完全聖遺物と融合して、ご満悦みたいだけど……、まさかこの程度?」

 

「バカなっ、バカなっ、バカなっー! ガラクタごときが、ネフィシュタンの鎧と完全に融合した私の――」

 

 フィーネはムチを伸ばした上にエネルギーの塊を両手から連発してきた。

 

 ――震脚――

 

 地面の踏みしめて隆起させて、フィーネの攻撃を防ぐ。

 

「ぐっ、これは弦十郎の……」

 

 ――鉄山靠――

 

 最高速度でフィーネに肉迫して、エネルギーを爆発させながら、背中からの体当たりを直撃させる。

 

「なっ――」

 

「ウチの親が世話になったから、仕返しよ……」

 

「小賢しいっ」

 

 フィーネとあたしの三度目の戦いが始まった。

 

 あたしは彼女の攻撃をことごとく防ぎ、フィーネに幾度も攻撃を与えた。

 

「くっ、妙な技で……。こんな、意味のわからん技でこの私がっ……」

 

「あの人とバカな映画を一緒に見た《想い出》の力がっ、あんたのバカみたいな聖遺物との融合とやらより弱いはずがないでしょ!」

 

「戯言をっ――」

 

 どちらの身体も攻撃を受けても回復するので一見キリがないように見えた。

 

 くっ――武術中心でも何とか優勢かと思ってたけど……。

 

「ふはははっ、随分と消極的に戦っている思ったが、その鎧を維持するのにかなりのエネルギーを消費しているのだな? だから、お前は錬金術を使わないっ!」

 

「うっ、うるさいわね! さっさとくたばりなさいよ! 年増のヒステリーで月を破壊するって恥ずかしくないのっ!?」

 

「――っ、減らず口を……」

 

 フィーネの言っていることは的を射ていた。このままでは15分もすればエネルギー切れを起こすだろう。

 

 あたしは敗北を予感した――。

 

 そのとき……、《歌》が聞こえた――。

 

『仰ぎ見よ――♪ よろずの愛を――』

 

 

「リディアンの校歌?  どうして?」

 

「ん? チッ、耳障りな……。何が聞こえている? 何だこれは?」

 

 歌が響き渡る……、そして、そのたびに光の玉が次々と集まってくる……。

 

 この光は……、《マナ》じゃない。でも、エネルギーの波動のようなものを感じる。

 

 そして、倒れている響の元にも光が集まっていた。

 

 

「どこから聞こえてくる? この不快な歌――」

 

「聞こえる……、皆の声が……」

 

 倒れていた響の目に力が宿ったみたいだ。

 

「響、大丈夫?」

 

「フィリアちゃん、この歌が聞こえる? あのね、私を支えてくれてる皆はいつだって傍に居たんだよ。皆が歌ってるんだ……。だからまだ歌える――頑張れる!――戦えるッ!」

 

「響? あなた、その力……」

 

 響は立ち上がる、目に力強い意志を宿して……。

 

「まだ戦えるだと?  何を支えに立ち上がる? 何を握って力と変える? 鳴り渡る不快な歌の仕業か?  そうだ、お前が纏っている物は何だ? 何を纏っている?  それは私が作った物か?」

 

 フィーネは完全に倒したハズの響が再び立ち上がった事に動揺していた。

 

「翼っ! クリスっ!」

 

 再びシンフォギアを身に纏った響が空中に舞い上がって、それに呼応するように、なんと翼とクリスも復活してギアを身に纏って空を飛び、空中で三人のシンフォギア装者が勢揃いする。

 

 ――こっこれは奇跡なの?

 

 

「お前が纏うそれは一体何だっ!?  何なのだっ!?」

 

「シンフォギアァァァァァァァッ!!」

 

 響が雄叫びを上げる。

 

 フィーネとの最後の決戦がついに始まった――。

 




ファウストローブを纏った感じはアガートラームのデザインに近い感じのイメージです。
剣がなくなるので、格闘術と錬金術を合わせて戦うのが基本となります。
次回もよろしくお願いします!


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