【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

55 / 99
新しいギアの話とか……、原作でいうと5話の終わりくらいまでです。


イグナイト

 あたしたちは司令室に、ギアを破壊された翼とクリス、そして響を呼び出した。

 

「ファラ、レイア、ガリィ、そしてミカがキャロルが率いるオートスコアラーになります。もっとも、ボクが知るのは名前だけで詳細なスペックは記録されていませんが……」

 

 エルフナインは先日のオートスコアラーたちの名前を伝える。

 

「フィリアの身体と同タイプというだけあって非常に強力だった」

 

「戦ってわかったけど、シンフォギアの戦闘力を超えていたわ」

 

「んで、そのキャロルってのは、もっと強かったんだろ?」

 

 あたしたちは肌で感じたオートスコアラーとキャロルの戦闘力について声を出す。

 キャロルに関しては規格外もいいところだし、彼女の本気は現時点では誰も止められない。

 

「超常驚異への対抗こそがオレたちの使命。この状況を打破するために、フィリアくんとエルフナインくんから計画の立案があった――」

 

「フィリアちゃんと、エルフナインちゃんから?」

 

「プロジェクト・イグナイトだ」

 

 弦十郎のひと言でモニターにプロジェクト・イグナイトの文字が表示される。

 

「とりあえず、シンフォギアの基本的な出力上昇と、アルカノイズの分解能力に対するバリアコーティングの設計は完了したわ」

 

 まずは基礎の部分、一番の課題であるアルカノイズの分解に対する対抗策を伝える。

 

「それでは私たちのギアがアルカノイズによって壊されるということは」

 

「ええ、理論上は防ぐことができるはずよ」

 

 翼の言葉をあたしは肯定する。

 

「へっ、チョコレートばっか食ってると思ってたが、やるこたぁやってたんだな」

 

「クリスのギア以外にバリアコーティングを施すことにしたわ」

 

「おいっ、フィリア! あたしが悪かったって」

 

 クリスがあたしの肩を組んで謝罪する。

 

「あははっ、いつものフィリアちゃんだ」

「これが、いつもと言われても……、まぁ性格が悪いのはフィリアらしいが……」

 

 響と翼はあたしたちを見ながらそんなことを言う。

 あなたたちのバリアも抜きにしちゃおうかしら……。

 

「ですが、それでは不十分です」

 

「確かに、これだけでは戦う為の最低条件が整ったというところだな」

 

 エルフナインの言葉に翼が頷いた。

 

「別に十分じゃねーか。分解さえされなきゃ、あんな連中……」

 

「勝てないわよ。絶対にね」

 

 クリスは威勢の良いこと言うがあたしはそれを否定する。

 

「フィリアちゃん、秘密兵器みたいなのがあったりするのかなー? なんちゃって」

 

「バカ! んな都合のいいこと――」

 

「正解よ。ここからはその秘密兵器の話しをさせてもらうわ。エルフナイン」

 

 あたしたちはその秘密兵器について説明を開始した。

 

「はい、ご存知のとおりシンフォギアシステムにはいくつかの決戦機能が搭載されています」

 

「絶唱と……」

 

「エクスドライブモードか……」

 

 エルフナインの言葉に翼とクリスはそれぞれ答える。

 

「とは言え、絶唱は相打ち専用の肉弾。仕様局面が限られてきます」

 

 エルフナインは絶唱は限定的な機能だと断じた。

 

「それならエクスドライブでっ!」

 

「エクスドライブは相当量のフォニックゲインが必要でしょ。そんな偶然とか奇跡みたいな確率に頼ってらんないわ」

 

「役立たずみたいに言ってくれんな!」

 

 エクスドライブの不確実性をあたしが指摘すると、クリスは不機嫌そうに口を尖らせる。

 

「でも、フィリアちゃん。それなら何を――」

 

「シンフォギアにはもう一つ決戦機能があるのをお忘れですか?」

 

 響が言い終える前にエルフナインは残された一つの決戦機能について口にする。

 

「あっ……」

 

「立花の暴走は搭載機能ではない!」

 

「とんちきなこと考えてないだろうな!?」

 

