【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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遂にやってきましたシリーズの完結編であるXV編!
アニメの最終回手前ですが始めちゃいます。 
今回は原作1話の直前の話です。あのキャラクターが久しぶりに登場します!


XV編
災厄へのカウントダウン


「コード……、クロノスモード……」

 

 あたしの身体が黄金の輝きを放つ。これで、準備は完了……。

 

「エルフナイン、急ぐわよ。手早く終わらせなさい」

 

「はい、フィリアさん。準備オッケーです」

 

 緊張した表情のエルフナインはあたしの言葉に返事をした。

 それじゃ、行くわよ……。

 

「ねぇ、フィリア。いつまで、あたしは横になってれば良いの〜。暇だよ〜」

 

 少女漫画、『うたずきん』を片手にラボで機材を取り付けられて横になっているティキが不満を口にする。

 

『エルフナインくんが、ティキに付けられているセーフティに気付かなかったら大惨事だったな。下手すればこの施設が大火事になるところだった』

 

 弦十郎もモニターであたしたちのやり取りを見ながら指示を出していた。

 

 あたしたちが行っているのはティキの内部データの更に奥、ブラックボックスの解析である。

 ティキには惑星の運行を観測し、記録したデータを元に様々な現象を割り出す機能があった。

 つまりこれを解析すれば、アダムの言うカストディアンやアヌンナキの正体に辿り着ける。あたしたちはそう解釈したのである。

 

 だが、しかし……。アダムの作ったプログラムは悪辣極まりなかった。たとえティキを初期化したとしても最深部のデータには彼以外が覗くと大爆発を起こすようなセーフティが付けられており、危うくあたしたちはその魔の手に引っかかるところだった。

 

 そこであたしたちは作戦を立てた。ティキのセーフティが発動するギリギリまで解析を続行し、発動寸前であたしが時を巻き戻すという作戦だ。

 

「解析を開始します」

 

『セーフティ発動まで30、29、28……』

 

 エルフナインが大急ぎでデータを回収している間に友里と藤尭がセーフティの発動時間を計算してカウントダウンを開始する。

 

『5、4……』

『フィリアくん!』

 

 弦十郎の合図と共に、あたしはティキの身体に触れてループ・ザ・ワールドを発動した。

 

『2、1……、セーフティ起動前に復帰しました』

 

 私が解析前の状態までティキの身体を戻したのでセーフティの発動は回避出来た。

 問題はたったの30秒でどれくらい解析できたか、だけど……。

 

 

 あたしとエルフナインは解析したデータを検証する。

 予想通り回収出来た情報でめぼしいモノはある座標のみだった。

 

「南極大陸みたいね……」

 

『座標が指し示しているのは、ボストーク湖、南極大陸でも有数の湖です』

 

 友里はモニターを切り替えて検証結果を出した。

 

『よし、至急南極大陸に調査団を派遣しよう。フィリアくん、エルフナインくん、ご苦労だった』

 

 弦十郎の言葉で今回の解析作業は終了した。南極大陸か……。そこには一体何があるのだろうか?

 

 

 研究室から出て、あたしたちは司令室に戻る。ティキは退屈そうな顔はしているが、あたしたちの言うことはキチンと聞く良い子だ。

 

「フィリアくん、戻って来て、早々に悪いんだがサンジェルマンくんから通信が来ている。君にも聞いてほしい話のようだ」

 

 弦十郎は深刻そうな表情であたしにそう伝えた。

 サンジェルマンが? 確か、欧州でパヴァリアの解体に協力しているはずだけど、何かあったのだろうか?

 

「通信を繋いでちょうだい」

 

 あたしはサンジェルマンとの通信を繋げるようにお願いした。

 

『フィリア……、そしてS.O.N.G.の諸君、久しぶりね。単刀直入に本題を伝えるわ。フロンティア事変の主犯であるジョン=ウェイン=ウェルキンゲトリクスと、フィアナ=ノーティスが、元パヴァリアの構成員と接触している。日本である組織をパトロンにして、何かを準備しているようだ』

 

 サンジェルマンがモニター越しに伝えた事実はあたしたちが動くには十分すぎる情報だった。

 妹のフィアナとウェル博士……、この二人はフロンティア事変以降、行方を眩ませていたが、まさかパヴァリアの残党と組んでいるとは……。

 しかも、日本の組織をスポンサーに付けているって……、一体何が起こってると言うの?

