【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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原作8話の終わりくらいまでです。
それではよろしくお願いします!


信頼という力

「こんなに暑い日にランニングかしら? 響」

 

 あたしは響に追いつき、声をかけた。

 

「――フィリアちゃん? どうして……、ぐすっ……、あっ……」

 

 響は目から涙が出ていることを隠そうとした。弱いところを見せないようにするのは、この子らしい……。

 

「偶然じゃないわ。さっきまで、あたしはあの喫茶店に居たから……」

 

「えっ……」

 

「たまには、弱いとこ見せたって良いのよ。あたしだって、一応あなたより先輩なんだから、話くらい聞いてあげるわ」

 

「フィリアちゃん……、ふぇぇん」

 

 響はあたしを抱きしめながら、泣いてしまった。言ってみたものの、未来が途端に怖くなってしまってるわ……。  

 

「フィリアちゃんには伝わらないかもしれないけどね。昔はカッコよくて、頼りがいがあって、優しかったんだ。ウチのお父さん……」

 

 しばらく泣いて、落ち着いた響はベンチに腰掛けて自分の父親の話をし始めた。

 

「居なくなったときは、ただ悲しくて……、さっき会ったときは……、どうして……、どうしてなんだろうって……、もっと悲しくなった」

 

 響は以前は良い父親だった洸と今のギャップがかけ離れていてショックを受けていたらしい。

 

「なんで、あんなに簡単に……、やり直したいって言えるんだ……? だって、壊したのはお父さんのくせに……。自分のしたことがわかってないお父さん……。無責任でカッコ悪かった……。見たくなかった……。こんな思いをするなら……、二度と会いたくなかった――。でも……、そもそも私があの事故に遭わなかったら――」

 

「もうそれ以上言わないの……。言いたいことはわかってる。でもあなたは悪くない……。それだけは絶対だから……。あたしはあの日、命懸けで奏が守った生命が響で良かったと心の底から思っているわよ」

 

 あたしは響の手を握った。彼女の手は冷たかった。

 

「ありがと……。やっぱりフィリアちゃんは優しいや……。少し楽になった。ホントだよ」

 

「そうは見えないけど……」

 

「フィリアちゃんの作ったケーキ食べたらもっと元気になるかも。えへへ」

 

「まったく、調子いいんだから」

 

 恥ずかしそうに笑みを見せる響を見て、あたしは軽く彼女の頭を撫でた。

 

「どうして、切歌ちゃんや、調ちゃんがフィリアちゃんを慕ってるのか分かった気がする。フィリアちゃんって、大人なんだね」

 

「あなた……、今さら何言ってんの」

 

 一応、あたしはマリアより年上なんだけどな……。

 

 響はいつもの調子がちょっとだけ戻ったようだった。そんなとき、あたしと響の通信機が鳴り出した。

 

『アルカノイズの反応を検知した! 場所は地下68メートル。共同構内であると思われる。フィリアくんと、響くんは、現場近くにいる切歌くんと調くんと合流し、至急現場に突入してくれ!』

 

「わかった、すぐに向かうわ。響、大丈夫?」

 

「平気、へっちゃらだよっ! フィリアちゃん!」

 

 弦十郎の指示により、あたしたちは現場へと急いだ。

 共同構内……。あたしがフロンティアで作ったレイラインマップも盗み出したみたいだし……。キャロルの狙いは間違いなく――。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「あっ! ここデース!」

 

 あたしと響が駆けているのを発見した切歌が手を振っていた。

 

「待たせたわね、二人とも。さっそくだけど、現場に急ぐわよ。油断だけはしないこと」

 

「リア姉……、わかってる。私たちだって、弱いままじゃない」

 

 あたしが二人に忠告すると、調はそう返した。それなら良いんだけど……。

 

 

 

 

 

「フフ、来たな! だけど、今日はお前たちの相手をしている場合じゃないのだゾ!」

 

 ミカがアルカノイズを従えて破壊工作をしていた。

 さっさとアルカノイズ片付けて帰ってもらいましょう。

 

「あのオートスコアラーは強いわ。狭いこの場所では深追いはせずに被害を最小限に収めましょう。いいわね?」

 

