【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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エルフナインが今回は登場します。
それではよろしくお願いします!


エルフナイン

「フィリアくん、響くん、無事で何よりだ。特にフィリアくんは敵に捕まったにも関わらずよく逃げ出してくれた」

 

「あの人形たち、シンフォギア以上の戦闘力だったわ。そして、親玉の少女はそれ以上に強力な錬金術師……、さすがに逃げるのに苦労したわよ」

 

 あたしはあくまでもギリギリ逃げ切れたという演出を強要されていた。まぁ、向こうからしたら当然の要求だけど。

 

「響、ごめんなさい。あたしが下手を打たなきゃ、あなたのギアは無事だったのに……」

 

「もー、フィリアちゃん、気にしないで! 私にはフィリアちゃんが無事だったことの方が大事なことなんだよっ!」

 

 響は明るく笑ってあたしに抱きついた。

 

「そう……、ありがとう響……」

 

「ありゃ? いつものフィリアちゃんと反応が違う……?」

 

 あたしは響に抱きしめられるままになっていたので、彼女は不思議そうな顔をした。

 ああ、確かにここは引き剥がす場面だったわね……。

 

「おいおい、フィリア。ホントにどうした? 何か変だぞ」

 

 クリスも響と同じような表情をしていた。

 どうも、記憶が戻った反動からか今まで眠っていた感情の振れ幅が大きくなっているみたいだ。

 

「フィリアくん。どこか調子が悪いのか?」

 

 弦十郎まで心配そうにあたしを見つめる。何も言えないことがこんなに辛いなんて……。

 とにかく、キャロルの指示にはとりあえず従わなきゃ。

 

「さっき攻撃を受けたところが、ちょうど核の部分を掠っていたみたいで、ファウストローブが上手く起動出来ないのよ。再生も遅いみたいで……」

 

 キャロルにはファウストローブの使用が禁止させられた。これを使って戦うとあたしが自動人形(オートスコアラー)を破壊できてしまうからだろう。

 

「なるほど、それは痛いな……。戦闘映像から分析すると装者よりも、フィリアくんと相性の良さそうな相手だったのだが……」

 

「でも、ミラージュクイーンは使えるから……。あたしも戦力には入れときなさいよ。あと――響はいつまでそうしてるの? 未来に言うわよ」

 

「あははっ、みっ未来には内緒で……。なんかフィリアちゃんが遠くに行きそうだったから、つい……」

 

 ようやくあたしから離れた響はそんなことを言う。勘がいいんだか、悪いんだか。

 

「で、フィリアは直せるのか? あたしらのギアペンダントは……」

 

「当たり前よ。マリアのアガートラームだって直したでしょう。でも、連中がシンフォギアを壊せるんだったら、何かしらの強化必要だし、直すのにも時間がかかるわ」

 

 あたしはシンフォギアを強化すべきだという意見を出す。

 おそらくエルフナインも同じような提案をするはずだが……。

 

「ふむ、しかし、まさかフィリアくんと同タイプの自動人形(オートスコアラー)や錬金術師が相手とは……。君が連れて行かれたのは、やはりその辺が関係していたのか?」

 

「ええ、あたしのこの身体のベースを作ったとか言ってたから、それが関連しているはず。仲間になれと勧誘されたし。まぁ、実際に自動人形(オートスコアラー)を運用しているんだから、信じるわ。つまり、あたしは本来は向こう側なのよ」

 

「フィリアちゃんが……、ううん、そんなことない! フィリアちゃんが敵になんてなるはずないよ!」

 

「なんだ、お前の様子が変なのはそれが原因かよ。ちょせいこと気にしやがって」

 

 響もクリスもお人好しな面を見せてくる。クリスだって様子が変じゃない。落ち込んでいるのはわかっているわよ。

 

 クリスが落ち込んでいるのには理由がある。

 切歌と調はクリスを助けるためにLiNKERを使用していて、現在メディカルチェック中なのだが、クリスは後輩の彼女らに助けられたことがショックだったみたいなのだ。

 

 それなのに、あたしのことを気遣う彼女はやはり優しい子なのだろう。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「それで、デミグラスソースを入れたら、すっごく美味しくなったんだよー」

 

「ビーフストロガノフ、リア姉も前につくってくれたデス」

 

「そんなことより、翼とマリアが帰ってきたわよ」

 

 空港で到着を待っていたあたしたちの前に翼とマリアが姿を現した。

 

「翼さーん、マリアさーん!」

 

