【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課 作:ルピーの指輪
それでは、よろしくお願いします!
「相変わらず、元気そうじゃない。カリオストロもプレラーティも」
あたしはミラージュクイーンを構えて、サンジェルマンたちの出方を伺う。
「フィリア、一応は確認しておこう。お前は私たちの敵なのか?」
サンジェルマンは意外なセリフを吐く。いや、どう考えても敵じゃない。研究者ごと資料持ち出して逃げたのよ。
「あなたは聡明な人だと思ってたけど……、とりあえず敵だと言っておきましょうか」
あたしはミラージュクイーンの切っ先をサンジェルマンに向けた。
「言わんこっちゃないワケダ」
「サンジェルマン、あなたがフィリアを気に入ってたことは知ってるけど、ここは……」
なんか、あたしが悪者みたいな言われようね。まぁ、連中にしたら裏切り者なんだから仕方ないけど。
「残念だ。お前とは妙に気が合ったのだが……」
「それは否定しないわ。サンジェルマン、あなたは良い友達だった。ただ、向かっている方向が違ってた。それだけよ」
サンジェルマンは少し悲しそうな顔をしたが、すぐに厳しい表情であたしを見た。
「完全体
サンジェルマンが光り輝く球体を龍の形をしたオブジェに当てた。
するとどうだろう、それは巨大な龍となり建物を突き破って天に向かって咆哮したのだ。
「あれは――まさか、神の力を……」
「ご明察ねぇ。さすがにこっちの研究についてもよく調べてる」
「これが、人智を超えた錬金術の到達点。ゲイル博士はお前の身体は神をも超えると豪語していたが……、どちらが強いか試してみましょうか?」
神の力と呼ばれる究極の力を持つ龍があたしに向かって体当たりしてきた――。
「――くっ! この衝撃……、シンフォギアに匹敵するパワーね……」
オペラハウスから思いっきり吹き飛ばされたあたしは巨大な龍のパワーに戦慄した。
「コード……、ファウストローブ……」
あたしはファウストローブを身に纏って再び龍と対峙する。まったく、RPGゲームを思い出しちゃったじゃない。
「グォォォォン!」
雄叫びを上げて、とてつもない勢いでこちらに向かってくる巨龍。
あたしは巨龍の頭に向かって手をかざした。
――
以前、レイアの妹を完全に破壊した、高火力の一撃を至近距離で巨龍にぶつける。
巨龍の首は吹き飛んだ――かのように見えた。
しかし……。
「グォォォォン!」
突如、無数の鏡像が出たかと思うと、巨龍は何事もなかったように吠えだした。
ダメージが通ってない? そんなバカな……。
“フィリアちゃんの攻撃が無かったことになってるのよ”
フィーネは素早くこの現象を分析し、あたしにそう伝えた。
“はぁ? 無かったことにって、どういうこと?”
“簡単に言えば、無数にある並行世界の同個体がダメージを肩代わりしてるの”
“何よそれ……、神の力っていうのは理不尽なのね”
あの龍は無敵と言っていい能力を持ってるみたいだ。
“そりゃあ、あの方の力は凄かったわ。これくらい出来て当たり前よ”
“じゃあ、あの龍は攻撃したところで無駄なのね”
“ええ、あれを倒すのはちょっと難しいわ”
フィーネはあの無敵の力の龍は倒せないという。だったら、あたしが取る方法は一つ。
「龍は無視して使役してるサンジェルマンを狙う――」
あたしは空中に浮かび上がり、文字通りの高みの見物をしているサンジェルマンに向かって行った。
「なかなか冷静な判断力だ。その牙が私に届けばな……」
巨龍は一瞬でサンジェルマンたちを守るように回り込んで、あたしを再び襲おうとした。
「ちっ、うざったいわね」
――
巨大な炎の鳥を錬成して巨龍の体を燃やし尽くす。
案の定、一瞬で復活したが……。
そして、何事もなかったかのように、あたしに向って突っ込んできた。
「仕方ないわ。作りたてのコイツを使いましょう」
あたしは《Type:G》を取り出し、首元に注射した。
《Type:G》は簡単に言えば、大量のエネルギーを内在している《糖》である。
