【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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時系列は11話の最後くらいまでです。
それではよろしくお願いします!


神域の闘争と神を殺す力

「第二波が来る……、相殺するのはわけないけど……。余波だけでかなりの被害ね……」

 

 ディバインウェポンのビームをあたしはことごとく相殺するが、その爆発により周囲の建物は徐々に破壊されていった。

 

「接近戦で戦うしか……」

 

 あたしはディバインウェポンと殴り合うことにした。

 音速の何百倍というスピードであたしはディバインウェポンに連打を放つ。

 

 しかし、平行世界から無事な身体を持ってくるという体質に邪魔をされて決定打を与えられない。

 

「神の本当の力をみせてやれ。卑小な神のなりそこねにね」

 

「アダムの期待に答える! そして、あたしは愛されるのー!」

 

 ディバインウェポンの巨大な腕があたしに向かって振り下ろされる。

 

 あたしは拳でそれを受け止めるが、力負けして地面に叩きつけられてしまった。

 

 平行世界の新しい身体が入れ替わり、破損箇所は即時に元通りになる。便利なものね……。

 しかし、予測してたけど無敵同士の戦いだと決着がつく気がしない。なんとかしなければ……。

 

「フィリアちゃん、大丈夫?」

 

 響が慌ててこちらに駆け寄る。心配そうな顔をさせちゃったわね。

 

「平気、へっちゃらよ。あなたの魔法の言葉を借りるならね」 

 

「あはっ、フィリアちゃんがその言葉を使うなんて思ってなかったよ」

 

 響は顔をほころばせて、笑っていた。やっぱり、彼女の力を借りるほかなさそうね。

 

「あのディバインウェポンの無敵性……、打ち破るにはガングニールの力が必要。いや、正確には《神殺し》の力が……」

 

「《神殺し》の力? でも、ガングニールにはそんな力は無いって」

 

 響はあたしの言葉に不思議そうな表情を浮かべた。確かに前のブリーフィングのときのフィーネの説は調べても実証には至らなかった。でも……。

 

「響ちゃん、ちょっと違うのよそれは。神を殺す槍が存在するって逸話はずーっと長いことあったの。で、その長い逸話は語り継がれることによって言葉は力を持ったの。言葉の力によって《神殺し》の力が宿った槍こそ――」

 

「それが、ガングニール……。そういうことですか? 了子さん!」

 

 響は合点がいったような表情になった。

 そう、言葉が持つ力の具現化――哲学兵装……。

 まったく、哲学兵装って何でもありの代物よね。もし、言葉の力を操るなんて奴が居たら、それこそ無敵の力を持ってるかもしれない。

 

「ピンポーン! 響ちゃん、ちょっとだけ賢くなってない?」

 

「えへっ、そっそうですか? ――ひゃう、何するんですか!?」

 

 フィーネは照れる響の耳をいきなり噛んだ。ちょっと、人の身体でナニやってんのよ!

 

「ペロッ、こっちは成長してないか」

「――じゃないわよ。バカっ!」

 

 あたしはフィーネを奥に引っ込める。まったく油断もスキもない。

 この映像、未来は見てないわよね……?

 

「さぁ、行くわよ。あたしがディバインウェポンを拘束するから、あなたはそのスキにキツい一撃を与えてあげなさい」

 

「フィリアちゃんと一緒なら、絶対にできる。ねっ?」

 

 差し出す響の手を握りしめて、あたしは上空高くに浮かび上がった。

 ディバインウェポンを見下ろせる高度まで――。

 

「させないよ。無駄な抵抗は」

 

 アダムは《神殺し》を恐れたのか、私たちと同じ高度に浮かび上がり対峙した。

 

「フィリアたちの邪魔はさせないわっ」

 

 しかし、そこにサンジェルマンが素早くアダムに向かって銃撃を放ち牽制する。

 よし、これで邪魔は入ってこないわ。

 

「響、これからあのデッカイのに真っ直ぐに突っ込んでもらうわ。あたしがあなたを守るから、それを信じてくれる?」

 

「うん! 大丈夫だよ。最短で真っ直ぐ一直線に向かってみせる!」

 

 響はニコリと笑ってそう言った。まったく、ひとつも不安な顔をしないんだから。

 

「じゃあ、思いっきり行くわよ」

 

 あたしは十分に勢いをつけて、響をディバインウェポン目掛けてぶん投げようとした。

 

「――えっ、フィリアちゃん? 真っ直ぐにってそういうこと?」

 

 響は投げられると思っていなかったらしく、びっくりしたような声を出した。

 

「せぇぇぇぇぇいっ!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 泣き笑いに聞こえるような大声を上げて響はディバインウェポン目掛けて飛んでいく。

 

 ――因果ノ捻時零(インガノネジレ)――

 

 あたしは目を閉じてその瞬間に時を止める。

 