 あたしは狭い施設内で暴れると被害が大きくなると懸念して、指示を出す。

 どうせ、ミカもそんなに攻めてくるつもりはないでしょうし……。

 

「フィリアの言うとおりにしといた方がいいゾ。特に、お前とお前は弱すぎたんだゾ」

 

 ミカは切歌と調を指さして挑発的なポーズをとる。

 

「くっ……、そうは言っても、これ以上、連中を放っておけないデス!」

 

 切歌は挑発に乗ってミカに向かって突っ込んで行った。ミカ相手にそれは無謀よ。

 

「遅すぎてびっくりしたゾ!」

 

 ミカは切歌の攻撃を軽く躱して、腕から途轍もない威力の炎を繰り出す。

 

「危ないわ! 切歌!」

 

 あたしは切歌を思い切り突き飛ばした。しかし、あたしの下半身は炎の直撃を受ける。

 

「リア姉ぇぇぇ!」

 

 切歌の絶叫が聞こえる。どうやら、あたしの下半身が焼け落ちてしまったみたいだ。

 

 そういえば、この子たちと戦っているときはここまでやられた事はなかったかもしれない。

 

「よくも切ちゃんと、リア姉を……」

 

「調! 引きなさい! 今のあなたじゃ……」

 

 あたしは再生をしながら、調を止めようと叫んだ。

 

「なんだ? 攻撃してるつもりか!?」

 

 調もミカに攻撃をしようとするが、避けられて蹴飛ばされてしまう。

 そして、さらに結晶のようなものを右手から調に向かって飛ばした。

 

「調ちゃんっ!」

 

 響が身を呈して調を守るように間に飛び込む。

 ミカの攻撃はかなり強力で響は大ダメージを受けて、あたしの側まで吹き飛ばされて気を失ってしまった。

 

 調と切歌は気を失った響と、下半身を再生中のあたしの側に駆け寄る。

 

「歌わないのか!? 歌わないと――死んじゃうゾ!」

 

 ミカはさらに文字通り火力を上げた炎を繰り出した。ちっ、補給する暇がない……。

 再生も不完全でエネルギー供給もままならない内に迫りくるミカの炎を止める方法をあたしは思案していた――。

 ファウストローブを纏う時間もないし……。こうなったら――。

 

 ――水鏡ノ盾――

 

 あたしは再生が不完全なまま立ち上がり、残るエネルギーをすべてを費やして水の盾を錬成させた。

 

「調、切歌、響を連れて出来るだけここから離れなさいっ!」

 

 エネルギーが付きかけて朦朧とする意識の中で、あたしは調と切歌に指示を出した。

 

「リア姉を置いていけないデス!」

 

「そこまでして守らないといけないほど、私たちは頼りないの……?」

 

 切歌も調も言うことを聞かない。頼りないとかそういう次元じゃないわ……。

 

「――だからよ!」

 

「「えっ?」」

 

「あなたたちが大事だからよ! いいから急いで!」

 

 あたしは声を振り絞って出したが、そこで意識が真っ暗になった。エネルギーが完全に尽きたのも……。久しぶりね……。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「はぁ……、ここに来るのも久しぶりのような気がするわ……」

 

「調子はどうですか? フィリアさん」

 

 メディカルルームで目を覚ましたあたしはエルフナインに話しかけられた。

 

「大丈夫。問題ないわ」

 

 あたしはそのまま立ち上がってみせて、体調の回復を主張した。

 

「問題大ありデース!」

「リア姉は無茶しすぎ……」

 

 切歌と調は機嫌が悪そうな顔をしてあたしに詰め寄った。

 だって、あの場はああするしか無かったし……。

 

「私たちが弱いからデスか? 昔からリア姉は私たちを……」

 

「切歌……、それは……」

 

 あたしは切歌の悲哀が混じった顔を見て言葉が詰まった。

 

「確かに、私たちは頼りないし、失敗も多いけど……。それを理由にリア姉に無茶をして欲しくない。だから……」

 

「「もう、半人前扱いしないで!」」

 

 あたしは切歌と調に本気で叱られてしまった。彼女たちはエルフナインからLiNKERを受け取って出ていってしまった。

 

 

「――響、未来、あたし切歌と調に嫌われちゃった」

 

