【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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G編のクライマックス、フロンティア編です。
それでは、よろしくお願いします!


フロンティア

「ちっ、やっぱり《ノイズ》共が大量に居てやがる!」

 

「しかし、我らにかかれば《ノイズ》が何体来ようともっ!」

 

「負けるつもりはないわっ! この手で世界を救うの! 調、切歌! 行くわよっ!」

 

「私たちは諦めない……。世界を救うのを……」

 

「月の落下を絶対に食い止めるデスッ!」

 

「響っ! 必ず助け出すからね……」

 

「さぁ、行きましょう。響だったらこう言うはずよ……。最短で最速でまっすぐに一直線にってね……。ここはあの子のやり方で――」

 

 あたしたちはフロンティアの中枢を目指して一斉に駆け出した。

 

 クリスの弾丸と調の鋸で道を切り開き、あたしと翼の剣戟と切歌の鎌で《ノイズ》たちを両断し、マリアも立ちふさがる《ノイズ》たちを貫く。

 

 ――閃光――

 

 そして、神獣鏡のシンフォギアを纏った未来は扇状のアームドギアから紫色の光線を放って、次々と《ノイズ》を屠っていく。

 

 ゴーグルの効果が早速出てくれたみたいね。

 ていうか、強くない? 確か、神獣鏡のスペックって他のギアよりも低かった覚えがあるけど……。

 

“愛の力ね……”

 

“確かに、響を想う力にゾッとしたことはあるけど……、ここまでとは……”

 

 あたしたちはドンドン《ノイズ》を殲滅して行って、中枢へ突き進んで行った。

 

 

 そんな中、巨大な黒い影が上空から飛び降りてきた……。

 

「グォォォォォンッ」

 

 あっ、あれはネフィリム……。心臓だけになってたのに、ここの聖遺物を喰らってあんなに巨大に……。ビルくらいの大きさになってるじゃない。

 

 

 ――天ノ逆鱗――

 

 翼はネフィリムに向かって巨大化させたアームドギアを放つ。

 しかし、ネフィリムはアームドギアを弾き飛ばしてしまった。

 

「ちっ、みんな先に行けっ! ここは私が食い止めよう!」

 

 翼は一人でネフィリムの前に立ちはだかって剣を向ける。

 

 ――QUEEN'S INFERNO――

 

 クリスがネフィリムに大量の光の矢を放った。

 

「連れねぇこと今さら言うなよな。アレは一人で抑えられるもんじゃねぇ! あたしなら()()の技に合わせられる――」

 

「雪音……。ふっ、まさか、こんな殊勝な雪音が見られるなんてな。承知した! フィリアっ! 必ず、フロンティアを解析し、月の機能を復活させろっ! 小日向っ! 君の想いで立花を救ってこいっ! 頼んだぞっ!」

 

 翼とクリスは息のあったコンビネーションでネフィリムに向かって行った。

 

 

 

 彼女たちを信じるしかない……。翼、クリス、あんなデカブツに負けるんじゃないわよ。

 

 

 

 そして、さらに前に進んでいくと……。銀色のギアを纏った装者があたしたちの行方を塞いでいた。

 

 

「侵入者ヲ排除スル」

 

 フィアナが無数の球体からレーザーをこちらに向けて放ってくる。

 

「フィアナ! あの子はあたしがっ!」

 

 あたしは姉として妹の暴走を止めるためにミラージュクイーンを構える。

 

「待ちさないっ! あなたはフィアナと相性が悪いでしょ? フィアナは私たちにとっても大事な仲間よ。必ず、彼女の目を覚まさせるわ!」

 

「アナ姉のことは私たちに任せるのデス!」

 

「リア姉は成さなくてはならないことをして……」

 

 マリアたち三人がフィアナの攻撃を受け止めながら、あたしに先に進むように促した。

 

 

 

「――行くわよ、未来。ここで、立ち止まるわけにはいかないっ!」

 

「フィリア先輩……、はい、わかりました!」

 

 あたしと未来の二人きりで、フロンティアの内部に入っていった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「この中には《ノイズ》は居ませんね」

 

「ええ、中で暴れられると不都合なのかもしれないわね。あたしたちがこの中で戦闘をすることを恐れた――」

 