 そして、投げ飛ばした響を迎撃しようとするディバインウェポンの眼前に迫り、時間を動かした。

 

 ――神ノ息吹(ゴッドブレス)――

 

 ディバインウェポンが響に向けて放ったビームをあたしは最大火力の攻撃でもって、相殺する。

 お互いに余波でダメージを受けるが、平行世界の身体と入れ替わり完全に回復した。

 

「フィーネ!」

「任せなさい!」

 

 フィーネは高エネルギーを物質化した巨大なムチを幾重にも伸ばしてディバインウェポンを拘束する。 

 

「身体はダメージに対して無敵でも、拘束に関してはどうかしら?」

 

「うっ、アダムぅ。助けて〜、動けないよ〜」

 

 ディバインウェポンはとんでもない力で拘束を解こうとするが、こちらも神の力によるエネルギーを集中させているので、ビクともしなかった。

 

 さぁ、今よ! 響、力をみせて!

 

「止まれぇぇぇ! 神殺し!」

 

 サンジェルマンに行く手を阻まれているアダムは絶叫する。

 

「八方極円に達するはこの拳! 如何なるものも破砕は容易いっ!」

 

 響は腕をドリル上に変化させて拘束されたディバインウェポンにまっすぐ向かって行った。

 

 

「ハグだよティキ! さあ! 飛び込んでおいで! 神の力を手放して!」

 

「アダム! 大好きぃぃ!」

 

 アダムは神の力の消失を恐れたのか、ティキをディバインウェポンから射出させた。

 でも、遅いっ――!

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!」

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 響の決死の一撃により、ディバインウェポンは破壊されて――無敵の復元能力も機能せずにそのまま消失した。

 

 響、よくやってくれたわ。あたしじゃ、泥試合確定だったから……。

 

 しかし、アダムの態度が気になるわ……。

 あたしは彼の元へと飛んでいった。

 

「アダム好き。大好き。だから抱きしめて。離さないで。ドキドキしたいの」

 

「恋愛脳め。いちいちが癇に障る。だが間に合ったよ。間一髪。人形へ。神の力を付与させるための――」

 

 アダムは忌々しそうにティキを見ると、彼女を蹴飛ばそうとした。

 

「変ね、そちらのお人形さんは大切なんじゃないの?」

 

 あたしはアダムの足を手で受け止めて彼に問いかけた。

 

「アダム……?」

 

 ティキは不思議そうな顔でアダムを見ていた。

 

「大切だったさ。さっきまでは……。だが、用済みだ。役目を終えたからね。ティキはもう」

 

「どういう事!? ティキがいないと神の力は――」

 

 あたしは神の力がまだこの空間に存在していることを知っている。だから、彼が再びティキにそれを付与させるつもりなのかと警戒していた。

 

「得られるよ。穢れなき魂を持つ僕ならば!」

 

 アダムは自らの腕を千切り、天に掲げた。まさか……。彼は――あたしやティキと同じ――。

 

「人形だったの? あなたは……」

 

「そうさ、フィリア。僕は作られた。彼らの代行者として」 

 

 アダムは自分は作られた存在だという。しかし、遥か昔にこれほどの人形を作った彼らというのはまさか……。

 

“あの方たちの中の誰かかも知れないわね……”

 

「だけど廃棄されたのさ。試作体のまま……。完全すぎるという理不尽極まる理由をつけられて! ありえない……。完全が不完全に劣るなど……。そんな歪みは正してやる。完全が不完全を統べることでね!」

 

 彼は顔を歪めて叫び出した。これがこの男の本性……。

 

「付与させる! この腕に! その時こそ僕は至る! アダム=ヴァイスハウプトを経た、アダム=カドモン! 新世界の雛形へと!」

 

 アダムは神の力を自らに集中させようとした。そんなことはさせないわ!

 

「――っ!?  フィリア=ノーティス! どこまで邪魔をするんだ!?」

 

「せっかく、響が作ってくれたチャンスだもの。あたしがすべての神の力を受け入れる――!」

 

 あたしはディバインウェポンから排出された神の力をこの身に吸収し始めた。

 

「――うっ……、量が思ったよりも――多い……」

 

“当たり前よ。考えてみなさい。既に神の力は限界ギリギリまで溜め込んでいるのに――これじゃ過剰摂取で私たちは――”

 

 フィーネは大量のエネルギーによって、あたしたちが共倒れになることを懸念した。

 

「だとしても、あたしはこれ以上……、誰かが犠牲になって、悲しむ顔を見たくない! だから――」

 

「嫌だよ! 私はフィリアちゃんに犠牲になってほしくない! フィリアちゃんが大好きだから――」

 

 響が涙を流しながら、あたしを抱きしめてきた。なんて、顔してるのよ。あたしだって、あなたが……。

 

「えっ――!? どういうこと? 急に……」

 

 響に抱きしめられた瞬間に、あたしは魂への負担が軽くなったことに気付いた。

 力がドンドン排出されていく……。

 

 まさか……!? 響に神の力が……!?

