【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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前回の続きです。
ラブラブ大作戦、ついに始動。
それではよろしくお願いします!


続・ひびみくは世界を救う

「実は響はもう戦えない体になってしまってて――。彼女も、ああいう性格だからかなり落ち込んでると思うんだけど、どうかしら?」

 

 未来に響の現状をまずは聞いてみる。そこから何とか話をデートに繋げないと……。

 

「そうですね。私は響が危ない目に遭わなくなるってホッとしていますが、いつもよりもボーッとする回数が増えてます……。人助けが出来なくなったからかもしれません」

 

「やっぱりそうよね。私たちも何とか彼女を元気付けたいんだけど、デリケートな問題だし、そもそも私たちを見ると余計に戦えない自分がもどかしくなったりしそうでしょ?」

 

 響が元気がないのは私たちも知っている。なんせ、もうギアを纏うなと、私たちがかなりキツく忠告したからだ。

 

「先輩たちは響の分も戦ってくれてますから、響がそれを気にするというのは仰るとおり辛いと思います。フィリア先輩は響を元気付けたくて私を呼び出したのですか?」

 

「ええ、そうよ。未来なら響のためのことなら力を貸してくれると思ったから」

 

 未来は意外そうな顔であたしを見た。まぁ、らしくないのは認める。

 

 

「フィリア先輩がそこまで響のことを……。それで、私は何をすれば?」

 

 未来……、ライバル出現みたいな表情はやめてほしい。違うからね、それは……。

 

「それは、簡単よ。あなたには響をデートに誘ってほしいの。ほら、水族館のペアチケットあげるから――」

 

「ひっ響をデートにですか? もっもうフィリア先輩も響に影響されすぎですよ。普通に遊びに誘うでいいじゃないですかー」

 

 未来はあたしが似合わないような言い回しをしたと思っているみたいだ。

 当然よね……。普通に考えて本気のデートしてこいだなんて言われるはずないもの。

 

「未来、勘違いしないで……。あたしはあなたに本気でデートしてきてほしいと言っているの。だってほら、あなたって響のこと――」

 

「ほっ本気って何を言ってるんですか? ふざけてるなら、私だって怒りますよ……。そりゃ、響のことは――でも、面白半分で冷やかされるのは腹が立ちます!」

 

 どうやら、思った以上に地雷だったらしく、未来は不愉快だという表情になった。

 困ったわね。最初から躓いたわ……。

 

“もー、下手くそねぇ。そんな言い方、怒られるに決まってるじゃない。普通に男を誘うとかじゃないのよ? しょうがない、ママがフォローしてあげるから、そのとおりに喋りなさい”

 

 フィーネが呆れた口調でダメ出しをしてきた。そんなに酷かったかしら?

 

「ごめんなさい。変なこと言っちゃって。これには理由があるの……」

 

「理由ですか? フィリア先輩が私をからかうのに、何の理由があるというのです?」

 

 やっぱり未来は怒ってるみたいだ。正直、ちょっと怖い……。

 

「実は――私も響のことが好きなのよ……。友達以上の感情を持ってるの……。最初は戸惑ったわ。こんな気持ちは初めてだったから……、でも気付いたら響のことを自然に目で追うようになっていた――」

 

 フィーネのやつ……。何をあたしに言わせてるの? 絶対に面白半分でしょ。大体こんな猿芝居に未来が騙されるわけ……。

 

「えっ、えっ、ちょっとフィリア先輩? 冗談ですよね? だって先輩が――いや、確かに最近、響は先輩に餌付けされていて――」

 

 納得しかけてるんじゃないわよ! いや、これはチャンスよね? こうなったら畳み掛けるしか……。

 

 

「出来るんだったら、あたしが響の恋人として支えたいわ。でも、響にはあなたがいるから……。このまま、響があなたのものになったら諦めようと思ってる……」

 

「フィリア先輩が響の恋人に? 何を言ってるんですか? 女の子同士でそんなこと……!?」

 

 未来はあたしの恋人発言に明らかに動揺していた。女子校だし、彼女を本気で取られることは想像してなかったみたいね。

 

「関係ないわよ、そんなこと。きっと響はあたしを受け入れてくれるわ……。あなたが居なければね……。いい加減、見ていて腹が立ってきたのよ。煮えきらないあなたに……。あなたが行かないなら、あたしが響を貰うわよ」

 

 そう言いながら差し出したチケットに手を伸ばそうとした――。

 

 ――すると、すごいスピードで未来はチケットを掴んで、カバンにしまい込んだ。

 

 

 

「――響は渡しません。フィリア先輩にも……、他の誰にも……。順番を譲ってくれたことと、チケットのことは感謝します」

 

 ギロっと睨まれながら、未来はペコリと頭を下げた。

 

 ――こっ、怖い……。人形の身で表情が顔に出にくくて良かった。人の身だったら、ビビってる表情が丸わかりだったでしょうね……。

 

 未来には会計はあたしがすると言って、先に帰ってもらった。

 

 

 

 

「ふぅ、途中はヒヤッとしたが、上手く乗せたな。しかし、見事な演技だ――一瞬、私もフィリアが立花のことを好いているのかと騙されかけたぞ……」

 

「お前、よく真剣な顔してあんなこと言えるな……」

 

 変装をして近くに座っていた翼とクリスがあたしに声をかける。

 

 なんで二人とも顔が赤いのよ……、やめなさいよ恥ずかしいんだから……。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 そして、デート当日、あたしは変装して響たちを尾行しながら監視する――同じく変装してる翼とクリスと共に……。

 

 なんで、あたしは子供服着せられて調みたいな髪型のウィッグを被らなきゃなんないのよっ!

