【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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原作12話の終盤までです。
少しだけ長いですがよろしくお願いします。


未来の愛は神の力を凌駕する

「国連が武力介入を決議すると、あたしたちが動かなくてはならなくなる。それまでに何とかしなくては……」

 

 あたしは何とか響を無事に救出する方法を思案していた。

 ループ・ザ・ワールドで時間を戻そうとしたが、神の力によって阻まれて通じなかったし、うまい方法が見つからない。

 

「フィリアさん、《Type:R》を使うというのはどうでしょうか?」

 

 エルフナインは赤いLiNKERを手にして、そう言った。《Type:R》は適合率を急速に上げる代物……。なるほど、そういうことか……。

 神の力もシンフォギアと同じで依代に高エネルギーを纏わせてる。だから……。

 

「この《Type:R》を元にAnti_LiNKERを生成して、適合率を急激に下げれば、あるいは……」

 

 あたしは新型のAnti_LiNKER――《Type:AR》を生成する作業に入った。

 

 彼女にお願いをする必要がありそうね……。

 

 

 

 あたしとエルフナインは新型のAnti_LiNKERの生産体制を整えた後に弦十郎に作戦を伝えた。

 

「――ふむ、それなら確かに響くんを神の力の癒着から解放できるかもしれない。しかし、人体への影響は大丈夫なのか?」

 

「響の適合率なら問題ないはずよ。マリアの体への影響が少なかった原因の一つが、彼女の適合率の上昇だということがわかったから。まぁ、マリアの場合はアガートラームの特性のベクトル操作によって体内への急激な影響力を分散したというのもあるんだけど……」

 

 あたしはあの後、マリアの体に起こった事象が不思議だったので、研究してこの結論に至った。

 

 かくして、《Type:AR》を響を覆っている神の力に射ち込む計画は司令室に集まった装者たちと、サンジェルマンに伝えられた。

 サンジェルマンはあたしとの友誼を守るために協力をしてくれると言ってくれた。意外と義理堅い人である。

 

「あなたのことだから、手は取り合えないとか言うと思ってたわ。あたしたちの道は平行線だったから」

 

「そのつもりだった。あなたの手を握るまで。でも、これは我儘なの。私は一回くらいはあなたの隣に立ってみたかった。あくまでも、不完全なまま強くあろうとあなたの隣に」

 

 サンジェルマンは穏やかな表情でそう答えた。しがらみとか、過去とか、そういった事を今はこの一瞬だけは全て忘れると言うように……。

 

 

「フィリア先輩! 響は、響は無事なんですか!?」

 

 司令室でそんな話をしていた頃、あたしの呼び出しでやってきた未来は青い顔をして響が閉じ込められている蛹のような物体を見ていた。

 

「安心して、今はまだ無事よ。だからこそ、あなたを呼んだの。響の救出にはあなたの力が必要不可欠だから……。少し危険は伴うけれど……」

 

「私の力が? やりますっ! どんなことだって!」

 

 あたしは未来にこれからの作戦を伝えようとした。

 

 しかし、その時、鎌倉から通信が入る――。

 

『護国災害派遣法を適用した』

 

 風鳴訃堂が静かに最悪を告げる。やはり、この男が動いたか……。護国の鬼……。

 

「護国ぅ?」

 

 クリスはまだピンときてないようだ。

 

「まさか立花を第二種特異災害と認定したのですか!?」

 

『聖遺物起因の災害に対し無制限に火器を投入可能だ。対象を速やかに殺処分せよ!』

 

 弦十郎は非難めいた声を訃堂にかけるが、彼は辛辣に響を殺せと宣う。そんなことは飲み込めない。絶対に……。

 

「ですが現在、救助手段を講じており――」

 

『儚きかな。国連介入を許すつもりか!? その行使は反応兵器…… 、国が燃えるぞ!』

 

 訃堂は反応兵器が日本に打ち込まれれば国が終わると脅してきた。確かにこのままだと、反応兵器を使われる可能性は高い。

 だからといって、響を見捨てるなんて選択があたしたちにあるはずがない。

 

「待ってください! 響は特異災害なんかじゃありません! 私の――友達です!」

 

「国を守るのが風鳴ならば鬼子の私は友を! 人を防人(さきも)ります!」

 

 未来も翼も当然反発する。

 

『翼! その身に流れる血を知らぬか!?』

 

「知るものか! 私に流れているのは――天羽奏という一人の少女の生き様だけだ!」

 

 翼は訃堂の言葉にはっきりと逆らった。

 

『人形よ! ならばお前に命ずる! 神の力を再び手に入れ、アレを破壊せよ。速やかにだ!』

 