 

「響! あたしを離しなさい! このままだと、あなたが神の力に――」

 

「嫌だ! 離さない! フィリアちゃんが犠牲になる未来なんて、絶対に嫌だ!」

 

 響は言うことを聞かずに、あたしを抱きしめて離さない。

 くっ、全身の力が抜けて、引き剥がすことも出来ないわ……。

 

 大体、人間は生まれながらに原罪を背負ってるから神の力を受け入れられないはずなのに――。

 

“もしかしたら、神獣鏡の凶払いの力が作用して原罪を浄化したのかもしれないわ”

 

“凶払いが――なるほど。理屈はわかったけど、なんで身体が動かないの?”

 

“響ちゃんが抽出してるエネルギーの勢いが強すぎて、フィリアちゃんの身体機能が硬直してるのよ。神の力が抽出されきるまで抜け出すのは難しそうね……”

 

「響、もうやめなさ――って、何よこれ?」

 

「――っ!? えっ、どうしてこんな――?」

 

 あたしのエネルギーが無くなりかけたそのとき――響とあたしは大きな繭のようなモノに包まれてしまった。

 

 これは……、何なの? 一体……?

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「――うっ……、あたしは……」

 

「ああ、良かったです。フィリアさん! エネルギーがほとんど尽きかけていましたので、気を失っていたんですよ」

 

 S.O.N.G.の本部のメディカルルームであたしは目を覚ました。

 エルフナインが目に隈を作りながらあたしを見ていてくれたらしい。

 

 あのとき、薄れ行く意識の中で、響があたしを突き飛ばしたことは覚えている。

 あの子はあたしの犠牲は嫌だと言って、自分が……。まったく、なんて我儘な子なんだろう。

 

「サンジェルマンさんが、フィリアさんを助けてくれなかったらどうなっていたことか……」

 

「――サンジェルマンが!? 彼女がここに居るの?」

 

「ええ、フィリアさんを連れてきたあと、賢者の石の技術を提供してくれて……、反応汚染の除去作業がかなり捗りました」

 

 エルフナインはサンジェルマンがあたしを助けてくれただけではなく、技術提供までしてくれたと話した。

 

「そう……、彼女と会える?」

 

「サンジェルマンさんも、フィリアさんが目覚めたら話したいと言っていました。案内します」

 

 エルフナインに連れられて、あたしはサンジェルマンに会いに向かった。

 

 

「フィリアくん、体調はもういいのか?」

 

「ええ、心配かけて悪いわね。響のことはあたしが何とかするから……」

 

「サンジェルマンくんのところに向かっているみたいだな。オレも向かおう。娘の恩人にまだきちんと礼を言っていないからな」

 

 ということで、弦十郎を含めた3人でサンジェルマンの居る部屋に入った。

 

「フィリア、無事で良かったわ」

 

「まさか、裏切り者のあたしを助けるなんて思いもしなかった。響はともかく、あたしはあなたに恨まれてると思ったから」

 

 そもそも、響と違ってあたしはパヴァリア光明結社の裏切り者だ。

 しがらみは彼女よりも大きいはずなのである。

 

「別にあなたを恨んだことはないわ。私だけだったのかしら? 向かう道が違うだけで、あなたとは友人だと思っていた」

 

「――サンジェルマン。ありがとう」

 

 あたしとサンジェルマンは手を握り、友情を確認した。短い時間だったけど、あたしが彼女と過ごした時間は気が滅入りそうだった、潜入任務の癒やしになっていた。

 

 こんな形で出会わなければと、思ったものだった。

 

 

「響はあたしから神の力を吸収してしまったの。あの子は凶払いの力で原罪を浄化された人間だから……」

 

「なるほど、響くんに神の力が宿ったのにはそういう理屈が……」

 

 弦十郎は納得したような声を出した。

 

「しかし、フィリア。あの強大な力がまだ動いていないわ。蛹のような状態で眠っている。そんな印象だった」

 

「うーん、神殺しの力を持っているガングニールが神の力との一体化を拒んでいるのかも知れないわね。でも、それも長くは保たないはず。あたしの持っていた神の力に加えてティキに宿っていた力が加わっているんですもの」

 

 サンジェルマンの疑問にあたしも仮説を立てたが、どちらにしても事態は時を追うごとに深刻化しそうだった。

 

 そして、さらに時間の猶予が無くなる事態があたしたちを襲う。

 国連が日本への武力介入を行う最終協議を開始したのだ。

 

 残された少ない時間であたしたちは響の救出作戦を開始することになった。




サンジェルマンはフィリアと友好関係にあるので、原作よりも協力的です。
AXZ編も残り僅かですが、どのような結末になるのか是非ともご覧になってください。
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