 

「ははっ、似合ってるじゃないか。フィリア」

「ああ、生意気なガキって感じが出てていいじゃねぇか」

 

 そういう翼はホスト風の格好で男装をしており、クリスは金髪のロングヘアのウィッグにギャル風の格好をしてる。

 うん、どう考えても怪しい三人組だ……。

 

 というわけで、響たちの様子を見てみよう。

 

 

 

「うひゃぁぁぁっ!」

 

 響がボーッとしているところに、冷たいジュースの缶を頬に当てる未来。響は驚いて絶叫していた。

 周りの人がジロジロ見ている。

 

「大きな声出さないで」

 

「だっ、だって、こんなことされたら誰だって声が出ちゃうって!」

 

 響の反応に未来は苦言を呈する。

 

「響が悪いんだからね」

 

「私?」

 

「だって、せっかく二人で遊びに来たのにずっとつまらなそうにしてるから」

 

 未来は響がうわの空なのを責めていた。確かに、さっきから響は何か物思いに耽っている様子だった。

 

「あうぅぅ……、ごめーん。でも、心配しないで。今日は未来が誘ってくれた、デートだもの。楽しくないはずがないよん」

 

「響……。じゃあ、罰としてこれからはこうやって歩くから――」

 

 未来は響に密着して、腕を絡ませながら歩き出そうとした。

 あら、なかなか大胆ね……。あたしの演技も無駄じゃかったみたい……。

 

「ちょっ、ちょっと未来ぅ? 歩き難くないかなぁ?」

 

「響は、こうやって歩くの嫌なの?」

 

「そっ、そんなことないよー。未来っていい匂いするね。それに暖かい……」

 

「もう、バカ……」

 

 こうして響と未来は恋人のように腕を組んで水族館デートをすることになったみたいだ。

 

「なぁ、あたしら、なんかすっげー趣味の悪いことしてねぇか?」

 

「言うな雪音。我々は防人として、この二人の逢引を見届ける義務があるのだ……」

 

「そんな義務は嫌すぎるけど……、責任はあるわね……。しかし、思ったよりもキツイわ……。精神的に……」

 

 あたしたちの精神力はじわじわと削られていた。

 しかし、未来のあの目は――あの子は決意を固めてるみたいね……。

 

 あたしは未来の表情から、ただならぬ決意を感じ取っていた――。

.

 

 

 水族館のデートのあとは、しばらくウィンドウショッピングを楽しんで、こちらが用意した夜景が見えるレストランで食事をしていた。

 

 響は旺盛な食欲を見せつけ、最初の方に見せていた憂鬱な表情は消えていた。

 

 そして、その後は夜のスカイタワーで未来は響に大事な話があると言って正面から向かい合った。

 

 

「何を言っているのかここからだと聴こえないな」

「さすがに、大声で告白しないだろうし、これ以上は近づけないから見守るだけにしましょう」

「なんつーか、ここまで来たら謎の達成感みてーなもんが……。あっ――」

 

 未来が顔を真っ赤にして涙ながらに響に告白をしている様子を見ていたのだが、未来の話が終わったあとに、響は彼女をギュッと抱きしめていた……。

 

 これは、どっちなの? ダメだったけど、慰めて抱きしめるパターンもあるわよね……?

 

 

「「あっ――」」

 

 あたしたちは三人揃って間抜けな声を出した。

 

 なんと、目の前で響と未来の唇が触れ合っている――つまり、キスをしてるってことだ……。

 

 てことは……、《ラブラブ大作戦》成功ってこと?

 

 何故かあたしたちは三人揃って手を握って、作戦の成功を喜んでいた。

 あのクリスまで自然と一体感の中にいるのは、共に二人がイチャついているのをただ見守るという苦行を長々と続けた達成感のようなものがあったからだろう。

 

「これで……、良かったんだよなぁ?」

「ええ、これでギアの適合係数さえ上がっていれば……」

「防人の務め、確かに果たした……。感無量だ……」

 

 

 長いキスのあとに二度三度と短いキスをする二人……。正直、そのあとは家でしてほしい……。

 

 

「とりあえず、もう少し離れましょうか? ここで見つかると台無しだし……」

 

 そんなことを言った矢先である。

 

「きゃあぁぁぁっ、響ぃぃっ!」

 

 未来の悲鳴があたしたちの元に届いた。

 

 

 ――何事? あっ、あれは――フィアナ? でも、あの見た目は?

 

 

 いろいろな機材やチューブを付けられたフィアナが気を失っている響を抱き上げて、スカイタワーの窓を割って、そのまま、物凄いスピードで飛び去ってしまった。

 

 何? あのスピードとパワーは……。今までの彼女とは違う? いや、そんなことより響が攫われた――。

 

「気を確かに持てっ! 追いかけるぞっ!」

「おうっ! まだ、そんなに離れてねぇはずだっ!」

 

 あたしたちは、フィアナを追ってスカイタワーから飛び降りた――。

 ここにきて動き出すとは……。まったく……、面倒な状況になってしまったわ……。

 




原作とは逆にさらわれたのは響。
次回もよろしくお願いします!





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