 響が二人に手を振った。これでシンフォギア装者は全員日本に集まったということね。

 キャロルの目論見どおり……。

 

「挨拶は後! 新たな敵の出現に、それどころではないはずよっ!」

 

 ビシッと凛々しい表情で、マリアは浮ついたムードを一喝した。

 

「ちょっと頼もしくてカッコいいデス」

 

「やっぱりマリアはこうでなきゃ……」

 

 切歌と調がマリアに尊敬の眼差しをおくる。いや、このモードのマリアはどう考えても……。

 

「機内食がよっぽど豪華だったのね……」

 

「ちょっと、フィリア! どうしてそれを!?」

 

 マリアはギョッとした顔であたしを見つめた。付き合いが長いから、大体わかるのよ。

 

 

 

 こうして、あたしたちは全員揃って司令室に顔を出した。

 

「シンフォギア装者勢揃いとは……、言い難いのかもしれないな……」

 

「これは――!」

 

 弦十郎の言葉と同時に映し出されたのは、翼たちのギアペンダントだった。

 

「新型ノイズに破壊された天羽々斬とイチイバルそしてガングニールです。コアとなる聖遺物の欠片は無事なのですが……」

 

 藤尭は失望したような声を出す。

 

「エネルギーをプロテクターとして固着させる機能が損なわれている状態です」

 

「ちょっと前までのセレナのギアペンダントと同じね」

 

 友里の言葉にマリアが反応する。

 

「フィリアが直せるんだろ? それを……」

 

「もちろんよ。でも、前にも言ったとおりそれなりに時間がかかるわ。どうせ直すなら次は破壊されないように改良したいし」

 

 クリスは前のあたしの言葉を確認するように声を出したので、あたしはそれに応えた。

 

「現状、動ける装者はマリアくん、切歌くん、調くんの三人。あとはファウストローブが使えないがフィリアくんが戦力か……」

 

「戦力半減といったところでしょうか……」

 

 弦十郎と緒川も厳しい現状に、かなり参っているみたいだ。

 キャロルの計画は恐ろしいわ。この絶望に対する希望を餌にするんだから……。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「ボクはキャロルに命じられるまま、巨大装置の一部の建造に携わっていました。ある時アクセスしたデータベースより、この装置が世界をバラバラにするものだと知ってしまい。目論見を阻止するために逃げ出してきたのです」

 

 キャロルと瓜二つの見た目のエルフナインは、彼女の目論見どおりS.O.N.G.に保護されていた。

 

「世界をバラバラにたぁ、穏やかじゃないな」

 

 エルフナインの言葉にクリスが反応する。

 

「それを可能とするのが錬金術です」

 

「錬金術? フィリアが使っている技か……」

 

 錬金術という言葉に、マリアがあたしの方を見て声を出した。

 

「おっ、オートスコアラー? なぜ、ここに……? それに、フィリアという名前には聞き覚えがあります」

 

「あたしのことは、今はいいでしょう。話を先に進めなさい」

 

 あたしはエルフナインに話を進めるように促した。しかし、必要最低限の知識しか持ってないはずなのに、なぜあたしの名前に反応したのかしら? 

 確か計画の中にもまだ過去の改変は入れてなかったはずなんだけど。

 

「ノイズのレシピを元に作られたアルカノイズを見ればわかるように、シンフォギアを始めとする万物を分解する力は既にあり、その力を世界規模に拡大するのが、建造途中の巨大装置チフォージュ・シャトーになります」

 

 エルフナインはチフォージュ・シャトーの建造目的を話す。

 

「装置の建造に携わっていたということは、君もまた錬金術師なのか?」

 

「はい。ですがキャロルのように全ての知識や能力を統括しているのではなく、限定した目的のために作られたにすぎません」

 

 翼の質問を肯定するエルフナイン。しかし、この子は――。

 

「作られた?」

 

「装置の建造に必要な最低限の錬金知識をインストールされただけなのです」

 

 響は異常ともとれるこの子の言葉に反応した。

 そう、キャロルによって生み出されたホムンクルス。そして、彼女のスペックを引き継ぐ身体に選ばれなかった個体。それがエルフナインだ。

 

 

「インストールと言ったわね?」

 

 マリアはインストールという言葉に引っかかったみたいだ。

 

「必要な情報を知識として脳に転送複写することです。残念ながらボクにインストールされた知識に計画の詳細はありません。ですが、世界解剖の装置チフォージュ・シャトーが完成間近だということはわかります。お願いです! 力を貸してください! その為にボクは《ドヴェルグ・ダイン》の遺産を持ってここまで来たのです」