 もっともエネルギーが集中している中枢の大きな部屋に辿り着こうとしたとき、あたしは未来の疑問にそんな返答をした。

 

「んっんっんー、ちょーっと違うなぁ。君たちごときがいくら暴れたところで、グラつくようなフロンティアではなぁぁぁいっ! この場所は神聖なる場所なんだ。新時代の英雄たるこの僕の居城……。《ノイズ》のようなヤツが居て良い場所じゃないのですよ」

 

 思ったとおりウェル博士はこの部屋に居た。

 おそらくここがフロンティアのコントロールルーム……。

 それにしても、あの腕……、ネフィリムに似ている……。まさか、ネフィリムを取り込んだの?

 

 そして、その隣には――。

 

 

「響ぃっ! 良かった、無事だったのね!」

 

 そう、響が普通にウェル博士の隣に立っていたのだ。目を覚まして、普段どおりの顔をして。

 

「未来っ! 心配させちゃったねー。ごめんごめん。まさか、拐われちゃうなんて、私呪われてるのかなー? あはは」

 

「もう、響ったら!」

 

 未来は響に駆け寄り、響は彼女を抱きしめた。

 

「未来はやっぱり、私の陽だまりだ……。私の帰る場所なんだ……」

 

「響……。うん、私も響と一緒にいると安心する――」

 

 響が未来の目をまっすぐに見つめる。

 そして、口元を未来の耳に近づけて――。

 

 

「――だから、一緒にウェル博士に協力して仲良く二人で暮らせる世界を作ろう……」

 

「響?」

 

「ウェル博士は世界中の人を助けてくれるんだって。私もひとりでも多くの人助けをしたい。やっぱり、人間って話せば分かりあうんだよ」

 

 響はウェル博士を持ち上げて、未来に彼に協力するように求めた。

 どう考えてもオカシイ……。いつもの響に見えるが、発言の端々にウェル博士への絶対の信頼を感じる。

 まるでフィアナのように……。

 

「ええ、響さんが人助けが趣味だと仰っていたので僕らはわかり合えると信じてました。あなたが僕にすべてを捧げてくれると仰ってくれて嬉しいですよ」

 

「あはは、私なんかの力で良かったらいくらでも捧げちゃいます! ウェル博士に褒めて貰うためならなんだってやります!」

 

 響はウェル博士の手を握りながら力強い口調でそう言った。

 

「ドクターウェル! あなた、響に何をしたの!?」

 

「何って、救済者のひとりに選んだのですよ。なんせ、彼女はルナアタックから、地上を救った英雄ですから。それに……、死に体の彼女を放っておけないじゃあないですか」

 

 目を見開いて両手を掲げて、彼はオーバーな動きをつけながら雄弁に語りだした。

 こいつ……、響の体のことまで知ってるの?

 

「感謝してください! あなた方の愛しいお友達の命を救って差し上げたのですから……」

 

「救った……? 響の体内のガングニールを除去したってこと?」

 

 あたしはウェル博士の言葉に対して疑問を口にする。

 

「まさかぁ、勿体ない。せっかく人間を超られる体を捨てるなんて……。聖遺物を喰らうネフィリムを血中から注入したんですよ。こうやって体内の聖遺物の量を調節してやれば、延命出来るはずです」

 

「ネフィリムを血中に!? そんなことをして平気なの?」

 

「さぁ? 知らないから実験しているのですよ。せっかく可愛らしいモルモットをフィアナが捕まえてきてくれたのですから……。いやー、単純な子だったので、実に従順になってくれました。はははははっ」

 

 上機嫌そうに笑いながら、ウェル博士は醜悪な表情で響の頭を撫でる。響は幸せそうな表情で彼に寄り添う……。

 

 

「――許せない」

 

 未来はウェルに向けてレーザーを放とうとした――。

 

「Balwisyall nescell gungnir tron……」

 

「――きゃっ!? 響っ?」

 

 響はガングニールを纏って未来を殴り飛ばした。

 

「ダメだよ未来……。ウェル博士に暴力を振るっちゃ……」

 

「くっ、やはり洗脳……。人の体を何だと思ってるの!? 響の洗脳を解きなさい!」

 

 あたしはミラージュクイーンをウェル博士に突きつける。この外道は絶対に許せない!