 今度は訃堂はあたしに命令をする。とても承服出来ないものだが……。

 

「聞こえませんわ。お祖父様……。わたくし、今は親友を救うことで頭がいっぱいでして雑音は聞こえませんの……」

 

『このっ――』

 

 あたしがそう答えると訃堂は顔を赤くして、あたしを睨みつけてきた。当たり前でしょう。

 

「フィリア……」

「先輩……」

 

 翼と未来は顔を綻ばせる。勢いで親友とか言っちゃったけど気にしないわ。

 

「司令! 響ちゃんの周辺に攻撃部隊の展開を確認!」

 

『作戦開始は2時間後。我が選択した正義は覆さん!』

 

 友里が響に対して軍隊が動いたと報告する。ちっ、動きが思ったよりも早い……。

 

「あれもまた、支配を強いる者……」

 

 サンジェルマンは訃堂を見てそう呟いた。

 

 そうね……。その上、彼からの国の防衛への執着は妖怪レベル……。時々、野放しにして良いのか分からなくなるわ。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 響に対しての戦車からの攻撃が始まった。第一波から、第二波……、容赦のない攻撃が響を襲う。

 

 しかし、第三波の準備中に事態は急変した。蛹のような物体が割れて中からディバインウェポンに似た巨人が出てきたのだ――。

 

 まさか、これが神の力を纏った響だとでも言うの?

 

 響から放たれる光線が大地を抉り、周囲の建物を破壊する。

 まずい、このままだと――戦車に!

 

“ええーっ、響ちゃんを攻撃してた奴とかどうでもいいじゃない”

 

“バカっ! 響を助けたとき、死人が出てたら彼女がどれだけ傷つくと思ってるの?”

 

 相変わらず、倫理観がズレてるフィーネと切り替わり、戦車の前に飛び出す。

 

「仕方ないわねー! ええいっ!」

 

 フィーネは何重にも重ねた蜂の巣状のバリアーを展開して響のビームを防いだ。

 しかし、余波が思ったよりも大きく、フィーネは吹き飛ばされてしまう。

 

「――っ!? これは骨が折れそうよー」

 

「あのデタラメな強さ、なんだかとっても響さんデスよ!」

 

 フィーネは響の力に舌を巻き、切歌も驚愕した視線を響に送っていた。

 

 

「この戦場はこちらで預かる! 撤退されよ!」

 

「国連直轄の先遣隊か。我らは日本政府の指揮下にある! 撤退命令は受けていない!」

 

 翼が撤退するように指示を出すが、指揮官はそれを飲み込まない。さて、どうしたものかしら。

 

「理由が必要ならば、くれてあげる」

 

 あたしがそんなことを考えてる内に、サンジェルマンが戦車の砲塔を次々と切り裂いた。

 

「助かったわ。立場的に引き下がってもらうのに苦労しそうだったのよ」

 

「前を向いていろ。助けるのでしょ? お前の親友を」

 

 サンジェルマンはぶっきらぼうにそう答えて銃を構えた。

 

 

 戦車たちは撤退して行き、S.O.N.G.の装甲車が到着した。中には未来がいる。

 

 

「司令! こっちは準備ができたわ!」

 

『よし! 響くんのバースディパーティを始めるぞ!』

 

 装者たちと、あたしとサンジェルマンの二人の錬金術師が響と対峙した。

 必ず、助け出してみせる。

 

「まずは動きを封じましょっ!」

 

「じゃじゃ馬ならしだ!」

 

 あたしとクリスと翼が先陣を切って飛び出した。

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

 ――影縫い――

 

 翼が小刀を響の影に向かって投げつけて動きを止めようとする。

 

「ガァァァァァッ!」

 

 響は咆哮し、小刀を振り払う。影縫いは効かないみたいね……。

 

「やはり対人戦技では効果が望めぬか!」

 

「だけどこの隙を無駄にはしない! はっ!」

 

 マリアはアガートラームでフィールドを作り、そのまま持って走った。あれで、響を包んで動きを封じるつもりね。

 

「こっちよ、響! 攻撃して来なさい」

 

 あたしは響の眼前に出て、囮になる。

 

「グォォォォッ!」

 

 響はあたしに向かって至近距離からビームを放ち、あたしはそれをギリギリ躱した。

 しかし、その瞬間に響の拳をまともに受けてしまった。

 

「――くっ!」

「まったく、無茶をする。大丈夫か、フィリア」

 

 全身に亀裂が入って飛ばされたあたしをサンジェルマンが受け止める。

 再生にエネルギーを取られちゃったけど……。スキは作れたわ。

 

