【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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原作11話の前半部分まで
それではよろしくお願いします!


天地のオリオン座輝く時――

『レイラインを通じて観測地点にエネルギーが収束中!』

 

『このままでは門を超えて神の力が顕現します!』

 

 司令室からの通信で藤尭と友里の声が聞こえる。もしものときはあたしが……。

 

『合わせろ、弦!』

 

『おうとも、兄貴!』

 

『『決議執行!』』

 

 弦十郎と八紘が同時に決議を執行して各地にある要石が起動した。

 

『レイライン遮断作戦、成功です!』

 

 それによりレイラインは遮断されて神の門が開かれることを阻止した。

 

 そして、あたしたちを乗せたヘリコプターが現場に到着する。

 

「響、切歌、準備はいい? あなたたちが歌を合わせて、あたしは援護するわ――」

 

「うん!」

「了解デェス!」

 

 あたしはファウストローブを纏い、響と切歌はギアを纏って、空から地上へ飛び降りた。

 

 

 

「そこまでデス!」

 

「シンフォギア……、そしてフィリア……! どこまでも!」

 

 サンジェルマンはあたしたちを忌々しげに睨みファウストローブを身に纏った。

 

「サンジェルマン、諦めなさい。今からでも――」

 

「黙れ! はぁぁぁぁぁっ!」

 

 あたしは彼女を説得しようと話しかけたが、彼女は聞く耳を持たず襲いかかってきた。

 やはり、やるしかないようね……。

 

「でやぁぁぁぁぁっ!」

 

 ――響はいち早くイグナイトを発動させてサンジェルマンの攻撃を拳で受け止める。

 

「やっぱり戦うしかないんですか!?」

 

「私とお前、互いが信じた正義を握りしめている以上、他に道などありはしないっ!」

 

 響とサンジェルマンの信念のベクトルが違う方向を向いてるのなら、分かり合うことは出来ないと彼女は持論を展開する。

 

 戦力的にはサンジェルマン一人相手なら三人で負けることはないはずだけど……。

 

 

 あたしたちに向かって火球が次つぎと飛んでくる。

 それをあたしたちはジャンプして避けた。

 

「やっぱり来てたのね。アダム……。随分と働き者になったじゃない」

 

「もう少しで手に入りそうなんでね。かわいい部下たちの悲願が。無駄にしないよ。君の働きは」

 

 アダムが宙に浮いて、サンジェルマンにそう言った。

 

「局長! まさか、あなたが助けに来てくれるとは……」

 

「シンフォギアは任せたよ。サンジェルマン。僕は――遊んでくるよ。愛しい人形と」

 

 アダムはあたしに狙いを定めたみたいだ。いいわよ、やってやろうじゃない。

 あたしは空中に浮かび上がり、アダムと対峙した。

 

「――いいのかな? そのままで。敵わないよ。それじゃ、僕には」

 

「あら、やってみないと分からないじゃない」

 

 あたしはアダムに向かって打撃の連打を放った。

 音速を超えた拳はソニックブームを起こし、風を切る音が夜の神社で木霊する。

 

「わかってるはずだ。それが無駄なのは……」

 

 アダムは余裕の表情でそれを躱して、エネルギーの塊をこちらに向かって放ってきた。

 

「くっ、まだまだっ!」

 

 仕込み刀を繰り出して、アダムに斬撃を繰り出す。

 しかし、太刀筋までも見切られて彼を捉えることはかなわなかった。

 

「非力だよ。そのままじゃ。早くしたまえ。神の力を取り出せるなら」

 

 アダムはカウンターであたしの腹を殴ろうとした。

 

「小物風情が粋がるなっ!」

 

 フィーネに切り替わり、バリアーを展開させてさらに光線を乱れ撃ちする。

 

「――っ!?」

 

 アダムはとっさに帽子を投げて、器用にそれを防御する。

 妙ね……。随分と消極的な戦い方をしている……。黄金錬成に警戒してたのに……。

 

 ――魔刃国崩(マジンクニクズシ)――

 

 フィーネがアダムの逃げ場をなくしたところにあたしは高エネルギーを込めた刃を撃ち出した。

 

「ちっ――」

 

 彼はバリアを錬成してこれを防いだ。やはり、この男は強い……。

 

 アダムはそこから氷の槍を無数にこちらに向かって発射する。

 

「ふむ、小物なりに考えている。貴様、まだ神の門の開放を諦めてないようだな」

 

 フィーネと再び切り替わり、バリアを展開して全ての攻撃を防ぐ。

 彼女はアダムの消極的な攻撃は神の門の開放の為だと指摘した。

 どういうこと? だって、要石の起動でレイラインは遮断されて――。

 

「諦めるはずがないだろう。やっとここまで来たんだから。知っているよ。君が神の門を開けることを」

 

 アダムは笑みを浮かべて手を天にかざした。

 なるほど、あたしが戦いに苦戦して神の門を開いた瞬間を狙い撃ちするつもりだったのか。それでチマチマとした攻撃を……。

 

「もう終わりそうだね。そっちの茶番は……」

 

