【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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前半はフィリアVSキャロルです。
そして、後半からこの作品の核となる部分に突入します。
それでは、よろしくお願いします!


フィリアVSキャロル

 キャロルが竪琴を奏でると、竪琴は紫色の鎧状に姿を変えて彼女の体に装着された。

 

「ふぅ、これがオレのダウルダブラのファウストローブだ。フィリア、何か感想はあるか?」

 

 キャロルはあたしと同じくファウストローブを纏ったようだ。

 感想って――何かそのう、大きくなってるわね……。色々と……。

 ファウストローブを纏ったキャロルは成人のような体つきになり、見た目からして変わっていた。

 

「何か、腹立つわ……」

 

「はぁ?」

 

 あたしの一言にキャロルは呆れたような表情を浮かべた。

 だって、理由はわからないけどイラッとしたんだもん。

 

「とりあえず、拘束して騒ぎについて聞かせてもらおうかしら」

 

「バカ言え、拘束されるのはお前だ!」

 

 ――氷狼ノ咆哮――

 

 あたしはすべてを凍らせる冷気を錬成してキャロルに向かって放った。

 

四大元素(アリストテレス)……」

 

 キャロルから強力な炎と大量の水が放出される。

 

 炎はあたしの冷気と相殺されたが、水の方は防げず、あたしに直撃した――。

 

「くっ、なんて出力、そして……、錬金スピード……」

 

「フン、お前の未熟な錬金術とは年季が違うわっ――!」

 

 そして、吹き飛ばされたあたしにキャロルは両手から糸を伸ばす。

 あの糸も普通じゃないっ! 恐ろしい硬度とエネルギーを感じる……。

 

 予想通り、糸は地面を裂き、周囲の建物を破壊しながらあたしに迫ってきた。

 

「フィリアちゃん! こんのぉぉぉぉっ!」

 

 響が足を庇いながら、キャロルに拳を繰り出す。

 

「立花響か……、貴様には今は用はないっ!」

 

 キャロルは目を見開くと、凄まじい風圧の竜巻が巻き起こり、響は遥か彼方まで吹き飛ばされてしまった。

 

 ――この子、とんでもなく強い……。いつかのフィーネ並かも。

 

“あら、見くびるわねぇ。私を……。でも、まぁまぁ、やるじゃない。あのお嬢ちゃん”

 

“つべこべ言ってないで助けなさいよっ!”

 

 あたしはフィーネにバリアを展開するように思念を送った。

 

“えーっ、何だか捕まった方が楽しそうじゃない。あなたの記憶も気になるし”

 

“はぁ?”

 

 フィーネのここに来てのまさかの裏切りによって、あたしの身体は凄まじい強度の糸によって拘束されてしまう。

 

「くっ……。なんて力……」

 

「無駄だ! 文字通り手も足も出まいっ! 観念しろっ!」

 

 キャロルの言うとおり、あたしは手も足も出なかった。

 しかし――。

 

「あなたも錬金術が使えるだったら、これは拘束したことにならないんじゃない?」

 

 ――不死鳥ノ皇帝(カイザーフェニックス)――

 

 あたしは巨大な炎の鳥を錬成して、キャロルに向かって放った。

 

 炎の鳥はキャロルを飲み込もうとする。

 

 あれ? 錬金術で防ぐと思ったんだけど……。一応、かなり力は抑えたけど……。

 

 そう思った刹那――。

 

 水の壁がキャロルの目の前に立ち上る。

 あたしが放った炎の鳥は水の壁によって相殺された。

 

「どうしてギリギリまで、アレを防がなかった? ガリィ……」

 

「あら、マスター。これには深ぁい理由があるんですぅ」

 

 上空からキャロルの元に降りて来たのは、あたしのような生きた人形だった。

 ガリィと呼ばれたその人形は茶髪で青いメイド服のようなものを着ていた。

 

「ほう、その理由とやらを言ってみろ」

 

「はーい☆ そのほうが、カッコイイからでーす」

 

「……その性根の腐った性格は何とかならんのか」

 

「イヤですねー、こういう風にしたのはマスターじゃないですかー」

 

 ヘラヘラとした口調でガリィはキャロルの質問に答える。

 まさか、あたしと同じ自動人形(オートスコアラー)

 

「で、こちらが、友達が少ないぼっちのマスターの貴重なご友人のフィリア=ノーティスちゃんですかー?」

 

「お前、いい加減にしないと……」

 

「それにしても、マスター。どうして、ご友人とガチバトルしていたのですかー? ファウストローブまで使われてるなんてー、驚きましたよー」

 

「うっ……」

 

 あたしと戦っていることが、キャロルは気まずいらしく目を逸らす。

 

「そっそれよりだ、想い出の採集はどうなっている?」

 

「順調ですよ。でも、ミカちゃん……。大食らいなので足りてませーん、ぐすんっ」

 

 キャロルはガリィに何やらを質問をして、ガリィは泣き真似をしながら答える。

 想い出の採集? この子たち、何をしてるの――?