 

「おっと、人形さん、響さんの首に付いてるものをよく見てください。僕がこのスイッチを押せば、ドカンですよ……」

 

 ウェル博士のネフィリムのような手には何かの起動装置らしいものが握られており、響の首には金属の輪のようなものが付けられていた。

 

「はぁ、趣味が悪いわね……」

 

「ぐわぁぁぁぁっ! うぎゃっ、てっ手がァァァッ!」

 

 あたしはウェル博士の手首を切り落とした。

 

「あまり、あたしを怒らせない方が身のためよドクター」

 

 あたしは起動装置のようなものを拾って、ウェル博士の首元にミラージュクイーンを向けた。

 

「ひぃぃぃっ! ぼっ僕は新時代の神に等しい人物だぞっ!」

 

「寝言は聞かない主義なの。痛い目に遭いたくなければ――」

 

 そこまで言ったところで、あたしの体は響の拳によって貫かれた。

 速い、そして重い一撃……。加減なしの響ってこんなに強かったのね……。

 

「ふひゃっ! ナイスぅー! ナイスでーす! 響さん、コイツらは僕の理想の背信者です。お引き取りしてもらってください!」

 

「はいっ、言ってること全然わかりませんが、頑張って帰ってもらいますっ!」

 

 響がいつもの構えをあたしに向ける。

 未来は響と戦えるはずがない。ここはあたしが……。

 

「コード、ファウストローブ……」

 

 あたしは腹の穴を再生させて、ファウストローブを身に纏い、響と同じ構えを取る。最初の頃はよく組手をしたっけ……。

 あなたは本当に強くなったわ……。

 

「うわぁぁぁぁっ!」

「はぁぁぁぁっ!」

 

 あたしの拳と響の拳が衝突する。くっ、ファウストローブのエネルギーを持ってしても互角なの?

 

「はっ、やぁっ、とぉっ!」

「相変わらず、足元が甘いっ!」

 

 響を足払いをかけて転ばしたが、彼女は両手のバネを利用して跳ね上がり、ドロップキックを繰り出した。

 

「くっ、パワーはさすがね……、でも……。――なにっ!?」

 

 そう言いながら響に視線を集中した瞬間――ウェル博士のソロモンの杖からフィアナの放っていた赤色の光線と同じようなレーザーが照射された。

 

「バカめ!? フィアナの制御光線は元々僕が作ったんだ。ざまあみろクソ人形! 今度こそネフィリムの餌にしてやるっ! 響さん、この人形にトドメを刺しておいてください!」

 

 ウェル博士の言葉に反応した響がこちらに向かって歩いてくる。

 

「うっ……」

 

 響が突如、うめき声を上げる。

 額から黄色い結晶のようなモノが浮き出ているような……。まさか、ガングニールの融合が止まってない!? このままだと、響は死んでしまうかもしれないわ……。

 

 くっ、せめてミラージュクイーンだけでも出せれば……。

 ダメ……、身体がまったく動かない……。響が近づいて来るが、あたしは指一つ動かせなかった。

 

 しかし――。

 

「未来……」

 

 あたしを庇うように未来が響の前に立ちはだかった。

 

「一緒に帰ろう、響……」

 

「ごめんね、未来。帰れない……。だって、私にはやらなきゃならないことがあるんだ」

 

「やらなきゃならないこと?」

 

「世界中の人を助けて、みんなに幸せになってもらう」

 

 未来の呼びかけに響は微笑みながらそう返した。この子は洗脳されても根っこは変わってないのね……。

 

「世界中の人を助ける?」

 

「私はもっと人を助けたい! それが私の生きがいだからっ! ウェル博士について行けばそれが出来るんだよ!」

 

 響は胸に手を当てて、もっと人を助けたいと主張した。

 

「――人助けを頑張る響が好き。だけど、響も助けを呼んでも良いんだよ? 私のことを暖かい陽だまりって言ってくれたよね? 私はいつだってどんな時でも、響の拠り所になりたい!」

 

「ううっ……、未来……」

 

「だからっ――たとえ響と戦ってでも連れて帰るっ!」

 

 未来は響に向けてアームドギアを向けて、そう宣言した。

 

 親友同士の戦いが始まった――。

 




ウェル博士の外道っぷりが加速してます。
次回、未来が響を救うために頑張ります!




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