 そして、彼は地上で戦っている響たちの方に目を向けた。

 

 ――必愛デュオシャウト――

 

 響と切歌の連携技が見事にサンジェルマンにクリーンヒットした。

 サンジェルマンはかなり大きなダメージをうけたらしく、そのまま倒れてしまいそうになる。

 

「この星の明日の為に――、誰の胸にも、もう2度と……! あのような辱めを刻まない為に、私は支配を革命する! うっ……、くっ……」

 

 地面に膝を付き、苦しみながらも尚、サンジェルマンは戦おうとしていた。

 彼女には彼女の譲れないものがあるからなのかもしれない。

 

「私もずっと正義を信じて握りしめてきた。だけど……。拳ばかりでは変えられないことがあることも知っている。だから……」

 

「だから……?」

 

 響はサンジェルマンに近づいて優しく微笑む。

 

「握った拳を開くのを恐れない。神様が仕掛けた呪いを解くのに、神様みたいな力を使うのは間違ってます。人は人のまま変わっていかなきゃいけないんです」

 

 そして、彼女はサンジェルマンに手を差し伸べた。どんなに戦いが激化しても、そうすることが出来る彼女はやはり凄いとあたしは思った。

 

「――だとしても……。いつだって、何かを変えていく力は……、『だとしても』と言う不撓不屈の想いなのかもしれない……」

 

 サンジェルマンが響の差し伸べた手に手を伸ばした――。

 

 その時、アダムは動き出した。

 

「さて、そろそろ始めようか。本番を……。期待していたんだが。フィリアが門を開くことを。どうやら買いかぶり過ぎたらしい」  

 

 彼がそのセリフを吐いた刹那――天空のオリオン座に錬成陣が浮かび上がった。

 

 

“天を巡るレイライン……、あの男はこの星からではなく天の星々から命を集めるため、オリオン座そのものを神出づる門に見立てて、神の力を引きずり出すつもりよ”

 

 

「アダム……、アダムが来てくれた……」

 

 ティキの体が宙に浮かび始めた……。

 

「あれは、まさか、星海で開かれる……、もう一つの神出づる門ってこと!?」

 

 天空のオリオン座からティキに向かってエネルギーが送られてくる。

 

「遮断出来まいよ、彼方にあっては……」

 

 アダムは勝ち誇った顔を見せた。作戦は二重にあったということか……。

 あたしが開かなかったら温存してた自らのエネルギーで門を開くつもりであんな戦い方を……。

 

「止めてみせる!」

 

 響は飛び上がって、神の力の開放を阻止しようとするが、アダムはそこに帽子を投げた。

 

「あぁっ!」

 

「響っ!」

 

 響にそれがぶつかり、彼女は吹き飛ばされる。あたしは彼女を空中で受け止めて、共に地上に降りた。

 

「フィリアちゃん、ありがとう」

 

「いえ、アダムに門を開かせたのは、あたしのミス。悪かったわ」

 

 あたしは自分の無能さを呪いながら謝罪した。

 

「教えてください、統制局長! この力で本当に人類は支配のくびきより解き放たれるのですか!?」

 

「出来る――んじゃないかな? ただ、僕にはそうするつもりがないのさ。最初からね」

 

 やはりこの男はそういう男だったか……。

 

「くっ――! 謀ったのか!? カリオストロを……、 プレラーティを……。 革命の礎となった全ての命を!」

 

 サンジェルマンは怒り表情を浮かべて、彼に抗議した。彼女の気持ちを考えるとあたしも同情してしまう。

 

「用済みだな、君も――」

 

 アダムが指を鳴らすと、ティキが動き出し、口が開き、そこからビームが放たれる。

 

 しまった――。不意を突かれた……。

 

「やらせないデス!」

 

 そのとき、切歌が飛び出して絶唱を繰り出した。

 

「確かにあたしはお気楽デス! だけど、誰か一人くらい何も背負ってないお気楽者が居ないと……、もしもの時に重荷を肩代わり出来ないじゃないデスか!」

 

 

 切歌の絶唱によって、ティキから放たれた攻撃は相殺されたが、彼女は倒れてしまう。

 

「切歌ちゃん!」

「切歌! あなた、なんて無茶を……」

 

「響さんはもうすぐお誕生日デス……、お誕生日は重ねていくことが大事なのデス……」

 

 切歌はこの時も響の誕生日の心配をしていた。あなたらしいけど……、でも、こんなこと……。

 

「こんな時にそんなことは!」

 

「私は本当の誕生日を知らないから……、誰かの誕生日だけは、大切にしたいのデス……」

 

 切歌は誕生日に対しての特別な想いはあたしの想像よりも大きかった。

 

「LiNKERをつかって、絶唱を使ってる。これなら負荷は小さくて済んでるはずよ。でも、体内の洗浄は急がなくては――」

 

 切歌の行動であたしには迷いが消えた。もうこれ以上、あの男の好きにはさせない。

 

「司令、至急切歌の回収を――。そして、あたしの機能を全開にする許可を出して頂戴」

 

 あたしは封印されていた機能の解放の許可を申請した。

 