 あたしは目の前で一部始終を見ていた響と未来に話しかけた。

 

「よくわからないけど……、切歌ちゃんも、調ちゃんも、フィリアちゃんが大好きだから怒ったんじゃないかな?」

 

 響は切歌と調の気持ちがわかるような口ぶりだった。

 

「私も無茶して未来に怒られてばかりだから。きっと二人もそうなんじゃないかなって思ったんだ」

 

「フィリア先輩も後先考えないことありますから。無茶ばかりしてると、二人とも自分を責めてしまいますよ」

 

 響と未来はあたしの行動の問題点を教えてくれた。そっか、あの子たちはもう、守られてばかりの子じゃないってことか。

 

「あたし……、行ってくる! 切歌と調に謝ってくるわ!」

 

「あっ、フィリアさん、まだ動いちゃ駄目ですよ」

 

 エルフナインの言葉を背に、あたしは切歌と調に謝罪するために駆け出した。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「切歌! 調!」

 

 あたしは神社の近くで切歌と調に追いついた。

 

「二人とも、ごめんなさい。あたしはあなたたちを……、勝手に何としても守らなきゃならないって思い込んでたわ」

 

 あたしは二人に頭を下げる。昔からのクセで年下で小さかった二人をあたしは守ることばかり考えて、成長していることを考えてなかった。

 いつか、マリアが二人を心配して監視しようとしてたことを笑えないわね……。

 

「リア姉が……」

「謝った……」

 

 えっ、あたしが謝るのって、そんなに驚くこと? 記憶が戻ったときとか謝ったじゃない。

 

「切歌も調も強くなってるし、背中を預けられる仲間だと思ってるわ。今なんか、あたしより大きくなってるんだから」

 

「それはリア姉が縮んだだけデス……」

 

 切歌があたしの言葉にツッコミを入れる。

 

「じゃあ、私たちを足手まといとか、頼りないって思ったりは……」

 

「してるわけないわよ。二人のコンビネーションはマリアや翼よりもある意味強い武器だと思ってるわ」

 

 調の言葉に、あたしはそう返した。実際、この子たちのユニゾンは破壊力で言えば他の装者を凌駕している部分もある。

 

「私たちがマリアよりデスか?」

「それは言い過ぎかも……。でも嬉しい」

 

 二人は顔を見合わせて笑いあっていた。

 

 だが、その時である――。

 

 

 轟音とともに神社が炎上し、鳥居の上にミカが突然現れる。

 

『至急応援を送る! それまで持ちこたえ……』

 

「応援は必要ないわ。やれるわよね? 切歌、調……」

 

 弦十郎からの通信に対して、あたしはそう答える。この子たち二人が力を合わせれば、ミカだって負けない。

 最初からもっと信じていれば良かった。

 

 あたしは二人の手を握りしめて、この場を彼女たちに託した。

 

「人から信じて託されるって、こんなに力が湧いてくるのデスね」

 

「うん、切ちゃん……、今なら何でもできる気がする……」

 

「「イグナイトモジュール! 抜剣!」」

 

 切歌と調のギアペンダントが刃と化し、二人の体を貫く。

 作ってて言うのもアレだけど、何度見ても痛そう……。

 

「「ううっ……ああぁぁぁぁっ!」」

 

 二人は苦しそうな表情で呪いに抗っていた……。

 

「私たちを……、信じてくれた……、リア姉に……」

 

「カッコいいところを……、見せるデス……!」

 

 切歌と調は見事にイグナイトモジュールを起動させることに成功した。

 

 

 

「あははーっ!」

 

 切歌と調は確かにパワーアップした。しかし、キャロル曰く4体のオートスコアラーで最強のミカは手強く、彼女らを圧倒していた。

 

「最強のアタシには響かないぞ! もっと強く激しく歌うんだゾ!」

 

 ミカの連続攻撃を何とか弾いたり、躱したりしている二人だったが、少しずつ追い詰められていった。

 

「くっ、これはっ!?」

 

 大量の結晶がミカの手から放たれて、切歌の周りに突き刺さる。

 

 

「切歌! 調! もっと連携を意識しなさいっ! そうすればあなたたちは負けたりしないわ!」

 