 

『おそらく、元構成員は人体実験の被験体だった者たち……。連中の目的はまだわからないが、そちらも気を付けておいてほしい』

 

 サンジェルマンからの通信はそこで切れた。被験体といえば、ヴァネッサたちかしら? 確かに彼女らの恩人であるゲイル博士は並行世界のウェル博士……。手を組む可能性は十分にあるわね……。 

 

 

「ここに来てウェル博士か……、英雄に狂信的な憧れを抱いた男……。パヴァリアの残党と手を組んだとなると良からぬ予感しかしないな」

 

 弦十郎は腕を組んで考え込むような仕草をした。

 あの男も気になるけど、あたしは妹が心配で仕方がなかった。あのとき、多少の乱暴な真似をしてでもフィアナを連れ戻していれば……。

 あの子はウェル博士のためなら平気で命を捨てる。

 

 フィアナがしたことは決して許されることじゃないかもしれないけど……。あたしは彼女に生きていて欲しい――。

 

「日本にいるという、彼らのパトロンとやらも気になりますね。調査員に日本から欧州への黒い金の動きを探らせましょう」

 

 緒川はさっそくサンジェルマンの情報を元に迅速に調査を開始した。とにかく、南極もウェル博士も調査しなくては何もわからない。

 これは勘だけど、ここにも神の力に関連した事柄が絡んでいる気がするわ。

 

『――ならば、オレからも情報を提供しておいてやろう』

 

 突如としてエルフナインからキャロルのホログラムが出てきた。ちょっと、驚かさないでよ!

 

「キャロル=マールス=ディーンハイムか。まさか、エルフナインくんを媒体に通信をするとは……」

 

「キャロル。ボクたちに何か用事ですか?」

 

 弦十郎とエルフナインはキャロルの突然の出現に驚き、彼女を凝視した。

 

『オレの留守の間にチフォージュ・シャトーに何者かがアクセスした痕跡が残っていた。お前たちがちょうどパヴァリア光明結社の残党のことを話題に出していたんでな。そっちを調べるなら、空き巣紛いのことをした連中にも繋がるやもしれんと思ったまでだ』

 

 キャロルはチフォージュ・シャトーに侵入の痕跡があったと伝えた。しかも、それがパヴァリアの残党と繋がると――。

 一気にきな臭くなってきたわね……。

 

「キャロル……」

 

『フィリアか。どうした? オレに何かあるのか?』

 

「あなた、毎日ちゃんと食べてる? 体の調子が悪いところはない? あたし、それが心配で、心配で……」

 

『――毎日食べてる! 心配ない。体もすこぶる健康だ! 急にママみたいな態度をとるな!』

 

 キャロルはイライラした態度でそう答えた。だって、音沙汰ないから心配してたんだもん。それにしても、キチンと答えてはくれるのね……。

 

「わかった。こちらもチフォージュ・シャトーの件も含めて探らせよう」

 

 弦十郎はあたしとキャロルの会話をスルーして、話を本筋に戻した。

 

『そうしてくれ。あと、フィリア……。しばらくしたら一度、日本に行く……。その時にまた会おう』

 

 キャロルはそう言い残してホログラムを消した。今度会ったらあなたの好物をしこたま作ってご馳走するんだから。覚悟しなさい。

 

「チフォージュ・シャトー……。調べる場所は広がるばかりですね」

 

 緒川はやれやれというような口調でそうこぼした。

 

「しかし、点と点を結べば線になる。更に点が増えると浮き上がるはずだ。真実と言う面がな」

 

 弦十郎も一連の事柄がすべて繋がっていると予測しているみたいだ。

 全てはアヌンナキと呼ばれる存在に……。

 

「フィリアくんもエルフナインくんも長く引き止めて悪かったな。後はこっちでの調査しだいだ。今日は休んでくれ」

 

 弦十郎は今日の一連の話を締めようとした。

 

「げんじゅーろー。あたしは? ティキも大人しくしていたんだよ。ねぇー、褒めてー」

 

「ん、ああ。ティキくんもご苦労だった。もう、自由にしていいぞ」

 

 ティキが駄々をこねるような態度を見せると、弦十郎は素直にそれに答える。この子のせいで騒がしいのが増えたわね……。

 

「フィリア、あたし、褒められちゃったよ。弦十郎のお嫁さんになるのもありかもー」

 

「それだけは勘弁してちょうだい……」

 

 うんざりした表情であたしはティキにそう言って、司令室を出た。彼女は基本的にエルフナインと共に暮らしている。 

 そして、二人は周波数が合うのか仲がいい。強大な力を持つ者に作られたという共通点があるからだろうか? 

