【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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未来が響を助けるために頑張ります。
それではよろしくお願いします!


想い届くその刹那……

「はぁぁぁぁっ! とりゃあっ!」

 

 ガングニールとの融合の影響か、響のギアの出力は翼やクリスと比べても格段に高い。

 

 比べて、未来の神獣鏡はスペックが低い上、彼女は今日が初めてギアを纏っている。

 

 どちらが優勢なのかは予想するまでもなかった。

 

 響の強力な一撃を受けて未来が壁に激突する。響はさらに連撃を加える。

 

「とりぁぁぁぁっ、とりゃとりゃとりゃとりゃぁぁぁぁッ! ぐっ……」

 

 そんな中、響の額から黄色い結晶が突き破って出てきた。

 

「ちょっと、聖遺物の量を調節したんじゃないの? あのままだと響は――」

 

 ウェルに制御光線を当てられっぱなしで動けないあたしは彼に言葉で抗議する。

 

「んっー、計算よりも融合のスピードが上がってますねー。あのままだと、ガングニールに体が支配されてしまうかも。まぁ、それはそれで、今後の研究対象としちゃあ、面白い」

 

 平然とした表情でウェル博士はそう答える。いつの間にか、あたしが切り落とした腕を再生させて……。

 

「あなた、分かってる? 響が死ぬようなことがあったら、あたしたちがあなたを絶対に許さないってこと」

 

「許さない? ははっ、傲慢な人形ですねぇ。支配者で英雄たる僕は神に等しい存在だ。君たちごときが裁くような口は謹んでもらおう! 地面に君は這いつくばってろよっ! あとで、ネフィリムに食わせて実験するんだからっ!」

 

 ウェル博士があたしの頭を踏みつけながら、高笑いしていた。

 屈辱だわ……。こんな男に……。

 

“殺す――”

 

「はははっ――。ピギャァァッ」

 

 あたしの身体からピンク色の蜂の巣状のバリアが展開してウェル博士が吹き飛ばされる。

 

“死ねっ! 死ねっ!”

 

“バカっ! 止めなさいっ! ホントに死んじゃったらどーするの?”

 

“構わないわよ! 上手に隠蔽すればいいでしょう!”

 

“そういう問題じゃあないでしょ!”

 

 バリアが次々とウェル博士に衝突して、彼は前衛芸術のオブジェみたいに壁にめり込んでしまった。

 

 

「――!? ウェル博士っ!」

 

 フィーネによってウェル博士がボコボコにされていることに気が付いた響はチラリとこちらを見た。

 

「響っ! 目を覚ましてっ!」

 

 未来は響の気が逸れた瞬間に壁から抜け出て、彼女に抱きつく。

 

「こんなになるまで戦って……。もういいのよ……。お願い、正気に戻って……」

 

「みっ未来……。わっ私は……」

 

「響……」

 

「私は正気だよ。それより、未来の方が変だ。なんで、こんなに悲しそうな顔をしてるの? あれ?」

 

 響は首を傾げながら、未来の腹に掌打を与える。

 未来は再び壁に激突しそうになった――。

 

「絶対に響を離したりなんかしないっ! 離すもんかぁぁぁぁっ!」

 

 未来のギアからムチが伸びて響と自分をぐるぐる巻にして密着する。

 

「ううっ……」

 

 響の体から聖遺物の塊が次々と飛び出してきて、彼女はうめき声を上げる。

 

「響、私は響がどうなったって、味方だよ。響が世界中の人を助けたいなら、私は世界中にただ一人しかいない響を助けたいっ!」

 

 未来は涙を流しながら、響に声をかける。

 この子はどんなに殴られようとも、一瞬も響から目を逸していない。

 少しでもいい。想いが通じれば……。

 

「うわぁぁぁぁっ……。ううっ、なんで、なんで、みんなを助けようとしてるのに……。こんなに苦しくて、悲しいんだ。ガァァァァァッ――。――未来、助けて……。うわぁぁぁぁぁっ!」

 

 一瞬だけ響は正気に戻ったものの、苦しそうな表情で暴れだし、そのたびに聖遺物の結晶が体を突き破って外に出る。 

 

「響っ!? 絶対に助ける! でも、このままじゃ……」

 

