【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課 作:ルピーの指輪
それでは、よろしくお願いします!
「翼、クリス、響! 完成したのね!」
私は三人に声をかける。
「うん、ここから先は任せて!」
「さて、どうしてくれる? 先輩」
「反撃、程度では生ぬるいな――逆襲するぞ!」
シンフォギアの強化を終えた三人はアルカノイズたちに向かう。
「慣らし運転がてらに片付けるぞ!」
「綺麗に平らげてやる!」
「とりぁぁぁぁぁぁっ!」
次々とアルカノイズたちを殲滅していく翼たち。
出力も上がり、バリアコーティングでアルカノイズの分解能力にも対抗できるので、もはやアルカノイズは敵ではなかった。
あらかた、アルカノイズを殲滅した翼たちは次のターゲットをミカにしたようだ。
――蒼刃罰光斬――
翼は蒼く光るニつの刃でミカを切り裂こうとしたが、彼女はそれを躱す。
――MEGA DETH FUGA――
そして、クリスはミカが着地した瞬間を狙ってミサイルを放つ。
「へっ! ちょせえ!」
ミサイルは見事に直撃したように見えた。
「いや、待て」
「何?」
翼の言葉にクリスが訝しい顔をする。
ミカは無事のようだった。
それもそのはず、キャロルが錬金術によってシールドを繰り出してミカを守っていたのだ。なるほど、この場面で登場したってことは力を試しに来たのね……。
「面目ないゾ」
「いや、手ずから凌いでよく分かった。オレの出番だ」
キャロルはこちらをチラッと見る。
「キャロルちゃん!」
「来たわね……、キャロル……」
「あの子がキャロル……、見た目はただの子供なのに凄い威圧感」
共に固まってアルカノイズやオートスコアラーを相手にしていた、あたしたちはキャロルの方を向いた。
「むっ、マスターが到着されたか」
「あら、わたくしたちが不甲斐ないばかりにお手を煩わせてしまいましたわね」
「せっかちなマスター。もうちょっと楽しみたかったんだけどー」
オートスコアラーたちはキャロルの元に集った。
「ラスボスのお出ましとはな」
「だが、決着を望むのはこちらも同じこと」
翼とクリスは臨戦態勢を取った。
「全てに優先されるのは計画の遂行。ここはオレに任せてお前たちは他をあたれ……」
「わかったゾ!」
「仰せのままに」
「畏まりましたわ」
「はーい、ガリィ行きまーす」
各々は転移用結晶を砕いて、撤退する。
「とんずらする気かよ!」
「まさか、こっちは5人いるのよ!」
クリスとマリアは信じられないという表情をした。
「案ずるな。この身一つでお前ら全員を相手にすることなど、造作もないこと」
キャロルはあたしたち全員と対峙してなお、余裕の表情を見せていた。
「その風体で抜け抜けと吠える!」
翼はそのセリフに対してムッとした表情になった。
「なるほど。ナリを理由に本気を出せなかったと言い訳されるわけにはいかないな。ならば刮目せよっ!」
キャロルが手を伸ばすと錬成陣から先日見た竪琴が出てくる。
そして、彼女は竪琴を奏でて、あの時のようにダウルダブラのファウストローブを身に纏った。
「これくらいあれば不足はなかろう?」
何故か、自分の胸を触りながらそう言ってのけるキャロル。
やっぱり腹立つわ。理由はわからないけど何故かイラッとするのよね……。
「翼! 挑発されてるわよ!」
「フィリア! なぜ、私にだけそんなことを言う!?」
翼がクルリと振り返ってあたしにツッコミを入れる。だって、この場でなんとなく共感してもらえるのは翼だけだと思ったから……。
“フィリアちゃんって、私の遺伝子持ってるのに異常にそこだけ育たなかったもんねー。フィアナちゃんと違って”
“うるさいわね……”
フィーネがいらないことを言ってあたしを苛立たせる。
「翼さん! 別に私は気にしてません! その……、翼さんが控えめなことも含めて魅力的だと思ってます!」
響は響で的はずれな励ましを翼に送る。いや、それは逆効果でしょう。
「立花まで、私に喧嘩を売るか!」
翼は剣を響に向ける。あれ? 敵って誰だっけ?