「ふっ!」

 

 響があたしを攻撃した瞬間にマリアがフィールドを伸ばして響の体を覆った。

 

「止まれぇぇぇっ!」

 

「ウガァァァァァァッ!」

 

 全身が締め付けられた響はビームを放ち建物を破壊した。

 

「ガァァァァァァァッ!」

 

 マリアはどうにか押さえつけようとするが力負けしている。

 

「マリア! 私たちの力を!」

「束ねるデス!」

「1人ではない!」

「皆であいつを助けるんだ!」

 

 みんなでマリアを支えて、一時的に響を拘束することに成功した。

 

「今です、緒川さん!」

 

『心得てます!』

 

 翼の合図に呼応して、特殊車両隊が巨大な注射器が発射されて、響の全身に突き刺さる。

 

 《Type:AR》が響に注入された。これはただのAnti_LiNKERじゃないわ。適合者であっても強制的にギアが解除されるくらいの代物なのよ。

 

 響の全身は一瞬で硬直して、その場に倒れた。

 

「フィリア、やったのか?」

 

「いや、これは一時的に適合係数が急激に下がって活動が停止してるだけ……。上手くすれば、これで何とか出来ると思ったんだけど……」

 

 《Type:AR》を持ってしても神の力を引き剥がす事は敵わなかった。それなら……。

 

「グァァァァァッ!」

 

 響は再び覚醒して叫び出した。やはり、神の力の防衛機能が働いたか……。《Type:AR》を解析して、それを書き換え、《Type:R》に変質させてる。

 

 つまり、適合係数は急激に最大レベルにまで上がったはずだ。

 

「今よっ! 未来っ――!」

 

『響ぃぃぃぃぃぃぃっ!』

 

 あたしの合図で未来が響に呼びかける。すると響の動きが止まった。

 

「適合係数の上昇によって融合深度が増している今なら……。電気信号化された未来の声は依代となっている響にねじ込まれるはず……」

 

 《Type:AR》によって響に纏わりついている神の力を引っ剥がすことが出来なくとも、未来の呼びかけで、彼女を呼び戻すという二段構えの仕掛けになっていた。

 

「逆転の発想だな。しかし、その未来とやらの呼びかけに立花響は応えるのかな?」

 

「あー、まったく心配してないわ。そんなこと」

 

 この時点であたしは作戦の成功を確信していた。だって――あの二人は……。

 

『今日は響の誕生日なんだよ。なのに……、なのに! 響が居ないなんておかしいよ!』

 

 響に未来は必死の呼びかけを開始した。

 

『響――、お誕生日おめでとう。ううん、きっとこの気持ちは……、ありがとう、かな? 響が同じ世界に生まれてきてくれたから、私は、誰かと並んで走れるようになったんだよ』

 

 最初に会った頃から未来の響に対する愛情は誰よりも大きく、何よりも尊いものだとあたしは感じていた。

 だから、怖いところもあったんだけど……。

 

『誰かとなら1人では超えられないゴールにだって届くかもって気づかせてくれた――。響! 私のお日様――!』

 

 響に纏わりついている物質化した神の力にヒビが入り、それが消えていく。

 

「ほら、言ったでしょ。心配ないって、あの二人は特別なの」

 

「手を取り合う絆の力が……、神の力をも打ち破るとは――」

 

 あたしとサンジェルマンは響が無事に出てきたことを確認して、ホッと肩をなでおろした。

 

「響! 信じてた!」

 

 未来は装甲車から走って出て行き。降りてきた響を未来がしっかりと抱きとめた。

 

 

 さて、通信で八紘が反応兵器が使われないという知らせも聞いたし、後は神の力を処分して――。

 

『太平洋沖より発射された高速の飛翔体を確認!  あれは――!』

 

 司令部からの通信で突如、藤尭の叫び声がきこえた。まさか――反応兵器が撃たれた!?