これを注入するとあたしの体内のエネルギー総量は一時的に平常時の限界値の10倍以上になる。
あまりに大きなエネルギーを無理に注入するので、核に対する負担が大きく一度使うと24時間のインターバルを空けないとならない。しかし、これを使うとあたしはあのモードを解放することが可能になる。
「コード……、クロノスモード……」
あたしの髪が金色になり、身体中が黄金の光に包まれる。そう、《Type:G》を使えば、あたしはクロノスモードを起動させることが出来るのだ。
もっとも、エネルギーの消費が大きいこのモードの持続時間は2〜3分がやっとだが……。
たまには時限式で戦ってみるのもいいだろう。
――
巨龍がこちらに迫ってきた瞬間に、あたしは目を閉じて、時を止める。
そして、そのままサンジェルマンの元にもう一度接近する。
時を止めた状態だと、《マナ》を使用出来ないので錬金術が使えない。だから――。
「あたしの拳は痛いわよ――」
あたしは、サンジェルマンの腹に正拳突きを放った。
そして、時が動き出す――。
「――ぐはっ」
サンジェルマンは驚愕した表情で吹き飛ばされた。
「てっ、テレポート?」
「いや、おそらく時間を止めたワケダ」
カリオストロとプレラーティは吹き飛ばされたサンジェルマンを追って行った。
「逃さないわよ――」
――
高出力の雷撃エネルギーを天空からサンジェルマンたちに向けて撃ち落とした――。
「はぁ……、逃げられたか……」
あたしは底が見えなくなった穴を眺めながら呟いた。攻撃が届く寸前に、カリオストロがサンジェルマンの体を抱いて、プレラーティがテレポートジェムを使った様子が見えた。
しかもサンジェルマンは吹き飛ばされながらも巨龍はキッチリと回収していた。
「まったく、油断もスキもない……」
三人の冷静な連携を見て、あたしは彼女らの厄介さを再認識した。
「でも、大きな忘れ物をしたようね」
あたしは地下室に戻って、彼女らの忘れ物――ティキの身体を回収した。
これは破壊しておくべきかもしれないわ……。
あたしはそう思ったが、さすがにそれを実行出来る権限はないので司令の指示を仰ぐことにした。
『フィリアくん、かなり大きな戦いだったみたいだが、無事か!?』
「ええ、連中の目的のモノを回収したわ。あたしは破壊することをオススメするけど、判断はそちらに任せる」
『目的のモノ? オートスコアラーの身体か……』
「これがパヴァリア光明結社の計画の要よ。とりあえず、そちらに戻ることにするわ」
あたしはティキの身体を抱えて、本部へと戻った。
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「ご苦労だったな。みんな、無事で何よりだ」
あたしは友里と藤尭と合流し、本部に戻った。弦十郎はあたしたちに労いの言葉をかける。
「はぁ、もう少しで怪獣大戦争に巻き込まれるとこだった。やっぱり本部が1番だ……」
藤尭はため息と共にいつものぼやきを発する。
まぁ、今回は少し派手な戦い方をしたから、彼には刺激が強かったんだろう。
「フィリアくんはクロノスモードを使用したみたいだが、そこまでの相手だったのか?」
「ええ、無敵の化物って感じでかなり厄介だったわ。とにかく、どんな攻撃も受付けないのよ……」
《Type:G》の副作用か、かなり意識が朦朧としながらあたしは答える。
「だからあたしは……」
「ん? どうした、フィリアくん」
あたしの言葉に弦十郎が返事をする。駄目ね……。チョコレートでいつものようにエネルギーを回復させたはずなのに、身体が動かないし、舌も回らない……。
「大丈夫か? 何があった?」
「――うふふ、知りたい? 弦十郎くん」
“ちょっと、なんであなたが……!”
あたしの意識が奥に追いやられて、フィーネの意識があたしの身体に定着してしまった。
あたしは驚いて、フィーネに抗議した。
「まっ、まさか、了子くん!? フィリアくんの身体を乗っ取ったのか!?」
「嫌だわ、弦十郎くんったら。私がそんな酷いことするような女に見えるぅ?」
“見えるわよ!”