 ハッとした表情の響を見て、翼とクリスは怒りだした。

 

「落ち着きなさい。暴走しろなんて言うわけ無いでしょう」

 

「暴走を制御することで純粋の戦闘力へと変換錬成し、キャロルへの対抗手段とする。これがプロジェクト・イグナイトの目指すところです」

 

 エルフナインは暴走の力のみを戦闘力に変換するという案を出した。

 これこそが呪われた旋律の力……。

 

「ダインスレイフは殺戮の魔剣よ。その呪いは誰もが心の奥に眠らせる闇を増幅し、人為的に暴走状態を引き起こすわ。確かにリスキーだけど、もし人の心と叡智が破壊衝動をねじ伏せることが出来れば――」

 

「シンフォギアはキャロルの錬金術に打ち勝てます」

 

 でも、これって人為的な暴走状態を根性で何とかしろみたいな無茶な作戦なのよね。

 というか、キャロルって敵にも結構な無茶振りを要求しているような……。

 

「使う使わないは、あなたたち次第よ。あたしはとりあえず、機能だけは付けておくから」

 

「フィリア、それを使えば本当に強くなれるのか?」

 

「もちろんよ。じゃないとこんな無茶な提案をするわけ無いでしょう」

 

 翼の質問にあたしは肯定する。単純な戦闘力では確実にキャロルのオートスコアラーを超えるようにはなってるわ。

 じゃないとキャロルたちからしても意味ないし……。

 

「だったら決まりだな!」

 

「うん! フィリアちゃん、エルフナインちゃん、私たちは必ずそれを使いこなすよっ! だからお願い!」

 

「私たちのギアを強化してくれ」

 

 三人はプロジェクト・イグナイトを認めた。

 そして、あたしとエルフナインはイグナイトモジュール搭載の新しいギアペンダントの作成を開始したのである。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「――はっ!? 寝落ちしていました」

 

「あら、もうちょっとくらい寝てても良かったのに」

 

 イグナイトモジュールも調整が最終段階に入り、ほとんど徹夜で作業していたエルフナインが眠ってしまったので、あたしは彼女に毛布をかけて一人で作業をしていた。

 

「いえ、フィリアさんが頑張ってるのにそういうわけには……」

 

「バカね。あたしは寝なくても平気な身体なのよ。オートスコアラーなんだから」

 

 すぐに作業を再開しようとするエルフナインにコーヒーを淹れて渡した。

 

「美味しいです。なんだか、力が出てくるような温かさがあります……。あのう、フィリアさん……」

 

「どうしたの? 改まって……」

 

「いえ、眠っているときにキャロルの記憶が流れていたのですが、そこにフィリアさんが居たのです。姿は大人の女性でしたが、間違いなく彼女はフィリアさんでした」

 

 エルフナインははっきりとあたしとキャロルが一緒に居た記憶について話をした。

 

「ふーん。数百年前のキャロルのところにあたしが……。あなたにはキャロルの記憶も一緒に転送されていたの?」

 

「そう……、みたいですね。フィリアさんとキャロルは姉妹のように仲が良かったです。そして、パパが亡くなったとき……、とても悲しんでました」

 

 あたしの質問をエルフナインは肯定し、そしてあの時の出来事について口を開く。

 

「――大切な人だったんでしょうね……。その人はあたしにとって……」

 

 あたしはあの日の気持ちを思い出しながらも、何とか平静を保っていた。

 イザーク……、ごめんなさい。あたしがあの時、もっと気を強く持っていたら……、キャロルは……。

 

「フィリアさん……」

 

 そんなあたしをエルフナインは何かを言いたそうに眺めている。

 

「とにかく、イグナイトモジュールの完成まであと少し。頑張って完成させましょう」

 

 あたしがそうエルフナインに声をかけたとき、けたたましいアラームが鳴り響いた。

 

 ――アルカノイズか……。さすが、キャロルね。

 あたしたちがこれを完成させる直前を狙い撃ちにするなんて――容赦がないんだから。

 

「あたしは司令室に行ってくる。あなたは完成を急いで!」

 

