【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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原作1話にあたる時系列です。
それではよろしくお願いします!


時の彼方から浮上する棺

「悪いわね、二人共。デート中に……」

 

「もう、フィリア先輩たら、嫉妬ですか?」

「あはは、最近、フィリアちゃんと未来が仲が良いような悪いような……」

 

 緒川の車でやって来た未来と響に声をかける。

 

「あっ、そうだ。響にケーキを焼いたんだった。後で渡すわ」

 

「あはっ、ありがとう! フィリアちゃん!」

 

 響があたしに抱きついて来た。この為に近くのスイーツ店のレシピを完全に網羅したの。錬金術の知識を持ってすれば至高のスイーツを作るなど容易い。

 

「――いつもの餌付け戦法とは芸がないですよ。先輩……」

 

 未来はムッとした表情であたしに毒を吐く。最近は遠慮がなくなってきた。

 

「あら、弱点を突くのは戦術の基本よ」

 

 あたしと未来は睨み合いをする。まぁ、本気で喧嘩してるわけじゃないけど。

 

「つまんねー、張り合いしてんじゃねぇ。このバカの取り合いとか世界一くだらねえ争いだぞ」

 

 クリスが後ろから現れてあたしと未来の頭を小突いた。世界一くだらないとは随分じゃない。

 

「クリスちゃーん、助かったよー。いやー、マジで、未来とフィリアちゃんが怖くてさー」

 

「くっつくなバカ! 面倒を広げてどーすんだ!」

  

 クリスにすり寄る響をあたしたちは呆然と見つめて頷きあう。

 

「一時休戦ね。伏兵が出たわ」

「先輩が同じクラスなんだからちゃんと見張ってて下さいよ」

 

 あたしと未来はとりあえずクリスに警戒をすることにした。

 

 

 未来には司令室の外で待ってもらい、装者たちが全員集まったところでブリーフィングが始まった。

 

「先日、あたしたちはティキに内蔵されているブラックボックスの解析を行なったの。パヴァリア光明結社、と言うよりもサンジェルマンたちですら知らない、アダム=ヴァイスハウプトの目的を探る為にね」

 

「ああ、この間の……」

 

 あたしが先日にクロノスモードを使って行なった解析の話をすると、その話を聞いていた翼が反応した。

 

「この、ティキには惑星の運行を観測し、 記録したデータを元に様々な現象を割り出す機能があります」

 

「えっへん。あたしってすごいんだぞー」

 

 エルフナインに懐いているティキは機能を説明されて得意気な表情をした。

 

 そして、話は本題に入り、モニターに南極の映像が流れる。

 

「これは南極大陸デスか?」

 

 切歌が、モニターを見て質問した。

 

「そのとおりよ、切歌。どうにかして、手に入った情報で唯一手がかりになりそうなのは南極の一地点を示す座標だったの」

 

「ここは南極大陸でも有数の湖、ボストーク湖。付近に位置するのはロシアの観測基地となります」

 

 あたしの言葉に続けて、友里が情報を追加する。このボストーク湖は今、変わった状況に置かれている。

 

「湖ってどれー? 一面の雪景色なんですけど?」

 

 響は真っ白な映像を見て、頭にクエスチョンマークを浮かべていた。まぁ、無理もないか。

 

「その雪景色のほとんどがボストーク湖さ。正確には氷の下に広がっているんだけどね」

 

 藤尭が響の疑問に答える。南極だから、仕方ない。湖だって凍るのだ。

 

「地球の環境は一定ではなく、度々大きな変化を見せてきました。特に近年、その変動は著しく、極間の氷の多くが失われています」

 

 エルフナインは近年の激しい環境の変化で南極や北極の氷が少なくなっている事実を告げた。

 

「まさか氷の下から何かが出てきたってわけじゃないよな?」

 

 頭の回転が早いクリスはすぐに正解にたどり着く。

 

「さすがはクリスね。正解よ。先日、ボストーク観測基地の近くで発見されたものが、この氷漬けのサソリよ」

 

 モニターは切り替わり、画面には氷漬けになったサソリの映像が出てきた。

 

「照合の結果、数千年前の中東周辺に存在していた種と判明。現在では絶滅していると聞いています」

 

 藤尭はモニターのサソリについて説明をしている。なかなかSFチックな話よね。

 

「何故そんなものが南極に?」

 

 マリアは当然の疑問を口にした。

 

「詳細は現在調査中よ。まぁ、先史文明期に何らかの方法で中東より持ち込まれた、と仮定するのが自然かしら?」

 

 あたしは情報から推測した事柄を話した。時代背景的にも、移動距離的にもそうとしか考えられない。この仮説にはあたしはかなり自信があった。

 妙なのは、フィーネがこの手の話になると黙ってしまうことだ。彼女は何か予感することでもあるのだろうか……?