 

 知識の転写――あたしが人形になった過程と少しだけ似ている。

 

 さらにエルフナインはキャロルの計画を阻止するためにここに来たと言った。

 

 流れは完璧ね。エルフナインも利用されていることに気付いてないからこそ、自然に話している。

 

「ドヴェルグ・ダインの遺産?」

 

「アルカノイズに……、錬金術師キャロルの力に対抗し得る聖遺物――魔剣ダインスレイフの欠片です」

 

 エルフナインは呪われた旋律の元となる聖遺物をあたしたちに見せた。

 まっ、どのみちアルカノイズに対抗できなきゃどうしようもないから、ここは素直に強化しとくべきね。ちょっとだけ、小細工はさせてもらうけど……。

 

 

 

「エルフナインちゃんの検査結果です」

 

「念のために彼女の――ええ、彼女のメディカルチェックを行ったところ……」

 

「身体機能や健康面に異常はなく、

またインプラントや高催眠といった怪しいところは見られなかったのですが……」

 

 友里と藤尭はエルフナインのメディカルチェックの結果を話し始めた。身体的な特徴に何かしら気になる点があるみたいだ。

 

「ですが?」

 

「彼女――エルフナインちゃんに性別はなく。 本人曰く、自分はただのホムンクルスであり決して怪しくはない、と」 

 

「怪しすぎるわよっ!」

 

 エルフナインの言いようにあたしはツッコミを入れた。

 キャロルからある程度の情報は聞いていたけど――思ったよりも個性的な子みたいね。エルフナインは……。

 

「うーむ……。エルフナインくんの言っていた、ダインスレイフとやらは果たしてアルカノイズの対抗策になり得るのか? それはどう思う?」

 

「そうね、魔剣ダインスレイフの特性を利用するとなると思い当たる方法ならあるわ。リスキーなやり方だけど……」

 

 あたしは弦十郎の質問に答えた。ダインスレイフの闇の力を増大させる特性を活かす強化をシンフォギアに施す。

 

「フィリアくんがそう言うのなら、この件は君とエルフナインくんに任せよう」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「温かいものと、甘いものをどうぞ」

 

 あたしはエルフナインにコーヒーとチョコレートを渡す。

 

「えっ、あっありがとうございます。フィリアさん……、ですよね?」

 

 エルフナインは興味深そうにあたしを見つめていた。

 

「ええ、あたしは風鳴フィリア。S.O.N.G.所属の自動人形(オートスコアラー)よ。一応、ギアと錬金術の知識がそれなりにあるから、あなたの持ってきたダインスレイフを使ったシンフォギアの強化を任されたの」

 

「そこです。オートスコアラーが何故ここに? 見たところ、キャロルの作ったものに非常に酷似しています」

 

 エルフナインはあたしの存在に驚いているみたいだった。キャロルから、必要最低限の情報しか与えられてないからだろう。

 

「何故ここに居るのかというと成り行きとしか言えないわね。そのキャロルがあたしの身体を作ったらしいんだけど、あたし自体は記憶がないから、その辺のこと全部忘れちゃったの」

 

 あたしは簡単にここにいる経緯を説明する。

 

「記憶喪失ですか……。しかも、人間が人形に……。確かに錬金術ならそれが可能ですけど……」

 

 エルフナインは一応、あたしの存在に納得してくれた。

 

「まぁ、そういうことだからギアの修復は経験済みってこと。魔剣ダインスレイフの闇の力を利用するってことは、つまり――シンフォギアの暴走の力を利用するってことね」

 

「まさか、そこまで理解されているとは……。とても心強いです。フィリアさん、力を貸してください」

 

 エルフナインは丁寧にお辞儀して、真剣な眼差しをあたしに送った。

 キャロルとは、まったく人格が違うけど……。素直ないい子じゃない。

 

「あむっ。あっ、このチョコレート美味しいです」

 

「あら、口に合って良かったわ。これ、美味しいわよねー。しばらく忙しくなるから、いろいろ買い込んだのよ」

 

 あたしは食料の入った袋をみせて、冷蔵庫に入れた。あとで、晩御飯も作らなきゃ。

 こうして、あたしとエルフナインはこれから数日間研究室にこもることになった――。キャロル……、あなたの思惑どおりにすべてが運ぶとは限らないわよ……。

 




プロジェクトイグナイト始動します。
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