「あー、もう! そんなこと、どうでもいいでしょう。クリス! バカなこと言ってるフィリアたちは放って私たちで攻めるわよ!」
「たくっ、先輩も変なところで意固地になるなー」
「雪音もマリアも妙に余裕だな。そういうことか!」
マリアとクリスがかき乱されているあたしたちに注意してるが、翼とは妙に噛み合わない。
「どういうことよ! いいから、集中なさい」
マリアは困ったような顔をして、翼を諌めた。
「――もう、攻撃していいか?」
唖然としながら、そのやりとりを見ていたキャロルはそう言った刹那、糸をあたしたちに伸ばしてきた。
「ぬっ、何という破壊力!」
「これは――」
キャロルの火力にあたしたちは息を呑む。
「
キャロルが琴を鳴らすと、大量の水と燃え盛る炎が照射される。
「くっ、反則ね。この力……。マリア! 下がってなさい」
――水鏡ノ盾――
あたしは水の盾を展開して、キャロルの炎を防ごうとした。
「甘いな、フィリア! そんな貧弱な盾ごときで防げようものではないわ!」
しかし、水の盾は一瞬で蒸発して、あたしとマリアは炎の直撃を受ける。
「マリア――。ダメ……、完全に気を失ってる……」
マリアは倒れてしまってギアが解除されてしまう。
「マリアを回収して……、至急よ!」
『わかった。フィリアくんは大丈夫か?』
「結構エネルギーを消費したけど、今、それを回復させてるところよ。モグモグ……」
あたしは特殊な金属でコーティングされている容器からチョコレートを取り出して口に放り込む。
「お前のそれ、ホントに緊張感がねぇーな」
「しょうがないじゃない。錬金術って燃費悪いんだから」
「それじゃ、キャロルちゃんもどこかにチョコレートを?」
あたしのところに寄ってきたクリスと響が、あたしのエネルギーの補給行為に口を出してくる。
「いいえ、エルフナインによると、キャロルの錬金術の力の源は想い出の償却よ……」
「想い出の償却?」
「キャロルやオートスコアラーの力は、想い出という脳内の電気信号を変換錬成したもの。作られて日が浅いオートスコアラーには力に変えるだけの想い出がないから、他者から奪う必要があるけど……、数百年を永らえて相応な想い出が蓄えられたキャロルの力はあのとおり計り知れない!」
あたしがそう言った瞬間にキャロルから発せられたエネルギーの塊がこちらに飛んできた。
あたしはマリアを抱きかかえて回避する。
「フィリアちゃん、その力に変えた想い出はどうなっちゃうの?」
「燃え尽きて失われるわ……」
「そんな……、キャロルちゃんはどうしてそんなことをしてまで……」
「さあ? とにかく、あの子も本気ってことよ。世界を分解することに……」
響の質問にあたしが答えると、彼女は悲しそうな顔をした。
お人好しな響のことだ。キャロルのためにも彼女を止めたいとか思っているのだろう。
「その程度の歌でオレを満たせるなどとっ!」
キャロルはあたしに加えて、三人の装者を相手取ってもこちらを圧倒していた。
結局、彼女にお膳立てしてもらった力を使わなきゃ厳しいみたいね……。
「クリスちゃん、翼さん! アレを――!」
「やるっきゃねーか! ぶっつけ本番!」
「土壇場こそ、我々の本領発揮ができる場面。フィリア! 使うぞ、イグナイトモジュールを――!」
響たちはいよいよ、イグナイトモジュールを使用するみたいだ。
作っといてアレなのだが、キチンと起動するか如何せん不安である。
「フッ。弾を隠しているのなら見せてみろ。オレはお前らの希望を全てぶち砕いてやる!」
キャロルは相手を乗せることが上手い。計画を遂行させるためのレールを敷いて見事に彼女たちを乗せたわね……。
「一つだけ、アドバイスするわ。あなたたちは必ず闇の中に飲まれそうになるはず。でも、今までだってそんなことはみんなあったはずよ。どうやって乗り越えたのか思い出すのよ……」
あたしはイグナイトモジュールを使う彼女らに声をかけた。