 

 

「気になるのはこれだけではありません。情報部はパヴァリア光明結社の幹部だったサンジェルマンさんの協力を得て、瓦解後に地下へと潜ったパヴァリアの残党摘発に務め、さらなる捜査を進めてきました」

 

 緒川は情報部が密かにサンジェルマンと協力して邁進していたパヴァリアの残党から情報を得たことを伝えた。

 プレラーティやカリオストロも比較的に協力的である。

 そもそも、アダムの乱暴なやり方を抑える役割だったのが彼女たちだから、組織が解体して元構成員たちが暴徒と化すのは見逃せないのだろう。それくらいの責任感はある人たちだから……。

 

「得られた情報によると、アダムは専有した神の力をもって遂げようとした目的があったようだな」

 

 弦十郎はアダムが成し遂げようとした目的について話そうとした。

 

「その目的とは一体?」

 

「この星の支配者となる為、時の彼方より浮上する棺を破壊――」

 

 翼の言葉に弦十郎はそう返した。これを突き止めたとき、フィーネが明らかに動揺していた。なぜなのかは話てくれなかったが……。

 とにかく、その棺とやらが何を示しているか、それがこの話のキーポイントだ。

 

「なんデスと!?」

 

「でも、時の彼方からの浮上って、南極のサソリと符号するようで気味が悪い……」

 

 切歌は驚き、調は冷静に情報を分析する。

 

「次の作戦は南極での調査活動だ。この情報の出処にはあのウェル博士たちが絡んでいた。故に罠という可能性もある。作戦開始までの一週間、各員は準備を怠らないでほしい」

 

「「了解!」」

 

 そう、この情報を得るキッカケになったのは、サンジェルマンの助言で調べたウェル博士とフィアナが絡んでいるというパヴァリアの残党について調査したことがキッカケだ。

 

 つまり、あたしたちを罠にかけるために流したフェイク情報の可能性もあるのだ。

 しかし、ティキから得られた座標は間違いなく南極だったし、例のサソリの件もある。南極を万全を期して調べること自体は決して無駄ではないだろう。

 

「それにしても、ドクターデスかー」

 

「アナ姉も一緒に何か企んでるかもしれない」

 

「仲間として止めるわよ。フィアナがバカをする前に……」

 

 レセプターチルドレン時代からの仲間であるフィアナをマリアたちも心配している。

 彼女らとしてはあたしよりも長く彼女と一緒に居たわけだから、絆は深いのだろう。

 あのバカ妹には絶対にお灸を据えてやるわ。

 

 

「――絶望……、明日に……。未来に……」

 

 ボソリとした声がする方を向いて見ると、響がうわ言のように独り言をつぶやいていた。

 

「響、どうしたの? 浮かない顔をして……」

 

 あたしは彼女の顔を覗き込んだ。

 

「えっ、あははっ……、ええーと、ね。あのときの言葉を思い出してたんだ。希望が打ち砕かれたって……。もしかして、私はとんでもない間違いをしたのかもって、不安になっちゃった」

 

 響はアダムが最後に遺したセリフが頭の中に残ってるみたいだ。

 

「間違ったっていいのよ別に。あなたが困っても手を差し伸べる仲間は沢山いるんだから。その時は一緒に何とかしましょ」

 

 あたしは響に手を差し出してそう言った。

 この子が悩むのなら、あたしも共に悩もう。そして、持てる力を全て使ってでも……、助けてみせる。

 

「フィリアちゃん――うん、困ったら相談するよ! ありがとう!」

 

 彼女はニコリと笑ってあたしの手を握ってくれた。少しは元気が戻ってくれて良かったわ。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

「寒ぅいっ! しばれるぅ〜! どこの誰だよー? 南半球は夏真っ盛りとか言ってたのは〜?」

 

「デデデ、デース〜」

 

 寒がる響に対して切歌が手を挙げた。南極なんだから年中寒いに決まってるでしょ。

 

「夏だって寒いのが結局南極だ。ギアを纏えば断熱フィールドでこのくらい……」

 

クリスがそう呟いた瞬間に、氷を割ってレーザーが放たれて、空に穴を開けた。

 やはり出てきたか。あれがアダムの言っていた――。

 

「なかなかどうして、心胆寒からしめてくれる……!」

 

「出てくるわよ。準備は良いわね?」

 

 氷を割って、巨大なロボットのようなモノが現れた。なんか、亀みたいな形ね……。

 

「あれが。あんなのが出現する棺!? 切ちゃん、棺ってなんだっけ?」

 

「常識人には酷なことを聞かないで欲しいのデス!」

 

 調はいつものマイペースで、切歌は切歌で平常運転だ。これならいつもどおりのパフォーマンスは出来そうね。

 

「いつだって想定外など想定内! いくわよ!」

 

 ん? 意味がわかるようで、よくわからない。予想外なことが起こることくらい覚悟してるってことかしら?

