【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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原作の10話に相当する話です。
もうすぐGX編もクライマックス!
それではよろしくお願いします!


終焉へのプレリュード

「あたしを尋問って聞いたけど……。大丈夫なのかしら? 拘束もせずに、司令室に入れちゃって」

 

 あたしはS.O.N.G.の司令室に連れ戻されて、弦十郎と対面している。

 

「フィリアくん。君が敵側だなんてオレは疑いたくない。だから、質問に答えてくれ。なぜ、ファウストローブが使えないと嘘を付いた?」

 

 弦十郎は淡々とした口調であたしに問いかけた。やっぱり、この前、ミカにやられたときに身体のデータを詳細に取られていたか。

 そして、あたしがキャロルのオートスコアラー相手に手を抜いていることもバレているみたいね……。

 

「あたしが守りたい者ためよ……。つまり、自分勝手なエゴってこと。そういう意味ではS.O.N.G.を裏切ったと言われても弁解するつもりはないわ」

 

「守りたい者というのは、キャロル=マールス=ディーンハイムのことか?」

 

「ええ、あたしは大切なあの子を守りたいの。何としてでもね」

 

 あたしは弦十郎の言葉を肯定した。キャロルはあたしの大切な人。そして、最愛の人の忘れ形見……。

 このまま放って置くわけにはいかない。

 

「そうか……、君はもう記憶が戻っているのだな」

 

「さすがは司令。察しがいいわね。あたしはキャロルが目的を果たすために作られた最後のオートスコアラーよ」

 

 あたしは両手を広げて、そう言った。弦十郎を相手に一戦を交える覚悟で……。

 

「おいおい、ここで戦おうってか? 君がそんな短絡的な思考者なはずがない。それに……、君はオレたちの敵じゃないだろう?」

 

「はぁ? 内通者だって疑っているんでしょ? 敵だと思ったからじゃないの?」

 

 あたしは弦十郎が呆れ顔をしているのに対して抗議した。

 

「君が本気でここを潰す気ならとっくにやっている。それに、ギアペンダントの修復と強化もLiNKERの改良にも尽力している。そんな君を敵だと思うはずないじゃないか。装者たちも君から少なからず守られているしな」

 

 当然、というような口調で弦十郎はそう返した。

 

「じゃあどうして、あたしをここに呼んだの?」

 

「だから、わからないんだ。君はキャロルの味方にも見えるし、オレたちの味方にも見える。不確定な要素が多いなら、ここで動かないで居てもらったほうがいい」

 

 余計な動きをさせるくらいなら目の届く場所にってことね。だとしても拘束しないのは……。

 

「甘いわね……」

 

「性分だよ」

 

 あたしたちは、翼たちからの連絡を待ちながらクリスたちの様子を見ることにした。

 

 まずは翼からオートスコアラーのファラを撃破したという連絡が来た。翼がイグナイトモジュールを使用して破壊したとのことだ……。

 

 これで残るオートスコアラーはレイアのみ……。

 

 

 

 そして、キャロルたちはヤントラ・サルヴァスパという、チフォージュ・シャトーの起動に必要な装置を盗み出していて、クリスたちと逃走戦を繰り広げていた。

 

 海底で施設が破壊されると大惨事確定なので、クリスは得意の戦法を封じられて大苦戦しており、キャロルたちの逃走を許してしまう。

 

 その後の追跡も巧みにキャロルたちは躱していた。まるでこちらの動きが読めているように。

 

「俺たちの追跡を的確に躱すこの現状! 聖遺物の管理区域を特定したのも、まさか、こちらの情報を出歯亀して……」

 

「それが仕込まれた毒。内通者の手引だとしたら……」

 

 藤尭はあたしの顔を見た。まぁ、それに関しては何もしてないんだけど、疑われて然るべきよね……。

 

「そんな、まさかフィリアさんが……、キャロルに情報を……」

 

 エルフナインはいまさら驚いた顔をしていた。

 