『切歌くんの件はもう、動いている。大丈夫なんだろうな? ぶっつけ本番なんだろう? 勝算はあるのか!?』

 

「思いつきは数字で語れないんでしょう? あたしとフィーネがやることはやったとだけ言っておくわ」

 

『まったく、君も変わったな。自分を犠牲にしてとか考えるんじゃないぞ! 親より先に死ぬ親不孝だけは許さん!』

 

 弦十郎はあたしのワガママを聞いてくれた。あたしは《Type:G》を首元に刺した。

 

「フィリアちゃん、何をするつもりなの?」

 

「もちろん、アレを止めるのよ。コード、クロノスモード……」

 

 あたしの身体は黄金の光に包まれた。そして……。

 

「フィーネ、合わせてもらうわよ」

「ええ、フィリアちゃんの好きになさい」

 

「「コード、ラグナロク……!」」

 

 要石によって止められていた地上のレイラインをあたしは従属させて、再び起動させる。そして、地上のオリオン座が光り輝いた。

 

「バカな……、要石の妨害を強引に解析して解除するなんて……。この力は明らかにティキの上位互換……。フィリア、お前は……」

 

 サンジェルマンは驚愕した表情であたしを見た。

 あたしはティキと対角線上に浮き上がり、エネルギーを身体に集め始めた。そう、この場所がもう一つの神の力を手に入れることができるポイント……。

 あたしは地上のレイラインを利用してもう一つの神の門からエネルギーの吸収を開始した……。

 

「くっ……、この魂に重くのしかかる重圧……。気持ち悪いわね……」

 

 あたしは巨大なエネルギーの重圧に不快感を覚えていた。

 

「ちっ、あのとき、壊しておくべきだった。やはり君は」

 

 アダムはあたしを破壊しようと構えを取った。チャンスかもしれないわ、あたしに注意が向けば、ティキにスキが生じるかも……。

 

 

「フィリアには、この子たちには、手を出させない!」

 

「ほう、それが答えかな? 君が選択した……」

 

「神の力……、その占有を求めるのであれば、貴様こそが私の前に立ちはだかる支配者だ」

 

「実に頑なだね、君は。忌々しいのはだからこそ……」

 

 サンジェルマンはあたしたちを守るために立ち上がり、アダムと対峙した。

 あなたがこんな行動を取るなんて……。当てられたのね……。きっと、彼女に……。

 

「私たちは互いに正義を握り合い、終生分かり合えぬ敵同士だ」

 

「だけど今は同じ方向を見て、同じ相手を見ています」

 

「敵は強大、圧倒的。ならばどうする? 立花響――」

 

「いつだって、貫き抗う言葉は一つ!」

 

「「だとしても!」」

 

 響とサンジェルマンは共にアダムに立ち向かって行った。

 

 響は『神殺し』の力でもって、ティキを狙おうとするが、アダムはそれを許さない。

 

 しかしアダムは儀式の発動にかなりエネルギーを使ったみたいで、いつものパフォーマンスが出来ずに攻めあぐねていた。

 

「そっちの方が上のようだね。自動人形(オートスコアラー)としての性能は。発動しよう。少しだけ早いが」

 

 アダムはあたしが神の力を完全に手に入れることを懸念して、指を鳴らした。

 

 すると、ティキの身体が真っ赤に発光して巨大な化物のような姿へと変化した。

 

 ――これが神の姿だとでも言うの?

 

「神力顕現――、完全な状態の8割といったところだが……。十分だよ。君たちを捻り潰すには。回収すればいい。残りの力は君たちを蹂躙したあとで」

 

 アダムの判断は正しかったかもしれない。思ったよりも早くに彼がティキに力の回収を止めさせたせいで、あたしはまだ神の力を5割ほどしか、得ることが出来なかった。

 

“いいえ、ラッキーよ。フィリアちゃん。これくらいの量のエネルギーで十分。ていうか、思ったよりも重圧が酷くて完全に吸い取ったら二人とも魂が共倒れしてたかもしれないわ”

 

 確かにフィーネの言うとおり想定以上のエネルギー負荷があたしたちを苦しめていた。このくらいの量のエネルギーなら、魂への負担は軽度で済む。

 5割のエネルギーでもクロノスモードの力も長時間使用可能だし、神の力も使うことができる。

 出力の差はあるかもしれないが、勝算はある。

 

「アダム……、ごめんなさい。思ったよりも時間を取られちゃった」

 

「仕方ないよ。済んだことは……。取り返せば良いのさ。ディバインウェポンの力を持ってして!」

 

 ディバインウェポンと化したティキがあたしに光線を放ってきた。

 

 ――神ノ息吹(ゴッドブレス)――

 

 あたしはチフォージュ・シャトーから力を得た時と同等のエネルギーを込めて、すべてを分解するエネルギーの塊を放った。

 

 ゴッドブレスとティキの光線は互いにぶつかり合い、大爆発を起こして周囲に爆風を撒き散らした。

 

 神の力同士のぶつかり合いが始まった。

 

 




ディバインウェポンと神の力を手に入れたフィリアの戦いが始まりました。
次回もよろしくお願いします!
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