 

「なら急げ。オレはこいつを連れて帰る」

 

 そうキャロルが言った途端に糸が強く身体を締め付け、身体にヒビが入る。

 自動修復にエネルギーがドンドン消費されて、あたしは身体中の力が抜けてしまった。

 

「あーあ、マスターってば容赦ありませんねー」

 

 キャロルはだらんと動けなくなったあたしを手元に引き寄せると、ガリィは興味深そうにあたしを見る。

 

「ガリィ、急げと言ったはずだ」

 

「りょうかいでーす。ガリィ頑張りまーす。そいっ――」

 

 ガリィが小瓶を足元に投げる。

 小瓶が割れると錬成陣が出現して、ガリィはその上に乗る。

 

「それでは、いってきまーす」

 

 ガリィはそう言い残して姿が消した。何あれ? テレポートしたとでも言うの?

 

「フィリアちゃんを返せぇぇぇっ!」

 

 吹き飛ばされていた響が猛スピードでキャロルに肉薄してきた。

 

「返せというのは、オレの台詞だ。次は戦ってやる。でないと、お前の何もかもをぶち砕けないからな」

 

 キャロルが小瓶を割ると錬成陣が生まれた。

 そして、響の拳が届く前に、あたしとキャロルはこの場から消えた。

 

 あーあ、まさか誘拐されるなんて……。フィーネのせいだ……。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「フィリア。記憶が戻るまでそこで拘束させてもらう」

 

 キャロルは玉座のような椅子に座り、その隣であたしは鎖で両手と柱を繋がれて、拘束されていた。

 

「さっきの茶髪の人形……、あたしと同じ自動人形(オートスコアラー)なの?」

 

 黙ってるのもつまらないのであたしはキャロルに質問した。

 

「そうだ。ヤツも含めて自動人形(オートスコアラー)はオレの忠実な下僕……。お前には、あいつらの計画遂行の手助けをしてもらう予定だった」

 

 キャロルとしては、あたしを仲間として数に入れていたみたいだ。

 あー、これは過去に何かやってるパターンなんだろうけど、一切思い出せない。

 マリアたちの時もそうだったけど、初対面ですって顔をすると決まって寂しそうな表情をするのよね。

 

 しかも、この子はさっきは大人の見た目になってたけど、今は小さな子供だから罪悪感がさらに大きい。

 

「ふむ、2つのシンフォギアの破壊に成功したか。お前のおかげで、立花響のシンフォギアの破壊は後回しになったが、概ね計画どおりだ……」

 

「はぁ? シンフォギアを破壊って? あなたたち一体何を?」

 

 あたしはキャロルの言葉に驚き目を見開いた。

 

「記憶が戻ればそれも思い出す。しかし、それは奴らが帰ってきてからだ」

 

 キャロルはあくまでも記憶が戻ったらの一点張りだ。

 

「あなたはあたしの記憶が戻ったらホントにあたしがあなたに協力すると思ってるの?」

 

「無論だ……。そもそも、お前がその身体になったのは、計画の実行の為なのだから……。非力なお前が力を得るためとはいえ、無茶を言うとオレですら思ったものだ」

 

 キャロルはあたしがこの身になった理由まで知ってるらしい。

 

「そう、まぁ確かに記憶を本当に戻してくれるなら悪い話じゃないわ。あなたにお願いしようじゃない。あたしの記憶を戻してくれって」

 

「ああ、待っていろ。――追跡はもうよい。帰投を命ずる。ファラも十分だ」

 

 キャロルがそう言った瞬間に2つの錬成陣が出現して、ニ体の人形が現れた。

 

「レイア、ただいま地味に戻りました」

 

「ファラも戻りましたわ。マスター」

 

 緑の服にベストを着用したウェーブがかった茶髪の人形と、ロングヘアーに緑のリボンを付けた人形がそれぞれキャロルに頭を下げる。

 

「あとは――」

 

 キャロルがそう呟くと、もう一つの錬成陣が出現して、先程のガリィが現れる。

 

「マスター、ガリィも戻りましたー」

 

 ガリィはわざとらしく、両手でほっぺを触るようなポーズでキャロルに帰還を報告した。

 

「よし、みんな揃ったな。さっそくで悪いが、フィリアが記憶喪失らしくてな。こいつの想い出の抽出をしてもらいたいのだが……」

 

 キャロルは部下であるオートスコアラーに、あたしの記憶を呼び覚まさせる作業をさせるらしい。

 

「畏まりましたわ。では、わたくしが……」

 

 ファラと名乗っていた人形があたしに近付こうとする。

 

「ちょっと待ってくださーい。マスター、フィリアちゃんが記憶喪失なんてあり得ないって仰ってませんでしたっけ?」

 

 ファラがあたしの目の前に来たとき、ガリィが唐突に口を開いた。

 

「うっ……」

 

「私もファラも覚えていたが、マスターを気遣ってあえて口に出さなかったのものを……。性根が腐ったガリィらしい……」

 

 レイアと名乗った人形はやれやれというポーズをとる。なんだろう……、オートスコアラーって、いちいち大袈裟なポーズを取るものなのかしら?