 あたしはそう言って、司令室に向かって駆け出した。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「まさか、敵の狙いは……、我々が補給を受けいてるこの基地の発電施設!」

 

 緒川がそう声を出したとき、モニターにはソーラー発電施設がアルカノイズによって破壊されている光景が映し出されていた。

 

「何が起きてるデスか!?」

 

「アルカノイズに、このドックの発電所が襲われているの」

 

 切歌の質問に友里が答える。まったく、煽り方が上手いわね。真の狙いを隠しつつ、急所を突くなんて……。

 

「ここだけではありません! 都内複数箇所にて同様の被害を確認! 各地の電力供給率大幅に低下しています!」

 

 藤尭が被害状況を伝える。

 

「今、本部への電力供給を断たれるとギアの改修への影響は免れない!」

 

「内蔵電源も、そう長くは持ちませんからね……」

 

 翼と緒川が焦りの表情を浮かべていた。

 

「あたしたちが出来るだけ時間を稼ぐしかないみたいね」

 

「ええ、連中の分解能力には気を付けなきゃいけないし、強敵だけど、引く理由はないわ!」

 

「もちろんデス!」

 

「みんなで力を合わせればきっと守れるはず……」

 

 あたしとマリア、そして切歌と調が発電施設を守るために出撃した。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 切歌と調は絶妙なコンビネーションでアルカノイズの攻撃を躱しつつ、殲滅していた。

 

 LiNKER使用という制限時間付きとはいえ、二人の息の合った攻撃は各々の力を何倍にも増加させる。

 

「マリア、あたしたちも負けられないわ」

 

「言われるまでもない!」

 

 マリアとあたしはお互いに銀色に光る刃を構える。

 

 ――雷霆陥(ライテイオトシ)――

 

 あたしは広範囲に渡って雷撃の刃を落下させる。

 アルカノイズたちは刃に貫かれて殲滅していった。

 

「ファウストローブが無くってもこれぐらいは出来るわ」

 

 あたしはあくまでも本気でアルカノイズは止めるつもりだ。

 連中を野放しにしていい理由がないからである。

 

「さすがにやるわね……、私だってセレナのギアを半端な気持ちで引き継いだわけじゃない」

 

 ――SERE†NADE――

 

 マリアは左腕のアーマーに接続したアームドギアを大剣状に変形させ、ブースターで加速してアルカノイズたちを斬り裂く。

 

 四人で出撃した結果、かなり優勢に立ち回りアルカノイズの数はたちまちの内に減っていった。

 

「少し調子に乗り過ぎですわ――」

 

「ファラね……、悪いけどそれなりに抵抗させてもらうわよ」

 

 あたしのミラージュクイーンがファラの剣とぶつかった。

 すると、ミラージュクイーンの光が胡散して消滅した。

 

「――わたくしの哲学兵装ソードブレイカーは剣と名のつくものは如何なるものも破壊する。剣使いのあなたはわたくしには勝て――」

 

「割とがら空きよ、あなたの身体――」

 

 あたしはファラの腹に一撃を加えて吹き飛ばす。

 アルカノイズには効果はないが、オートスコアラー相手なら武術も使える。

 

 しかし、気付けば切歌と調はミカに圧倒され、マリアはガリィに遊ばれている。

 

 スペック差が露骨に出てるわね……。

 

「剣無しでも派手な技が使えるようだな……、しかし……」

 

「あなたは二人で抑えますわ」

 

 レイアとファラの同時攻撃にあたしは防戦一方となり、攻撃を完璧に封じられてしまった。

 

 切歌と調のギアが破壊された――。えっ、なんで、アルカノイズを彼女たちにけしかけるの?

 

 まさか、あたしのことを試している? 切歌と調を見捨てられるかどうか……。

 

 ガリィがニヤリと笑ってあたしを見ている。

 

 

 

 ――見捨てられるわけ無いでしょう。

 

 あたしはファウストローブを使う覚悟を決めた。

 

「コー……」

 

 しかし、轟音とともに切歌と調に襲いかかっていたアルカノイズは破壊された。

 

 現れたのは強化を終えた新しいギアを纏った三人の装者だった。




次回はキャロルVS装者とかそんな感じです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。