「フィリア……。任せておけ、呪いなどに負けてなるものか!」
「けっ、急に真面目にアドバイスしやがって! ありがとな、直してくれて……」
「うん! 私は信じるよ! フィリアちゃんたちが作ってくれた新しいシンフォギアを! そして、胸の歌を!」
「「イグナイトモジュール――抜剣っ!」」
抜剣のかけ声と共にペンダントの羽根が閉じる。そして、ギアペンダントを胸から外すペンダントが剣状の形になった。
剣がそれぞれの胸を突き刺す――。
「「あああああああっ――――!」」
「えっ――大丈夫なのかしら? これ……」
あたしは自分で作ったものに対してドン引きしてした。ちょっと、普通じゃないわよ、この反応……。どす黒いオーラみたいなものに飲み込まれそうになっているじゃない。
「呪いに飲み込まれちゃだめよ! あなたたちは、ずっと切り開いて来たじゃない! 大丈夫! 強いあなたたちなら、絶対に!」
あたしの声が届いたのか、三人の目に活力が戻ってきた。
「「――この衝動に塗り潰されて! たまるものかぁぁぁぁぁぁっ!」」
イグナイトモジュールが正常に起動して、彼女らはパワーアップしたシンフォギアを身に纏う。
さあ、あなたの望み通りの展開になったはずよ。キャロル、どう出る?
キャロルはアルカノイズの入った結晶をばら撒き始めた。
次々とアルカノイズが出現する――。
『検知されたアルカノイズの反応、約3000!』
『3000!?』
司令室からの通信で友里と緒川のこえが聞こえる。
3000って……、あの子、加減ってものを知らないの?
「たかだが3000っ!」
響が拳で次々とアルカノイズたちを倒していく。
翼もそれに呼応して、力強い剣技で圧倒する。
そして、クリスも今までにない火力をもってして、ミサイルで空中のアルカノイズたちを一気に殲滅した。
そしてアルカノイズたちを殲滅した彼女たちは、今度はキャロルに向かって行った。
「ヘソのあたりがむず痒い!」
キャロルは圧倒的な錬金術の力で響たちをねじ伏せようとした。
しかし、パワーアップした響たちは、得意の連携技でそのキャロルをも圧倒する。
響の体が炎に包まれて突撃し、キャロルの腹に強力な一撃を与える。
キャロルは壁に激突してボロボロにされてしまう。
特に、響の強さは圧巻ね……。これほどイグナイトモジュールが強力だなんて……。
「光あれぇぇぇぇぇっ!」
響は空中から、巨大な炎の槍のようにキックを繰り出して、キャロルにとどめを刺す。
「キャロルちゃん。どうして世界をバラバラにしようなんて……」
響はキャロルに手を差し伸べる。この子のこういうところはブレない。
「あっ……!」
「忘れたよ、理由なんて……、想い出を償却。戦う力と変えたときに……」
キャロルは響の手を払いのけ、理由を忘れたと述べた。忘れられるはずがないのに……。
「キャロルちゃん……」
「その呪われた旋律で誰かを救えるなどと思い上がるな――!」
キャロルはそう言い残すと、奥歯を噛み締めその場で倒れ、そして体が消滅した。
新しい個体に乗り換えたか……。こうやってこの子は400年以上生きてきた。
しかし、響は自害したキャロルを見てかなり大きなショックだったらしく、絶叫していた。
「呪われた旋律では誰も救えない。本当にそうなのかしらね?」
「フィリアちゃん……。ううん、そんな風にはしないよ。絶対に……。キャロルちゃん見ていて……」
あたしの言葉に対して響はそう答えて、空を見上げていた。
ここから、キャロルの計画が本格的に実行される。あたしは、それがあたしのエゴだとしても、彼女のこの計画を止めるということと、イザークの遺言の本当の意味を突き止めることを誓ったのだった。
今回はほとんど原作沿いでしたねー。
ここから、オートスコアラーとのプロレスが始まります。
面白い内容に出来るように頑張りますので、次回もよろしくお願いします!