 未来の顔から焦りが見え始めた。

 

“響ちゃん、あのままじゃ死んじゃうわ。未来ちゃんが早く聖遺物を消滅させなきゃ――”

 

“神獣鏡の出力を最大にしなきゃ、響の体から聖遺物を取り除くことはできない。でも、あの状態じゃ……。エネルギーを収束させたレーザーを当てることは……”

 

 未来が響の動きを止めるために密着しているがために、彼女に高出力のレーザーを当てることが難しくなっていた。

 せめて、もう少し距離を取ってもらわないと……。

 

“一つだけ方法があるわ。フィリアちゃん、ミラージュクイーンを出すことはできる?”

 

“出すことくらいなら何とか……。でも、どうして?”

 

“ミラージュクイーンもまた、鏡の聖遺物でコーティングされたアイテム。エネルギーの波形を変化させて合わせることが出来れば、共鳴させて吸収することが可能なはず。そして、そのエネルギーを束ねて反射することも……”

 

 フィーネはミラージュクイーンで神獣鏡のエネルギーを受け、それを束ねて響に向かって反射させる作戦を立てた。

 

“そんなこと、やったことないんだけど……”

 

“未来のゴーグルから送られてきたデータを解析して、エネルギーの波長を体感で微調整するの。フィリアちゃんなら人間以上に精密な動きが可能だから、きっとできる”

 

“それって勝算はどれくらいなの?”

 

“ふふーん。思い付きは数字では語れないのよ……”

 

 ここで、父の言葉を持ち出すのね……。しかし……。

 

「未来っ! “閃光”をあたしのミラージュクイーンに向かって放ちなさい! そして、それが反射されたら、響をうまく動かして体に当たるようにしてちょうだい!」

 

「フィリア先輩……、はっ、はいっ、ありがとうございます!」

 

 ――閃光――

 

 未来は扇状に展開したアームドギアから、紫色の光線を次から次へと放つ。

 

「エネルギーを全てを受け止めて、収束……」

 

 あたしは閃光のエネルギーをすべてミラージュクイーンに取り込んで収束する。

 高純度の凶祓いのエネルギーが、ミラージュクイーンに充填される。

 

「行くわよ、未来っ! うまく合わせてっ!」

 

「はいっ!」

 

 あたしはミラージュクイーンに充填した神獣鏡のエネルギーを響に向かって放射した――。

 

 

 ――よし、あとは上手く響を突き飛ばして……。

 

 えっ? 未来、何をしてるの……。まさか、あなた……。

 

「先輩、あとは頼みました――。少しだけでも、響のために戦えて良かった……」

 

 未来は微笑みながら、響を抱きしめ、ともに神獣鏡のエネルギーの中に飛び込んだ――。

 

 はぁ……、まったくもって、あなたの愛は本物ね……。愛の力がシンフォギアの力の源って意味を少しだけ理解出来たわ……。

 

 光が、二人の装者を飲み込んでいった――。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「痛てててっ……。あれ?」

 

「あら? 思ったよりも早いお目覚めね……。調子はどうかしら? 響……」

 

 ウェル博士を縛り上げて、ソロモンの杖を回収してるとき、響が目を覚ましてあたしを見た。

 

「調子? ええーっと、あのう、フィリアちゃん。ここってどこなの? みっ未来! なんで、未来が倒れてるの?」

 

 響は目を覚まして、正気に戻ったようだ。しかし、洗脳されていた期間の記憶がどうも曖昧らしい。

 

「未来に感謝するのね……。この携帯型のスキャナーであなたの体を調べたけど……、ほら……」

 

「がっガングニールの欠片が無くなってる……。フィリアちゃん、未来は、未来はどうしたの? 何があったの?」

 

 時間はあまりなかったが、響を混乱させたままなのも問題なので、手短にこの場であったことを話した。

 

 

「そんな、私が未来と……。未来……、私を助けてくれたんだ……。こんなになってまで……」

 

「今まで、散々人助けしてきたんだから、たまには助けられたって良いじゃない。未来は大丈夫よ。あとでLiNKERさえ、洗浄すれば……。とりあえず、あたしはフロンティアの解析をしなきゃいけないから、ボディガードを呼んでおいたわ」

