【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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原作3話の終わりくらいまでです。
それでは、よろしくお願いします!


勧誘

『いいか!  今夜中に終わらせるつもりで行くぞ!』

 

『明日も学校があるのに夜半の出動を強いてしまい、すみません』

 

 弦十郎と緒川からの通信が入る。

 あたしたちは夜の廃病院に来ている。

 

「気にしないでください。これが私たち防人の務めです」

 

「どうせ、あたしは寝ないし……」

 

「街のすぐはずれにあの子達が潜んでいただなんて」

 

 先日、世界に宣戦布告したテロ組織“フィーネ”……。そのアジトの場所がみつかり、あたしたちは先手を仕掛けているのだ。

 

『ここはずっと昔に閉鎖された病院なのですが、二ヶ月くらい前から少しずつ物資が搬入されているみたいなんです。ただ、現段階ではこれ以上の情報が得られず、痛し痒しではあるのですが……』

 

「尻尾が出てないのならこちから引きずり出してやるまでだ」

 

 クリスの言葉にあたしたちは頷き、夜の廃病院の中に入り込んだ。

 

 

「やっぱり元病院っていうのが雰囲気出してますよね」

 

「あたし、ホラーって好きなのよね。幽霊でも出てこないかしら」

 

「おっお前、変なこというんじゃねーよ」

 

「フィリアちゃんがそんなこと言うから、何だか空気が重いような気が……」

 

 そんなことを話しながら歩いていると、翼が口を挟む。

 

「私語は慎め、出迎えだぞ」

 

 前方から《ノイズ》の集団がこちらに向かってきていた。

 

「コード、ミラージュクイーン、マナバースト……」

 

 あたしはミラージュクイーンを構えて、三人はシンフォギアを纏う。

 

 《ノイズ》達との戦闘が始まった。

 

「やっぱりこのノイズは!」

 

「ああ。間違いなく制御されている。」

 

「立花、雪音のカバーだ! 懐に潜り込ませないように立ち回れ!」

 

「はい!」

 

 苛烈な連続攻撃でドンドン《ノイズ》に穴を空けるクリスに続いて、響も得意の接近戦で応戦する。

 

 どうも、手緩いわね。《ノイズ》にあまりダメージが通ってないような……。

 

 

「ちょっと、あなたたち、動きが悪いわよ……」

 

 

「なんだとっ!? フィリアっ、適当なことを……、なにっ!」

 

 クリスがムッとした声を出した瞬間、《ノイズ》が再生する。

 

「やあっ!」

 

 響が攻撃するも、《ノイズ》は再生する。

 

「はぁぁぁっ」

 

 ――蒼ノ一閃――

 

 翼のアームドギアが巨大化して強力な一撃を《ノイズ》に与える。

 

 バラバラされた《ノイズ》だったが、これも再生した。

 

 

 ――神焔一閃――

 

 あたしの錬金術による炎を纏わせた一撃……。《ノイズ》は一撃で炭化する。

 

 

「はあ、はあ、はあ……」

 

「なんで、こんなに手間取るんだ?」

 

「ギアの出力が落ちている?」

 

 三人はかなり疲労している様子で、翼にいたっては、アームドギアまで小さくなっていた。

 装者たちの調子が悪い……。出し惜しみするのはやめた方が良さそうね。

 エネルギーの温存は考えないようにしましょう。

 

「コード、ファウストローブ……」

 

 あたしはファウストローブを身にまとって大技を連発した。

 

 ――雷獣ノ咆哮――

 

 巨大な雷撃で《ノイズ》たちを弾き飛ばす。

 

 

 ――不死鳥ノ皇帝(カイザーフェニックス)――

 

 さらに巨大な火の鳥を召喚して残りの《ノイズ》を燃やし尽くした。

 

 

「すまない、フィリア。助かった」

 

「どうしてこんなにダルいの」

 

「ちっ、なんだってんだ?」

 

 なんとか《ノイズ》は全滅させたが、彼女らは肩で息をしていて、かなり調子が悪い。

 何が起こっているっていうの?