 

「だってぇ、フィリアちゃんがホントに記憶喪失ならー、マスターが滑稽だってファラちゃんが……」

 

「なぜ、わたくしに飛び火が? そのことに今触れないで下さいます?」

 

 ファラはビクッとしてガリィの顔を見る。

 

「もうその事は、いいだろっ! ファラっ、早くしろっ!」

 

「はっはい。マスター……」

 

「もう、マスターったら、逆ギレだなんてひどいですー」

 

 ファラはキャロルに頭を下げて、あたしの顔に触れて、顔を近づけてきた。

 

「ちょっと待ちなさい。かっ顔が近いんだけど……」

 

「そりゃあ、口づけをしますから」

 

 あたしが目の前に迫るファラを制止すると、彼女は当然のような口調でそんなことを言う。

 

「くっ、口づけ? どっどうしてそんなことしなきゃならないのよ?」

 

「想い出のエネルギーのやり取りは、わたくしたちオートスコアラーはお互いの口を通してさせてもらってますので……」

 

 ファラは淡々とあたしに説明をする。はぁ? なに、この人形たちは日常茶飯事のように口づけし合ってるの……。

 

 あたしはキャロルの方を見た。

 

「なっ、なんだ? 何が言いたい?」

 

 キャロルは少しだけ赤面して、あたしを睨みつける。

 

「フィリアちゃんはー、初心なんですよー、マスター。マスターのように衆人環視の只中でこれでもかと言わんばかりに睦み合いたい性癖があるわけじゃないので、キッスに抵抗があるんですって」

 

「あっあなたの趣味にあたしは付き合わされてるってこと?」

 

 ガリィの言葉にあたしはキャロルに抗議の視線を送る。

 

「んなわけあるかーっ! ファラっ! とっとと、済ませろ! どうせ記憶が蘇れば、すべて理解するんだ!」

 

 キャロルが大声でファラに指示を出すと、彼女は問答無用であたしの唇を奪った。

 

「んっ……」

 

 ファラに口づけをされると、あたしの胸は燃えるに熱くなり、身体中がバラバラになりそうなくらいの大きな衝撃が走った。

 

 ――そして、あたしの意識はどこか遠いところに吹き飛ばされるような感覚に陥った。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 こっここは……。覚えている……。確かF.I.S.の研究施設……。

 

 あたしの目の前にはセレナとマリア、そしてフィアナが居た……。

 

 そして、暴走するネフィリムも……。

 

「わたしの絶唱でネフィリムを起動する前の状態にリセットできるかもしれないの」

 

「そんな賭けみたいな! もしそれでもネフィリムを抑えられなかったら!」

 

 セレナの提案に、マリアが首を横に振る。

 

「その時はマリア姉さんがなんとかしてくれる。それに、リア姉さんやアナ姉さんもF.I.S.の人達もいる。わたしだけじゃない。だから何とかなる」

 

「セレナ……」

 

「ギアを纏う力はわたしが望んだモノじゃないけど、この力でみんなを守りたいと望んだのはわたしなんだから……」

 

「セレナ! ダメよ、絶唱なんて使ったらあなたは……」

 

「リア姉さん、マリア姉さんをお願いします……」

 

 セレナはそう言うと、ギアを纏ってネフィリムの前に立ちはだかる。

 

「Gatrandis babel ziggur――♪ Emustolonzen fine el bara――♪」

 

 セレナは吐血して、体から光が放たれる――。

 

「セレナっ! もういいわっ! やめなさいっ!」

 

 あたしは居ても立ってもいられなくなり、セレナに近づく――。

 

「フィリアっ! 危険です!」

 

 ナスターシャの言葉が耳に届いたとき……。あたしは光に飲み込まれ――。意識を失った……。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「お嬢さん、しっかりするんだ、お嬢さん!」

 

「んっ……、うーん、あれ? セレナ? セレナはっ……!」

 

 あたしの目の前で金髪でメガネをかけた長髪の男が腰をかがめて、心配そうな顔をしていた。

 

 こっここは? 森の中? あたしはF.I.S.の施設の中に居たはずじゃ……。

 

「セレナっ! マリアっ! フィアナっ! マムも……! みんなどこに……」

 

「大丈夫かい? お嬢さん。驚いたよ、何もないところから光と共に急に君が飛び出して来たんだ……」

 

 金髪のメガネはあたしが急に光の中から現れたというようなことを言ってきた。

 まさか……。セレナの絶唱に飲み込まれた影響? 

 

 あたしは自分の身に起きたことを想像出来ずにいた。

 

「あっ、あなたは――?」

 

 あたしは、とりあえず状況を把握しようと、あたしを介抱してくれた金髪の男の名前を尋ねた。

 

「僕かい? 僕はイザーク。イザーク=マールス=ディーンハイム。錬金術師さ……」

 

 これがあたしとイザークの最初の出会いだった――。




いきなりの超展開ですみません!
ここからは、しばらくフィリアの過去編に突入します。
次回もよろしくお願いします!
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