 

 そういう面で見れば、あたしも一緒。フィーネに利用される為に生まれたクローンで廃棄個体だったから。

 

 だから、誰かに必要にされるということが嬉しく感じるのかもしれない……。 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「あら、翼、訓練室に居たのね」

 

 訓練室の前を通りかかったあたしは、そこから出てきた翼に声をかけた。

 

「フィリア、実験は成功したのか? クロノスモードまで使ったと聞いたが……」

 

 翼は先程行なったティキの解析実験について質問してきた。

 

「ええ、問題なく。もしかしたら、近々あたしたちは南極大陸に行くことになるかもしれないわ」

 

 あたしは南極に行くかもしれないと、翼に告げた。

 あくまでも可能性だけど、ティキにわざわざ記録されている座標があった。アダムは神の力を手に入れて何者かと戦うみたいな発言をしていたから……。我々も戦いに巻き込まれる可能性が高いと推測したのだ。   

 

「南極だと? どうしてまたそんな話が……」

 

 翼は顎に手を当てて話を聞き始めた。

 

「ティキの解析を進めた結果――」

 

 あたしは南極のボストーク湖を指し示した座標の話から、サンジェルマンやキャロルから得た情報までを話した。

 

「なるほど、ウェル博士とフィアナがパヴァリアの残党と……、それは厄介だな。しかも日本から資金援助の痕跡があるとは……。そして、チフォージュ・シャトーにも不穏な影か」

 

 彼女も戦いの予感を感じたのだろう。拳にも知らず知らずのうちに力が入っていた。

 

「よし、我ら防人の力が試されるな。共に力を合わせ――。なんだ? フィリア、何か言いたげだな」

 

 翼はあたしの表情の変化に気付き訝しげな顔をする。

 

「いや、翼の中ではあたしも防人なんだなって……」

 

 あたしは今さらな事を口に出した。もちろん翼は一番長く戦ってきた仲間だし、そういう意識はあるが、あたしはこれまで一度も防人だと自称したことはない。『推して参る』とか言ったこともない。

 

「決まっているだろ。フィリアも私と同じで防人の系譜である風鳴家の人間なのだから」

 

 翼は大真面目な顔をしてそう返した。そっか、この子は風鳴の家に生まれてずっとそれに縛られていたから……。

 

「あー、そういう理屈なのね。翼、別に八百屋さんに生まれたからと言って駄菓子屋さんになっちゃ駄目とかじゃないのよ」

 

 あたしは彼女にそう言った。翼にはこれ以上縛られて欲しくなかったから……。

 

「えっ? まぁ、経済のことはよくわからないが、野菜だけを売るというのも大型のスーパーが増えてきて厳しい世の中になっていると聞く。商売を鞍替えするというのも、致し方あるまい」

 

 ――駄目だ、あたしの例えが下手だった。

 

「そうじゃなくって、人の意志は自由ってこと。歌で人を救いたいってあなたは頑張っている。それは翼の自由意志でしょ? だから、無理に防人らしくあろうとしなくても良いのよ」

 

 翼がいつも張りつめていることを、あたしは知っていた。最近は穏やかな表情を見せることが増えてきているが……。

 

「――っ!? ふっ、心配するな、フィリア。私は以前とは違う。ぽっきり折れたりはせんよ」

 

 翼は一瞬だけ驚いた顔をしていたが、すぐに微笑んでそう返した。それなら良いけど……。

 誰よりも強くあろうとする翼には防人としての義務感がのしかかってる。あたしにはソレが彼女を押し潰そうとする呪いのようなモノに見えていた。

 

 

 それから、少しだけ月日が流れて南極大陸の調査結果がある程度こちらに帰ってきた。

 やはり、あたしたちの予想は正しかった。

 

 装者たちは全員、本部へと集合をかけられる。

 そう、あたしたちはこれから南極へ向かう――。

 




久しぶりに登場のキャロルに、加えてサンジェルマンやティキも健在です。
そして、フロンティア事変から身を潜めていたウェル博士とフィアナも間もなく登場する予定です。
生き残らせた人物が多いですが、上手く盛り上げてもらえるように頑張ります!
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