 

『迎撃準備!』

『この距離では間に合いません! 着弾まで推定330秒!』

 

「――あれが反応兵器……」  

  

 あたしは空を見上げてそう呟いた。ホントに撃って来るなんて、ちょっと信じられないんだけど。 

 

「だったらこっちで切り飛ばすデス!」

 

「ダメ! 下手に爆発させたら辺り一面が焦土に! 向こう永遠に穢されてしまう!」

 

 切歌の発言に対して調がツッコミを入れる。そのとおり、それが反応兵器の厄介な所だ。

 

 

 

「私はこの瞬間のために生き永らえてきたのかも知れないな……」

 

「何を言って……」

 

 サンジェルマンの言葉にマリアが反応したとき、彼女の足元に錬成陣が現れて、空へ浮かび上がっていく。まさか、サンジェルマンは――。

 

「まったく仕方ないわね……。コードクロノスモード……」 

 

 《Type:G》を注入して、クロノスモードを発動したあたしは黄金の光に包まれて、宙に浮いた。

 

「フィリア先輩! どうするつもりですか?」

 

「友達を放っておけないでしょう。それにアレも……」

 

 あたしはスピードを上げて、サンジェルマンを追いかけた――。

 

 

 

「一人でやれるか? いや、だとしても。だったわね」

  

 サンジェルマンは空中で立ち止まり、反応兵器を見据えていた。

 

「まったく、一人で飛び出しちゃうなんて。無茶するんだから」

 

「フィリア……。お前……。ふっ、一緒に死んでくれるのか? 長い人生だったが、あの二人以外に終生の友が出来るとは思わなかったよ」

 

 そんな彼女にあたしが声をかけると、びっくりした顔でこちらを振り向く。

 

「バカね。共に生き残るつもりよ。また、一緒にランチをするためにね……。それに……、あたしだけじゃないみたいよ。あなたを追いかけたのは」

 

「えっ?」

 

 あたしの言葉に呼応してサンジェルマンも気配に気が付いたみたいだ。

 

「あーしたちの方が付き合いずっと長いんだし」

 

「正直、少しだけ妬けるワケダ」

 

 カリオストロとプレラーティがあたしたちの後ろに現れる。変だと思ってたのよね。

 如何にユニゾン攻撃が強力でも、賢者の石を使ったファウストローブを纏っている彼女たちが簡単にやられてしまうって言うことが……。

 

「一瞬でいいわ。一瞬だけアレの爆発を抑え込んでくれるかしら? その瞬間にあたしが、アレを処分する」

 

 あたしは迫りくる反応兵器を前に三人にそう指示を出した。

 

「ふっ、そんなこと、訳がないワケダ」

 

「フィリアちゃんが美味しいとこを持ってくわけねー。まっ、サンジェルマンに免じて協力したげる」

 

 カリオストロが頷くと、プレラーティがサンジェルマンに弾丸を渡した。

 

「女の勘で局長を疑ったあーしたちは、身を潜めていて」

「局長に一矢報いるために錬成を高めていたワケダ」

 

 彼女らの錬金術師としての研磨の結晶として生成された弾丸がサンジェルマンの銃にセットされる。

 

「フィリア! 合わせろ! 私たちの錬成の研磨がついに誰かのために――」

 

 サンジェルマンは銃から弾丸を放った――。

 

 

 弾丸は錬成陣を織りなして、巨大化して反応兵器に衝突する。反応兵器は起爆して、すべてを焼き尽くさんと爆発が広がろうとした。

 

 しかし、爆発は抑え込まれる。これが、ラピス・フィロソフィカスの力――。

 

「あれは私の最高傑作だが、長くは保たないワケダ」

 

「早く行きなさい! あーしらが抑えてる内に」

 

「死を灯すことしか出来なかった私が、初めて生きたいと思った。頼んだぞ、みんなを――」

 

 三人に後押しされて、あたしは瞳を閉じた。

 

 ――因果ノ捻時零(インガノネジレ)――

 

 時が止まり、あたしは爆発が抑えられている空間ギリギリまで接近する。

 

「まったく、コイツに触れて何秒持つか……」

「大丈夫、私に任せなさい」

 

 時間停止を解除するとフィーネはあたしの両手をバリアで何重にもコーティングした。

 そして、あたしはその状態で爆発の中に手を突っ込んだ。

 ミシミシと音を立ててバリアに亀裂が入り、砕けようとする。時間はかけられないわね……。

 

 ――ループ・ザ・ワールド―― 

 

 この技は実際に触れたモノの時を戻すことが出来る。神の力の防衛機能は破れなかったが、兵器くらいなら――。

 あたしは爆発の時間を巻き戻し、反応兵器が作られる前の部品の状態まで時を戻した。 

 

 バラバラになった反応兵器の部品をあたしは氷漬けにして、無害な状態にする。

 

 ふぅ、これで日本が焦土にされることはなくなった……。

 あたしは、危機を乗り越えて安堵していた。

 

 しかし、まだ終わってはいない。響たちの元ではアダムとの最終決戦が始まろうとしていた――。




サンジェルマンたちの生存ルートに入りました。
彼女たちは生きて5期にも登場します。
そして、次回はAXZ編のラストバトルです!
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