『フィリアではない、お前だよエルフナイン』

 

 エルフナインの体から立体映像のような形でキャロルが現れた。

 

「これは、一体!?」

 

「な、何で!?」

 

 弦十郎と藤尭は目を見開いて投射されたキャロルを見る

 

「キャロル……、そんな――ボクが、毒?」

 

 エルフナインは泣きそうな顔をして、愕然としていた。

 

 

「お願いです! ボクを拘束してください! 誰も接触出来ないよう独房にでも閉じ込めて! いえ、キャロルの企みを知らしめるというボクの目的は既に果たされています。だから……、だから……、いっそボクを……」

 

「殺しなんかしないわよ。ねぇ、司令」

 

「えっ!?」

 

 弦十郎がエルフナインの頭に優しく手を置いた。

 

「なら良かった。エルフナインちゃんが悪い子じゃなくて」

 

 友里は普段通りの口調でエルフナインに話しかける。

 

「敵に利用されただけだもんなぁ」

 

 藤尭もそれなら仕方がないという口ぶりだ。この二人は常識人っぽいけどこういうところはホントにお人好しだ。

 

「友里さん、藤尭さん……」

 

 エルフナインは涙ぐみながら彼らの顔を見ていた。彼らの優しさが突き刺さったのだろう。

 

「どうせ、フィリアくんはそれも知っていたのだろう?」

 

「もちろん。あたしもエルフナインもキャロルの監視下よ」

 

「そうか、フィリアくんも……」

 

 弦十郎は少し考えるような動作をして頷いた。

 

「とにかく、エルフナインくんの目的はキャロルの企みを止めること。そして、そいつを最後まで見届けることだ」

 

「弦十郎さん……」

 

「だからここにいろ。誰に覗き見されようとも構うものか」

 

「は、はい……」

 

 弦十郎はエルフナインがキャロルの監視下にあっても構わないとはっきりと宣言した。司令としてはどうかと思うけど、この風鳴弦十郎という人間といのは、だからこそ尊敬するべき人だし、あたしはこういう人の娘になれて良かったと思っている。

 

「ちっ……。フィリア、わかっているな……?」

 

 キャロルはあたしの顔をジッと見て……、確認するような表情をしていた。わかってるわよ。そんなに怖い顔しなくても……。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 ヤントラ・サルヴァスパを手にしたキャロルとレイアに追いついたクリスたちだったが、キャロルだけはテレポートジェムを使って逃げてしまう。

 

 クリスと切歌と調はレイアと戦うこととなるが、やはり海底の施設という場所が邪魔をして彼女たちは苦戦を強いられる。

 

 しかし、クリスがイグナイトモジュールを起動させると形勢は逆転。彼女は見事にレイアを撃破する。

 

 これで、すべてのオートスコアラーに呪われた旋律が刻まれた――。

 

 いよいよ、チフォージュ・シャトーが動き出し、キャロルは世界を分解し、万象黙示録の完成へと行動を開始することとなった。

 

 

 さて、あたしもそろそろと行きたいところだけど……。

 

 

「この海域に急速接近する巨大な物体を確認! これは!?」

 

 藤尭はレーダーを確認して大きな声を上げる。

 

「いつかの人型兵器か! 装者たちの脱出状況は!?」

 

 クリスたちは急いで潜水艇に乗り、脱出しようとしている。

 

「司令! あたしが出るわ! あのデカイヤツの相手が出来るのはあたしだけでしょう?」

 

「――ふぅ、頼めるか。フィリアくん」

 

「ええ、任せなさい。コード……、ファウストローブ」

 

 あたしはレイアの妹という巨大な機械人形を止めるために、ファウストローブを身にまとった。

 

 

 

 クリスたちの乗った潜水艇が着艦した瞬間に本部が急浮上して海上に顔を出す。

 

 あたしは潜水艦の上でレイアの妹が浮上してきたところを迎え撃つ。

 