 

「ボディガード?」

 

 響がそう呟いた瞬間、目にも止まらぬスピードで二人の男がこの場所に現れた。

 

「響くん、無事か? 未来くんは……、急いだ方が良さそうだな」

 

 弦十郎は二人の状況を確認した。

 

「僕が未来さんを抱えてヘリに乗せます。響さんも僕に付いてきてください」

 

 緒川は未来を抱き上げて、響に付いてくるように言った。

 

「私はここに残ります。未来に繋いで貰った命を役に立てたい! フィリアちゃん、私にも何か手伝わせて!」

 

「はぁ? ギアを纏えないあなたがここに居ても……。――ふぅ、司令、響を守ってあげて……。外には《ノイズ》がまだ居るかもしれないし、この中の方が安全かもしれないわ……」

 

 あたしは響の頑固そうな顔を見て、説得を諦めた。

 この子はいつものどうしてこんな感じなのかしら?

 

「じゃあ、あたしはフロンティアの解析を始めるわ……。へぇ、ネフィリムを支配したウェルじゃないと操れないのね。じゃあ、ちょっと拝借……」

 

 ミラージュクイーンでウェル博士の切り落とした腕を突き刺して、フロンティアの中枢の装置のキー代わりにした。

 

「先ずは、翼とクリスが抑えているネフィリムを沈黙させましょう」

 

 ウェル博士によって、フロンティアの防衛機能代わりにされていたネフィリムの動きを止めた。

 そして、あたしは月遺跡の復帰方法を模索する――。

 

「――フロンティアの機能を使って収束したフォニックゲインを月へと照射し、月遺跡を再起動出来れば月を元の軌道に戻せるわ……。つまり、世界中から歌の力をここに集めれば……」

 

「なるほど、歌か……。しかし、どうやって……」

 

「全世界に向かって歌を発信しましょう。そうすれば、世界中のフォニックゲインを集めることが可能よ」

 

 あたしは全世界に向かって、歌声を届ける提案をした。

 

「では、翼に頼むべきか、それともマリアくんか……」

 

「そうね、世界的な知名度的にはマリアの方が上ね……」

 

 あたしはこの仕事の適任者はマリアだと直感した。あの子の歌で世界中からエネルギーを集めて月に向かって照射すれば、きっと上手くいくはず。

 

「おいっ、貴様等! 何を考えている!? 月が落ちなきゃ、僕が英雄になれないじゃないか!」

 

 ウェル博士が目を覚ますなり大声をあげる。

 もうちょっと殴っとけばよかったかしら?

 

「――残念だけど、あなたは英雄になれないわ。来世まで諦めなさい」

 

「嫌だっ! 僕が英雄になれない世界なんて認められるものか! 僕は絶対に――」

「ドクターは絶対に英雄になりまぁす! ねぇ、ドクター」

 

 フィアナが突然現れて、ウェル博士を抱えて逃げようとする。

 彼女からは変な器具はなくなっており、喋り方もいつもの様子に戻っていた。

 

「フィアナ、助かりました。愛してますよ」

「私もです、ドクター。邪魔が来る前に逃げましょう」

 

 フィアナがそう言って手早くウェル博士の拘束を解く。そして、ウェル博士がネフィリムと融合した手を地面に置くと、地面に穴が空いて、彼らはそこから逃げ出した。

 

「フィリア、こっちにフィアナが来なかったか? フィアナの体を縛っていた装置を破壊したんだけど、そしたら彼女ったらその瞬間に猛スピードでこっちに動いて……」

 

 マリアたちが急いだ様子でこちらに走ってきた。なるほど、マリアたちが、フィアナの奇妙な装置を破壊してくれたのか……。

 

「立花っ! 無事だったか! 緒川さんから報告は聞いていたが……、本当によかった」

「なんだ、思ってるよりピンピンしてじゃねぇか……」

 

 翼とクリスもこちらに合流する。

 

 これで、装者は未来以外が揃った。ウェル博士たちのことも気になるが、月軌道を戻すことかが先決だ。

 

 世界を救うために歌声を全世界に届ける作戦が始まった――。




残すところ、G編もあとわずかっ!
頑張って更新しますので次回もよろしくお願いします!
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