 

 不気味な現象に訝しく思っていると、通路の奥から黒い何者かが近づいてきた……。

 

「あっ、あれは……、ダメ……」

 

 あたしはあの黒い生き物を見て、突然、身体が硬直するような感覚を覚えた。

 何? なんでアレを見ると、身体が強ばるの……。

 

「はっ!?」

 

「みんな!  気をつけて!」

 

 響に殴られても、まったく堪えていない黒い生き物。やっぱり、アレは普通じゃない……。

 

「ぐっ……」

 

 翼が黒い生き物の頭を斬り裂くが、斬れない……。

 

「アームドギアで迎撃したんだぞ!?」

 

「なのに何故炭素と砕けない!?」

 

「みんな、あれは《ノイズ》じゃないわ。もっと恐ろしい何かよ……」

 

「《ノイズ》じゃない? じゃあ何だってんだよ?」

 

 クリスがそんなことを言ったとき、拍手の音が聞こえた。

 

 奥から現れたのは、銀髪のポニーテールの女と彼女に腕を組まれている白髪の男……。

 

「ウェル博士!?」

「フィアナっ」

 

 黒い生き物は檻に入っていった。

 

「フィリアちゃん、正解ー。それとも、この子のことは覚えてたのかなー?」

 

「ふふっ、意外に聡いじゃあないですか」

 

 フィアナとウェル博士があたしたちの前に立ちはだかった。

 

「そんな!?  博士は岩国基地が襲われたときに……」

 

「つまり、ノイズの襲撃は全部……!」

 

「明かしてしまえば単純な仕掛けです。あの時既にアタッシュケースにソロモンの杖は無く、コートの内側にて隠し持っていたんですよ」

 

 このウェル博士とやらが全ての《ノイズ》襲来の元凶だったらしい。あの顔を見たときから嫌な予感はしてたけど……。当たってしまったわね。

 

「さっすがぁ、ドクター! 策士だわぁ。まんまとこの子らを出し抜いちゃったってわけねぇ」

 

 フィアナはまるで恋人を見るような目でウェル博士を見ていた。確かに切歌が言うように趣味が悪い……。

 

「ソロモンの杖を奪うため、自分で制御し自分を襲わせる芝居をうったのか?」

 

「バビロニアの宝物庫より《ノイズ》を呼び出し制御することを可能にするなど、この杖を置いて他にありません。そしてこの杖の所有者は、今やこの自分こそがふさわしい。そう思いませんか?」

 

「ええ、ドクター以外の誰がこの杖を使いこなすことが出来ましょうかぁ」

 

 別にあなたに聞いてないと思う。ホントに苛つくわ。

 

「おいっ! お前ら狂ってんのか!? 誰が思うかよ!」

 

 あたしよりも先に堪忍袋の緒が切れたのはクリスだった。彼女の腰パーツが開いてミサイルを放とうとした。

 

「クスクス、やめた方がいいと思うわぁ」

 

「ざけんなっ!?」

 

 クリスがミサイルを放った――しかしっ……。

 

「うぁぁぁっ!」

 

 クリスは本調子ではないのにも関わらず攻撃をした反動のせいか自らもダメージを負ってしまう。

 

 ウェル博士は大量のノイズで壁を作ってミサイルを防いでいた。

 

「ああん、だから言ったのにぃ」

「フィアナは優しいですねぇ」

 

「くそっ、なんでこっちがズタボロなんだよ?」

 

 クリスは苦悶の表情を浮かべて首を捻った。

 

「あなたたちは下がって、ここはあたしが……」

 

 シンフォギア装者の調子が悪いので、あたしが前に出て戦うことにした。

 

「君が噂のお人形様ですか。なるほどぉ! 素晴らしい! 決して死なない不死身の身体に、シンフォギアをも凌ぐ戦闘力……。君をその姿に変えた人間は英雄が何たるものか理解しているようだっ! 僕もそんな身体が欲しいと思ってたんだ。――フィアナ、是非、彼女にはこちらについてもらいたいのですが……」

 

 舐め回すような視線をあたしに向けて、気持ちの悪いことを抜かすウェル博士。

 誰があなたたちの仲間になんてなるものか。

 

「ドクターがそう仰せなら、お任せください。ねぇ、フィリア。あなたぁ、人間の体に戻りたくはなぁい?」

 

「えっ?」

 

 フィアナは唐突にあたしの願いのひとつを提案する。

 

「こちらのドクターは天才なのぉ。彼にあなたの身体の解析をさせればぁ。きっと、人間の体に戻れる方法をつきとめてくれるわぁ」

 

 甘い口調で諭すように彼女はあたしを勧誘する。

 

「フィリアっ! これは悪辣な罠だっ!」

 

「あらぁ、薄情なお友達ですことぉ。確かにフィリアちゃんが人間の体を持ったら戦えなくなるもんねぇ」

 

 馬鹿にするような口調のフィアナ。どこまでも人をコケにするのね……。

 

「ぐっ……。そういうことを言ってるわけではないっ! 貴様らが信用できぬだけだっ!」

 