 

 あたしたちは一斉に飛び降りた。 

 

「コード……、ファウストローブ……」

 

 あたしはファウストローブを身に纏い、装者たちはシンフォギアを身に纏った。そして、棺とやらとの戦闘が始まった。

 

 まずは響が突撃して、棺とぶつかり合う。互いにビリビリと衝撃波を撒き散らして、パワー勝負は膠着した。

 

「互角!? それでも――気持ちでは負けていない!」

 

 マリアがそう呟いた瞬間に、棺が口からビームを放った。あんなエネルギーの波動は見たことないわね……。

 

 あたしたちは飛び上がり、ビームを躱したが、後方で爆発して巨大な結晶が出来上がる。

 

 何あれ? あんな現象は物理の法則的にあり得ないわ。

 

「何なんだよ、あのデタラメは!? どうする、フィリア」

 

「あれは、直撃するとまずそうね。とにかく、被害を最小限に食い止めないと……」

 

 クリスの問いに具体的な回答が出来ないあたし。確かにとんでもない化物が出てきたものだわ。

 

「散開しつつ距離を詰めろ! 観測基地には近づけさせるな!」

 

 翼の指示により、全員がバラバラに飛び上がり棺に向かって攻撃する。

 

 ――雷神ノ鎚(トールハンマー)――

 

 最大級のエネルギーを込めた、雷撃エネルギーの放出。

 ファウストローブを纏ったあたしの技の中でも特に火力が強いこの技でも棺は全くの無傷だった。

 

 このように、あたしたちの技はことごとく弾かれて効果が無いように見えた。

 

 しばらく戦っていると、今度は棺は身体中からトゲのようなモノを飛ばしてきた。

 そして、そのトゲのようなモノは変形してビームをドンドン放ってくる。

 

 まったく面倒な相手ね――。あたしは少しうんざりしていた。

 

「こちらの動きを封じる為にっ!」

 

「しゃらくさいのデス!」

 

 切歌が調を抱え、ノコギリを回転させて棺のトゲを一掃する。

 

 

「群れ雀なんぞに構い過ぎるな!」

 

 クリスが銃撃で次々とトゲを撃墜していく。

 

 

「ならば行く道を! フィリア、合わせろ!」

「ええ、行くわよっ!」

 

 ――千ノ雷霆(センノライテイ)――

 

 翼が青い小刀を、あたしが雷撃の刃を同時に天空から落とし、トゲを次々と撃ち落とした。

 

「今よっ! 響! マリアっ!」

 

「うぉぉぉぉぉっ!」

 

 響の右腕のパーツがドリル状に変形する。

 

「はぁぁぁぁぁっ!」

 

 マリアの左腕のパーツもドリル状に変形した。

 

「「最速で最短でっ! 真っ直ぐに一直線にっ! はぁぁぁぁぁぁぁっ!」」

 

 

 そして、ドリルが猛スピードで回転して、二人は手を繋いで突撃した。

 

 この攻撃によって、棺の胸の宝石が砕け散り、ようやくダメージらしいダメージが与えられる。

 

 しかし、棺は即座に反撃して、響とマリアを地面に叩きつけてしまう。

 さらにあたしたちが集まった、タイミングで棺はビームを放った――。

 

「間に合えぇぇぇぇぇぇっ!」

 

 クリスが前に出てリフレクターを展開してビームを防ぐ。しかし、それが爆発して――。

 

 

『棺からの砲撃、解析完了。マイナス5100℃の指向性エネルギー波……。――って、何よこれ!?』

 

『埒外物理学による……。世界法則への干渉……。こんなの現在のギア搭載フィールドでは何度も凌げません!』

 

 友里とエルフナインの通信が聞こえる……。

 そう、あたし以外の装者は結晶の中に閉じ込められてしまった。

 

“ごめんね、フィリアちゃん。咄嗟だったからフィリアちゃんしか守れなかったわ――”

 

“大丈夫よ。あたしさえ動ければ――”

 

「神のような力が相手なら……、あたしには、それに叛逆する力があるっ! コード、クロノスモード……」

 

 あたしの髪は金髪に変わり、身体は黄金に輝く。

 そして――。

 

 ――ループ・ザ・ワールド――

 

 響たちを閉じ込めた結晶の時をあたしは戻した。埒外物理学だろうがなんだろうが、関係ない。結晶は消え去り、響たちは解放された。

 

「さぁ、第二ラウンドと行きましょう……」

 

 あたしはエネルギーを両手に集中して、棺と対峙した――。

 




今回は割と原作沿いでしたが、棺による結晶化はクロノスモードで打ち破りました。
ここから、生存キャラもドンドン登場しますので、ぜひ次回もよろしくお願いします!
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