あたしの身体を気持ち悪い動きでくねらせながらフィーネはおどけた態度を弦十郎に見せる。
「悪いが、君ならそうしかねないと思っている」
「もう、正直なんだからぁ。安心なさい。フィリアちゃんはちょっとお疲れモードだから、その間だけよ、私が主導権を握れるのは」
フィーネはあたしのエネルギーが回復すれば、身体の自由が戻ると言った。
――本当かしら?
「そうか、それならいい」
「ちょっと、司令、いいんですか? だって、あの了子さんですよ!」
藤尭は物分りのいい弦十郎に抗議した。そりゃ、あんなことをやらかしたフィーネを信じられるはずないわよね。
「あら、藤尭くん。花火のこと喋っちゃっていいのかしら?」
「了子さんだって、今は味方のはずです! 信じましょう!」
藤尭はあっさりと了子に陥落させられる。
「まぁ、了子くんはLiNKERの改良やギアペンダントの修復に関するアドバイスをフィリアくんにしていたらしいし、何か事を起こすつもりならとっくにやってるさ。魔法少女事変でも、力を貸して装者たちを守ってくれたしな」
弦十郎はフィーネを信じる理由を付け加えた。まぁ、確かにこの人が本気を出したらとっくに良からぬことの一つや二つやってのけてるでしょうね。
「あんなの気まぐれよ、気まぐれ。なんか、フィリアちゃんが急に可愛くなっちゃったのよねー。今さら母性が出てくるなんて、笑っちゃうでしょう?」
フィーネはわざとらしく笑いながら、そんなことを言う。ホントに今さらすぎるわよ。
「そうか? オレはそうは思わんが」
弦十郎は真面目な顔でそう返した。この人には冗談が通じないのだろう。
「はぁ、弦十郎くんには敵わないわね。あと、フィリアちゃんが可愛く感じるのは、多分、あなたの娘だからかな」
フィーネはあたしの身体で艶っぽく動き、上目遣いで弦十郎を見ていた。
ちょっと、私の身体で父親を口説こうとしないでくれる?
「了子くん、それはどういう? いや、とにかく無敵の龍についてだな。了子くんは何か対策のようなものはあるか?」
弦十郎は脱線した話をようやく戻した。
「もう、弦十郎くんったら、せっかちなんだから〜。あれは疑似的な神の力を持っていた。人類がどうこうできるものじゃない」
フィーネははっきりとそう告げた。本当に無敵だなんて……。
「フィリアちゃんのやり方は正しかった。使役してる錬金術師を倒しちゃうのが一番現実的よ」
「そうか……、厄介だなそれは……」
フィーネの言葉に弦十郎は渋い顔をする。
神の力を持つ無敵の龍……。面倒ね……。
それに、サンジェルマンたちには切り札がまだある。賢者の石であるラピス・フィロソフィカスから作られたファウストローブ。
あれを使われたら、シンフォギア装者やあたしでも勝てるかどうか……。
そんな中、バルベルデ共和国内にあるエスカロン空港でアルカノイズを検知したという情報が入った。
そして、LiNKERの持続時間の関係で先に本部に戻っているマリア、調、切歌が先に出撃することになり、翼、クリス、響は怪我人の搬送を終えたあとに出撃することになった。
「フィリアくんは、まだ動けそうにないか……。敵の力は未知数……、戦力は大きい方が良いのだが……」
弦十郎はあたしに向ってそう言ったが、あたしは返事は出来ない。
「仕方ないわね。弦十郎くん、フィリアちゃんの代わりに私が出てあげようか?」
フィーネがあたしの代役をすると言い出した。
まさか、そんなこと……。
「了子くんが? フィリアくんの代わりだと?」
「そうよぉ。こう見えても私だって結構強いんだから」
弦十郎が訝しい顔をしたが、フィーネは本気のようだった。
結局、弦十郎はフィーネに出撃を依頼した。
終わりの名を持つ最凶の巫女が再び力を振るうこととなった――。
フィリアはティキの身体を持って帰ってしまいました。
そして、まさかのフィーネが出陣です。
1期のラスボスがフィリアの身体で戦います。
次回もよろしくお願いします。