「私からするとぉ。大事なフィリアちゃんが、よく分かんないところで戦わされている方が不憫だわぁ。どうせ、この子のことも便利な道具にしか思ってないんでしょう?」

 

 フィアナは少しだけ声のトーンを落として睨みつけるような視線を放った。

 

「テメー、言わせておけば! こっちは死線を共に乗り越えた仲間だとは思っても、フィリアを道具だなんて思ったことは一度もねぇ。大体、テメーのどこに信頼とやらがあるんだよっ!」

 

 クリスは疲労困憊な様子なのにも関わらず、怒りを込めて彼女に向って大声を上げた。

 

「6年間……」

 

「はぁ?」

 

「だから、フィリアちゃんと居た期間よ……。私は6年もの間、フィリアと共に育ってきたのよ。この子が皮肉屋で素直になれない性格なのも知ってるし、甘いものが好きなのも、妙にりんごのケーキを作るのが得意なのも知ってるわ」

 

 馬鹿な、あたしがこんなのとそんなに長い間……。ううっ……、でもマリアとフィアナに初めてあったとき妙に苛ついた感覚になったわ。それは彼女らのスタイルを見ての感想だったと思ったけど……。

 

「フィリアちゃんと6年も……」

「りんごのケーキのことまで……」

 

「だからぁ、フィリアちゃんを返してほしいのよぉ。本当だったらフィリアちゃんはぁ、こっち側になってたんだから。ほら、後からこの子が裏切ったほうが辛いと思わなぁい?」

 

 あたしがこの子たち側に……。バカな……。でも、切歌と調を最初に見たとき――守らなきゃっていう気持ちが溢れたの……。

 あたしは本当に――彼女たちの……。

 

「黙れっ! 私とてフィリアとは長い付き合いだ! 決して裏切るような人間ではないっ!」

 

「翼……」

 

 そうよ、あたしの過去が何だって言うの? 今もこれからもあたしは翼の、彼女たちの側にいる……。

 

 

「交渉は決裂……、みたいねぇ。ごめんなさぁいドクター」

 

「ふぅ、仕方ない子ですね。また今度よろしくお願いしますよ……」

 

「任せてくださぁい。ドクターってば、超優しいー。大好き!」

 

 フィアナはそう言って、ウェル博士の肩に頭をすり寄せた。

 

「ふざけないでくれる!」

 

「まて、フィリア! あれを見ろっ!」

 

 翼が空の方を指さす。あれは、さっきのあの黒い生き物の入ったケージ。

 

「ノイズがさっきのケージを持って!? いつの間にっ!」

 

「長話させたのは、この為だったのか!」

 

 飛行型の《ノイズ》がケージを持ってどこかしらに黒い生き物を運んでいた。

 アレは必ず確保しておかないといけない気がする……。

 あたしたちは身構えて空中の《ノイズ》を目で追う。

 

「ところで、フィアナ、この4人を相手にして勝てますか?」

 

「はーい! 絶対に無理でぇす!」

 

「そうですか、では戦うのは上手くないですね」

 

 ウェル博士とフィアナは両手を上げた。くっ、どこまでも食えない奴らね。

 

「響、翼、その男と女の確保とクリスを頼んだわよ」

 

 この4人の中ではあたしが一番速い。

 

 音を置き去りにして最高速度で空中の《ノイズ》との距離を詰める。

 しかし、フィーネとの決戦のときは出来た空中浮遊は今の状態じゃ出来ない。《ノイズ》はもうすぐ海の上まで逃げてしまう……。どうする?

 

 

『そのまま飛ぶんだっ!  フィリアくん!」

 

『海に向かって飛んでください!  あなたなら、それくらい!』

 

 弦十郎と緒川の指示通りにあたしは海に向ってジャンプした。なるほど――そういうことね……。

 

『仮設本部、急速浮上!』

 

 仮設本部である潜水艇があたしの足場になるように浮かび上がる――。これならっ――。

 

 あたしは着地した後に、さらにジャンプする。

 

 ――焔珠(ホムラダマ)――

 

 右手から炎の球を投げつけて《ノイズ》を撃退する。

 

 あとは落ちていくケージを……。

 

 あたしは落ちていくケージに手を伸ばした。もう少し……。

 

 ――しかしっ!

 

「――なっ」

 

 あたしは何かに弾き飛ばされて、ケージを掴み損ねてしまう。

 

 あれは……、槍? あたしは海の中に落ちそうになる瞬間に水中に直立しているガングニールを見た……。




なんか、ウェルとフィアナがバカップルみたいになってしまいました……。
次回はフィリアVSマリアからスタートです。



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