「連携……」

「調! 合わせてもらってもいいデスか!?」

 

 あたしの声を聞いた二人は声を掛け合って、武器を構える。

 

「えへへへ〜! このままだとジリ貧だゾ!」

 

 ミカは燃える結晶の雨を降らせながら、身体を真っ赤に発光させて、切歌に攻撃を加えていた。

 

「知ってるデス! だからっ!」

 

 切歌は肩から巨大なアンカー付きの鎖を射出した。

 

「こんなの遅すぎるゾ!」

 

 ミカはを余裕をもって鎖を避ける。

 しかし、鎖はミカの後方にいる調のギアに固定される。

 

 そこから、二人は見事な連携で鎖を利用してミカを捉えて地面に釘付けにした。

 

――禁殺邪輪 Zあ破刃エクLィプssSS(キンサツジャリン・ザババエクリプス)――

 

 固定されたミカに対して、調と切歌は同時に非常Σ式 禁月輪と断殺・邪刃ウォttKKKを繰り出して挟撃した。

 

「足りない出力をかけ合わせて!?」

 

 調と切歌の同時攻撃がミカに炸裂した。

 

「ウッキィィィィッ!」

 

 ミカはバラバラになって砕け散った。切歌と調は見事に最強のオートスコアラーであるミカを撃破した。

 

 

 

 

「まったく、お前が独断専行させてどうすんだ」

 

「フィリアくん、君はどちらかというと止める役割だと思っていたが……」

 

 駆けつけてきたクリスと弦十郎にあたしは説教されていた。

 

「切歌と調なら、必ず勝つと信じただけよ。この子たちは自分に出来ることを、きちんと責任をもってこなすことが出来るまで成長していたから」

 

 あたしは切歌と調の背中を叩いて、そう言った。

 

「うーむ、しかしだなぁ」

 

 弦十郎は渋い顔をして切歌と調を見ていた。

 

「リア姉には私たちが我儘を言っただけデス」

「私たちはまだ未熟……。出来ることは限られている……。それを受け入れて少しずつ先輩に追いつけるように頑張る……」

 

 二人はあたしを庇うようにして、弦十郎にそう伝えた。

 

「あ、ああ。わかっているならそれでいい。フィリアくん、後輩を焚きつけるのは程々にな。どっちが先輩だかわからんぞ」

 

 最後に弦十郎はそうあたしに釘を刺して、あたしたちは解放された。

 

 

 

「リア姉の信頼に応えようと思ったら、いつも以上の力が出た」

 

「誰かの義に応える為に、自分を正して責任を果たすこと――それを正義というなら……、調の言った偽善っぽいデスか?」

 

 調の言葉に対して、切歌は首を傾げる。偽善か……。

 

「ずっと謝りたかった……。薄っぺらい言葉で響さんを傷つけてしまったことを――」

 

 響に偽善者と過去に言ったことを、調はずっと気にしていたが、まだ謝れずにいた。

 お菓子を作って謝るみたいなノリは、ちょっと難しかったらしい。

 

「ごめんなさいの勇気を出すのは調一人じゃないデスよ。調を守るのはあたしの役目デス」

 

 切歌は調のおでこに自分の額を当てて優しく、そう言った。

 

「切ちゃん……、ありがとう。いつも、全部本当だよ」

 

 調は切歌に素直にお礼を言った。この子たちは昔からずっと仲が良いわ……。そして、これからもきっと……。

 

「あーあ、どうやら、あたしは邪魔者みたいね。まったく、見せつけちゃって」

 

「りっリア姉……、そんなことないデスよ」

 

「うん……、邪魔だなんて思ってないよ……」

 

 二人は慌てて、あたしと手を繋ぐ。気を使わせるつもりは無かったんだけど……。

 暖かい二人の手の温もりを感じながら、あたしは少しだけ大人びた顔をした彼女たちが誇らしいと思っていた――。




オートスコアラーとの戦いは基本原作寄りになっちゃうので、何とかストーリーだけは違う感じでまとめてみたのですがいかがでしたでしょうか?
きりしらは周りの目を気にせずに仲の良さを全面に出すところが好きです。
次回もよろしくお願いします!

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