「まったく、キャロルはあたしもこれに乗ってることを忘れているのかしら?」

 

 あたしは両手をレイアの妹のボディに向けてかざした――。

 

 ――雷神ノ鎚(トールハンマー)――

 

 レイアの妹目掛けて、極限までエネルギーを充填させて、巨大な雷撃を放つ。

 

 雷撃はレイアの妹の上半身を焼き尽くし、消滅させ、下半身は海へと沈んだ。

 

「涼しい顔して終わらせやがって、こちとら大慌てで出てきたっていうのによぉ」

 

 ミサイルと共に空中に出てきたクリスは口を尖らせながら、あたしに話しかけた。

 

「でも、まぁ、あたしじゃ間に合わなかっただろうし……。お前が居てくれてよかったぜ。フィリア、お前もスパイの疑いなんてふざけたもんをかけられてたみたいだが、これで……」

 

「これで……、何かしら? クリス……」

 

 あたしは隠し持っていたテレポートジェムを取り出しながら、クリスに尋ねた。

 

「おいおい、なんの冗談だ? それは、連中の……」

 

 クリスはテレポートジェムを確認すると、みるみる顔が青くなった。

 

「ええ、キャロルにもらったテレポートジェムよ。クリス、楽しかったわ。あなたと夜通し遊んだり、勉強したり、料理を作ったり……。あなたのような子が友達であたしは幸せよ」

 

 あたしはテレポートジェムを投げて、チフォージュ・シャトーへ移動しようと錬成陣を展開させる。

 

「なんで、そんなこと言うんだよ! だったら、これからも一緒に――」

 

 クリスは手を伸ばしたが……、あたしは彼女の呼びかけに応えることが出来なかった……。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「フィリア、大義であった。随分と連中と仲が良いのが少し気になったがな」

 

「何もかも簡単に切り捨てられるわけないでしょう。あの子たちはあたしの大切な人たちなんだから」

 

 キャロルの言葉にあたしはそう返した。この点だけはもう嘘を付きたくない。

 

「情が深いお前らしい。しかし、断ち切ってもらうぞ。チフォージュ・シャトーが起動すると、奴らはここを狙ってやって来るだろう。お前にも防衛は手伝ってもらうことになる」

 

「気が進まないけど、務めは果たすわ」

 

 あたしはそう答えて、キャロルがチフォージュ・シャトーを起動させるのを見守った。

 

 

 

 

 

 天が割れて、首都庁の上空にチフォージュ・シャトーを転移させる。

 あとはエネルギーを充填させて、キャロルが世界を壊す歌を歌えばこの世界の分解は開始される。

 

「さぁ、フィリア、お前に刻んだ最後の機能を、開放させるんだ」

 

 キャロルはあたしの身体に搭載された、この計画に必要な機能の開放を指示した。

 

「ええ、最後のキーワード……。コード……、クロノスモード……」

 

 あたしがキーワードを口にすると、チフォージュ・シャトーからエネルギーが流れ込み、銀髪が金色に染まり、身体が黄金の光に包まれる。

 

「正常に起動したわ。もっとも、時を超えて移動するにはまだ、知識不足だけど」

 

 あたしはクロノスモードの起動を確認すると、すぐにこれを解いた。大丈夫……、この力があれば……。

 

「これで時空を操る神の器が完成した。オレが万象黙示録を完成させ、この世界のすべてを知れば思いのままに時を操ることさえ出来るようになるだろう!」

 

 世界の存亡をかけた死闘の時が確実に近付いていた――。

 




尺の都合でクリスの見せ場がカットになってしまいました。竜宮の深淵と風鳴八紘邸のエピソードが同時進行でしたから、仕方なかったのですが……。
次の絶唱しないでは、クリスの出番を増やしてみようと勝手に思案中です。

そしてフィリアの最後の機能、クロノスモードが起動しました。
詳しい能力についてはまた次回……。

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